トムラウシと言えば、どうしても2009年夏の遭難事故が頭から離れません。事件を追った本も出ていたので読んでもみました。当時、遭難や道迷いに関する認識を新たにしたのを覚えています。今回は、そのトムラウシ登山を実行できる機会を得たので、情報を発信してみようと思います。 ルートは、短縮登山口からの日帰りの予定です。途中に山小屋はないので、朝暗いうちに出発し、最悪ビバークできるような装備を持って出発しました。
朝4時に短縮登山口の駐車場をスタートしました。あいにくガスがかかっていて、小雨まじりの天気でした。入り口で、登山計画書をポストに入れ、「どうする?行くか、やめるか?」の自問自答しながらも、「天候が悪化したら戻る!」と決めて進むことにしました。
短縮登山口からトムラウシ山頂まで9.2kmです。距離的には十分日帰りできる距離です。足もとは、木々の根が張り出していて歩きづらい状態でした。
明るくなってくると周りの状態が把握できるようになりました。樹林帯でササの生い茂った中を進んでいくようです。
カムイ天上というところで、分岐があります。実際には、旧道が沢沿いを通っていて昔はこちらを通っていたのかな?と推測しながら、山側に折れて新道を進みます。新道は、ササを刈り取った道なので平坦ですが、木道と段差を交互に乗り越えていくような状態でした。この新道が相当長く感じました。
なんとなくあたりが明るくなってきて天候が回復する兆しがでてきました。このまま進んでいきます。
コマドリ沢出合というところまできました。長かった新道もここで終わります。旧道は、おそらくこの沢沿いを上がってきてここで合流していたのでしょう。沢沿いを登っていきます。
前トム平という尾根まで上がってきたところで天気が一変しました。青空が広がり、カッパも脱いで気分一新です。
本格的な岩陵帯がはじまりました。左写真は広場になっていてガスに巻かれると要注意の場所なのでしょう。確認しやすいケルンがあります。さっきまで、泥ンコの山道だったものが突然のアルペン風景色に様変わりします。
天候良し!頂上直下の最後の岩場を登ります。前方に南沼キャンプ場でテント泊したと思われる沢登り風のグループを発見です。
やったぜー!念願のトムラウシ登頂です。朝の天気からは予想できない晴天下での頂上に感謝です。気分晴ればれです。
一方で、頂上から北側に目をやると残雪や北沼らしきと、遥か前方に大雪山系の山々が見えます。ヒサゴ沼や五色岳は雲の下ですが2009年夏の遭難事件が、この場所で起きたとは想像しづらいです。自然の猛威や低体温症などのリスクを再度インプットして下山することにします。
やばっ!、ケルンがガスに巻かれようとしています。そして樹林帯は、やはりガスの中でした。
途中、集中力が途切れることなくトムラウシから無事に下山できてほっとしました。時間的には、新道の下りで飛ばしたこともあり、思ったより短く9時間の行程になりました。ただ単独登山なので時間的なことより、いかにミスなく戻ってくるか?に集中していきたいと思いました。