2014年03月04日
ネコと水の不思議な関係
ネコの飼い方指南書には必ず、「水不足は健康に良くない。飲ませる工夫を」といった類のことが書かれている。ネコは水を避ける本能があり、水をあまり飲まないと一般的には言われるのだ。
元々ネコは、砂漠の乾燥地帯の生き物。毛が防水ではないため、水にぬれると体温が奪われて温度変化の激しい砂漠では生死に関わるし、そもそも水分をあまり取らなくても大丈夫な体になっている。だが特に飼いネコの場合は飲まなすぎによって膀胱炎などの病気を引きおこしやすいため、適量を飲ませるようにしなければならないのだが、これが飼い始めたばかりの人を困らせる。
筆者も、ネコを飼い始めた頃は思うように水を飲んでくれなくて大変苦労した。最初は、小さなお皿に水を入れて与えていたのだが、わざとかと疑うくらいに”見て見ぬふり”をされる。それでも根気よく「お水だよ」と注意を換気していたら、だんだんと存在を認識してくれるようになった。
だが、喜ぶのもつかの間。皿の中に手を突っ込み、バッシャーンとこぼす遊びを発見したようで、水を入れたお皿を近づけるやいなや盛大にこぼして楽しんでいる。繰り返されると怒りたくなるが、かわいいネコを前に声を荒らげることもできず……我ながらダメな飼い主である。
ある日、筆者がコップから水を飲んでいると、物欲しそうに「ンニャンニャ」と甘えてきた。そこまで言うならと筆者の飲んでいたコップに水を入れて与えてみた。机に置いた瞬間、飲む飲む! ごくごくと飲んでいる。
顔の大きさがコップのフチとマッチしていて心地が良いのか、集中して飲んでくれた。子猫の時から人間に育てられたネコは、飼い主のことを"人間"ではなく"仲間"だと思っている、という説もあるようだが、まさにそれを実感させられた瞬間だった。
飲んでくれたのは良いのだが、コップはなにせ不安定だし、ネコがちょっと足で触ったら倒してしまう。これをお決まりの水飲みツールとして採用するわけにはいかないなぁ。と、そこで登場したのが、猫用自動給水器、ファウンテンである。電源につないでおけば、中のモーターで水を循環させることができる。浄水フィルターもセットされており、頻繁に水を取り換えなくても大丈夫なのも良いポイント。
ずっしりと重量があるので、ネコが足で蹴ろうが倒そうと試みようがへっちゃらだ。チョロチョロと水音が聞こえるのも、ネコの気をひくようである。
こちらも最初は思うように飲んでくれなかったので、筆者の同居人が、ファウンテンから水を飲むフリをし続けたところ、今では自由にゴクゴクと飲むようになった。ファウンテンから水を飲まないで困っている飼い主は、自ら飲み方の例をみせてあげると良いだろう。恥ずかしがらずに!
ファウンテンで満足しているかと思えば、水道水のところへ来て、「ンニャッ(水、出せや)」と飼い主を催促することもある。ここから直接飲ますのもなんだかなぁと思いつつ、出してあげるとこれまたうれしそうな表情でペロペロ。
舌に水が当たる感触がおもしろいらしい。これをやりすぎると普通の水を飲まなくなる恐れもあるそうなので、水道水直接飲みはあまりオススメはできないのだが、姿がかわいくて、与えたくなってしまう……。
また、ある時はお風呂のバスタブに座り、手でお湯をチョロと触ってペロリとすることも。水にぬれたくはないけど、水で遊びたいといったところだろうか。ネコと水の関係は不思議なものである。
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