2017年05月24日
退屈すると砂糖と脂肪を欲す。 ジャンクフードがもたらす病気と中毒
つまんだ指に油が付く塩味が効いたポテトチップス。たっぷりの砂糖で甘いバタークッキー。スナック菓子やファストフードを、突然食べたくてたまらなくなったことはないだろうか。
油や砂糖がたっぷりで不健康だと分かっていても、無性に食べたくなる。その理由は、空腹だからではない、「退屈だから」のようだ。
人は退屈なとき、脂肪と甘みでドーパミンを得て満足するために「不健康なスナック」を食べてしまうのだという研究が、英国心理学会に発表された。
□ポテトチップスで満たされたいのは小腹ではなく「退屈」?
イギリスのセントラルランカシャー大学の研究者は、退屈な状態が食品選びにどんな影響があるかを調べるために、2つの実験をした。
1つ目の実験では、文字の同じまとまりを繰り返しコピーするという退屈な作業の前と後に、52人の参加者にアンケートを取って、食べたいものが変わるかどうかを調べた。
すると、退屈な作業の後では、ポテトチップスやスナック菓子、ファストフードなどの不健康な食べ物を食べたくなることが多かった。
2つ目の実験では、45人が退屈なビデオと面白いビデオのいずれかを見ながら、健康なスナックと不健康なスナックを、両方食べられるようにした。その結果もやはり、退屈なビデオを見た人々の方が、不健康なスナックを好んでたくさん食べていた。
□退屈するとドーパミンが足りなくなるからジャンクフードが欲しくなる
この研究結果は、退屈していると脂肪や甘い食べ物が欲しくなるという従来の脳科学の研究結果とも一致する。
私たち人間は、退屈だと感じると脳内化学物質のドーパミンが低下してくる。そして趣味や仕事でも退屈が解消できないと、脂肪や砂糖を食べることでドーパミンを増やして、快楽や満足を得ようとするようだ。
□ジャンクフードばかり食べたくなるのは今の生活に不満があるから?
つまり、不健康なスナックが食べたくなるのは、今の生活は退屈でつまらないという脳の叫びのようなものだ。
さらに「もっと食べたい」と感じ、食べ物から得るドーパミンでもっと満足したいという欲求が強くなりすぎると、食欲をコントロールできなくなり、脂肪や砂糖への中毒や依存という状態になってしまうのだ。
□ジャンクフードで「健康な食事をするくらいなら飢えた方が良い」という思考に
さらに恐ろしいことに不健康なスナックやジャンクフードの中毒症状になると、健康な食事をするより飢えた方が良いと思い始めるようだ。
アメリカ、フロリダ州の研究者たちは、実験室のマウスをジャンクフード漬けにした。するとマウスは体重が増えて肥満症になってしまった。その後、通常の健康な餌に変えたところ、2週間たっても通常の餌を食べようとせず飢える方を選んだ。
ジャンクフード中毒になり、もはや通常の食事では満足できなくなってしまったのだ。食べ物でもこれだけ怖い中毒になる。
□退屈な生活は肥満、病気の原因にも
つまり退屈な生活は肥満になりやすく、回りまわって健康にも害になる可能性が高い。肥満は糖尿病や循環器疾患、特定のがんに深く関係している。
健康に生きるためにも、退屈は良いものではない。退屈な毎日を送っていると、脂肪や砂糖との、勝ち目の薄い戦いに毎日挑まなければならないだろう。そんな負け戦を回避する、もっと簡単な方法がある。それは仕事や生活、趣味に面白さを見つけることだ。
□ダイエットや健康に必要なのは、仕事や趣味の面白さ?
ダイエットや健康には節食や運動も効果的だが、仕事や趣味の面白さも効果的だ。
いつもの仕事で小さな工夫をしてみたり、行ってみたかったけれどまだ行ってないお店に行ってみたり、読んでみたかったけれどまだ読んでいない本を読んでみたりするのもいい。
特別なことではなくても、面白いコトは日常の中にある。探してみれば明日は面白いことを、きっとたくさん見つけられるはずだ。
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