2013年03月04日
一晩10ドルでホームレス体験ができるホテル
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「ホテルに宿泊」──それは、非日常空間を体験することだ。世界には様々なホテルが存在するが、ホームレス体験ができるホテルというのは今まで聞いたことがないのではないだろうか。
スウェーデンのあるホテルでは、一晩10ドル(約920円)でホームレス体験ができるという。宿泊する場所は、公園のベンチや閉鎖された工場、森の中、橋の下などさまざまな場所から選べるそうだ。すごくリアルなのだが、これってわざわざ予約する意味はあるの?
ホームレス体験ができるというのは、スウェーデンのヨーデボリにあるFactumホテルだ。ご存知のとおり、スウェーデンの冬は極寒である。ほとんどの客は予約するだけで、実際に宿泊はしないという。
「それじゃ10ドル払っただけで何の得にもならないのでは?」と思ったアナタ、安心して欲しい。実は、これはホームレスの窮状をもっと知ってもらおうという取り組みの一貫。宿泊費の10ドルは、ホームレスの問題に感心を持ってもらうという活動に役立っているのだ。
この取り組みは、ホームレスが配布しているフリーペーパー「Faktum」と、広告代理店によって開始された。宿泊者は自分で予約をしてもいいし、Facebookなどを使って友人に宿泊をギフトとして贈ることもできる。ホテルの全利益は、Faktum誌の運営費用に充てられるということだ。
Faktum誌編集長のAaron Israelson氏は、
「私たちは1月、2月と非常に寒い冬を過ごしました。それは、ホームレスの人々にとって非常に深刻な事態です。私は、政治家はやるべきことを十分にやっていないと思います。これは、貧困問題が忘れさられないようにするための簡単な取り組みなのです」
さらに、「どういう人がホームレスになるのか、また、どういう人が今ホームレスをしているのかについて、多くの間違った知識が錯綜しています。スウェーデンの多くの人びとが、ホームレスは飲酒やドラッグの問題を抱えていると考えていますが、必ずしもそうとは限りません」
と付け加えた。
現在スウェーデンのおよそ3400人のホームレスのうち、6人に1人はヨーテボリに住んでいるとのこと。救済プログラムや避難所があるが、満足度は高くないとのことだ。
また、Israelson氏はこうも語る。「もっとも重要なのは、路上で何が起こっているのかを自分の目で見ることです。あなたが道でホームレスに会ったとき、数分でも、数秒でもいいから彼らの目をみてください。そして、じっくり考えてみてください。そして、我々の川べりのホテルを予約してみてください」
予約サイトを見てみると、宿泊ポイントの説明は、まるでリーズナブルなホテルのように魅力的に書かれている。「ホテル予約」が寄付になるとは、なんと遊び心あふれる試みだろう。さらに、ホームレスの現状や、抱えている問題を知るきっかけになるというのも興味深い。あなたはこのホテル、予約してみたいと思う?
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