2014年10月17日
意外と知らないダニ刺されの実態
梅雨から夏にかけて発生すると言われるダニ。最近では暖房器具の充実により、1年中被害が見られるようになったとか。九段坂病院皮膚科の大滝倫子先生に、ダニ刺されの対処法について聞きました。
「かゆいからダニ」は思い込み! 意外と知らないダニ刺されの実態
■もっとも多いダニ刺され被害は吸血性のイエダニ
「ダニ刺されでもっとも多いのはイエダニに刺されるケースです。イエダニはネズミに寄生し、ネズミと人両方の血を吸います。都心はクマネズミが多く生息しているうえ、マンションの上階まで上がってくることもあり、高層階でも油断は禁物です。また、ネズミを駆除後も、巣にはダニが残っていることがあります」(大滝先生)
イエダニに次いで多いのは、ツメダニです。このダニは人の血は吸いません。しかし、補食すべきダニがいなくなると、人を刺すこともあるそう。
「ツメダニは暑くて湿気の高い時期にかけて発生し、主に手足の露出している部分が狙われます。とくに気をつけたいのが、畳にじゅうたんやカーペットを敷いた部屋を寝室にしているケース。その上に布団をしいて寝るといったスタイルだと、ツメダニに刺されやすいんです。ツメダニ被害を減らすには部屋の風通しを良くすることが大切です(大滝先生)
さらに、人の皮膚に寄生し、疥癬(かいせん)と呼ばれる皮膚感染症を引き起こすダニもいます。
「疥癬(かいせん)は高齢者や赤ちゃんに多く見られますが、感染症のため若い世代にうつる可能性ももちろんあります。また、不用意にステロイド成分が入ったかゆみどめをつけると、かえってかゆみが増すことがあるので気をつけましょう」(大滝先生)
■ダニ以外の原因がひそんでいることも
目が覚めると、体のあちこちがかゆい。そんなときはつい、ダニ刺されを疑いますが、実ははしっしんやじんましん、水虫といったダニ以外の原因がひそんでいることも少なくないそう。
「とくに最近増えているのはトコジラミ(ナンキンムシ)の被害です。市販の殺虫剤が効きづらい上、血を吸われると強烈なかゆみを引き起こします。タンスのうしろなどにひそみ、人が寝静まると刺しにくるのが特徴です」大滝先生
また、高血圧や腎臓、肝臓、胃腸に何らかのトラブルを抱えているなど、内臓疾患がかゆみの要因になっていることもあるとか。
「一般の方が、見た目からかゆみの原因を特定するのは、とても難しいことです。かゆみの原因は驚くほど多種多様です。たとえば、原因がダニだと特定できれば、ダニの種類に応じてかゆみどめや殺虫効果のある薬を処方します。原因がわからない場合はさらに検査をしてつきとめます。中には検査の結果、貧血によるかゆみだということが判明し、さらに貧血の原意を調べたら、大腸がんが見つかったというケースもあります」(大滝先生)
かゆみは病気のサインかもしれません。原因がわからないかゆみを感じたら、まずは皮膚科を受診してみるのがよさそう。原因をしっかりつきとめれば、適切な処置ができ、回復も早くなる……と、いいことづくめです。
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