2022年12月13日
団地での新聞配達 3
そこでやっと現実の世界に戻れてこれたような気がした…
ぼちぼち各棟の部屋の明かりも点きだした。
時計を見たら6時を越えていた。
いつもなら配り終えてる時間だ。
急いで残りの棟を配り終えた。
夜が明けて冷静になって考えて見たらあれは得体の知れないものじゃなくて普通の人間がレインコートを頭で覆い被っていただけで俺を脅かしてやっただけなのかもしれない。
あ〜〜404の郵便物グシャグシャにしてしまったよ〜
新聞屋にあとでどやされるな…
(授業中だろうが携帯に直接かけてくる)
さっきの恐怖よりもこっちの方で気が滅入ってしまった。
ところがどっこい電話がかかってこなかったのだ。
404の住人チクらなかったんだな。
良かった…。
家に帰ると母が
「今朝ここの団地の人が自転車で運転中、車にはねられて死んだぞ」
と教えてくれた。
「すぐ近所だ近所」
「お前が配達中にパトカーとか救急車が来たと思うのだが知らないか?」
「その人物は新聞配達員だがお前ではない」
そうか!
あのサイレンはこれだったのか?
次の日、今日だけに、例の棟は一番最後に配ることにした。
配る時も、階段の電気をちゃんとつけて4階まで上り、406の前に差しかかったときに、404のドアに何か貼られているのが見えた。
近付いてみると……
│忌│
│中│
404の住民の誰かが死んでいたのだ!
「死んでそれどころじゃなかったから、郵便物がくしゃくしゃになった事をチクらなかったのか…」
しかし、俺はそこで疑問に思った。
「もしや昨日事故で死んだのってこの部屋の人?」
「そういえば昨日の変な奴の歩き方は、まるで自転車をこいでいる様だった!」
「あれは、この部屋の人の亡霊だったのか!?」
「俺はこの目で亡霊を見たんだ!!!」
途端に何者かが近くにいるような気がして左右を振り向いたが、誰もいなかった。
俺はドアに向かって手を合わせた。
そして401を配り、3階へ下りようとしたとき、
「んっ?」
何か違和感を感じた。
3階へ昇り、302の部屋の前に行こうと通路の向こうを見るとなんと、奴が6号室側の階段へ消えるのが見えた!
つけていたはずの電気も消えていた。
違和感の正体はこれだったのだ!
もし奴が生きている人間なら、これから階段を利用しようとしているのに、電気を消すはずがない。
奴はやはり404の新聞配達員の亡霊だったのかもしれない。
俺がもう6号室側の階段を使わないから拝んでくれたお礼に、代わりに消してくれたのか?
これを最後に奴の姿を見ることはなかった。
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