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2022年08月13日

リアル 3



実家に帰り、自分が置かれてる状況を理解して3日が過ぎた。
精神的に参ったからか、それが何かしらアイツに起こしたものなのかはわからなかったが、2日間高熱に悩まされた。
首から異常なほど汗をかき、2日目の昼には血が滲み始めた。3日目の朝には首からの血は止まっていた。元々滲む程度だったしね。
熱も微熱くらいに下がり、少しは落ち着いた。
ただ、首の回りに異常な痒さが感じられた。チクチクとして痛くて痒い。
枕や布団、タオルなどが触れると鋭い、小さな痛みが走る。
血が出ていたからカサブタが出来て痒いのかと思い、意識して触らないようにした。
布団にもぐり、夕方まで気にしないように心掛けたが、便所に行った時にどうしても気になって鏡を見た。鏡なんて見たくもないのに、どうしても自分に起きてる事をこの目で確認しないと気が済まなかった。
鏡は見たこともない状況を映していた。


首の赤みは完全に引いていた。その代わり、発疹が大きくなっていた。
今でも思い出す度に鳥肌が立つほど気持ち悪いが、敢えて細かな描写をさせて欲しい。気を悪くしないでくれ。

元々首の回りの線は太さが1pくらいだった。そこが真っ赤になり、元々かなり色時莉奈俺の肌との対比で正しく赤い紐が巻かれているように見えていた。
これが3日前の事。
目の前の鏡に映るその部分には膿が溜まっていた。
…いや、正確じゃないな。
正確には、赤い紐を作っていた発疹には膿が溜まっていて、まるで特大のニキビがひしめき合っているようだった。
そのほとんどが膿を滲ませていて、あまりにもおぞましくて気持ちが悪くなりその場で吐いた。
真水で首を洗い、軟骨を母から借り、塗り、泣きながら布団に戻った。何も考えられなかった。唯一「何で俺なんだ」って憤りだけだった。


泣きつかれた頃、携帯がなった。〇〇からだった。
こういう時、ほんの僅かでも、希望って物凄いエネルギーになるぞ?正直、こんなに嬉しい着信はなかった。

俺「もしもし」
〇〇「おぉ〜!大丈夫〜!?」
俺「ぃや…大丈夫な訳ねーだろ…」
〇〇「ぁー、やっぱヤバい?」
俺「やべーなんてもんじゃねーよ。はぁ…。っつーか何かなにんかよ?」
〇〇「ぅん。地元の友達に聞いてみたんだけどさ〜、ちょっと分かる奴居なくて…、申し訳ない」
俺「ぁー、で?」

正直、〇〇なりに色々してくれたと思うがこの時の俺に相手を思いやる余裕なんてなかったから、かなり自己中な話し方に聞こえたんだろう。

〇〇「いや、その代わり、友達の知り合いにそーいうの強い人がいてさー。紹介してもいいんだけど金かかるって…」
俺「!? 金とんの?」
〇〇「うん、みたい…。どーする?」
俺「どんくらい?」
〇〇「知り合いの話だけどとりあえず五十万くらいらしい…」
俺「五十万〜!?」

当時の俺からすると働いているとはいえ五十万なんて払えるわけ無い額だった。金が惜しかったが、恐怖と苦しみから解放されるなら…。選択肢は無かった。

俺「…分かった。いつ紹介してくれる?」
〇〇「その人今群馬にいるらしいんだわ。知り合いに聞いてみるからちょっと待ってて」

話が前後するが、俺が仏像の前で南無阿弥陀仏を繰り返していた時、母は祖母に電話をかけていた。
祖母からすぐにS先生に相談が行き(相談と言うよりも助けて下さいってお願いだったらしいが)、最終的にはS先生がいらしてくれることになっていた。
ただし、S先生もご多忙だったし何より高齢だ。こっちに来れるのは三週間先に決まった。

つまり、三週間は不安と恐怖と、何か起きてもおかしく無い状況に居なければならなかった。
そんな状況だから、少しでも出来るだけの事をしていないと気持ちが落ち着かなかった。

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