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2022年05月31日

危険な好奇心25



俺はとっさに身を隠し、『中年女』の様子を窺った。
どうやら俺には気付かず、何かをしているようだ。。。中腰の態勢で何かをしている。
俺は目を凝らし、しばらく観察を続けた。
何か大きな袋をゴソゴソし、もう一方に小分けしている?
尚も『中年女』はこちらに気付く様子も無く、必死で何かしている。

ひょっとして、病院内の収拾したゴミの分別をしているのか?(俺達の地元はゴミの分別がルールとなっている)
その時、後ろから
『ちょっと、まだいたの?私も遊びじゃないんだからいい加減にして!』

とさっきの看護婦が。
俺はドキッとし

『あ、いや、帰ります!どーも…』

と言い、出入口に目をやると『中年女』はこちらに気付き、ジィーっとこちらを見ていた。
『全く!』看護婦はそう吐き捨てて、再び見回りに行った。
いや、それどころでは無い!『中年女』に見つかってしまった!
どうすればいい?
逃げるべきか?
先程の看護婦に助けを求めるべきか?
俺の頭はグルグル回転し始め、心臓は勢いを増しながら鼓動した。
俺は『中年女』から目を離せずにいると、『中年女』は俺から視線を外し、何事も無かったように再びゴミの分別作業を始めた。

『え!?』

俺は躊躇した。その想定外の行動に。。俺の頭には
『襲い掛かってくる』
『俺を見続ける』
『俺を見、ニヤける』
と、相手が俺に関わる動向を見せると思っていたからである。
俺はしばらく突っ立ったまま、『中年女』を見ていたが、黙々とゴミの分別をしていて、俺のことなど気にしていないようだった。
『何かの作戦か?』
と疑ったが、俺の脳裏にはもう一つの思考が浮かんだ。
【中年女≠清掃おばさん】
やはり、似てるだけで別人・・・?
俺と淳が疑心暗鬼になりすぎていたのか?やはり『中年女』とは赤の他人の別人なのか?
そう一人で俺が考えているあいだも、『その女』は黙々と仕事をしている。
俺は意を決して、出入口に歩き出した。すなわち『その女』の近くに。。。
少しずつ近づいてくるが相手は一向にこちらを見る気配が無い。しかし、俺は『その女』から目を離さず歩いた。。
あっという間に何事もなく、俺は『その女』の背後まで到達した。
女は一生懸命ゴミの分別をしている。手にはゴム手袋をハメて大量のゴミを『燃える』『燃えない』『ペットボトル』に分けていた。
その姿を見て、俺は『やはり別人か。。』と思っていると、『その女』がバッ!っとこちらを見て

『大きくなったねぇ〜。』

と俺に話し掛けてきた。
俺は頭が真っ白になった。

【大きくなったねぇ?オオキクナッタネェ?】

この人は俺の過去を知ってる??
この人、誰?
この人、『中年女』?
こいつ、やっぱり『中年女!!』

その女は作業を中断し、ゴム手袋を外しながら俺に近寄ってくる。その表情はニコニコしていた。
俺はどんな表情をすればいい???
きっと、とてつもなく恐怖に引きつった顔をしていただろう。
女は俺の目前まで歩み寄って来て

『立派になって。。もう幾つになった?高校生か?』

と尋ねてきた。


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