2022年05月26日
危険な好奇心22
それから五年。。。
俺・慎・淳はそれぞれ違う高校に進んでいた。
俺達はすっかり会うことも無くなり、それぞれ別の人生を歩んでいた。
もちろん『中年女』事件は忘れることが出来ずにいたが『恐怖心』はかなり薄れていた。
おんな高一の冬休み、懐かしい奴『淳』から電話が掛かってきた。
『おう!久しぶり』
そんな挨拶も程ほどに、淳は
『実は単車で事故ってさぁ‥足と腰骨折って入院してんだ』
俺『え?!だっせーな!どこの病院よ?寂しいから見舞いに来いってか?』
淳『まぁ、それもあるんだけどさ。。。お前、【中年女】の事って覚えてる?事件の事じゃなくてさぁ。。顔、覚えてる?』
俺『、、、何で?何だよ急に!』
淳『。。。毎晩、面会が終わってから。。。変なババァが俺の事を覗きに来るんだよ。。ニヤつきながら。。』
淳の発した言葉を聞いたとたん『中年女』の顔を鮮明に思い出した。
始めて出会ったあの夜の『歯を食いしばった顔』
下校時で見た『狂ったような叫び声』
あれから忘れる努力をしていたが決して忘れることの出来ない『トラウマ』だった。
俺は淳に
『何言ってんだよ?!もう忘れろ!ほんっとオメーって気が小せぇーな?!』
と答えた。
自分自身にも言い聞かせるように。。
淳は『そーだよな。。。いや、こーゆーとこって妙に気が小さくなるもんだよ!』
俺は『そーゆーとこ、変わってねーな!』
と余裕を見せた。俺自身もあの日のまま成長していないが。
そして、入院している病院を聞き
『近いうちにエロ本持って見舞いに行くよ!』
と言い電話を切った。
電話を切った瞬間、何故か胸騒ぎがした。
『中年女』
淳の言葉が妙に気に掛かり出した。
電話を切った後、しばらく考えた。
まさか、今更『中年女』が現れるはずが無い。。。
それにあいつは捕まったはず。。。いや、釈放されたのか??
というか、今思えば俺達三人は『中年女』に何をしたわけでも無い。
ただ『中年女』の呪いの儀式を見てしまっただけなのに、こちらの払った代償はあまりにも大きい。
偶然、夜の山で出会い、いきなり襲われた。俺達は何一つ『中年女』から奪っていない。それどころか、傷付けてもいない。
『中年女』は俺達からハッピーとタッチを奪い、秘密基地を壊し、何より俺達三人に『恐怖』を植え付けた。
『中年女』がいくら執念深いといっても、さすがにもう俺達に関わってくるとは思えない。
こんなことを思うのも何だが、怨むなら『写真の少女』にベクトルが向くはず。
俺は強引に『俺自身』を納得させた。
2日後、俺はバイトを休み、本屋でエロ本を3冊買ってから淳の入院している病院に向かった。
久しぶりに淳に会うと『ドキドキ感』と淳が電話で言っていた事に対する『ドキドキ感』で、複雑な心境だった。病院に着いたのは昼過ぎだった。
淳の病室は三階。俺は淳のネームプレートを探し出した。
303号室・六人部屋に淳の名前があった。
一番奥、窓側に向かって左手に淳の姿が見えた。
『よう!淳、久しぶり』
『おう!まぢひさしぶりやなぁ!』
思ったよりも全然元気な淳を見て少し安心した。
約束のエロ本を渡すと淳は新しい玩具を与えられた子供の如く喜んだ。そして他愛も無い話を色々した。
淳といると小学校の頃に戻ったようでとても楽しかった。無邪気に笑えた。
あっという間に時間は経ち、面会終了時間が近づいて来た。
俺『んぢゃ、もうそろそろ帰…』
『実はさぁ、電話でも言ったんだけど』と淳が真顔で何かを言いかけた。
何かを‥いや、『中年女の事だろ?』と俺は言った。すると淳は
『気のせいだとはおもうんだけど…いつもこの時間に来るオバさんがいてささぁ、、何か、こう。。。引っ掛かるつーか。。』
俺は『だから、気のせいだって!ビクビクすんなよ!』と強気な発言をした。
すると淳は少しカチンと来たのか
『だから、勘違いかもしんねーつってんぢゃん!ビビりで悪かったな!』
空気が重くなった。
俺は空気を読み、淳に謝ろうとした。そのとき
『ガラガラガラ‥』
廊下に台車のタイヤ音が響いた。
淳が『来た…』とつぶやく。
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