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2022年05月24日

危険な好奇心20


壁に付いた蛙の染み、及びその死体の写真を取り、1時間程で警官達は帰って行った。
しばらくして父親が帰宅した。まだ5時前だった。昨日の今日だから心配になったのだろう。
夕食の準備をしている母も、夕刊を読んでいる父も無言だったが、どことなくソワソワしているのが解った。
もちろん俺自身にも次いつに『中年女』が来るのか不安で仕方なかった。
その日の晩飯は家族皆が無口で、只、テレビの音だけが部屋に響いていた。
そして夜11時過ぎ、皆で床に就いた。用心の為、一階の居間は電気を点けっぱなしにしておくことになった。
その夜も家族そろって同じ部屋で寝た。もちろんなかなか寝付けなかった。

どれぐらい時間が過ぎただろう。。。
突然玄関先で

『オラァー!!』

とドスの効いた男の声とともに

『ア゛ー!ア゛ー!』

と聞き覚えのある奇声『中年女』の叫び声が聞こえた。
俺達家族は皆飛び起き、父が慌てて玄関先に向かった。
俺は母にギュッと抱き締められ、二人して寝室にいた。

『カチャカチャ‥ガラガラガラガラ!』

父が玄関の鍵を開け、戸を開ける音がした。
戸を開ける音と共に、再び

『ア゛―!!チキショー!ア゛ァー!!ア゛ァァァァ!』

と再び『中年女』の叫びが聞こえて来た。

『大人しくしろ!』『オラ!暴れるな!』

と、男の声もした。
この時、俺は『警官だ!警官に捕まったんだ!』と事態を把握した。中年女は奇声を上げ続けていた。
俺はガタガタ震え、母の腕から抜けられなかったが、父親が戻って来て、

『犯人が捕まったんだ。お前が山で見た人かどうかを確認したいそうだが。。。大丈夫か?』

と、尋ねてきた。
もちろん大丈夫ではなかったが、これで本当に全てが終わる。終わらせることが出来る!と自分に言い聞かせ

『。。。うん。。』

と返事をし、階段をゆっくりと降り、玄関先に向かった。
玄関先から

『オマエーっ!チクショー!オマエまで私を苦しめるのかー!』

と凄い叫び声が聞こえ、足がすくんだが、父が俺の肩を抱き、二人の警官に取り押さえられていた『中年女』の前に俺は立った。
俺は最初、恐怖の余り、自分の足元しか見れなかったが、父に肩を軽く叩かれ、ゆっくりと視線を中年女に送った。
両肩を二人の警官に固められ、地面に顎を擦りつけながら『中年女』は俺を睨んでいた。
相当暴れたらしく、噛みは乱れ、目は血走り、野犬の様によだれを垂らしていた。

『オマエー!オマエー!どこまで私を苦しめるー!』

訳のわからない事を中年女は叫び、ジタバタしていた。
それを取り押さえていた警官が

『間違いない?山にいたのはコイツだね?』

と聞いてきた。
俺は中年女の迫力に押され、声を出すことが出来ず、無言で頷いた。
警官はすぐに手錠を嵌め

『貴様!放火未遂現行犯だ!』

と言った。
手錠をはめられた後もずっと奇声を発し暴れていたが、警官が二人掛かりでパトカーに連行した。そして一人だけ警官がこちらに戻って来て

『事情を説明します。』

と話し出した。


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