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2022年05月23日

危険な好奇心19


母親は何故か『中年女』の事を口にしてこなかった。俺への気配り?だと思い、俺も何も言わなかった。
昼飯を食べ、ふたたび自室に籠っていると、『ドスっ』と家の外壁に鈍い音が響いた。
俺はとっさに『慎だ!』と思った。あいつは俺を呼び出す時、玄関の呼鈴を鳴らさず、窓に小石を投げてくる事がしばしばあったからだ。俺は窓から外を眺めた。
家の前の路地のある電柱に慎がいるはず!と思ったが、慎の姿は無かった。
どこかに隠れているのかと思い、見える範囲で捜したが何処にもいない。
その時、俺の部屋の下にあたる庭先から『キャ!』と母親の声がした。
びっくりして窓を開け、身を乗り出し、下を見た。
そこには母親が地面を見つめながら口元に手を当てがい、何かを見て驚いていた。
俺は何が起こっているのか解らず

『どーしたの!』

と聞いた。
母は俺の声にギクッと反応し、こちらを見上げ、驚いた表情で無言のまま家の外壁を指さした。
俺は善からぬ感じを察したが、母の指差す方向を見た。
そこには何やらドロっとした紫色した液体とゼリー状の物が付いていた。先程の『どすっ』の音の正体だろう。
視線を母親の足元に落とし、その何かを捜した。
そこには内臓が飛び出した大きな牛蛙の死体が落ちていた。
母はしばらく呆然と立ち尽くしていた。
俺はすぐに『中年女』が頭に浮かんだ。すぐに目で『中年女』の姿を捜したが、何処にも姿は見えなかった。
母はふと思い出したように居間に駆け込み、警察に電話をした。
母は青い顔をしていた。恐らくこの時始めて『中年女』の異常性を知ったのだろう。

そうだ、あの女は異常なんだ。
きっと今も蛙を投げ込んできた後、俺や母の驚く姿を見てニヤついているはず。。
きっと近くから俺を見ているはず。。。
鳥肌が立った。
『警察早く来てくれ!』心の中で叫んだ。
もうこの家は『家』ではない。『中年女』からすれば『鳥籠』のように俺達の動きが丸見えなんだ。常に見られているんだと感じ出した。

しばらくしてパトカーがやってきた。昨日とは違う警官二人だった。
警官一人は外壁や投げ込んで来たであろう道路を何やら調べ、もう一人は俺と母に

『何か見なかったか?』
『その時の状況は?』

などなど、漠然とした不安を煽るような事を言って来た。

『たしか、昨日もいやがらせを受けてるんですよね?おそらく犯人はすぐにでも同じ事をしてくる可能性が高いです。』

と。
俺はたまらず

『あの呪いの女なんです!コートを着てる40歳ぐらいの女なんです!早く捕まえてください!』

と半泣きになって懇願した。すると警察官は

『さっきね、山を見てきたんだよ。。。犬の死体も板に彫られたお友達の名前も、あと女の子の写真もあったよ。今からそれを調べて必ず犯人捕まえるから!』

と言い、俺の肩をポンと叩くと、母の元へ行き、何やら話していた。
『主人に連絡を‥』みたいなことを言われていたようだ。


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