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2022年05月20日

危険な好奇心18


俺は部屋の電気を消したまま玄関に走り、母の顔を見た瞬間、安堵感からか、泣き出した。
母親はキョトンとしていたが、俺はしばらく泣き続けた後、

『ごめんなさい』

と冒頭に謝罪をし、『あの夜』の出来事から『さっき』の出来事まで説明した。
説明の途中、父親も帰宅し、父には母が説明した。
その後、父が無言で和室の窓硝子を見に行った。
窓硝子は鋭利な何かで凄い傷が付けられていた。
『鋭利な何か』が『五寸釘』だと直感でわかった。
両親は俺を叱らず、母親は俺を抱きしめてくれ、父は警察に電話をかけていた。

10分程してから警察が来た。
警察には父が事情を説明していた。
俺はしばらくの間、母親と居間にいたが、少ししてから警察が居間に来て『あの夜』の事を聞いてきた。
ハッピーとタッチの事、木に釘で刺された少女の写真の事、淳の名前が秘密基地に彫られていたこと…
その後、放課後に出会った事など、『中年女』に関わる全ての事を話した。そして『さっき』の出来事も。。。
鑑識らしき人も来ていて、俺が話している間に窓の指紋を採取していた。
俺が話した内容で警察がもっとも詳しく聞いてきたことが『少女の写真』の事だった。
『その少女』の容姿や面識の有無等聞かされたが、それについては『わからない。』と答えるしかなかった。
そして裏山の地図を書かされ、翌日、警察が調べに行くと言う事になり、自宅周辺の夜間パトロール強化を約束して警察官は帰っていった。
結局、指紋は出なかった。

しばらくして、慎・淳の親から電話がかかってきた。親同士で何やら話していたが『中年女』に関する話、というより、学校にどのように説明するかを話していたようだ。
その夜、俺は何年かぶりに両親と共に寝た。
恥ずかしさなど微塵も無く、純粋に『中年女』が怖く、なかなか寝付け無かった。

次の日の朝、母親に起こされた時にはすでに午前8時を回っていた。
『遅刻する!』と慌てると母が『今日は家で寝てなさい。』と言う。どうやら既に学校に事情を話したらしい。
父はすでに出社していたが、母はパートを休んでいた。
『おそらく、慎も淳も今日は学校を休んでいるだろう…』と思ったが、あえて電話はしなかった。
慎は恐らく、厳格な両親に怒られて、淳の両親は『不登校』になった淳の真実を知り、ショックを受けているだろうと思うと電話するのが怖かったから。
俺は自室に戻り、『中年女』が早く警察に捕まることだけを願っていた。
一時も早く追い詰められる『恐怖』から解放されたかった。


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