2022年05月19日
危険な好奇心17
誰かが窓の外から、窓に顔を付け、双眼鏡を覗くように両手の目を周辺に付け、室内を覗いている。
家の中は電気をつけていない為、外の方が明るく、こちらからはその姿が丸見えだった。
窓に『中年女』がヤモリの如く張り付いている。
俺は腰が抜けそうになった。
これは【動物の本能】なのだろうか?
肉食獣を見つけた草食動物のように、俺はとっさにしゃがみ込んだ。全身が無意識に震えていた。
『中年女』からこちらは見えているのか?
『中年女』はしばらく室内を覗き、そのままの体勢で、ゆっくりと窓の中心にまで移動して来た。
そして『キュルキュルキュル』と嫌な音が窓からしてきた。
『中年女』の右手が窓を擦っている。左手は依然、目元にあり、室内を覗きながら。。。
『キュルキュルキュル』
嫌な音は続く、俺の恐怖心はピークに達した。
何かわからないが、『中年女』の奇行に恐怖して、その恐怖のあまり、声を出す事すら出来なかった。
すると『中年女』はとっさに後ろを振り返り、凄い勢いで走り去って行った。
俺は何が起きたかわからず、身動きも出来ずに、ただ窓を見ていた。
すると、窓の向こうの道路に赤い光がチカチカしているのが見えた。
「警察が来たんだ!」
俺は状況が飲み込めた。
偶然通りかかったパトカーに気付き、『中年女』は逃げて行ったんだと。
しばらく俺はしゃがみ込んだまま震えていた。
『プルルルルル!』
その時、電話が突然鳴った。もう心臓が止まりかけた。
ディスプレイを見ると慎の自宅からの電話だった。俺は慌てて電話に出た。
慎『どう?』
俺『なんか部屋覗いとったけど、どっか行った。。。』
慎『そっか、親帰って来たんか?』
俺『いや、たまたまパトカーが通って、それにビビって中年女は逃げたんやと思う。』
慎『そーなんや!良かった。お前んちの近くに不審者がいるって通報しといてん。でも、あいつに家バレたんやったら、そろそろ親にも相談しなあかんかもな。。』
俺『…』
慎『俺も今日、親に言うから。。お前も言えよ!もうヤバいよ!』
俺『‥うん‥』
そして電話を切った。
その30分後、母親がパートから帰って来た。
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