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2022年05月04日

危険な好奇心6



しばらく三人ともタッチの死体を見て呆然としていたが、慎が小屋の中を指さし

『おい!!あれ…』

俺と淳は黙りながら静かに慎が指差す方向を覗き込んだ。

基地の中‥
壁や床板に兄か違和感が…何か文字が彫ってある‥
近づいてよーく見てみた。

『淳呪殺淳呪殺淳呪殺淳呪殺淳呪殺淳呪殺淳呪殺淳呪殺淳呪殺淳呪殺淳呪殺・・・』

無数に釘で淳・呪・殺と壁や床に彫ってあった。
淳は『え??‥』
と目が点、というか、固まっていた。いや、俺達も驚いた。なぜ名前がバレてるのか!
その時、慎が

『淳の巾着や、巾着に名前書いてあるやん!』
『?!』

俺は目線を屋根に打ち付けられた巾着に持って行った。
無数に釘で打ち付けられた巾着には確かに
【五年三組〇〇淳】
と書かれてある。
淳は泣きだした。
俺も慎も泣きそうだった。学年と組、名前が中年女にバレてしまったのだ。もう逃げられない。俺や慎の事もすぐにバレてしまう。
頭が真っ白になった。
俺達はみんなハッピーやタッチのように眉間に釘を打ち込まれ、殺される。。。
慎が言った。

『警察に言おう!もうダメだよ、逃げられないよ!』

俺はパニックになり

『警察なんかに言ったら、秘密基地の事とか昨日の夜、嘘付いてここに来た事がバレて親に怒られるやろ!』

と冷静さを欠いた事を言った。いや、当時は何よりも親に怒られるのが一番怖いと思っていたのもあるが。。。
ただ、淳はずっと泣いたまま

『ッヒック、ヒック‥』

何も掛ける言葉が見つからなかった。

淳は無言で打ち付けられた巾着を引きちぎり、ポケットにねじ込んだ。
俺達は会話がなくなり、とりあえず山を下りた。淳は泣いたままだった。
俺は今もどこからか中年女に見られている気がしてビクビクしていた。

山を下りると慎が

『もう、この山に来るのは辞めよ。しばらく近づかんといたら、あの中年女も俺らの事を忘れよるやろ。』

と言った。
俺は

『そやな、んで、この事は俺らだけの秘密にしよ!誰かに言ってるのがアイツにヴァレたら、俺ら殺されるかもしれん。』

慎はうなずいたが淳は相変わらず腕で涙を拭いながら泣いていた。
その日、各自家に帰り、その後、その夏休みは三人で会うことは無かった。


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