2022年05月02日
危険な好奇心4
俺は女から目が離せなかった。話した瞬間、金づちで殴られると思った。
そんな状況でも、いや、そんな状況だったからだろうか、女の顔はハッキリと覚えている。
年齢は40ぐらいだろうか、少し痩せた顔立ち、目を剥き、少し受け口気味に歯を食いしばり、小刻みに震えながら俺を見下す。
俺にとってはその状況が10分?20分?全く覚えていない。
女が俺の事を踏み付けながら、背を曲げ、顔を少しずつ近づけて来た。その時、タッチが女の背中に乗り掛かった。
女は一瞬焦り、俺を押さえていた足を踏み外し、よろめいた。そこにハッピーも走って来て、女にジャレついた。
恐らく、2匹は俺達が普段遊んでいるから人間に警戒心が無いのだろう。
俺はそのすきに慌てて起きて走り出した。
『早く!早く!』
と離れたところから慎と淳がこちらを懐中電灯で照らしていた。
俺は明かりに向かい走った。
『ドスっ』
後ろで鈍い音がした。俺には振り返る余裕も無く走り続けた。
慎と淳と俺は山を抜けた時には0時を回っていた。足音は聞こえなかったが、あの女が追い掛けてきそうで俺達は慎の家まで走って帰った。
慎の家に着き、俺は何故か笑いが込み上げて来た。極度の緊張から解き放たれたからだろうか?
しかし、淳は泣き出した。
俺は
『もう、あの秘密基地二度と行けんな。あの女が俺らを捜しているかもしれんし。』
と言うと
淳は泣きながら
『アホ!朝になって明るくなったら行かなアカンやろ!』
と言い出した。
俺がハァ?と思っていると、慎が俺に
『お前があの女から逃げれたん、ハッピーとタッチのおかげやぞ!お前があの女に後から殴られそうなとこ、ハッピーが飛びついて、代わりに殴られよったんや!』
すると淳も泣きながら
『あの女、タッチの事も、タッチも‥ウッ‥』
と号泣しだした。
後から慎に話を聞くと走り出した俺を後から殴ろうとしたとき、ハッピーが女に飛びつき、頭を金づちで殴られた。
女は尚も俺を追い掛けようとしたが、足元にタッチがジャレついてきて、タッチの頭を金づちで殴った。
そそて女は一度俺らの方を見たが、追い掛けてこず、ひたすら2匹を殴り続けていた。
俺達はひたすら逃げた。
慎も朝になれば山に入ろうといった。もちろん、俺も同意した。
しかし、そこには、さらなる恐怖が待っていた。
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