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2022年04月29日

危険な好奇心3



俺達はニヤニヤしながら近づいていった。頭の中で、その何者かにどんな悪戯をしてやろうかと考えていた。
その時

『コン!』

甲高い音が鳴り響いた。心臓が止まるかと。

『コン!』

また鳴った。一瞬何が起きたか解らず、淳と慎の方を振り返った。
すると淳が指をさし、
『アイツや!アイツ、なんかしとる!』と。
俺はその何者かの様子を見た。

『コン!コン!コン!』

何かを木に打ち付けていた。いや、手元が見えなかったが、それが【呪いの儀式】というのがすぐにわかった。
と言うのも、この山は昔から【藁人形】に纏わる話がある。あくまで都市伝説的な噂だと、その時までは思っていたが。

俺は恐くなり、『逃げよ。』と言ったが、慎が

『あれ、やっとるの女よ。よー見てみ。』

と小声で言い出し、淳が

『どんな顔か見たいやろ?もっと近くで見たいやろ?』

と悪ノリしだし、慎と淳はドンドンと先に進み出した。
俺はイヤだったが、ヘタレ扱いされるのも嫌なんで渋々二人の後を追った。

その女との距離が縮まるたびに『コン!コン!』以外に聞こえてくる音があった。
いや、音と言うか、女はお経?のような事を呟いていた。
少し迂回して、俺達はその女の斜め後方8メートル程の木の陰に身を隠した。
その女は肩に少し掛かるぐらいの髪の長さで、やせ型、足元に背負って来たリュックと電灯を置き、写真?のような物に次々と釘を打ち込んでいた。
すでに6〜7本打ち込まれていた。

その時

『ワン!』

俺達はドキッとして振り返った。そこにはハッピーとタッチが尻尾を振ってハアハアいいながら「なにしてるの?」と言わんような顔で居た。
次の瞬間、慎が

『わ゛ぁー!!』

と変な大声を出しながら走り出した。
振り返ると、鬼の形相をした女が片手に金づちを持ち『ア゛ーッ!!』みたいな奇声を上げ、こちらに走って来た。

俺と淳もすぐさま立ち上がり慎の後を追い走った。
が、俺の左肩を鷲づかみされ、すごい力で後ろに引っ張られ、俺は転んだ。
仰向きに転がった俺の胸に『ドスっ』と衝撃が走り、俺はゲロを吐きかけた。
何が起きたか一瞬解らなかったが、転んだ俺の胸に女が足で踏み付け、俺は下から女を見上げる形になっていた。
女は歯を食いしばり、見せ付けるように歯軋りをしながら『ンッ〜ッ』と何とも形容しがたい声を出しながら、俺の胸を踏んでいる足を左右にグリグリと動かした。
痛みは無かった。もう恐怖で痛みは感じなかった。女は小刻みに震えているのが解った。恐らく興奮の絶頂なんだろう。


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