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2022年04月28日

危険な好奇心2


明日の朝までどう乗り切るか、俺達は話し合った。
結果、小屋の中は蒸し暑く、周囲の状況も見えない(熊の接近等)為、山を下りる事になった。
もう内心、一時も早く家に帰りたい!と俺は思っていた。

懐中電灯の明かりを頼りに足元を照らし、少し早歩きで俺達は下山し始めた。
5分ほどはハッピーとタッチが俺達の周りを走り回っていたので心強かったが、少しすると2匹は小屋の方に戻っていった。

普段、何度も通っている道でも夜は全く別の空間にいるみたいだ。
幅30センチ程度の獣道に足を滑らさぬよう、皆無言で黙々と歩いていた。

そのとき、慎が俺の肩を後ろから掴み『誰かいるぞ!』と小さな声で言ってきた。
俺達は瞬間的にその場に伏せ、電灯を消した。
耳を澄ますと確かに足音が聞こえる。

『ザッ、ザッ』

二本足で茂みを進む音。その音の方を目を凝らして、その何者かを捜した。
俺達から2、30メートル程離れた所の茂みに、その何者かは居た。
懐中電灯片手に、もう一方の手には長い棒のようなものを持ち、その棒でしげみを掻き分け、山を登っているようだった。
俺たちは始め恐怖したが、その何かが『人間』であること。また相手が『一人』であることから、それまでの恐怖心はなくなり、俺たちの心は幼い『好奇心』で満たされていた。

俺が『あいつ、何者だろ?備考する?』と呟くと、二人は『もちろん』と言わんばかりの笑顔を見せた。

微かに見える何者かの懐中電灯の明かりと草を掻き分ける音を頼りに、俺達は慎重に慎重に後を着けだした。
その何者かは、その後20分程、山を登り続けて立ち止まった。
俺達はその後方30メートル程の所に居たので、そいつの性別はもちろん、様子等は全くわからない。かすかな人影を捕らえる程度。
ソイツは立ち止まってから背中に背負っていた荷物を降ろし、何かゴソゴソしていた。

『アイツ一人で何してるんだろ?クワガタでも捕りに来たんかなぁ』

と俺は言った。

『もっと近づこうぜ!』

と慎が言う。
俺達は枯れ葉や枝を踏まぬよう、摺り足で、身を屈ませながら、ゆーっくりと近づいた。


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