2020年04月30日
インドの大英雄・カルナ(FGO)とは
『カルナ』とはFateシリーズに登場する
何かと幸薄かつ不幸がちなランサーであるが、礼呪を以て自害を命じられたディムルッドやクー・フーリン、そうしてヴラド三世とは異なり充実した最後を迎えたサーヴァント……かもしれない。ちなみに本人の性格も合わさって、ほぼ死亡し易い聖杯戦争において、マスターの生存率はほぼ100%であるが、難ありつつも基本的にぐう聖であり、その生き様に思わず「さん」を付けずにはいられない存在である。
【伝承上のカルナさん】
カルナさんは神話的な要素を含んだ世界三大叙事詩の一つであるマハーバーラタに登場する、アルジュナ(主役)のライバルであり、立ち位置的には悪役。
マハーバーラタの分量は聖書よりも遥かに長く、読破するのにかなりの時間を要する。内容は曼陀羅式に似たような要点を踏まえた内容が続き、他の者が他者の物語や経験を教訓として諭す場面が多い。
カルナさんのマハーバーラタの一生を簡潔に纏めるならば、誤解や呪いに満ちた『不幸』の一言に尽きる。
まず生い立ちからして不憫なものであり、好奇心でインドの太陽神であるスーリヤを呼び出した母親に、Fate内におけるあらゆる伝説の武器の原点を貯蔵しているギルガメッシュの宝物庫にない光で出来た鎧を身に纏うも、生まれた直後、箱の中に入れられ川に流された挙句、本来の身分階級において王族であるにも関わらず、下層階級として貧しい暮らしを余儀なくされる。
光で構築された鎧には何物の攻撃を弾き飛ばす力があり、この武具を身に纏っている限りカルナさんはほぼ不死身であるが、アポクリファでヴラド三世が『杭を刺す概念』によって身体の内側から刺殺されるも、持ち前のタフさで耐えるなどの根性がある。Fateのカルナさんは意思の力のみで、既に死亡している状態にも関わらず、マスターを生存させるためならば、意地で生き長らえ主命を全うするなど、規格外のド根性を持っている。
カルナさんは御者の義理の親子に育てられるも、ある日、王族のみ参加できる弓の競技会に参加し、優れた弓の腕前を披露する。その武勇を賞賛され、身分を問われたところ御者の息子であるなど言えず返答に窮していたところ、カウラヴァ百兄弟の長兄であるドゥルヨーダナに見込まれたのか「強さに出自など関係ない」と、ぽんと一国を貸し与え、アンガ国の王とさせるも、義理の父親がカルナさんを讃えた為、出自が露見してしまう。
カルナさんは「王族に挑むものは同等の階級、もしくはそれ以上」というカースト制度による身分違いだと嘲笑されてしまうが、カルナさんはドゥルヨーダナに感謝の意を示し、永遠の友情を約束するのであった。
ちなみにドゥルヨーダナとは、何かとパーンダヴァ兄弟(アルジュナ側)と比較され、不吉だの冷遇されていた存在であり、双方には根強い確執さが拭えない関係であった。ドゥルヨーダナとしては、力強い戦力としてカルナさんを招き入れたのかもしれないが、クルクシェートラ戦争開始から二十日経たずして死亡したカルナさんの死を非常に嘆いたことから、当初は戦略的な意味合いもあったかもしれないが、本当の友情を築いていた可能性がある。
カルナさんと、パーンダヴァ(アルジュナ)との因縁はそれだけに終わらず、ドルパタ国の姫を夫に決める弓の競技会において、アルジュナにしか引けないだろうと言われた強弓を放つも、姫は身分違いを理由にカルナさんを花婿として迎え入れることを拒否。
その直後、アルジュナが現れ強弓を放ち、ドルパタ国の姫は正式にパーンダヴァの人間になるのであった。ちなみにアルジュナは姫(戦利品)をカルナの実母にどうすべきか相談したところ、忙しかった母は「兄弟仲良く分け合いなさい」と答え、兄弟全員の妻となってしまう(アルジュナとしては、兄弟同士の争いをなくすため、分け合った可能性がある)。その事実を踏まえて後のサイコロの博打においてドルパタ国の姫をカルナさんは罵り、呪いを受けることになってしまう。
カルナさんの不幸はそれだけで終わらず、アルジュナと共に師として仰いでいた人物から秘儀を授かることなく、業を煮やしたカルナさんは他の人物の元へ秘儀を授かるも、昼寝中、師を起こすまいと蛇に咬まれながら苦痛の声を一切出すことのなかった献身を顧みてもらえず、肝心な時に秘儀を忘れてしまうという呪いを受けてしまうことになった(その他にバラモンの飼牛を誤射で殺し、戦車が動かなくなる呪いも)。
賭博の賭けで勝利したドゥルヨーダナであるが、禍根が深いのか、森の中でみすぼらしい生活を送る羽目になったパーンダヴァ兄弟に追い打ちをかけるべく襲いかかるが、偶然不幸にも居合わせたガンダルヴァ族に壊滅の危機に陥られるならまだしも、パーンダヴァ兄弟に助けられてしまうという失態を犯す。
後述になったが、賭博の件で国から離れ森の中で暮らすことを約束されたパーンダヴァ兄弟であるが、賭けの内容が「森の中で十二年」、最後の一年は匿名として過ごす事をアルジュナが「女装」という形で乗り切っている。
クルクシェートラの戦いの前、カルナさんは日課である沐浴を行っていた。この沐浴にはカルナさんなりの流儀があり、沐浴後、バラモンの願いを断らないというものである。
弱味に付け込む形で、息子を大戦争に勝利させるためアルジュナの実父であるインドラがバラモンに化けて現れ、不死身の呪いを寄越すよう要求する。カルナさんは「黄金の鎧は皮膚と一体化しており脱ぐことは出来ない、別の要求にしてくれ」と頼むも、バラモンに扮したインドラは意見を変えることはなかった。
押し問答の中、カルナさんはバラモンの正体を見破り、ナイフで黄金の鎧を自らの肉体と切り離して渡した。全身の皮を剥がす苦痛だけでなく、相手の正体(インドラであり、アルジュナを勝利させるためアルジュナとその親友であるクリシュナでは勝利できないことに姦計を働いた)ことを承知の上で、微笑みながら不死身を手放したカルナさんに、インドラはその高潔さに恥じ入り、黄金の鎧の代わりに一度だけ相手を必ず殺せる槍を授かることになる。
不死とさえ言われる鎧と、一度だけ必ず殺せる鎧のその比較は到底、釣り合うものではないのは自明の理である。ちなみにスーリヤの最後はカルナの末期に酷似しており、そのことも関係して必殺の槍を渡したのかもしれない……。
カルナさんの制約はそれだけに留まらず、大戦直後にカルナさんの実母とアルジュナの親友・クリシュナが現れ、「パーンダヴァ側の人間だから、こちらの陣営に入って欲しい」と願われるも、カルナさんは以前よりドゥルヨーダナと交わした約束である「永遠の友情」のため、拒否。更に言えば「私は母に捨てられ、本来得られるべきであった名誉を貴女(母)の身勝手な行いで得られなかった」と非難している。
しかし、母親を慮ってか、それともアルジュナ以外のパーンダヴァ兄弟に興味がなかったのか不明だが、「アルジュナ以外の兄弟は殺さない」と母親に約束する。実際その契りは非常に忠実なものであり、パーンダヴァ兄弟を確実に殺される場面であったにも関わらずアルジュナ以外の兄弟を意図的に見逃した。
カルナさんの大決戦中の最後は、戦意を殺ぐ御者の言葉だけに留まらず、前以て受けていた呪いが悉く発動するというものであった。必殺の槍はすでに大戦前に使用しており、弓術におけるマントラを使用しようにも二番目の師による忘却と、バラモンの飼牛を殺してしまったことによる車輪の陥没。
戦争には身動きの取れなくなった相手には攻撃してはならないという一定のルールがあったが、ドゥルヨーダナ側の違反行為、クリシュナの唆しがあったにせよ、戦う術のなくなったカルナさんをアルジュナが弓で首を切り落とすという最後を迎え、カルナさんは死後、スーリヤに迎え入れられ太陽神と一体化し昇天したと言われている。
ちなみにカルナさんには息子がおり、その聖人っぷりはもしかすると父親以上かもしれないと思われるほどのものである。そして、何かとアルジュナと競い合っているが、年齢差は18歳ほどである。
カルナさんはインド内においては絶大な知名度を誇っており、悲劇的な人生であるがゆえかその人気は非常に高く、マハーバーラタ自体が国民的に愛されているほどである。日本でいうところの牛若丸と似たようなものだろうか?
インドの大英雄・カルナ(FGO)とはその2へ続く
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下層の人間に拾われたのですが、
どうやって教養を身に着けたのか
気になります。当時の馭者は無学だったのでしょうか?