2020年04月06日
度し難い魅力、ボンドルド卿について
ボンドルド卿とは
ボンドルドとは、つくしあきひとによる漫画及びアニメ、劇場版『深き魂の黎明』に登場する、探窟家兼研究者である。特徴的なスーツと紫色のフルフェイスマスクを着用している。
口癖は「おやおやおやおや」、「素晴らしい」。
ボンドルドの性格は紳士的で温厚、非常にポジティヴであり、孤児を引き取る慈善家。前人未踏のアビス内部にて驚異的なスピードで開拓し、アビス外の人に害をなす虫の被害を未然に防ぐなど、偉人でもある。未解明であるアビスの最高位の探窟家の証である白笛を所持しており、笛のデザインは恋人繋ぎ、もしくは両手を祈ったような形をしているが、アビス第一階層で頻繁に発見される祈りのポーズをした数千年前の大量の骸骨と関係があるのか不明。
血は薄いが愛娘であるプルシェカいわく「最高のパパ」であり、ここまでの説明を聞いた限りでは非常にできた人格者のようである。
見た目のデザイン・声の良さと上記で説明した性格ゆえ、読者から大変親しまれているキャラクターである。
その証拠としてボンドルドには様々な綽名が付けられており、
- 汚いアヴィケブロン/汚いコーヒー豆
- 子供達の愛を背負って戦う男
- 倫理感ゆるキャラ
- ワクワクさんオルタ
- 憧れが止まらないやべー奴/黎明のやべー奴/エレベータのやべー奴
- アビスでさえ目を逸らした男
- 一人ダークソール
- 人権すり抜けバグ
- わくわくは止まらないがお前は止まれ
などが、挙げられる。
綽名の時点で十分に察したと思われるが、引き取った孤児を「あれは人間としての運用は考えておりませんので」と発言し、ナナチの親友であるミーティを慣れ果てにした本人であり、上昇負荷(降りる際は問題ないが上がる際は人間性を消失するアビス特有の呪いであり祝福)の実験で、幾多の子供達を犠牲にした人物である。
だが、本人には悪意はなく本物の愛情を以て接しており100パーセントの善意で慣れ果てになった犠牲者たる子供達に逐一お礼を述べるだけでなく、一人ひとりの名前と将来の夢さえも覚えている度し難い存在である。
なお、孤児をアビスのイドフロント(人が生きて戻ってこられる限界地)に誘う際、一応ではあるものの、謎の多いアビスの実験に「勇気ある若者」として実験に参加の有無について、選択肢は与えている。だが、ボンドルドの誘いは貧困層の子供達にその悪辣な状況から逃れると希望を煽り、騙しているといっても過言ではない。
そして非人道的な実験を受ける間際になって、慣れ果てになる上昇負荷の説明をするなど、筋金入りのロクデナシを超えた、偽りなき善意で人をためらいなく消費できる名誉終身ド畜生である。
……一応、名誉にならないだろうがボンドルドについて断っておくならば、そもそもメイドインアビスにおいて、まともな人物はほとんど存在しない。
主人公のリコにしてもナナチを取り戻すため対価(肉体の一部)を要求された際、身の危険ではなく、今後アビス深層を旅する過程において、どの部位を差し出したらいいのかを即座に考えるだけでなく、ボンドルドに「アビスにワクワクするその気持ちはわかるよ」と共感を示すなど、どう考えても普通ではない上、ボンドルドに「あなたは存外こちら側かもしれませんね」と、リコを評価すると同時に自分の異常性を自覚しているような節さえある。
その他に、レグの砲火により消えたミーティを完全復元させ、不死になった身体を良いことに、永久機関の食糧として彼女をチュルチュルしているベラフや、生き残るための最善策を選んだがゆえ、人として最悪な結末に至った元凶であるワズキャンなど、度し難い存在は多数。
さて、メイドインアビス劇場版『深き魂の黎明』でのボンドルド卿の活躍を説明していくと、冒頭から祈手(アンビバレンス)と呼ばれる、アビスの遺物である「精神隷属機(ゾアホリック)」によってボンドルドの洗脳された存在にアビス四層の花園で出会う。どこから隷属体を調達しているのか不明だが、ボンドルドは地上では指名手配犯扱いであり、彼を殺害しに来た人物ではないかと推測される。祈手の正確な数は不明だが、ナナチが手下を「事実上、殺すのは不可能」と述べていることから、相当なストックがある模様。
非常に綺麗な花園だが、そこから聞こえてくるのは、
「フフ……」「だれ?」「フフ……」
といった不気味でか細い声。
声の正体は、ほとんどミイラのようになったクオンガタリの苗床にされた冒険者が出しているものである。ちなみにクオンガタリとは植物の葉に擬態した虫であり、苗床になった人間を可能な限り生かすために、成虫が口内から侵入し、栄養源として苗床の胃を満たす。
祈手はレグにクオンガタリのレクチャーを親切に行った後、花園に大量発生している虫を火炎放射器で徹底的に駆除した。
その後、レグ一行はアビス深層を突き進み、イドフロントに到達。事前から、リコたちが来ることを事前に知っていたボンドルドは、娘であるプルシェカに部屋に案内をするよう指示を出している。
ボンドルドのやべーところを知っているナナチ(ミーティの慣れ果て後、恐怖心ゆえ手伝っていた)としては、基地内に入るどころか近寄ることすらしたくないだろうが、イドフロントには第七層に移動するための装置があり、アビスの最下層に到達するには避けて通れない道だったのである。
それから客人を歓迎するボンドルドはプルシェカに世話を一任。
客間でリコが目を覚ますのだが、室内には誰もおらず二人を探すことになる。
ナナチはボンドルドのところへ行き、家族への愛を説く彼に皮肉を述べた後、宝物であるミーティを亡くしたゆえの自暴自棄か「リコとレグに手を出さないのなら仕事を手伝っても良い」と交渉を提案するも、既に手遅れで、レグの方は祈手たちによってロボットであるレグの肉体がどうなっているのか、ワクワクした好奇心のため解剖されていた。
レグは腕一本失ったところで、プルシェカと共に助けに入ったリコと共に間一髪で助かり、イドフロントから逃亡することになる。プルシェカいわく「あいつらはおかしい。いつもはこんなことしない」と言い、別れの言葉を残して、リコ一行に舟を貸し与えて逃亡の手助けをした。
その後、プルシェカは「どうして友達にこんなことをするのか」と尋ね、ボンボルドは「あなたはもうすぐ一人前のレディなのですから、自分で判断してください」と言い、プルシェカと共にイドフロントから逃亡したリコ一行を追いかける。
ボンドルドが現れる前、ナナチがすでに視界が読まれていること(音声のない視界ジャック)を察知し対策を講じて、アビス内部で特に危険な原生生物により複数の祈手と共に現れたボンドルドの手下を殺害することに成功。
しかしボンドルド自身は祈手同様パワードスーツを着用しているが、脅威の身体能力を見せ原生生物を一人で撃退するも、レグによって圧死され、さすがはヒトの姿をした何かが人間の真似をしているだけあって、「素晴らしい…素晴らしい…」と、感激に打ち震えながら、三人の連携プレイを心から賞賛している。
やがて感激しながら絶命したボンドルドであるが、陰ながら激闘を見守っていたプルシェルカは彼の亡骸に近寄り、「どこにも行かないで」と父親の死を嘆き悲しむ彼女の目の前に、新たな祈手が出現。
死体の頭部……というか、首ごと仮面をもぎ取り、フルフェイスの中身を捨てて装着。
そして、
「どこにも行ったりなんかしません。あなたの愛があれば、私は不滅です」
と言い、生前(?)と寸分違わぬ姿で復活。
お前は何なんだと憤る度し難い存在に、「そういえば名乗っていませんでしたね」と言い、ボンドルドはここではじめて自己紹介をし、
「祈手は全て私ですよ」
と、ゾアホリックの洗脳を受けた人物がいる限り、彼自身は事実上、死ぬことがないと宣言しながら、眠ったプルシェカを連れてイドフロントに帰還。
その後、ボンドルドはプルシェカの身体に赤いマーキングを付けながら、
「パパ、あたし……夜明けがみたい」
「ええ、共に夜明けをみましょう」
(破棄 破棄)
「一緒がいい…一緒に冒険したい」
(破棄 破棄)
「ええ、いつまでも一緒ですよ」
と、不穏どころか嫌な予感しかしない会話をしながら話は進み、復活したリコ一行はゾアホリックの大元になっているアビスの遺物を破壊するため、イドフロントに侵入。
リコとナナチは一緒に行動するものの、レグは基地内の電源を落とす(ゾアホリックの影響低下)するため単独行動を開始。その際、電源を落とす前に祈手の一員と遭遇するのだが、ゾアホリックの影響が弱かったのか、ボンドルドに徹底的に使い潰されたのか不明だが、糞便を垂れ流しながら点滴による栄養のみで同じ単調作業を繰り返す、言葉さえも失った廃人当然の人間と遭遇。
性能の悪い祈手であるが、プルシェカにより偽でお手製の作り物でありながらも、感謝の言葉が記された黒笛が各自の首に捧げられている。プルシェカいわく「単調な作業を繰り返すのも大変だものね」とのことだが、脳みそがむき出しになって、誰から見ても正気を失っている人間にそれだけの言葉で済ませるとは、う〜ん、やはり度し難い。
レグは黒笛に書かれたメッセージをどう思ったのかわからないが、火葬砲を用いてイドフロントの施設の電力をダウンさせることに成功したものの、「自分は誰だっけ」と記憶喪失状態になって、暴走することになった。
変わって、リコとナナチの二人はとある部屋に入ることになる。
そこはナナチ曰く「解体場」であるらしく、人間が生存するにあたって手足をはじめとした器官を、麻酔をかけず生きたままバラバラにした後、皮袋に詰め、カートリッジと呼ばれる箱型の入れ物に詰め込むのであった。
ナナチはここでミーティと共にイドフロントを出る前まで、何人もの子供達を箱詰めにする作業を手伝っている。このカートリッジはナナチとミーティがまだ人間だった頃、第六層より下層に落とされ、つり上げられるのだが、その際、当然のことながら上昇負荷がかかる。ボンドルドとしては、アビスの呪いと祝福である上昇負荷を他人に肩代わりさせることが目的で、何も無暗に子供達を慣れ果てにしていたわけではない。
繰り返される地獄のような実験の中で、唯一の成功例(通常上昇負荷で人間性を失うのにナナチは知性と人型を。ミーティは呪いのような祝福である不死を会得)し、ボンドルドの中で両者は特別な存在になった。
ナナチからカートリッジの説明を受ける中、ボンドルドが現れ、リコは「プルシェカを解放しろ」と言ったところ、「プルシェカは今眠りについています。直に開放しますよ」と答えたところに、暴走したレグが登場。
砲撃によりイドフロントには大規模な大穴が生じ施設が半壊するのだが、その真の実力を見たいボンドルドとしてはその穴の中にレグと共に落ちることになる。
地底に落ちたレグであるが、穴の底にいるのは実験により大量消費された慣れ果てとなった子供達の吹き溜まりだった。ボンドルドは驚愕するレグに対して、一人ひとりの慣れ果てには名前があるんですよと言い、それぞれ軽く自己紹介している。
あまりの度し難さに激高しながら激戦する両者であるが、ボンドルドはカードリッジを限界まで背負った状態であり、膝やら顔の縦線やらビームを出すものの、ロボットであるレグには上昇負荷がかからないため、事実上、ボンドルドから逃げ切れれば勝ちであり、逃亡に徹することになる。
レグを追いかけるためナナチのようなふさふさとした白い体毛が出現するだけではなく、第六層に戻る頃には、激闘で破損した仮面の中から見える目からは複数の眼球を有した異形じみたものであった。
この時、あますことなく消費した四つのカートリッジがボンドルドの背中から排出されるのだが、
「ターキリ、トレイテア、ノベロ…」
「ああ、本当に素晴らしい冒険でしたね、プルシェカ」
と言い、リコが懇願していたプルシェカを解放するだけでなく、彼女の「パパと一緒に冒険がしたい」といった望みを、全く望まない形で叶えている。
激高するレグを不思議そうな態度で対応するボンドルドに、暗所に隠れていたリコが不意打ちによる切り落とされた火葬砲により、木っ端微塵にされ遂には敗北した。
リコはその後、プルシェカの入ったカードリッジを抱きかかえ、「プルシェカが溢れちゃう」と号泣しながら、中身を抑えていたが、内臓に入り混じったモノに混入していた白笛の材料、『命を輝く石』が出現。
実は白笛は人間を材料に造られており、ボンドルドの場合、更に度し難いのは「持ち主が点々とするゾアホリックの精神的影響を受けながら(でも本人の精神性はヒトじゃない何かなのでリスクがリスクになっていない)、自分自身に望みを託すカタチで両手を合わせた祈りのポーズをしたような白笛を造っていたのである」。
要は、ボンドルドは白笛を所持している時点で本体の方は死亡しており、ゾアホリックの影響を受けた人物に対して、「死ね。いやもう死んでいたわ」などの罵倒はほとんど意味のない、どこぞの鬼舞辻無残のような末路を辿っていたのである。
そして二度目の死に際でも、恨み言を述べることなく勇気ある若者へ向けて賞賛の言葉を向けながら、「素晴らしい素晴らしい」と感激。ナナチに「どうか君たちの旅路に溢れんばかりの呪いと祝福を…」と言い、息絶えた。
その後、第七層へ向かうリコ一行に先輩として見送る形で、ボンドルドは祈手と共に最後に出現。
恩師のように後輩を見守りながら、見送ったのである。
原作はこちらから https://webcomicgamma.takeshobo.co.jp/manga/madeinabyss/
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