【中古】 プルシアンブルーの肖像 オリジナル・サウンドトラック/安全地帯 価格:1331円 |
『プルシアンブルーの肖像』四曲目、「時計塔のテーマ」です。安全地帯のプロデューサーである星勝さんの曲ですね。
もともと星さんは、編曲を担当することになったら、すべての音を書き込まないと気が済まない性格の人のようです。ほとんど星さんの作曲といったほうがいいんじゃないかというくらいの曲でさえ、クレジットは「編曲」であるようで、なんだかソンしているような気がしなくもありません。でも「編曲」というクレジットが存在するからにはそれくらいして当たり前だよね〜というアレンジャーやプロデューサーの誇りみたいなものが感じられて、わたくしはそんな星さんに憧れる次第であります。小椋さんとか来生さんとかの曲を聴いていても、ああ、これ星さんの編曲だなってわかるじゃないですか。そこがたまらないですね。
さて、肝心の曲のほうですが、
これは、怖い曲です。時計塔が因縁の場所なのですから、怖い曲になるのは当たり前なんですけども、それにしてもかなり怖いです。
冒頭、メインテーマ……といってもいでしょう、のフレーズが、ボワボワした音色で奏でられ、その後ストリングス系の音色に引き継がれるのですが、ずっと「キュイイイイ…キュイイイイ…」という冷たい風のような音と、水が流れるような音が背景に流れているのです。なんで時計塔に水が流れているんだよ!と突っ込みたくなるんですが、それはアレです、「激しい雨」(「プルシアンブルーの肖像」より)が降っているわけですから。映画本編では、「激しい雨」では説明がつかないくらいの量で水が使われているのですが、あの時計塔にはかなりの量の水が備蓄されており、さまざまな用途(おもに怪奇現象演出)に用いられていたと考えるべきでしょう。あ、ふざけているんじゃないんですよ。ほんとうに怪奇現象を演出していたのです。詳しくはノベライズ本で。
そして「ジャン!ジャジャジャジャン!」とかなり強い音で驚かす箇所があります。これは、だいぶ昔のMIDIシーケンサーの知識になりますが「オーケストラ・ヒット」という音色でしょうね。わたくしがMIDIをいじくり回していたのは90年代以降ですが、すでに小さなシーケンサーにもこの音色は存在していたので、おそらく80年代にもあったのでしょう。TMネットワークとかで小室さんもこういう音を出していましたね。そうした最新鋭の機材を、川島さんはいち早く使いこなしていた、ということなのでしょう。川島さんや小室さんがこういうふうに使っていてくれなければ、90年代にわたくしがこういう音を使おうという発想を持てたはずがないのです。安全地帯の「最新鋭」(玉置さん談)は、こういう箇所にわざとらしくなく、違和感なく使われているので、安全地帯の音ってナウいね〜!とかいう人は私の周囲では皆無でしたが、実は最もナウい(そろそろ体がかゆくなってきました)音だったのです。
さて、時計塔が鳴るかのような激しくも短いピアノによるリード部を終えた後、また冒頭のメインテーマに戻ります。こういうところ、なんとなく歌謡曲やロックの感じで、星さんのこだわりが感じられるようでうれしいすよね。そして、風の音、水が流れる音を残して、時計塔が遠ざかるカメラワークのようなイメージで、曲は終わります。
怖い場所のテーマなのだから、怖い曲にするのは当たり前です。星さんは見事に怖い曲をお作りになったわけです。安全地帯のアルバム、という位置づけでなかったからこそ、遊び的な感覚で星さんの曲でも入れてみようかということになった……?うーん、そういう側面もあるのかもしれませんね。でも、わたくしには安全地帯が星さんを頼った、もしくは星さんを中心とした作曲チームだと自分たちを見なしていた、だから、星さんにお願いした、とみるほうが自然であるように思われます。矢萩さんが一曲で、六土さんが一曲で(これはかなり珍しいことです。当時は、矢萩さんによる「一秒一夜」以外は、すべて玉置さんの作曲だったからです)、じゃあもう一曲だね、豊も一曲書く?いやーちょっと忙しいかな〜じゃあ、星さん書いてよ!ええー僕かい?うん、それもいいかもね、いいよー!とか、そんな感じで決まったのではないでしょうか。あ、いつもの妄想で恐縮ですが(笑)。
ともあれ、この「時計塔のテーマ」は、星さんの作曲クレジットが記されているとても珍しい曲(安全地帯では唯一ですね)とあいなったわけです。うーん、なんて違和感がないんだ。安全地帯とほぼ一体化したかのような曲です。さすがです。というよりも、普段から安全地帯の曲にどれだけ星さんが貢献しているのかがわかるかのような、凄まじいアレンジャー魂、プロデューサー魂を感じることのできる曲といえるでしょう。
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