2017年01月20日
屋根が落ちる(正月十七日)
今年の冬は雪が多い。オロモウツでも街中はすぐに除雪されて、雪が残っているところは少ないが、旧市街を取り囲むように置かれている公園の木々の間の芝生は完全に雪の覆われている。一番ひどいのは、北ボヘミアのヤブロネツとその周辺らしく、市内でも一メートル以上の雪が降り積もり、歩道の除雪が間に合わず、雪の幾分か少ない車道をふらふらと歩く人が続出して、危険な常態になっているらしい。最悪の冬を思い出させる光景である。
その最悪の冬を思い起こさせる事件が、チェスカー・トシェボバーでも起こった。この町はプラハから出た幹線が、オロモウツ方面とブルノ方面に分かれる鉄道交通の要衝で、それほど大きな町ではないはずだが、駅の施設としてはプシェロフとならぶぐらいじゃなかろうか。駅舎を建て替えるかどうかで議論が巻き起こって、結局建て替えはしないことになったのもここだったかな。
この町の体育館の屋根が降り積もった雪の重さに耐えられず崩落してしまったのだ。事件が起こったのが、一月十四日のことで、ちょうど子供たちのフロアボールの大会が行なわれているところだったらしい。内部にいた八十人ほどの人は、天井からポリエステルの小さなかけらが降ってきて、変な音がするのが聞こえてきたことで、異変に気づきすぐに体育館を出てけが人も出なかったという。こういう事態を想定したマニュアルどおりに脱出したのがよかったというニュースも見た。
原因はもちろん屋根に積もった雪だけれども、同じように、いやチェスカー・トシェボバー以上に雪の降り積もったヤブロネツや、リベレツでは同様の事件が起こっていないこともあって、体育館に構造上の欠陥があったのではないかと言われている。天井を支えていた木製の梁が想定されていた重量を支えきれずに折れてしまったようだという話も聞いた。その木製の建材を納入した会社に取材をしても何の返事もなかったらしい。
いずれにしても、欠陥建築だったということで、施工主のパルドビツェ地方政府は、業者に対して補償を求めることにしたようである。一方でフロアボールの大会に出場していた子供たちの親たちも裁判に訴えることを検討しているという。アメリカの影響で、チェコでも何でもかんでも裁判だという風潮が多少あって裁判が急増している。その結果裁判官の数が足りず裁判が長引く原因となっている。延々と裁判引き伸ばし続ける奴もいるし。
それはともかく、体育館はすでに使用開始されていたけれども、建築がすんで引き渡されたばかりで、十五日に開館式が行なわれる予定だったらしい。その前夜に屋根が落ちるというのは、タイミングがいいのか、悪いのか。もちろん開館式のイベントは中止である。
十年ほど前の最悪の冬にも、同じような事件が、何件か起こった。一番印象に残っているのは、うちの近くにもある多分ドイツ系のディスカウントスーパーであるリードルの店舗の屋根の崩壊が相次いだことだ。このスーパーの店舗は、規模の大小はあるようだが、基本的に建物の形が完全に規格化されているようなので、どこかで問題が起これば、よそでも問題が起こるのはある意味当然だったのだろう。
幸いにして平地にあるオロモウツでは、どの店舗も無事だったけれども、チェコ国内で三件だったか、四件だったか、連続して天井の崩落が起こって、雪が多かったとはいえ、他のスーパーでは、同様の事態が起こっていなかったこともあって、大きな問題となっていた。ただ、崩壊は全部営業時間外で、人の被害はなかったんじゃなかったかな。
その時に、徹底的な建物の検査、改修を行なったおかげか、リードルでは今年は天井の崩落事件は起こっていない。それでも、どこかで天井が落ちたという話を聞くと、あの冬のことを思い出して、だたでさえ寒さで憂鬱なのに、さらに憂鬱になってしまうのである。
1月19日18時。
チェスカー・トシェボバーの町の紋章には、奇妙な人頭の鶏が使われているが、その由来はなんなのだろうか。1月19日追記。
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