(2017年投稿行事です。)
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海上自衛隊の遠洋練習航海が終わりに近づき、帰国と部隊赴任への準備にかかります。
その前に、海上自衛官生活を決定する職種決定が待っています。
ペンギン2尉はどんな職種になるのか?!
知られざる、遠洋練習航海帰国行事の裏での、実習幹部たちの葛藤をご紹介!
(前回記事):『陸自戦車は市街地走行できない!って騒ぎすぎじゃね?』
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(1)帰国前に、各員の職種決定・発表!
海上自衛隊遠洋練習航海は、最後に東京晴美ふ頭に接岸して終了します。(当時)
そこで帰国行事を行い、その足で各員が部隊に赴任していきます。
図1 遠洋練習航海帰国行事
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/formal/operation/img/enyo/ts2015-24/enko2724-01.jpg
この帰国の数日前に、実習幹部に職種の決定・言い渡しが行われていることはあまり知られていません。
今後の海上自衛官として勤務するうえで大事な、職種決定という一大行事があります。
※職種(通称:マーク)
艦艇・飛行・経理補給など、今後勤務する部隊や配置などが決まります
実習幹部の時は、どの職種になるのかがまさに最大の関心ごとでした。
帰国前に行われている職種決定、言い渡しでの悲喜交々はあまり知られていません。
1.1 実習幹部は一人ひとり艦長室に呼ばれ職種を言い渡される。
私は帰国時は練習艦かしまに乗っていましたので、かしま艦長室で職種言い渡しを受けました。
実習員講堂に総員集められ、一人ひとり順番に艦長室に呼ばれます。
艦長室から戻ってきた実習幹部の、悲喜交々の表情が印象的でした。
喜び顔の者、泣きそうな顔の者、怒りを込めた顔の者などなど・・・
そして自分の番となり、艦長室のドアをノックするときのあの緊張感は今でも思い出します。
艦長室から「入れ!」の返答に、「ペンギン2尉入ります!」と入室の申告をします。
さあ、人生の決定の時間だ!
1.2 職種がついに決定!!
入室すると、艦長と副長が着席、手元には職種通知の資料でしょうか・・?
艦長に室内での敬礼をして、言い渡しをする副長に前に進みます。
(副長)「ペンギン2尉・・・」
(ペンギン)「はい!」
(副長)「・・・『艦艇装備」!」
(ペンギン)「ッ!・・・はい!」
(艦長)「下がってよろしい」
(ペンギン)「ペンギン2尉帰ります!」
・・・このように10秒もない時間で職種言い渡しが終わりました。
事前に、
『何があっても自分の希望職種でなくて怒りがあっても、艦長室で騒ぐのはやめろ。』
と言われていました。
『文句や、愚痴怒りは戻ってきてからいくらでも聞いてやる』
との、教育担当幹部や司令部幕僚から言い渡されていました。
1・3 その後配属艦・予定配置が通達される。
全員の職種言い渡しが終わった後、一番多い艦艇乗組のものが再度集められます。
そこで、各員の配属予定艦・予定配置が通達されます。
『ペンギン2尉!護衛艦〇●◎○、船務士!』
ここで初めて、私は船務士の配置予定となることが告げられます。
その後、東京に着くまで着任先の艦に連絡、赴任についての指示を得ることに。
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(2)帰国行事!しかし心の中は穏やかじゃないことも。
ようやく東京晴美ふ頭に接岸!5か月ぶりに日本の土を踏むことになります。
図2 帰国行事にて整列!
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/news/28/img/40/03.jpg
しかし、心の中には葛藤が渦巻いていました。
結論からいうと、第一希望の職種ではなかったことでした。
しかし、退職願いを出すほど嫌というわけではなく、葛藤の中で帰国行事に臨みました。
帰国行事は、半分上の空で聞いていたところがありました。
(今考えると、まったくの杞憂でした・・・)
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(3)さて、部隊赴任じゃ〜!え?本日中に着任せよ?
帰国行事が終わると、実習幹部は正式に幹部自衛官として退艦します。
図3 かしまを退艦し、乗員と最後の別れ
引用URL:http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/cb/4240b6ec62f8808a287d923898eeffd4.jpg
昔は2課程(一般幹部候補生出身)については、その後航空実習などがありましたが、現在はそのまま部隊配属になります。
私は、もう一人の同期生と同じ護衛艦に配属されました。
この後、みんながそれぞれの部隊に赴任していきます。
航空系に行くもの、艦艇に行くもの、その他の部隊に行くものそれぞれです。
退職を申し出たものは横須賀の補充部付となり、退官の身辺整理をします。
私は、配属先の艦から、
『帰国行事終了後、遅くなってもよいから当日中に着隊せよ』
との指示を受けていました。
3.1 発令日は着隊日という海軍由来の精神
海軍以来の伝統である「発令日は着隊日」の精神は、現在でも息づいています。
最近では、「いったん着隊してから、休暇に入っていいよ」なんて艦もあります。
または「艦に着隊せず、いったん実家に帰り、そのまま江田島の任務課程に行くように」なんてことも?
ただ『発令日は着隊日』という海軍以来の伝統は今でも残っています。
そのため、帰国行事終了後はすぐ赴任というものも多いです。
3.2 この後は、また江田島に戻ることも・・・
艦艇に配属になったものは、すぐに江田島の第1術科学校任務課程への入校が控えています。
実際の『士(さむらい)配置』における、実務教育が待っています。
遠洋練習航海終了から、任務課程の開始まで1週間ほど時間が空いています。
艦長の考え次第で、すぐ赴任せよ!というのから急いで来なくていいよ!なんて艦も・・・
私の配属された艦は当日中に着任せよという、スタンダードな考え方でした。
3.3 さあ、部隊赴任だ!
何はともあれ、まずは部隊に着隊しなくてはいけません。
『なるようになれという気持ちさ!』
とばかりに、配属艦に向かうことにしました。
帰国行事に来ていた家族と、10分ほど無事なことを話して、さあ赴任だ!
図4 配属先に向けて出発!
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(4)遠洋航海シリーズはこちらからどうぞ!
長らく続けてきた、遠洋練習航海の話は、今回で御終いです。
遠洋練習航海の感じが少しでも伝われば幸いです。
遠洋練習航海シリーズの記事として、こちらもご覧ください!
>国内巡航(その2)から遠洋練習航海出発へ!
>パナマ運河に一晩閉じ込められるハプニング!!
>訪問国に入港する時は「礼砲」を撃つよ〜!
>バミューダ海域にてホラーな恐怖体験!
>音楽隊だって大変なんだよ〜!!
この後も、勤務の日々が続きます。
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防衛・軍事ランキング
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・私の時は古い時代でしたので、大湊へ荷物を手持ちで当日中に赴任しました。(東京晴海ふ頭で帰国行事をしてた世代です)
・荷物配達も選択できましたが、すぐに江田島任務課程入校があり必要なものだけを携行していきました。
・物理的に当日着任が難しい、佐世保の艦艇乗り組みとなった同期は翌日着任を指示されることが多かったです。
荷物については、宅急便が練習艦隊のところまできて集荷して配送してくれることも行っていました。
(横須賀から出国・帰国となってからは、基地PXの業者が対応してます)
また佐世保と呉・舞鶴は、艦が出港してることも多かったため艦長の判断で休暇付与・1週間ほどの休暇後にそのまま江田島の任務課程に入校を指示される例が多いです。(艦長によります。)
・最近は、さすがに当日赴任を指示されることが少なくなったと聞いています。(当日赴任を指示して、事故を起こされるよりは時間的余裕をもって着任してもらった方が安心)
(ディエゴガルシア島で乗艦せよ、なんて言われた同期もいました)
・全ては、赴任先の艦長・副長の判断になります。こればかりは、理解のある艦に赴任できるか祈るしかありません。
・また自家用車を受け取りその足で、赴任先の艦に着任したいということについては、部隊で総務科長(先任幹部)をした経験から「ちょっとそれだけは遠慮したほうがいいよ?」といわざるを得ません。
初任幹部は車を持ってはいけないということではなく、
「基地での車両入門通行証の発行」(基地業務隊への申請)
「練艦隊からの赴任地中での事故」(着隊時刻に不到達)
などいろいろややこしい問題があります。
(総務科長時代に経験したものばかりです。)
・基地業務隊にしてみると、「臨時通行証」で何日も駐車場に駐車されるのはかなりの迷惑になります。
(基地業務隊司令から艦長に苦情が飛んでいきます。)
・赴任先の艦にしてみると、初任幹部がちゃんと到着するか気をもんで待っているところがあります。
・多少面倒でままならないとは思いますが、初任地へは公共交通機関を使用して着任をした方が良いかと思います。
艦艇勤務であれば、着任後独身者用官舎など下宿設定をしながら自家用車を送ってもらうなどの対応が現実的です。
・長々と書きましたが、最終的には赴任先の艦との話し合いによります。副長に事情を説明して、その上で着任に向けての指示を受けるのが一番良いでしょう。
かしまから配達?それとも手持ち?この辺りを伺いたいと思います。
また、大湊や佐世保など当日中の着任が厳しいところもあるかと思いますがその際同期はどのようにしてたか教えていただければと思います。(現役生なのですが、車両を購入したためその受け取りをしたのちにその足で部隊に着任したいのです…)