(2015年投稿記事です。)
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最近は自衛隊も、米国以外との合同演習などを積極的に行うようになりました。
2015年6月には、初めて自衛隊と中国軍の陸上部隊が参加する合同演習が実施されました。
政治上の対立はともかく、現場部隊の合同演習を通じた交流は信頼醸成の元になります。
今日はそんな、自衛隊と中国軍との合同演習について書いてみましょう。
(前回記事):『自衛隊の人と結婚したい!!と思っている方へあえて厳しい言葉を!』
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(1)他国との合同演習は信頼醸成・意思疎通を図れる絶好の機会
2015年6月にモンゴルにおいて実施された、カーン・クエスト2015はある意味画期的ことでした。
初めて陸上自衛隊と、中国陸軍及び韓国陸軍の部隊との実働演習を実施しました。
PKOにおける協同行動の中で、お互いにどんな行動を行うのかなどを訓練する内容です。
日本国内の一部ではこの演習を集団的自衛権・安保関連法とからめて、意味がないかのように報道され『自衛隊の駆けつけ警護の最初の対象は中国軍』なんて言うヨタ話も飛び出します。
しかし全く的外れな指摘であり緊張関係にある国同士は、合同演習や訓練をすることはあり得ない!という考えなのかもしれません。
しかし現場で実際に働いたものとしては、意思疎通ができないことが一番怖いことです。
そのため、一番機微に触れる陸上部隊が合同演習を行えたのは、信頼醸成の上で需要なことです。
図1 カーン・クエスト2015での日中隊員の警戒態勢
引用URL:https://static.dvidshub.net/media/thumbs/photos/1506/2022497/2000x1333_q95.jpg
このような事態が、PKOにおいて起きる可能性はありうることです。
その時、お互いがどんな動きをするのかを事前に確認しておける合同演習は重要なものです。
またこの合同演習においては、韓国軍部隊との行動確認ができました。
図2 カーンクエスト2015での日韓隊員
引用URL:http://cdn.wpb.shueisha.co.jp/img/2015/07/0e03b1f6a88a00f4527e68ed0bd3667b_e36fe9bf16d41ff964ad43946c7e1d4b.jpg
『この国では、このように行う』などの意思疎通と信頼醸成が行えるのが、合同演習の成果といえます。
日本と韓国の部隊がどちらかの国で合同演習を行える状況は、現在ありません。
だからこそ、合同演習に政治主張を持ちこむのはまったく無意味です。
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(2)合同演習に政治主張を持ち込み、世界から嘲笑された中国
逆に中国が国際合同演習に政治主張を持ちこんだために、結果的にメンツを失う事態も起きています。
2014年4月に『西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)』が中国チンタオ島にて行われました。
WPNSは併せて、加盟21ヶ国による海軍の合同演習をも行うことが通例となっています。
この時、中国で「中国海軍成立60周年」を記念した観艦式を行おうとしていました。
この時、なぜか日本には観艦式の招待が行われないという事態に発展しました。
図3 国際観艦式のイメージ
引用URL:http://www.h-yagi.jp/img/140408_1.jpg
ちょうど尖閣諸島問題の問題がクローズアップされていた時期でもありました。
政治主張を、合同演習・訓練の場に持ち込んだことになります。
結果として、日本が招待されていないことに不快感を示したアメリカ海軍が不参加を決定しました。
最終的には、開催2週間前に「マレーシア航空機消息不明事件」への対処を理由に中止が決定しました。
世界の海軍が共通して持つ作法を無視して、政治主張で参加国をえり好みするタブーをやったのです。
中国が、国際的ルール・モラルを守れないということを露呈させてしまった合同演習となりました。
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(3)日本と中国で信頼醸成のための合同演習を!
国際的な合同演習の大きな目的として、信頼醸成・意思疎通を図るということがあります。
現状において、日本と中国の関係に一定の緊張があるのは事実です。
しかし、最も恐ろしいのが『不測の事態・突発的な事態』です。
これは相手を良くわからないまま、『これくらいなら大丈夫だろう』とやってしまうことです。
『ちょっとからかってみよう』そんなことが誤解を招き、不測の偶発的衝突を引き起こします。
このような事態を回避するのが、合同演習などでの信頼醸成です。
2013年にあった『レーダー照射事件』について、相手が米軍であったならば軍事衝突に至っていた可能性もあります。
(米海軍の平時ROEでは、射撃レーダー照射を受けた場合、照射元への攻撃が許可されている)
危機を回避するために、平時から現場での信頼情勢が必要です。
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