(2015年投稿記事です。)
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最近、中国と沖縄を含む南西諸島周辺での緊張が段々と激しくなっています。
この状況について、状況をよく理解しなまま報道が過熱しています。
そのため、今何が本当に起きているのか解りづらい状況になっています。
本日は、この状況について中国の軍事力と、問題の発端でもあるレーダーについて考察していきます。
(前回記事):『空母(笑)と言われた「日向(ひゅうが)181」と「いずも」!』
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(1)緊張の度合いを高めている中国の防空識別圏拡大
2013年11月に中国は、『海空防空識別区』という形で通称ADIZ(防空識別圏)を拡大しました。
拡大した防空識別圏は尖閣諸島領域を含めて一方的な拡大のため、日本の防空識別圏と重複しています。
ここで問題なのは、尖閣諸島だけではありません。
尖閣諸島のみに問題の焦点を当てると、問題の本質を見失うことになります。
ここで問題にすべきことは、中国の軍事力とその戦略構想を具体的に実現する動きが始まったということです。
図1 中国が発表した『防空識別圏』
引用URL:http://livedoor.blogimg.jp/bandoalpha/imgs/c/a/cabd477d-s.jpg
この中で、設定した防空識別圏をカバーするように、レーダーの範囲が円にて表示されています。
従来、中国軍の海空防空識別のためのレーダーは、沿岸部にしか配備されていませんでした。
図2 沿岸部に配備されるJY-27Aレーダー
引用URL:http://www.ausairpower.net/PLA/JY-27-Radar-3S.jpg
この大陸沿岸部に配備されたレーダーでは、拡大した区域をカバーすることができません。
そのため、早期警戒管制機KJ-2000などの空中監視にてしのいでいるとみられていました。
図3 中国早期警戒管制機「KJ-200」
引用URL:http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-67-d6/huckebein914/folder/994496/06/33178106/img_0
しかしながら2015年に発表された、日中中間線引付近に新たな海洋構造物建築にレーダーを設置する可能性が出てきました。
すでに沖縄南西諸島をレーダー圏内に捉えた構想図と合わせると、東シナ海における日米の動きをとらえることができます。
ここが、防空識別圏拡大における問題の本質です。
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(2)着々と進む『第1列島線』『第2列島線』構想
ここでさらに中国軍の掲げる戦略構想、第1列島線・第2列島線構想を考慮しなければなりません。
これは「A2/AD」(接近阻止/領域拒否)」構想として、具体的な行動として行われているものです。
図4 A2/ADの具体的な地理的ライン『列島線』
引用URL:https://lh3.googleusercontent.com/proxy/Spt3aVOfLbyrdyfe-N3EbQB0oos1URj77Zu7si2Un3Ec1nvZ32RJkYw30jG5I85NgrLoKZ7PRGF276zzQQ
この構想では第1列島線として、日本の南西諸島、奄美群島を防御ラインとするものです。
そして第2列島線にて、小笠原諸島からグアムまでのラインより西側を自国の活動範囲と構想されています。
「A2/AD戦略」が実際に進んでいることの結果として、防空識別圏の拡大となってきます。
この構想が完成すると、日本の安全保障が脅かされ、南西諸島や沖縄において自国の防衛自体が不安定になります。
「力による国際法を顧みない一方的な現状変更の強要」
これは、南シナ海における人工島の埋め立てによる自国領土の既成事実化と同じ構図です。
実際に日本に兵力を指向させるのは、『南京軍管区』及び『東海艦隊』が主力になります。
中国はいくつもの国との国境と隣接しているため、全兵力を向けるのが難しい状況です。
そのため、地理的及び策源地として一番近い『南京軍管区』が対象となるでしょう。
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(3)軍事力だけでなく『三戦論』にも注意!
このように書いていると当然のごとく平和を求める声が出てきますが、中国のもう一つの戦略『三戦論』に触れておく必要があります。
・『世論戦』:内外世論を喚起し、中国への支持を獲得、中国の害となる政策を阻止する
・『心理戦』:敵の士気を挫き、作戦遂行能力を低下させる。
・『法律戦」:国際法、国内法を利用し、中国への支持と反発抑制を狙う
三戦は中国軍だけでなく、政治経済外交その他に大きく影響していきます。
この三戦は、軍事力以外において効力を発揮させ、他国の軍事力を使用させないようにするためです。
いわば「平和を叫びながら、軍事力により支配する」ための戦略です。
さて平和を叫ぶ方々?貴方は三戦の影響を受けていないと断言できますか?
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