(2018年投稿記事です。)
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艦艇開発隊在籍時代に印象に残る仕事は、AK-47自動小銃入手のために動いたことです。
特別警備隊の装備品開発研究のためには、本物のAK-47が必要でした。
しかしいろんなところで困難にぶつかることになりました。
そんな、苦労話についてご紹介!
(前回記事):『過去に撮影した自衛隊イベント写真を公開!』
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(1)純正AK-47の入手が一番必要だ!
特別警備隊の装備品について研究開発を進めていくと、どうしても壁にぶち当たります。
『純正のAK-47での耐弾性試験の必要性がある』
特別警備隊任務の特性上、どうしても東側の兵器に対する耐弾性の試験が必要になってきます。
ある程度の耐弾性の試験については、自衛隊で使用している装備で実施できます。
しかし、本物で実験することでしか分からない部分も出てきます。
そのため、どうしてもAK-47の入手が必要になってきました。
1.1 なぜAK-47に拘るのか?
記事を見ている人の中には、なぜAK-47にこだわるのか?という疑問を持つ方もいると思います。
図1 AK-47自動小銃
引用URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/97/Rifle_AK_MON.jpg
AK-47は、世界中に拡散された自動小銃として有名です。
そのため防弾装備の研究の場合、AK-47の弾丸に耐えることができるかというのが基準となってきています。
コピー品は世界中にあふれていますが、ロシア製の純正が一番威力が高いものになります。
そのため、どうしてもロシア製の純正AK-47の入手が必要になります。
併せて、7.62×39mm弾も入手する必要があります。
図2 7.62×39mm弾
引用URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b0/7.62x39_-_FMJ_-_4.jpg/800px-7.62x39_-_FMJ_-_4.jpg
1.2 コピー品ではだめなのか?
各国にあるコピー品などは、たくさんありますが出所不明の物が多くあります。
さらに、威力について純正と同等のものが出る可能性は、ほとんどありません。
また入手するときに粗悪品などを納入される恐れがあるため、コピー品ではだめでした。
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(2)AK-47を求めて四苦八苦!
日本国内で、AK-47の保有を公表している公的機関はありません。
そのため非常に苦労して、交渉・調整を行うことになりました。
2.1 警察・海保からは拒否される!
最初にAK-47についての情報を求めたのは、警察と海上保安庁でした。
押収した証拠品の中にAK-47があり、一部を研究用として保有しているという情報が入ってました。
その情報を元に協力を要請してみましたが結果としては、拒否ということになりました。
さすがに警察・海保は情報秘匿が厳重であり、存在するかどうか?という情報も含めて完全協力拒否という状態でした。
2.2 合法的に保有している某所に協力を依頼して試験実施!
結果的に、研究用として合法的に保有する某所の協力を得て試験を実施しました。
試験に必要な、弾薬費用も含めて結構な額の試験役務となりました。
この時の教訓から、
『防衛省独自でAK-47など東側兵器を、研究用に独自保有すべき』
との結論に達することになりました。
2.3 陸自等の所要も含めて、まとめて輸入することに!
結果として艦発隊を離任した後に、防衛省独自でAK-47やRPG-7等の武器を輸入が行われました。
独自で試験用の武器および弾薬を保有しておくことで、いろいろな手間が省けます。
どこかの学識者がAK-47は数万円で買える!なんて言ってましたが、実際に輸入すると大変な額になります。
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(3)武器の輸入は非常にお金がかかる!
武器等の輸入には、非常に多額のお金がかかります。
個人輸入などの一般物品などとは、比べ物にならないくらいの額が必要となります。
これは武器という特性上、輸送費用や保険料などが非常に高くなるためです。
輸入品の売買価格にかかる費用の図がありましたので、ご覧ください。
図3 輸入に関する諸費用
引用URL:http://livedoor.blogimg.jp/exportnegotiator/imgs/f/3/f3396e79.jpg
商品の価格のほかに、FOB(本船渡)、CIF(運賃保険料込み)などがかかってきます。
そのほか輸送量の人件費などで武器の場合は、多額のお金がかかります。
実際にAK-47等の輸入を経験した結果、ロシア軍に納入される価格よりもかなり跳ね上がります。
正確な金額は申し上げることができませんが、89式小銃を調達する価格よりも高くなりました。
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(4)手探り状態の中で続いたSBUの研究開発
SBUに関する研究開発は、海上自衛隊の中でも手探り状態で研究が進むことになりました。
何しろ、海上自衛隊では、あまり個人装備の研究は後回しになっていました。
さらに特殊戦という、未知の分野での研究となりました。
比較的に研究開発の道筋が付いたのは、米海軍からの非公式な協力です。
NAVSEA(米海軍海洋システムコマンド )からの、特殊戦資料によって研究開発が進みました。
今後とも、特別警備隊の装備研究開発は継続して行われることでしょう。
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防衛・軍事ランキング
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私が艦発隊で研究に従事していたころは、海外製武器特にロシア製の武器を公式に保有していた部隊等は、対外的には「存在しない」という建前になっていました。
やはり、冷戦終結後とはいえいろいろな反対運動などが渦巻き、政治的に「公式に保有していること」の公表がためらわれたためです。
陸自富士開発実験団で、ある程度「秘密」に少数の東側武器を保有して、開発試験に使用していました。
(イラク派遣用防弾装備開発で活躍したと、陸自実験団から聞いています。)
2006年頃に当時の「技術研究本部」が、正式に一括して多数の試験評価用ロシア製武器の輸入をしています。
ある程度、米国からのデータ提供や米国本土での試験にて東側武器の情報はそろっておりました。
警察や海保からの情報提供拒否は、まあどちらも「機密」レベルの話でもあったため、提供を嫌がったところがあります。
警察海保が、自衛隊を敵視しているということではなく、純粋に彼らの持つ「秘密」の重みを考慮した結果です。
やはり「秘密情報」は安易に外部に渡したくないのが、治安機関の性質です。
協力するところは協力するけど、秘匿するところは徹底的に秘匿するのが、省庁間協力での難しさです。
現状は、必要な部署に研究用としてある程度行き渡っているのが「調達情報」から判明しています。
当時の研究開発では、最終的に「合法的に保有する」武器等製造会社に役務調達で実施しました。
「研究用」で銃刀法で保有が認められた会社で試験を実施したのが当時の実情です。
そこでご質問なのですが、当時、陸自ではAK47を含めた海外性の小火器等を保有している部隊は存在していなかったのですか?富士学校の研究班や北方の冬戦教、SBUより発足は遅れますが、特殊作戦畑を突き進んでいた特戦群などは?
仮想敵国が保有している小火器等の情報を、当時の自衛隊が保有していなかった状況には不安を覚えます。
また、警察・海保等は何故、海自への協力を拒んだのでしょうか?訓練などの際に、彼らは自衛隊に協力を仰ぐ立場のが多いのでは?射場の借用や各種技能の習得(以前は、海保のヘリパイの育成を海自が依託を受けて教育を担任していた。)など恩恵を受けることのが多いはず。また現在は幹部だけではなく陸曹の警察への出向など関係は密になっていると思うのですが。警察・海保が自衛隊に向ける視線はそこまで厳しいものがあるのでしょうか?