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2017年08月17日

E生体エネルギーと代謝【ポイント】

今日は、生体エネルギーと代謝についてお話します。
「酵素」の部分は、管理栄養士の国家試験でも狙われやすいポイントです。
しっかり学習しておきましょう。

【独立栄養と従属栄養】
植物やある種の細菌のように、
光合成などによって無機物だけを用いて自らが必要とする有機物を合成し、
体外から有機物を取り込んずに生きることを独立栄養いいます。
一方、ヒトや動物、菌類、多くの細菌のように、
他の生物が合成した有機物に依存して生きることを従属栄養といいます。

【異化と同化】
外界から取り込んだ物質を変化させる過程を代謝といい、代謝には同化と異化の2つがあります。
同化とは、摂取した食物から必要な物質を合成・変換する過程をいい、
異化とは不必要になったものを分解・排泄する過程をいいます。

【高エネルギーリン酸化合物】
異化により発生したエネルギーは一時的に高エネルギーリン酸化合物として貯蔵され、
さまざまな吸エルゴン反応の合成、生体膜の能動輸送、筋肉の収縮などに用いられます。
高エネルギーリン酸化合物の代表が、ATP(アデノシン三リン酸)です。


【生体エネルギーの獲得】
生体は、糖質・脂肪・たんぱく質を取り入れ、体内で変化させることで、
生命維持に必要なエネルギーを得ています。
概略的には、食物中の有機分子の炭素C、水素Hno電子を取り去り、
二酸化炭素CO2と水H2Oに分解す津家庭の反応を通じて、エネルギー(ATP)を生成しています。


【酵素】
酵素は、生体において化学反応を触媒するたんぱく質です。
触媒とは、それ自身は変化せず、化学反応の速度を速めるものです。
酵素を含め触媒は、化学反応の活性化エネルギーを低下させることによって反応速度を大きくします。

生体内の体部分の化学反応yは酵素の触媒作用で起こっています。
酵素が作用する物質を基質、反応により生じる部分を生成物といいます。

【酵素の特徴】
・活性部位
 酵素の分子内で、基質と直接結合する部位を基質結合部位といい、
 その中で反応に関与する部位を活性部位といいます。
 活性部位は酵素表面のくぼみや裂け目であり、
 酵素全体からみると比較的狭い領域であることが多くあります。
・基質特異性
 酵素は普通の触媒とは異なって非常に特異的であり、
 1つの酵素は原則として1種類の基質に作用し、1種類の化学反応を触媒します。
 前者を酵素の基質特異性、後者を酵素の反応特異性をいいます。
・最適温度・最適pH
 反応速度は温度やpHによって変化します。
 その酵素が最大の活性を示す温度やpHをそれぞれ最適温度・最適pHといいます。
 酵素はたんぱく質であるため、高温や強酸性、強アルカリ性では変性し、酵素活性を失います。
 一般には、37〜40℃、pH7〜8(中性)付近で最大の活性を示しますが、
 例えば好熱菌の酵素の最適温度は70〜80℃、消化酵素ペプシン最適pHは強酸性のpH2付近であるように、
 特殊な条件下で最大活性を示す酵素もあります。
・捕因子
 酵素は、たんぱく質のみによって反応を行う場合と、
 反応に低分子の非たんぱく質成分の捕因子を必要とする場合があります。
 水溶性ビタミンなどの有機物や金属イオンなどの無機物が捕因子となりますが、
 特に有機物を捕因子とする場合、それを補酵素といいます。
 また、たんぱく質と強く結合している捕因子のことを補欠分子族と呼びます。
 捕因子を必要とするタイプの酵素において、
 捕因子と結合した活性のある完全な酵素をホロ酵素、
 活性のないたんぱく質部分のみをアポ酵素といいます。
 
・反応速度
 酵素濃度を高くすると、反応速度は酵素濃度に比例して増加しますが、
 ある酵素濃度を超えると増加は少なくなります。
 基質濃度を高くすると、反応速度は双曲線状に増加します。
 ある基質濃度以上では、反応速度は一定の値に近づきます。

【酵素反応の阻害】
酵素反応の速度(酵素活性)を低下させる物質を阻害剤(インヒビター)といい、
抗生物質や抗がん剤などに広く利用されています。
阻害剤が結合する部位の違いによって、競合(拮抗)阻害と非競合(非拮抗)阻害に大別されます。
競合阻害剤は、酵素反応の最大速度には影響を与えないが、ミカエリス定数(Km)を大きくします。
非競合阻害剤は、ミカエリス定数(Km)には影響を与えないが、
酵素反応の最大速度(Vmax)を低下させます。
※ミカエリス定数(Km)
ミカエリス定数(Km)とは最大反応速度(Vmax)の半分を与える基質濃度のことであり、
酵素の基質に対する親和性を反映します。
ミカエリス定数が小さいということは、酵素の基質に対する親和性が高いことを示し、
逆にミカエリス定数が大きいということは、酵素の基質に対する親和性が低いことを示します。
なお、ミカエリス定数は酵素の濃度によって変化しません。

【酵素活性の調整】
酵素活性は条件によって変動し、生命維持に都合が良い状態を作り出せるように調整されています。
活性が調整される酵素を調整酵素といい、アロステリック酵素と、
共有結合で修飾されて活性が変化する酵素があります。

【アイソザイム】
同一反応を触媒しますが、たんぱく質の構造が異なる酵素をアイソザイムといいます。
乳酸デヒドロゲナーゼには5種類のアイソザイムが存在します。
乳酸デヒドロゲナーゼのアイソザイムにはそれぞれ臓器特異性があり、各臓器の障害に伴い、
相応するアイソザイムの上昇をみるので、各疾患の診断に用いられています。

【代謝経路】
・糖質
 糖質の主な構成単位であるグルコースは、解糖系でピルビン酸あるいは乳酸にまで分解されます。
ピルビン酸は、酸素が十分に存在する状況下では、アセチルCoAを経てクエン酸回路(TCA回路)に入り、
さらに電子伝達系での反応を受けてATPを産生します。
また、グルコースはグリコーゲンに変換されてエネルギーの貯蔵を行います。
・脂質
脂質から得られた脂肪酸は、β酸化によってアセチルCoAとなり、
グルコースに由来するアセチルCoAと同様にクエン酸回路と電子伝達系でATPを産生します。
また、脂肪酸はトリアシルグリセロール(中性脂肪)に合成されてエネルギーの貯蔵を行います。
一方、グリセロールは解糖系に入り、糖質代謝に組み込まれます。
・たんぱく質
たんぱく質の構成成分であるアミノ酸は、主にたんぱく質合成や体内の窒素化合物合成に使われますが、
エネルギー源としても利用されます。
アミノ酸は一部はアミノ基を失ってα-ケト酸となり、
ピルビン酸、アセチルCoA、クエン酸回路の代謝中間体を経て、
グルコールや脂肪酸と同じようにATPを産生します。
一方、アミノ基はアンモニアを絵h手尿素に変換され、尿中に排泄されます。

次回、問題を出題します。
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食品会社で勤務しながら、半年間の独学を経て管理栄養士の国家試験に合格。その後、管理栄養士として勤務するために病院へ転職。6年間で3つの病院を経験。現在は、管理栄養士国家試験の参考書の校正や答案添削を行っています。 <取得資格>管理栄養士、栄養教諭、糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士、NST専門療養士
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