金比羅という神がいる。
この神を信じている無学でお金のない頭の強くなかった夫婦がいる。
奥さんが妊娠をしていよいよ出産。
しかしなかなか生まれない。
産婆も呼ぶことができない。
油汗を流してうなっている。
隣で聞いてるお父さん、まさに神にでも祈るような気持ちになって、
寒い日にもかかわらず、庭で冷たい水を頭からかぶって体中を清めて、
金比羅山にいって、
「貴方しかない、日頃からあなたの事を信じている〜です。とてもあの声を
聞いていることができません。どうか元気な子供を生ませてやって下さい」
しかし全然返事がしない。
ふつうは「困った時の神頼み」といって、困った時だけ頼む。
願掛け、いろんなことをお願いにくる。
主人はハタと我にかえって、
願いを聞いてくれないのはただで頼んでいるからだ。
「忘れてました、貴方様への報酬を。もしお願いを聞いてくれて元気な子供
が授かったなら、銅の鳥居を御喜捨しますので・・・」
というお願いをすると、
金比羅は何も返事をしなかったけれどお母さんの方が返事をした。
「そんなお金どこにあるのよ、それだった産婆呼んでるわよ」
「お前はだまってろ、コンピラを騙しているうちに早く産んでしまえ。」
こういう笑い話がある。
まさに困った時の神頼み
人間というのは普段はあんまり祈るわけでもない、
たのむわけでもない、のにもかかわらず、
そう言う時にはゴリヤクがあると言われているところに行って賽銭をなげたりする。
その時は真剣になって、まことの心になるようにして祈っているわりには、
いったん助けてもらったらその心もすぐにどこへやら。
約束なんか守る気はハナからない。
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