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2021年01月16日

「魔術師」本文 vol,10

魔術師」VOL,10


そうして見る見る野次馬のために、顔を滅茶滅茶に掻きむしられ、衣類をずたずたに引き裂かれて、或る者は悲鳴を放ちながら、或る者は絶息して屍骸のようになりながら、水に浮かぶ藻屑の如く何処までも何処までも運ばれて行くのです。

私は、自分の前へ落ちてきた一人の男が、逆立ちになって二本の脛を棒杭のように突き出したまま、止めどもなく流れて行くのを見ていました。その男の足は、四方八方から現れてくる無頼漢の手に依って、最初にまず靴を脱がされ、次にはズボンをぼろぼろに破られ、果ては靴足袋を剥ぎ取られて、打ったりつねったりされるのでした。


それから又、酒ぶくれに太った一人の女が、ジオバンニ、セガンティニノ「淫楽の報い」という絵の中にある人物のような形をして、胴上げにされながら、
「やっしょい、やっしょい」と担がれて行くのも見物しました。


「この町の人たちは、みんな気が違っているようだ。今日は一体、お祭りでもあるのかしら。」と、私は恋人を顧みて云いました。





「いいえ、今日ばかりではありません。この公園へ来る人は年中こんなに騒いでいるのです。始終このように酔っぱらっているのです。この往来を歩いている人間で、正気な者はあなたと私ばかりです。」


彼の女は相変わらずしとやかな、真面目な口調で、そっと私に告げました。


引用書籍
谷崎潤一郎著「魔術師」中央公論社刊




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