ネコと贅沢　ボンビーライフ

＜「２人以上出産」発言＞校長、退職へ…大阪市教委方針
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160325-00000004-mai-soci

何が問題なのかを明らかにせず、
ただ批判があったからという理由だけで
発言者の職を解くことで問題解決を図ろうとする。
これが一番の問題だ。

最近これと似た収束過程の問題があった。
プロ野球の「声出し」金銭授受である。

プロ野球の賭博に関する問題発覚の流れを見ていくと、
最初に八百長というでっかい問題を出して、
その後に野球賭博という八百長より少し軽めの問題、
それから「声出し」金銭授受という
本格的な賭博とは言いがたい軽い感じの問題を出してきた。

関わっている選手の数も
出てくる問題ごとに増えてきて、
「声出し」なんかは全球団、プロ野球全体でやっていたわけだから
「ほら、みんなやっているんだから
大した問題じゃ無いじゃん。」
と言わんがばかりである。

日本野球機構もこの「声出し」金銭授受問題を不問にした。
「もうすぐ開幕じゃん。
みんなプロ野球見れなくなってもいいの？
そうなると困る人いっぱい出るんじゃない？」と
逆に脅しているようにも思える。

何にも問題が解決しないまま
とりあえず金銭の授受は今後なしということにして
プロ野球は開幕を迎えるのだろうし、
シーズンが終わる頃には
誰もこの問題に関心を示さなくなるのだろう。

私は現状の金のある球団が勝つという
つまらないプロ野球などなくなってもいいと思っているが、
三度の飯より野球が好きという人が世の中には多いから
「臭いものには蓋」という日本野球機構の決定に
異議を唱える人は少ない。

これが今の日本の思考構造なのだ。
根本的な解決を求めず、
上辺だけを取り繕って、
だが底辺では常に問題をくすぶり続けさせる。

先の退職させられる予定の校長は
自分は全く間違ったことを言った覚えはない、
と今でも思っている。
このままの流れで行けば彼はきっと
「自分は信念のために殉じた志士である」と
内心大いに喜んで校長の職を辞すことになるのだろう。

実はこの校長の発言に端を発した問題は
国民的議論として大いに盛り上がるべき
とても良い問題提起だった。

出産子育ては女の幸せか。
子育てを女にだけさせることはフェアなのか。
子育てを安心してできる社会といえるのか。
今の日本は出産子育て後にキャリアを積める社会なのか。
少子化が日本を破滅させるというのは本当か。
老後の負担を現在の若者に背負わせるべきなのか。

今の日本においてマグマが吹き上がりつつある問題が
この校長の発言にはたっぷりと含まれている。
一介の保守的校長のたわ言として処理して幕引きするには
もったいない内容ではないか。

こういったナァナァな対応が
大阪らしいといえば大阪らしいし、
先送りしてウヤムヤにしてしまう雰囲気が
日本らしくあるのだが。