ネコと贅沢　ボンビーライフ

「善意だけでは解決しない」荻上チキさんの災害ボランティア論
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160310-00010000-bfj-soci&p=1

あれからもう５年。
早いものだ。

日本人というのは検証ベタだ。
検証すると責任というものが生じる可能性が高いので
責任を回避する意味で検証しないのだと思う。

だが検証しなければ
同じ過ちが繰り返されるだけなので、
検証は必要だしそれを基に改善すべきである。

支援物資に関しては
あまりとやかく言うべきではないように感じる。

もちろん全く不必要であろうと思えるものを送りつける行為は
悪になってしまうからすべきではないが、
役に立ちたいという気持ちから送ったものが
相手にとって不必要なものである場合は
日常生活においてもよくあることだ。

例えば結婚式の引き出物で、
「これはありがたい」と思えるものがどれだけあるか。
新郎新婦にしてみたら
別に相手にとって迷惑なものを贈るつもりはない。
喜んで使ってもらえると思って選んでいるはずだ。
だが、本当に喜んでもらえる品は数少ない。

そういうものなのだ。

そういうものだという前提で
話を進めなければ今後支援物資を送る人がいなくなる。

支援物資が迷惑になるということになってしまえば、
誰だって悪者になりたくないから
送ることを躊躇してしまうだろう。
先の大震災時において
支援物資がありがたかったというケースもあるのだから
支援物資を送るという行動を抑制するような考え方は良くない。

支援物資が集まれば、
中には不必要だと思えるものも一定量含まれる、
という前提で、
その不必要な物をどうするか、
という対策を考えればいい。

例えば支援物資は個人個人で送るのではなく、
自治体などのグループが一括して収集し、
仕分けした後に被災地に送るようにする。

そうすれば被災地で仕分けする混乱は起こらないし、
不必要なゴミを予め処分するから、労力も保管場所も確保しなくて済む。
自治体単位だから流通も効率よく渋滞が減るし、
必要な物資を優先順に届けることだって可能だ。

災害時に行動を抑制するような先入観というのは
命に関わる。

先の大震災時で津波による被害が大きかったのも
人々の頭の中から
「大地震が起これば津波が発生するかもしれない」という意識が
なくなってしまったからだ。

宮城県のある沿岸のホテルの従業員は、
地震が起きたあと海の様子を見に行った。
途中まで行って海の様子がおかしかったので
慌てて引き返し始めた。
途中渋滞にハマって動けなくなっている車があった。
その従業員は逃げながら車の窓をたたき、
「津波が来るから車を置いて逃げたほうがいい」と
言って回ったのだが、
どの運転手たちも「そんなバカな」と相手にしなかったそうだ。

その数分後には津波が襲ってきたのだから、
その従業員の言葉を信じていたら助かった人もいたはずである。
人々の頭の中で、地震＝津波という考えが少しでもあれば
その従業員の言葉を信じたかもしれない。

オオカミ少年の話のように
人は何回か裏切られるとその話を信じないようになる。
地震が起きてテレビやラジオで「津波に注意してください」と言っていながら
実際に津波が来ないことが続けば
地震＝津波という考えがきれいサッパリ消え去ってしまう。

それと同じようにあまりにも
支援物資は迷惑だという話ばかりが出まわってしまうと
いざというときに支援物資は迷惑だというように思い込んで
誰一人支援物資を送らない世の中になってしまう。

わざわざ品物を集めて送ろうというのだから
ほとんどの支援物資は善意からだろう。
思いたくはないが、中には悪意を持って送る人がいるかもしれない。
だがそんなものはごく一部なのだから、
支援物資を抑制するような記事はいただけない。

検証して、こうやって送れば喜ばれるとか、
こういったものは迷惑だとかを周知させる努力こそ
求められるのではないだろうか。