同上WEB版
産経新聞に取り上げられました。平沢議員いわく「捜査当局の行きすぎで市民の権利が損なわれる可能性はなきにしもあらず」とか「これだけ関心が集まる中で警察も国民の支持を気にしており」とでは、関心を我々反対派が高めなければ平気で逮捕するのか? http://t.co/goB0S9jrVK
— 参議院議員 山田太郎 (@yamadataro43) June 21, 2013
先日書いた児童ポルノ禁止法改正案について、産経新聞の記事の平沢勝栄議員の推進意見が酷い内容なので改めて書きます。
1・【単純所持規制について】
「児童ポルノ禁止について、日本だけが後ろ向きと取られてしまうのはまずい」
とありますが、諸外国と日本を同一に考えているのがおかしい。
深刻な性犯罪が多発している国の効果のないやり方を取り入れる必要性が皆無であり、これが既に児童を性的搾取や性的虐待から擁護する本来の立法趣旨から離れています。
何故、家族の成長記録で逮捕されるドイツや孫の水遊び写真で逮捕されるイギリスと同じ様な仕組みを必要とするのか?
児童の権利保護は何処へ行ったんでしょうか。
「罰則適用には『性的好奇心を満たす目的で所持』という条件があり、捜査当局が裏付けなければならず、簡単にはいかない。捜査機関に新たな権限が加わるわけだが、警察出身者として言えば、これだけ関心が集まる中で無茶な捜査などできるわけがない。警察も国民の支持を気にしており、運用は自制的になされるだろう。」
これも論外です。関心に左右される運用ではなく、条文で定義を明文化して恣意的捜査を禁止すべきです。
しかも世間の関心が集まったPC遠隔操作事件でさえ4人の誤認逮捕を行いうち2人には自白を強要して存在しない罪を認めさせました。
真犯人と称された男性についても碌に証拠集めをしないまま逮捕立件し、事前に報道局に情報を流した結果、男性の生活を盗撮した映像が流れ、犯人と印象づける報道が多々為されました。
挙句、拘留期間がなくなると個別の案件を利用して再逮捕を繰り返し、拘留期間の延長ばかりを行いました。(国連拷問禁止委員会が指摘している長期間の逮捕若しくは拘留に抵触)
取調べの録画は徹底して拒否し「取調べに一切応じなかった」と嘘の見解まで出しています。
これが注目されている事件における警察の実態です。
平沢議員は個人の人生を何だと思っているのでしょう?
警察はただの誤認逮捕で済むかもしれませんが、被疑者にされた一般人は人生を大きく破壊されます。
冤罪も起こってからじゃなければ話題になりませんが、その時には既に遅いんです。
そもそも、警察に出回った画像や動画を回収する能力がない事を警察自身認めています。
しかも単純所持規制は発生を食い止めません。
何故、購入、資金援助、斡旋への厳罰ではなく単純所持規制を選ぶのか?
この法律を本来の目的は、実在する児童を性的に虐待して記録した動画像の市場を潰し、児童の権利を守る事です。
日本の国会議員や捜査機関は児童ポルノというICPOが既に否定している言葉を適当に使いすぎです。
いたずらに取締範囲を拡げても児童は救われません。取締権利の拡大と警察庁生活安全局の予算が増える程度のお話です。
そもそも、性的好奇心は誰が立証するんですか?
被疑者が否定できる根拠を示さない限り有罪、などというふざけた話では無いですよね?
「そこは私たち国民がしっかりチェックすればいい。まず被害児童の救済を考えるべきだ」
これは被害児童の保護を口実に取締範囲を広げているだけの法案で、児童を性的搾取や性的虐待から守る構造の無い法案です。
冤罪を起こした後に警察に抗議してください、では話になりません。
そして法案の共同提出者の一人で自民党政調会長の高市早苗議員がQ&Aを掲載していますが、条文に基づいた解答が少なく、判例も十年前の既に覆されたもので全くQ&Aの意味をなしていません。
そしてこの法案の異常性は、孫の水浴び写真やジャニーズジュニアの上半身裸のダンス映像でも逮捕できる可能性があり、衣服を身につけた児童の顔面に精液を付着させた画像等は定義から外れる事です。
法律用語の児童ポルノの定義が既に狂っています。
児童保護とはなんでしょうか?
2)・【推進派が除外を断固拒否している創作物規制について】
「実在児童の人権救済とは関係ないが、海外では漫画も規制対象だ。漫画やアニメに影響されて青少年らが性犯罪に走る例も、警察の資料によれば実際にある。可能性が否定できない以上、規制の話が出るのは当然だ。日本がこうした漫画の輸出国と批判される状況も踏まえ、漫画などの規制についても検討する規定は入れた方がいい」
・創作物を規制しても児童への性犯罪の抑止にはなりません。「性表現と性犯罪の因果関係」は警察庁・科学警察研究所とハワイ大学の共同研究で警察庁が公式に否定しています。
・表現規制の話が出るのは当然、というのは、性犯罪を元から断つ努力をする気がない証左です。
・法律の趣旨に反して規制を検討する規定を入れるべきというのは法律の悪用です。
「(青少年を正しい方向に導くという目的もあるのか)当然ある。成人向け漫画だから大丈夫というが、日本は欧米と違い、区分陳列が徹底していない。またネットを通じてもアクセスできる状況だ」
政治家が嘘を垂れ流しても問題ないのでしょうか? 背表紙と表紙に黄色いマークの入った「成年コミック」は十八歳未満の購入が禁止されています。
また、5/8の麻生副大臣の答弁に反します。麻生副総理の答弁を否定されるのでしょうか?
健全とは、身心が正常に働き、健康であること。考え方や行動が偏らず調和がとれていること。物事が正常に機能して、しっかりした状態にあること。
扇動情報を含む悪い情報やフィクションに左右されない健全な人格育成を志す事から逃げて臭いものに蓋をする発想は、青少年の健全育成にとって有害です。
「反対の声はあるが、実際には規制を求める国民の方がはるかに多い。私の所に送られてくる漫画の現物はひどいものだ。表現の自由は大事だが無制限でなく、社会的制約がある。こうした漫画が文化や芸術といえるのか。社会は有害図書だと判断すると思う。騒いでいる人間は、親としてこれらを自分の子供に見せていいと思うのか」
反対意見の数がエロ漫画を片手に意見を述べる支持者より少ないのだとして、こんな法案を推進する理由になりますか?
PTAや警察家族の会が政治活動の一環として大人しか買えない過激な成年コミックを議員に送りつけているという話はよく耳にします。
一部の人々の嫌悪感情の解消に議員を利用している訳ですが、それに乗っかって何を仰ってるのでしょうか。
「親としてこれらを自分の子供に見せていいと思うのか」というのも的外れ過ぎて呆れます。
本当に呆れます。それは子供に酒や煙草を与えていいと思うのか、と何が違うんですか?
大人向けの相応しくない物を子供が持っていたら叱るのは親や学校の仕事でしょうが。そんな事が理解できないんですか。
よく児童保護や青少年の健全育成などと仰る議員さんが居ますが、
「扇動情報を含む悪い情報やフィクションに左右されない健全な人格育成」
も、
「性的な目的で近づく大人について徹底して教え込み、それを回避し通報する為の教育」
も、していません。
これだけ色んな情報に簡単にアクセスできる時代に、悪質な情報に惑わされない為の教育が無く、ただ闇雲に逮捕範囲の拡大や規制を行なって何が健全なんでしょうか。
児童への性的虐待のトップが親であり、同居の者であり、児童に接する機会の多い者である事を考えれば、「性的な目的で近づく大人」についてしっかり教育して来なかったのもあり得ません。
酷い怠慢です。
その上で韓国で大失敗し、ドイツで弊害を生み、イギリスで孫の写真を持っていた老人を逮捕し、米国で違憲とされ、スェーデンでも「漫画より実在児童の保護をさせろ」と捜査官を怒らせ、それでも法律の趣旨に反してまで益体のない法案を推し進めるのは論外です。
そんな児童を保護しない、児童保護と表現の自由の対立構図を作った法案の提出者が彼らです。
自民党─高市早苗、平沢勝栄、西川京子
公明党─富田茂之、高木美智代
維新の会──中田宏、阪口直人(坂口氏は付添いの可能性有)
法案提出者の彼らは児童保護を真剣に考える議員をアピールされているのでしょうが、実際は真逆です。
この法律の趣旨は青少年の健全育成の為の物ではありませんし、児童の性犯罪被害の実態に基づいた対応策も条文にありません。
この法案の愚かさと悪質さに一人でも多くの人が関心を持ち、反対の声を上げてくださる事を願います。
谷垣禎一・法務大臣定例会見「児童ポルノ法でコミックスについては否定していない」(2013年6月21日)
↑こちらについても書いておきたい事がありますが、書く時間と体力があれば書きます。
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