2013年05月24日
とにかく取締利権が欲しい人々による児童ポルノ禁止法改正案の問題点【ご指摘追加】
*一部ご指摘を頂いた箇所を修正致します。また、脇道に逸れ過ぎた部分もカット──2013/05/25 AM06
樹林先生お疲れ様です。
自公が児童ポルノ禁止法改正案 わいせつ画像「所持」禁止
橋下慰安婦発言問題で揺れている日本維新の会も賛同。いやぁ、呆れました。
高市早苗議員がみんなの党に賛成説得をかけた時の条文が公開されてますが、これに賛同し様がありません。
この問題は個人的にかなり怒りを覚えているので改めておさらいしておきます。
まず児童ポルノは「実在児童への性的搾取及び性的虐待を記録した動画像や写真等の現行児童ポルノ禁止法で違法とされる物」であり、製造や販売、配信行為は現行法でも取締可能です。
そして児童の定義は「18歳未満の者」です。
しかし、定義内の三号ポルノを含むと「授乳写真」「アルバム内の児童の水遊び」「医学資料や学術研究資料」等々、幅広い範囲で違法化する事が可能です。
ジャニーズJr.の上半身全裸ダンスも児童ポルノに含まれますね。児童ポルノとは女児限定のお話ではありませんので。
とても馬鹿馬鹿しい話ですが、実際に授乳写真をアップロードした母親が北米で逮捕されて子供と引き離されています。
自民党高市早苗提出の児童ポルノ禁止法改正案は単純所持規制による逮捕罰則を含めつつ、恣意的逮捕の回避を第三条の留意のみで担保した事にしていますが、定義の明文化はしませんので国家権力のさじ加減で逮捕可能です。
現行法で対処して来なかった警察に取締範囲の拡大権だけ与えるのがどういう事か、わからんのですかね…。
ご存知の通り、日本には取り調べの可視化はありません。
イギリスでもしっかり政治利用されてましたが、どうなるんでしょうね? これ。
2009年の法務審議会でも大揉めだったんですが、高市早苗議員の脳内では無かった事になっているようです。
さて、改正条文ですが、
●ICPO(国際刑事警察機構)基準を完全無視。
条文の序文に「国際情勢を鑑みて」とありますが、時代に逆行し過ぎでは?
CAM(Child Abuse Material)=製造過程に犯罪のある児童性的虐待物、だと児童保護にしかならないから都合が悪いんですねわかります。
定義範囲を拡げて留意で縛ったふりをするのではなく、定義を明確にすべきです。
●児童を児童ポルノに斡旋する者(*現行条文第五条〜六条で対応可能というご意見有)、自身を児童ポルノに斡旋する児童の取締はしない。
金銭目的でそれに斡旋する親は放置状態。また、児童買春を持ちかける児童に対する処罰もありませんので、年齢を隠して売春を持ちかける児童も止められません。要は製造プロセスの放置です。
*児童性的虐待物とジュニアアイドルの着エロDVDを混同する記述になっていましたので訂正します。10歳前後の児童の過激な衣装による擬似性行為等は問題ですが、「子どもの権利条約 第34条c」で対応可能との事。
●児童ポルノの購入、児童ポルノ製造への資金提供は取締対象ではない。児童ポルノの財産権も認めている。
↑を取締対象にして財産権を認めない、とすれば単純所持規制は要りません。国際的な批判(といっても日本の政治団体の扇動が主ですが)も跳ね除けれます。
明らかに行き過ぎである単純所持規制を入れる前に、本来必要な物を考えるべきでしょう。
(*財産権の否定を明確にはしていませんが、"所持禁止"で対応可能というご意見も有り。また、犯収法で資金援助に対応可能というご意見有り)
●児童相談所の家庭介入権を変更しない。
児童への性犯罪率が最も高いのは親や同居の家族、親の再婚相手等々。児童と接する機会の多い大人程児童性犯罪率が高い現実を無視しています。これは米国メーガン法に関するレポート、性犯罪者の事実でも言及されています。
●文部科学省との連携対処無し。
児童に性的な目的で接触を図る大人や、自己の性的価値を性器等の画像のアップロードで確認する児童に対し、情報教育や性教育の徹底は必要な筈ですが。
日本で一番児童のポルノを持ってるであろう規制推進派の人々も何故かこの事には言及しないという不思議…。
●貧困や生育歴と性犯罪の要因研究が無い。
みっともない話ですが、日本は先進国児童貧困率第四位。第二位の時期もありました。貧困と性犯罪や売春の相関関係について、この国では国内の問題としての言及が全くありません。児童保護の観点から法案作成を考えたら真っ先に気づいて入れる項目じゃないんですか? これ。
●条文の日本語がおかしい。
第九条要約「年齢を知らない事で処罰を免れる事は出来ないが、過失がない場合はその限りではない」
年齢を知らなくても逮捕されます。しかし過失がなければ逮捕されません。具体的にどんな状況でしょうか?
●法案提出者が法律の趣旨を理解していないか意図的に曲げている。
冒頭の産経新聞の記事に「わいせつ」とありますが、わいせつ物頒布の取締は刑法175条の領分で、わいせつ取締目的は児童ポルノ禁止法の趣旨ではありません。
●附則で児童ポルノ禁止法の趣旨に反した疑似科学研究に政府の予算が三年も使われる。
創作物と性犯罪の因果関係を調べる為に三年分の研究費を政府予算から捻出します。
が、警察庁・科学警察研究所とハワイ大学の共同研究結果で「性表現は性犯罪の要因とはいえない」とする研究結果が既に出ており、警察庁の公式見解となっています。
デンマーク政府も昨年政府見解として同様の発表をしており、米国でもバーチャルイメージを児童ポルノとして違法化する事は違憲と判決が出ています。
何故時代に逆行してこれまでの研究結果を覆したいかと云うと、取締担当の警察庁生活安全課と規制推進団体の参加する民間財団法人(IHC)の権限拡大と予算確保が目的と考えるのが妥当ではないかと。
どれだけ税金を無駄にしたいんですかね、この人達は。現行児童ポルノ禁止法下で取り締まり強化するだけでもっとマシになってる筈なんですが…。
しかも「児童ポルノに類する」の後にどうやったら「漫画等」がくっつくんでしょう?
法律の文脈上児童ポルノに類したら「実在児童の擬似性行為の記録物」か「実在児童に見える容姿の成人の性的記録物」になるんですが。
条文作った人は法律用語の児童ポルノを理解してますか?
以上。
相当児童の人権保護に関心が無い人じゃない限り、条文読んで賛成は不可能です。
提出者の趣旨説明と条文が大きく乖離した法案でしかありません。
LINEで12歳の子供が40歳の中年男性に出会って強姦される様な事件もありますので、児童の性犯罪被害の対策は急務です。
しかし、これでは何の役にも経ちません。弊害ばかりの駄目法案です。
にも関わらずECPAT東京の顧問弁護士の後藤啓二氏は大賛成。
ブログ7・ 児童ポルノの単純所持の禁止は「与野党協議」でなく「採決」を!!
ECPAT東京に飽きたらず新団体まで設立して数で攻めようという魂胆は凄いですね。
しかも国会の議会制民主主義を完全否定。日本は中国や北朝鮮じゃないんですが…。
ちなみにこの方元警察庁・生活安全課出身の警察官僚だそうです。
しかし、ECPAT東京然り、他の規制推進団体然り、児童保護を謳っている割に国内の児童貧困問題や児童買春問題にコミットした形跡が全くなく、取り締まり強化や児童ポルノではない創作物の規制に一生懸命です。
これは前回の改正児ポ法騒動でも同様の指摘がありましたが、どういう事なんでしょうか。
そもそも、
「性欲が充満したら強姦する」ってのはAVやエロ漫画で収めない人の発想で、「創作物の影響で犯罪が!」ってのは創作物読んだ程度で犯罪犯すような子供育ててきた社会の代弁者でしか無いんですよね。
その昔規制議連の会長だった麻生氏も多少変わってくれたと考えていましたが、そんな事は全くありませんでした。
ゾーニングと児童ポルノ禁止法の区別もついておらず、「ポルノの漫画児童ポルノ」という謎発言まで。漫画家を犯罪者扱いですか?
おそらく殆んどの政治家が、児童ポルノ禁止法が何の法律で児童ポルノがどういったものか知りません。
何となく「ポルノ」がついてるので反対しづらい議員も居るでしょう。
ですので逮捕取締付き青少年有害社会環境対策基本法案になっていても誰も突っ込みません。
この法案は建前と中身が完全に不一致です。
というか、いい加減生育歴から性犯罪要因割り出すなり、児童貧困対策に本腰を入れるなりせんのでしょうか。児童保護や性犯罪撲滅に関心無さすぎにも程があります。
↓京都大学高山加奈子先生による児童ポルノ禁止法改正案等の解説講演
児童ポルノ規制論点解説講演会-名古屋 (66:14)
<クールジャパン>表現規制への懸念も - Y!ニュース - headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130523-… ……官邸まで乗り込んで言ったし、あの場では皆さん頷いていた。なのに、これで規制を強めるようじゃ、何のためのクールジャパンなのかわからない。たんなる標語なんか無意味です。
— 樹林 伸 (キバヤシ シン)さん (@agitadashi) 2013年5月23日
樹林先生お疲れ様です。
自公が児童ポルノ禁止法改正案 わいせつ画像「所持」禁止
橋下慰安婦発言問題で揺れている日本維新の会も賛同。いやぁ、呆れました。
高市早苗議員がみんなの党に賛成説得をかけた時の条文が公開されてますが、これに賛同し様がありません。
この問題は個人的にかなり怒りを覚えているので改めておさらいしておきます。
まず児童ポルノは「実在児童への性的搾取及び性的虐待を記録した動画像や写真等の現行児童ポルノ禁止法で違法とされる物」であり、製造や販売、配信行為は現行法でも取締可能です。
そして児童の定義は「18歳未満の者」です。
しかし、定義内の三号ポルノを含むと「授乳写真」「アルバム内の児童の水遊び」「医学資料や学術研究資料」等々、幅広い範囲で違法化する事が可能です。
ジャニーズJr.の上半身全裸ダンスも児童ポルノに含まれますね。児童ポルノとは女児限定のお話ではありませんので。
とても馬鹿馬鹿しい話ですが、実際に授乳写真をアップロードした母親が北米で逮捕されて子供と引き離されています。
自民党高市早苗提出の児童ポルノ禁止法改正案は単純所持規制による逮捕罰則を含めつつ、恣意的逮捕の回避を第三条の留意のみで担保した事にしていますが、定義の明文化はしませんので国家権力のさじ加減で逮捕可能です。
現行法で対処して来なかった警察に取締範囲の拡大権だけ与えるのがどういう事か、わからんのですかね…。
ご存知の通り、日本には取り調べの可視化はありません。
イギリスでもしっかり政治利用されてましたが、どうなるんでしょうね? これ。
2009年の法務審議会でも大揉めだったんですが、高市早苗議員の脳内では無かった事になっているようです。
さて、改正条文ですが、
●ICPO(国際刑事警察機構)基準を完全無視。
条文の序文に「国際情勢を鑑みて」とありますが、時代に逆行し過ぎでは?
CAM(Child Abuse Material)=製造過程に犯罪のある児童性的虐待物、だと児童保護にしかならないから都合が悪いんですねわかります。
定義範囲を拡げて留意で縛ったふりをするのではなく、定義を明確にすべきです。
●児童を児童ポルノに斡旋する者(*現行条文第五条〜六条で対応可能というご意見有)、自身を児童ポルノに斡旋する児童の取締はしない。
金銭目的でそれに斡旋する親は放置状態。また、児童買春を持ちかける児童に対する処罰もありませんので、年齢を隠して売春を持ちかける児童も止められません。要は製造プロセスの放置です。
*児童性的虐待物とジュニアアイドルの着エロDVDを混同する記述になっていましたので訂正します。10歳前後の児童の過激な衣装による擬似性行為等は問題ですが、「子どもの権利条約 第34条c」で対応可能との事。
●児童ポルノの購入、児童ポルノ製造への資金提供は取締対象ではない。児童ポルノの財産権も認めている。
↑を取締対象にして財産権を認めない、とすれば単純所持規制は要りません。国際的な批判(といっても日本の政治団体の扇動が主ですが)も跳ね除けれます。
明らかに行き過ぎである単純所持規制を入れる前に、本来必要な物を考えるべきでしょう。
(*財産権の否定を明確にはしていませんが、"所持禁止"で対応可能というご意見も有り。また、犯収法で資金援助に対応可能というご意見有り)
●児童相談所の家庭介入権を変更しない。
児童への性犯罪率が最も高いのは親や同居の家族、親の再婚相手等々。児童と接する機会の多い大人程児童性犯罪率が高い現実を無視しています。これは米国メーガン法に関するレポート、性犯罪者の事実でも言及されています。
●文部科学省との連携対処無し。
児童に性的な目的で接触を図る大人や、自己の性的価値を性器等の画像のアップロードで確認する児童に対し、情報教育や性教育の徹底は必要な筈ですが。
日本で一番児童のポルノを持ってるであろう規制推進派の人々も何故かこの事には言及しないという不思議…。
●貧困や生育歴と性犯罪の要因研究が無い。
みっともない話ですが、日本は先進国児童貧困率第四位。第二位の時期もありました。貧困と性犯罪や売春の相関関係について、この国では国内の問題としての言及が全くありません。児童保護の観点から法案作成を考えたら真っ先に気づいて入れる項目じゃないんですか? これ。
●条文の日本語がおかしい。
第九条要約「年齢を知らない事で処罰を免れる事は出来ないが、過失がない場合はその限りではない」
年齢を知らなくても逮捕されます。しかし過失がなければ逮捕されません。具体的にどんな状況でしょうか?
●法案提出者が法律の趣旨を理解していないか意図的に曲げている。
冒頭の産経新聞の記事に「わいせつ」とありますが、わいせつ物頒布の取締は刑法175条の領分で、わいせつ取締目的は児童ポルノ禁止法の趣旨ではありません。
●附則で児童ポルノ禁止法の趣旨に反した疑似科学研究に政府の予算が三年も使われる。
創作物と性犯罪の因果関係を調べる為に三年分の研究費を政府予算から捻出します。
が、警察庁・科学警察研究所とハワイ大学の共同研究結果で「性表現は性犯罪の要因とはいえない」とする研究結果が既に出ており、警察庁の公式見解となっています。
デンマーク政府も昨年政府見解として同様の発表をしており、米国でもバーチャルイメージを児童ポルノとして違法化する事は違憲と判決が出ています。
何故時代に逆行してこれまでの研究結果を覆したいかと云うと、取締担当の警察庁生活安全課と規制推進団体の参加する民間財団法人(IHC)の権限拡大と予算確保が目的と考えるのが妥当ではないかと。
どれだけ税金を無駄にしたいんですかね、この人達は。現行児童ポルノ禁止法下で取り締まり強化するだけでもっとマシになってる筈なんですが…。
しかも「児童ポルノに類する」の後にどうやったら「漫画等」がくっつくんでしょう?
法律の文脈上児童ポルノに類したら「実在児童の擬似性行為の記録物」か「実在児童に見える容姿の成人の性的記録物」になるんですが。
条文作った人は法律用語の児童ポルノを理解してますか?
以上。
相当児童の人権保護に関心が無い人じゃない限り、条文読んで賛成は不可能です。
提出者の趣旨説明と条文が大きく乖離した法案でしかありません。
LINEで12歳の子供が40歳の中年男性に出会って強姦される様な事件もありますので、児童の性犯罪被害の対策は急務です。
しかし、これでは何の役にも経ちません。弊害ばかりの駄目法案です。
にも関わらずECPAT東京の顧問弁護士の後藤啓二氏は大賛成。
ブログ7・ 児童ポルノの単純所持の禁止は「与野党協議」でなく「採決」を!!
ECPAT東京に飽きたらず新団体まで設立して数で攻めようという魂胆は凄いですね。
しかも国会の議会制民主主義を完全否定。日本は中国や北朝鮮じゃないんですが…。
ちなみにこの方元警察庁・生活安全課出身の警察官僚だそうです。
しかし、ECPAT東京然り、他の規制推進団体然り、児童保護を謳っている割に国内の児童貧困問題や児童買春問題にコミットした形跡が全くなく、取り締まり強化や児童ポルノではない創作物の規制に一生懸命です。
これは前回の改正児ポ法騒動でも同様の指摘がありましたが、どういう事なんでしょうか。
そもそも、
「性欲が充満したら強姦する」ってのはAVやエロ漫画で収めない人の発想で、「創作物の影響で犯罪が!」ってのは創作物読んだ程度で犯罪犯すような子供育ててきた社会の代弁者でしか無いんですよね。
その昔規制議連の会長だった麻生氏も多少変わってくれたと考えていましたが、そんな事は全くありませんでした。
ゾーニングと児童ポルノ禁止法の区別もついておらず、「ポルノの漫画児童ポルノ」という謎発言まで。漫画家を犯罪者扱いですか?
おそらく殆んどの政治家が、児童ポルノ禁止法が何の法律で児童ポルノがどういったものか知りません。
何となく「ポルノ」がついてるので反対しづらい議員も居るでしょう。
ですので逮捕取締付き青少年有害社会環境対策基本法案になっていても誰も突っ込みません。
この法案は建前と中身が完全に不一致です。
というか、いい加減生育歴から性犯罪要因割り出すなり、児童貧困対策に本腰を入れるなりせんのでしょうか。児童保護や性犯罪撲滅に関心無さすぎにも程があります。
↓京都大学高山加奈子先生による児童ポルノ禁止法改正案等の解説講演
児童ポルノ規制論点解説講演会-名古屋 (66:14)
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