2018年02月03日
拓馬篇−2章◇ ★
日が完全に沈んだ頃、パーカーを着た少年が住宅街を走った。これは彼のトレーニングだ。鍛えた体は異性にもてはやされる、という思想のもと、少年は自身を研磨した。
少年はふと足早に道行く者を見つけた。街灯を頼りに目をこらしてみると、髪留めを後頭部につけた少女だとわかった。そのいでたちは美人の同級生によく似ている。そうと気付いた少年は、目的の進行方向を変える。二人の距離は縮まっていく、かに見えた。
「うぅわっ!」
少年は悲鳴をあげた。何者かが少年の顔を掴んだのだ。不測の事態におちいった少年は、逃げなくては、と思う一心で、自分を拘束する手首を握りしめた。その手首は太く、強靭。少年の力では振りほどけない。その事実がわかっても、抵抗は止めなかった。
少年は体に力が入らなくなり、徐々に立つこともままならなくなる。ふらつく体を、拘束者の手と腕が支えた。少年がだらりと手を下ろす。すると顔を捕捉する手が離れた。
少年の体はゆっくりと地面へ置かれた。あたりに少女はいない。少年の身に起きた不幸を気づかず、立ち去ったようだ。少年は薄れゆく視界の中で襲撃者を見上げた。巨大な体躯の影があった。人相のわからないシルエットは、物音を立てずに去る。その行き先は少女の進路と同じであったように見えたが、無力な少年はその場に寝入ってしまった。
少年はふと足早に道行く者を見つけた。街灯を頼りに目をこらしてみると、髪留めを後頭部につけた少女だとわかった。そのいでたちは美人の同級生によく似ている。そうと気付いた少年は、目的の進行方向を変える。二人の距離は縮まっていく、かに見えた。
「うぅわっ!」
少年は悲鳴をあげた。何者かが少年の顔を掴んだのだ。不測の事態におちいった少年は、逃げなくては、と思う一心で、自分を拘束する手首を握りしめた。その手首は太く、強靭。少年の力では振りほどけない。その事実がわかっても、抵抗は止めなかった。
少年は体に力が入らなくなり、徐々に立つこともままならなくなる。ふらつく体を、拘束者の手と腕が支えた。少年がだらりと手を下ろす。すると顔を捕捉する手が離れた。
少年の体はゆっくりと地面へ置かれた。あたりに少女はいない。少年の身に起きた不幸を気づかず、立ち去ったようだ。少年は薄れゆく視界の中で襲撃者を見上げた。巨大な体躯の影があった。人相のわからないシルエットは、物音を立てずに去る。その行き先は少女の進路と同じであったように見えたが、無力な少年はその場に寝入ってしまった。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
この記事へのコメント
コメントを書く