2018年12月03日
北朝鮮外交にみるイメージ(臨場感空間)の書き換え
(事実関係)
韓国市民の北朝鮮の指導者金正恩氏に対するイメージが変化しているようだ。
【ソウル】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、バスケットボールとコンピューターが好きな親しみやすい若き平和の担い手――。少なくとも、クリスマス商戦を迎えた韓国で最も話題になっている子供向けギフトの一つで描かれた姿によれば、そういうことになる。
陽気に手を振る正恩氏の姿をアニメ風に描いた立体パズルセットは、今週に入って店頭から撤去された。正恩氏を残忍な独裁者で人権無視の犯罪者と考える韓国の保守派の人々から激しい非難を浴びたからだ。
しかし、韓国の教育放送公社(EBS)が就学前児童や小学生向けに販売したこの玩具は、1年間にわたるハイレベルの南北交流を経て、韓国内での正恩氏のイメージがいかに急激に変化したかを物語っている。
ちょうど1年前、正恩氏は北朝鮮史上最も強力な大陸間弾道ミサイル(ICBM)である「火星15」の発射実験を視察していた。このミサイルについて正恩氏は、米国全土を射程に収めるものだと豪語した。その数カ月か前には、異母兄である金正男氏を公共の場で使用禁止の化学兵器によって暗殺したと非難されていた。
しかし、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領との3回の会談やドナルド・トランプ米大統領との首脳会談を経て、正恩氏の一般イメージは最近数カ月で劇的変化を遂げた。
THE WALL STREEAT JOURNAL 11月29日
北の新しい首長様と言えば、血の気の多い残虐なイメージがあった。引用の記事にもあるように、昨年は異母兄である正男氏を暗殺したり、ミサイルを飛ばしまくり米トランプ大統領からロケットマンと非難されていた。
金正恩氏(以下、正恩氏)は指導者に就任する前の2010年には、延坪島砲撃事件の指揮を執ったとも言われている。
一貫して強面、悪人のイメージが強かった人物だ。あまりにも強面過ぎて昨年の前半には、正恩氏を暗殺する斬首作戦の決行も噂されていたくらいだ。
しかし、引用した記事では敵国市民である韓国市民からイメージが改善されたと報じられている。
(コメント)
1-1
正恩はイメージの取り組みにエネルギーを注いできた。一年前までの北朝鮮は日本をはじめとする各国からの経済封鎖によって相当疲弊していたのだろう。正恩氏自身も暗殺される緊張が高まっていたのだろう。この状況を打破すべく指導者自らが自国のイメージを改善すべく動き出したと推測する。
イメージの改善とは臨場感空間の書き換えに他ならない。臨場感空間とは、人々の脳の中にある認識空間である。ここを書き換えるとある対象への認識が変わる。
つまり正恩氏は諸外国の人々、とくに韓国市民の北朝鮮に対する悪いイメージから構成される臨場感空間を良いイメージへと書き換えに成功したのである。
臨場感空間の書き換えの基本は、まずは書き換えを意図する人と書き換えの対象者とが臨場感を共有する方法がある。書き換えを意図する人は正恩だ。書き換えの対象者は韓国市民であり、まずはその集合体である韓国大統領だ。
具体的な方法については南北首脳会談だ。ここで韓国市民を代表する国家元首である大統領を正恩氏と臨場感空間を共有させる。会談は北朝鮮の首都平壌で執り行われた。正恩氏にとってはコンフォートゾーンであり、これは氏にとって有利に展開を進めていくことを意味する。
会談では対話や饗宴を通じて、お互いの心を同調させていく。とくに饗宴はホメオスタシスのバイタルな活動である食事や、感情を共有する文化的レクリエーションを共にする。
これらの活動はともに行うことで臨場感空間の共有が高まりラポールが生まれる。
ラポールとは変性意識下で、相手を大事に思う強い好意だ。
正恩氏と韓国大統領との間でラポールが構築されたとみて間違いないだろう。この状態であれば、お互いの臨場感空間を書き換え易い状態になる。簡単に言えば、心変わりさせることだ。
ただし、会談場所が平壌で行われたことを忘れてはならない。先にも述べたが平壌は正恩氏にとってのコンフォートゾーンであり、ラポールでも氏の方が主導権を握りやすい。何が言いたいかというと、正恩氏は自分が創り出した臨場感空間に韓国大統領を引きずりこんだということだ。むろん正恩氏が作り出した臨場感空間は自分が治める北朝鮮に有利なものに間違いないだろう。これにより正恩氏は無意識下で韓国大統領に対して主導権を握ったのである。
1-2
韓国大統領は大韓民国の国家元首であり、韓国市民を代表する。正恩氏はこの韓国大統領に気に入られた。韓国大統領に気に入られることで、多くの韓国市民にもこの心理状況が転移する。
もちろん青瓦台のテコ入れで韓国メディアに対して、正恩氏や北朝鮮を悪く捉えるような記事は書くなというお達しがあったのかもしれない。メディアのコントロールも臨場感空間の書き換えに大変有効な方法だ。
仮に、このように韓国メディアがコントロールされていれば、韓国市民の正恩氏や北朝鮮に対する臨場感空間が敵国の首領からバスケットボールとコンピューターが好きな親しみやすい若き平和の担い手に変わっても何ら不思議ではない。
韓国市民の北朝鮮の指導者金正恩氏に対するイメージが変化しているようだ。
【ソウル】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、バスケットボールとコンピューターが好きな親しみやすい若き平和の担い手――。少なくとも、クリスマス商戦を迎えた韓国で最も話題になっている子供向けギフトの一つで描かれた姿によれば、そういうことになる。
陽気に手を振る正恩氏の姿をアニメ風に描いた立体パズルセットは、今週に入って店頭から撤去された。正恩氏を残忍な独裁者で人権無視の犯罪者と考える韓国の保守派の人々から激しい非難を浴びたからだ。
しかし、韓国の教育放送公社(EBS)が就学前児童や小学生向けに販売したこの玩具は、1年間にわたるハイレベルの南北交流を経て、韓国内での正恩氏のイメージがいかに急激に変化したかを物語っている。
ちょうど1年前、正恩氏は北朝鮮史上最も強力な大陸間弾道ミサイル(ICBM)である「火星15」の発射実験を視察していた。このミサイルについて正恩氏は、米国全土を射程に収めるものだと豪語した。その数カ月か前には、異母兄である金正男氏を公共の場で使用禁止の化学兵器によって暗殺したと非難されていた。
しかし、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領との3回の会談やドナルド・トランプ米大統領との首脳会談を経て、正恩氏の一般イメージは最近数カ月で劇的変化を遂げた。
THE WALL STREEAT JOURNAL 11月29日
北の新しい首長様と言えば、血の気の多い残虐なイメージがあった。引用の記事にもあるように、昨年は異母兄である正男氏を暗殺したり、ミサイルを飛ばしまくり米トランプ大統領からロケットマンと非難されていた。
金正恩氏(以下、正恩氏)は指導者に就任する前の2010年には、延坪島砲撃事件の指揮を執ったとも言われている。
一貫して強面、悪人のイメージが強かった人物だ。あまりにも強面過ぎて昨年の前半には、正恩氏を暗殺する斬首作戦の決行も噂されていたくらいだ。
しかし、引用した記事では敵国市民である韓国市民からイメージが改善されたと報じられている。
(コメント)
1-1
正恩はイメージの取り組みにエネルギーを注いできた。一年前までの北朝鮮は日本をはじめとする各国からの経済封鎖によって相当疲弊していたのだろう。正恩氏自身も暗殺される緊張が高まっていたのだろう。この状況を打破すべく指導者自らが自国のイメージを改善すべく動き出したと推測する。
イメージの改善とは臨場感空間の書き換えに他ならない。臨場感空間とは、人々の脳の中にある認識空間である。ここを書き換えるとある対象への認識が変わる。
つまり正恩氏は諸外国の人々、とくに韓国市民の北朝鮮に対する悪いイメージから構成される臨場感空間を良いイメージへと書き換えに成功したのである。
臨場感空間の書き換えの基本は、まずは書き換えを意図する人と書き換えの対象者とが臨場感を共有する方法がある。書き換えを意図する人は正恩だ。書き換えの対象者は韓国市民であり、まずはその集合体である韓国大統領だ。
具体的な方法については南北首脳会談だ。ここで韓国市民を代表する国家元首である大統領を正恩氏と臨場感空間を共有させる。会談は北朝鮮の首都平壌で執り行われた。正恩氏にとってはコンフォートゾーンであり、これは氏にとって有利に展開を進めていくことを意味する。
会談では対話や饗宴を通じて、お互いの心を同調させていく。とくに饗宴はホメオスタシスのバイタルな活動である食事や、感情を共有する文化的レクリエーションを共にする。
これらの活動はともに行うことで臨場感空間の共有が高まりラポールが生まれる。
ラポールとは変性意識下で、相手を大事に思う強い好意だ。
正恩氏と韓国大統領との間でラポールが構築されたとみて間違いないだろう。この状態であれば、お互いの臨場感空間を書き換え易い状態になる。簡単に言えば、心変わりさせることだ。
ただし、会談場所が平壌で行われたことを忘れてはならない。先にも述べたが平壌は正恩氏にとってのコンフォートゾーンであり、ラポールでも氏の方が主導権を握りやすい。何が言いたいかというと、正恩氏は自分が創り出した臨場感空間に韓国大統領を引きずりこんだということだ。むろん正恩氏が作り出した臨場感空間は自分が治める北朝鮮に有利なものに間違いないだろう。これにより正恩氏は無意識下で韓国大統領に対して主導権を握ったのである。
1-2
韓国大統領は大韓民国の国家元首であり、韓国市民を代表する。正恩氏はこの韓国大統領に気に入られた。韓国大統領に気に入られることで、多くの韓国市民にもこの心理状況が転移する。
もちろん青瓦台のテコ入れで韓国メディアに対して、正恩氏や北朝鮮を悪く捉えるような記事は書くなというお達しがあったのかもしれない。メディアのコントロールも臨場感空間の書き換えに大変有効な方法だ。
仮に、このように韓国メディアがコントロールされていれば、韓国市民の正恩氏や北朝鮮に対する臨場感空間が敵国の首領からバスケットボールとコンピューターが好きな親しみやすい若き平和の担い手に変わっても何ら不思議ではない。
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