「なぁ、アカリ。 なんでアカリは俺のところに来たんだ」
……
「やらないといけないこと、あるから」
やらないといけないこと、それは何なんだ。
そんなことは言えなかった。お前は何なんだ。
言いたかったけど言えなかった。ただの、野暮だ。
アカリを見る。
顔はどこか憂うような影があるような気がしてしまって、それ以上何も聞くことはできなかった。
「ユキとアカリ」は、家族をテーマにした、今時珍しいくらいド直球の泣きゲー
作者である広島大学ゲーム制作同好会のメンバーはまだ若い筈だが、2000年代の雰囲気がある(EDも初音ミク。懐かしい)
主人公はフリゲでは大変珍しい、33歳の男性、野島。
「ドリーミングナイト」の主人公は50を過ぎた極端な中高年だったが、33でも、フリゲ主人公としてはかなり年齢が高いだろう。
フリゲは主に若年層が作り若年層が遊ぶものなので、主人公は少年少女、舞台は学校ばかりだ。なので私はこのゲームに大変感情移入できた
野島はうだつのあがらないフリーターで、ドーナツショップでバイト生活をしている。
そしてここが重要だが、店長は飲食店なのになぜか露出の高い服を着た、Hな姉貴だ
異常気象により雪の降る夏の日、バイト帰りにアカリという謎の少女と出会い、奇妙な同居生活が始まる…
最初は困惑していたものの、徐々にふたりの生活に心地よさを感じるようになる…
まずストーリーの軸として、妻を亡くした事で人生に挫折した野島の再生ストーリーと、アカリは何者なのか?という2つの要素がある。
アカリについては……かなり王道かな。
王道というかお約束過ぎて大部分のプレイヤーが正体や結末を予測できるだろう。ぶっちゃけプレイ前から分かる人もいるかもしれない
もっとも王道作品だし、作者も意外性は狙ってないだろう。
描写が丁寧で、伏線もあり、これでいいと思う。
アカリはとても可愛い。純真無垢で阿呆だが嫌味が無い
主人公以外には見えない設定なので、独り言を言うおかしな奴と思われる定番シーンもある
亡き妻織姫は、野島に「お前は幸せを求めちゃいけない」という意味深な言葉を遺す。
この言葉の本当の意味が分かる場面は、うるっときちゃったよ。ちょっとだけ、だけどね。
野島があることで再生するラストシーンは、割とあっさり。ぐだぐだするよりはいいが、もう少し余韻があってもよかった。
サブキャラや「このセカイで……」のヒロインらしき人物も、出番が少なかったかな…
残念なのはエフェクトを多用し立ち絵が画面中で動くので、動作がやや重く、誤字脱字が多い
折角絵が綺麗なので、スチルも1枚くらいあってもいいのでは。
評価C+
65点
クリア時間は、30分ほど。
多くの部分が自作だし、かなりの良作です。
家族との別れをテーマにした作品が好きな人、泣きゲーが好きな人、幼女が好きな人、そんなあなたにおすすめします
広島弁で言うと……
バリ泣けるたい!こんゲーム!!
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