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2020年08月21日
【彩りあざやか】食品に使用される着色料
着色料は、食品の製造工程や保存時の色調の変色や退色を補って、色調を整える効果があります。
ナフサ由来のタール系色素は、鮮明な色を出し、退色しにくいという優れた特徴を持った着色料でしたが、1960年代にそれまでに食品添加物として指定されていたタール色素に発がん性などが指摘され、相次いで指定が取り消され、タール色素のイメージが非常に悪化しました。
日本では、伝統的な食習慣から色の派手なものよりも、より自然に近い色を好む傾向があり、ベニバナの赤色やクチナシの実の黄色、ヨモギの葉の緑色などを食品の着色に使用してきた経験もあり、天然由来の着色料が広く使用されています。
ただし、食肉や魚介類、野菜といった生鮮食品に着色料を使用することは法律で禁じられています。これら生鮮食品に着色料を使用することは、その品質と鮮度に関して消費者の判断を誤らせるおそれがあるからです。
ベニノキ科ベニノキの種子の被覆物から、油脂又は有機溶媒で抽出するか、あるいは加水分解して得られます。主成分はカロチノイド系の黄橙色の色素です。ハムやソーセージ、水産加工品、チーズ、マーガリン、卵加工品、タレ類、コーンカップなどに使用されています。
ショウガ科ウコンの根茎よりエタノール、、油脂又は有機溶媒で抽出して得られます。主成分は、クルクミンという鮮やかな黄色の色素です。カレーの色はこの色素によるものです。カレーやたくあんなどの漬物、グミ、キャンディーなどの菓子に使用されています。
ぶどう糖や砂糖、でんぷん加水分解物、糖蜜などを加熱処理することで得られます。製法の違いで4種類に分けられますが、同じような褐色を示します。カラメル水溶液は、淡褐色から黒褐色を示し、熱や光に対して安定です。清涼飲料水や乳飲料、即席めんのスープ、菓子類、漬物、つくだ煮、しょう油、ソースに使用されています。カラメルには、着色のほかに苦みやコク付け、ロースト感などの風味付け、ウィスキーの品質調整にも用いられます。
カラメルは着色料の中で、用途が最も広く、使用量が最も多いです。天然系色素および合成色素を含めた日本の食品用着色料市場において、カラメルは数量ベースで80%以上を占め、需要量は約1万9千トンといわれています。
カラメル Iは、でんぷん加水分解物、糖蜜または食用の糖質を熱処理して得られたもの、または酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたもので、亜硫酸化合物およびアンモニウム化合物を使用していないものです
カラメル IIは、でんぷん加水分解物、糖蜜または食用の糖質に亜硫酸化合物を加えて、またはこれに酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたもので、アンモニウム化合物を使用していないものです。
カラメル IIIは、でんぷん加水分解物、糖蜜または食用の糖質にアンモニウム化合物を加えて、またはこれに酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたもので、亜硫酸化合物を使用していないものです。
カラメル IVは、でんぷん加水分解物、糖蜜または食用の糖質に亜硫酸化合物およびアンモニウム化合物を加えて、またはこれに酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたものです。
カラメルを食品に使用した場合の表示については、食品衛生法とJAS法の規制があります。食品添加物であるカラメルの表示は食品衛生法施行規則に従って行なわれます。カラメルを着色料目的で使用した場合は用途名併記となり、「着色料(カラメル)」または「カラメル色素」と表示します。
カラメルは、使用量の制限は規定されていませんが、着色料の使用基準が適用されます。この使用基準は、カラメル製品に「本品は、こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品を除く)、鮮魚介類(鯨肉を含む)、茶、のり類の食品に使用できません。」と表示しなければなりません。
カラメルは、変異原性試験、反復投与毒性試験、発がん性試験等多くの試験が行なわれ、安全性に問題がないことが報告されており、安全性が確認されています。
アカネ科クシナシの果実を水やアルコールで抽出、あるいは加水分解して得られるものが、カロチノイド系の物質を主成分とするクチナシ黄色素です。果実の抽出液に酵素を作用させて得られる色素が、クチナシ青色素とクチナシ赤色素です。菓子や冷菓、めん類、水産練り製品、わさび、卵加工品、漬物、栗きんとんなどの着色に使用されています。
スペイン南部や中南米のサボテンに寄生するカイガラムシ科の昆虫の乾燥体から水やアルコールで抽出して得られます。主成分はカルミン酸という物質で、色調は橙〜赤紫色を示します。清涼飲料水や冷菓、菓子、食肉加工品、かまぼこなどに使用されています。イタリアのカンパリというリキュールの着色にも用いられています。
食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用青色1号及び食用青色2号の12種類が指定されています。菓子や漬物、魚介類加工品、畜産加工品などに使用される一方、カステラやきなこ、魚肉漬物、鯨肉漬物、こんぶ類、しょう油、食肉、食肉漬物、スポンジケーキ、鮮魚介類、茶、のり、マーマレード、豆類、みそ、めん類、野菜、わかめ類に使用することはできません。
クロロフィルは植物体内にある葉緑素のことです。クロロフィル中に含まれるマグネシウムを銅に置き換えて作られたものが銅クロロフィルです。青〜緑色を呈します。使用基準があり、昆布、野菜類や果実類の貯蔵品、チューインガム、魚肉ねり製品、生菓子、みつ豆缶詰中の寒天に使用されます。
カビの1種となるベニコウジ菌の培養液を乾燥、粉砕した後、アルコールや有機溶媒で抽出することで、主成分がモナスコルブリンやアンカワラビンとなる赤色の色素が得られます。抽出時に酸性に調整されたアルコールを用いると黄色の色素が得られます。紅麹は、酒造りにも用いられ、中国の老酒や沖縄の泡盛の色は、この色素によるものです。カニ風味蒲鉾などの魚肉ねり製品や味付たこ、畜産加工品などに使用されます。
キク科ベニバナの花から水で抽出すると、サフロミンというフラボノイド系の物質を主成分とする黄色の色素が得られます。黄色の色素を抽出した後、弱アルカリで再度抽出すると、同じくフラボノイド系のカルタミンという物質を主成分とする赤色色素が得られます。飲料や冷菓、菓子、中華めんなどに使用されています。なお、ベニバナは日本では昔から高級和菓子に使われてきました。
ラッカイン酸を主成分としたアントラキノン系の赤色色素です。ラックカイガラムシの雌が分泌する樹脂状物質から抽出した色素です。やや青みのある赤色を呈し、耐熱性や耐光性に優れています。水産練り製品や畜肉加工品、冷菓、菓子類などに使用されます。
竹を炭化させた竹炭が原材料となります。健康イメージなどにより、黒色食品市場で注目されています。竹炭は、他の色素に少量混合することで、濃深みのある色調を表現できます。微粉であるため、舌のざらつきも少なく、菓子類やパン、めん類に使用されています。
着色料は、食品の製造工程や保存時の色調の変色や退色を補って、色調を整える効果があります。
日本では、伝統的な食習慣から、より自然に近い色を好む傾向があり、ベニバナの赤色やクチナシの実の黄色など天然由来の着色料が広く使用されています。
用途が最も広く、使用量が最も多い着色料はカラメルです。天然系色素および合成色素を含めた日本の食品用着色料市場において、カラメルは数量ベースで80%以上を占めています。
ただし、食肉や魚介類、野菜といった生鮮食品に着色料を使用することは法律で禁じられています。これら生鮮食品に着色料を使用することは、その品質と鮮度に関して消費者の判断を誤らせるおそれがあるからです。
2020年08月20日
【多種多様な酸味】有機酸の性質と用途
有機酸とは、酸性を示す有機化合物の総称で、食品の中では酸味を呈す物質となります。酸化の防止や抗菌性が期待され、機能性も注目されています。自然界では果実などに多く含まれ、 代表的なものでは、柑橘類や梅干しなどに多く含まれるクエン酸や、食酢の主成分となる酢酸、リンゴやワインに酸味を付与するリンゴ酸などがあります。食品には、酸味を呈す酸味料などとして、清涼飲料水やゼリー、麺類、菓子パン、ソース、漬物、畜産加工品、菓子類などに幅広く使用されています。
酸味料となる有機酸の呈味の特性とクエン酸を基準とした場合の比較酸味度は、以下の通りです。
有機酸は、それぞれ特有の呈味特性を持つことから、用途に合わせて選択され、さまざまな食品に使われることになります。
溶液中にある酸自体の濃度を示す酸度の調整には、有機酸だけでなく有機酸のナトリウム塩などが使用されます。一例として、乳酸と乳酸ナトリウムなどは、組み合わせることで酸度調整に用いられます。酸の効果により酸度を調整することになり、酸味料の使い方のひとつです。酸度の調整に使われる有機酸とそのナトリウム塩などは、溶液中の水素イオン濃度を表すpHの調整目的にも使用されます。
一般的に食品は、pHを低くすることで保存性が高くなります。そのため食品のpHを酸性に保つ目的で、有機酸が使われ、保存性を向上させることもあります。
酸味料として以外にも調味料として使用される有機酸と有機酸のナトリウム塩のうち、調味料(有機酸)の一括表示が許可されているものは、クエン酸カルシウムやクエン酸3ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸1ナトリウム、コハク酸2ナトリウム、酢酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウム、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、フマル酸2ナトリウム、リンゴ酸ナトリウムの16種類あります。この中で独特の酸味とうま味のあるコハク酸は、しょう油やみそ、インスタントラーメン、ハムなどに用いられます。
・クエン酸
クエン酸は、レモンやグレープフルーツなどの柑橘類や梅干しなどに含まれる爽快な酸味を呈す成分です。酸味を付ける目的で清涼飲料水などに幅広く使用されています。人の細胞内にあるミトコンドリアでは、クエン酸回路(TCA回路)と呼ばれる反応が行われ、クエン酸はエネルギーの生産に関与しています。また、クエン酸の酸味には、食欲を増進させる効果があります。
・リンゴ酸
リンゴやワインなどに含まれ、爽快感のある酸味を持つため、清涼飲料水やフルーツゼリーなどの酸味料として用いられます。また、ソーセージなどの畜産加工品のpH調整剤をはじめ、さまざまな用途に使用されます。リンゴ酸もクエン酸と同様に細胞内ミトコンドリアで、エネルギー生産に関与しています。
・コハク酸
清酒やあさりなどの貝類に多く含まれ、わずかなうま味とエグ味のある酸味を呈します。特にコハク酸2ナトリウムは貝類のうま味成分であり、調味料としてグルタミン酸ナトリウムなどとともに使用されます。コハク酸もクエン酸と同様に細胞内ミトコンドリアで、エネルギー生産に関与しています。
・フマル酸
フマル酸は酸味が強く、サイダーなどの清涼飲料水、あめやチューインガム、クッキー、スナックなどの菓子類、シュウマイや餃子、ハンバーグなどの惣菜、ハムやソーセージ、チーズなどの畜産加工品などに使用される果実酸です。フマル酸もクエン酸と同様に細胞内ミトコンドリアで、エネルギー生産に関与しています。
・乳酸
乳酸は、乳製品や漬物などの発酵食品に多く含まれます。乳酸は、クセのないおだやかな酸味を呈します。 酸臭が少ないため、pH調整などにも幅広く使用されています。乳酸は、解糖系という体内の反応経路で生成します。この反応経路は主にぶどう糖をピルビン酸という有機酸に分解する代謝経路です。ほとんど全ての生物が解糖系を持っており、もっとも原始的な代謝系とされています。解糖系では、筋肉を収縮させるエネルギーを得るために、筋肉に蓄えられた糖質のグリコーゲンはピルビン酸を経て、乳酸まで分解されます。
また、長い間乳酸は疲労の原因物質と考えられていましたが、最近では乳酸が多く生成する過程で発生する水素イオンの影響により、体が若干酸性に傾くこととエネルギー源となるグリコーゲンの蓄えが少なくなることが疲労の原因と言われています。疲労は個人差もあり、さまざまな原因が重なり合って起こります。
・酢酸
酢酸は、特有のにおいが避けられることもあり、使用量は限られるものの食酢やソースの原材料として使用されます。また、酢酸は、菌の増殖を阻止する静菌効果が認められることから、日持ち向上の効果により、日持向上剤として用いられます。
・酒石酸
酒石酸は、レモンやぶどうなどの酸味のある果実に含まれています。ワインの醸造過程で、樽に付着する結晶化したものを酒石と呼ぶことから、酒石酸と命名されました。渋味とやや収れん味のある酸味を呈します。酸味料として、清涼飲料水やゼリー、菓子類、パンなどに使用されまるほか、pH 調整剤としても用いられます。酒石酸は摂取しても、そのまま排泄、あるいは腸内細菌によって分解されます。
有機酸は、酸性を示す有機化合物の総称で、食品の中では酸味を呈す物質となります。酸化の防止や静菌性が期待され、これらの機能性も注目されています。自然界では果実などに多く含まれ、 代表的なものでは、柑橘類や梅干しなどに多く含まれるクエン酸や、食酢の主成分となる酢酸、リンゴやワインに酸味を付与するリンゴ酸などがあります。
有機酸は、クエン酸やリンゴ酸、コハク酸、乳酸などそれぞれ特有の呈味特性を持つことから、用途に合わせて選択されます。食品には、酸味を呈す酸味料などとして、清涼飲料水やゼリー、めん類、菓子パン、食酢、ソース、漬物、畜産加工品、菓子類などに幅広く使用されています。
2020年08月19日
【産地のこだわり】銘柄豚
銘柄豚を名乗る上で規制は特になく、正式な定義も存在しません。小売の段階で銘柄名を記載したシールなどにより、一般の豚と区別されているものが銘柄豚に該当します。正確な数を把握できるような統計はなく、最新の調査では250以上の事例が報告されていますが、これも銘柄豚全体の1部にすぎません。
豚肉の銘柄化は、1950年代後半から始まり、1990年代初頭にかけて急増しています。その後も毎年増え続け、豚肉における銘柄化は、一般的なものとなっています。銘柄化の実施主体は、農協、個人農場、生産者グループ、株式会社、行政などさまざまです。地域名あるいは地域を連想させる名称が多く、銘柄が必ずしも高品質であることを意味しないことから、銘柄豚は産地表示の意味合いが強いといえます。とはいえ多くの銘柄では、単なる産地名表示とは異なり、差別化を図ることで一般豚とは異なることを主張しています。差別化のポイントとしては、品種や血統、飼料、飼養環境などです。
具体的には、特に品種を吟味し、無秩序な交雑を避け、肉質の優れた品質が一定化し、バラツキのないこと、脂肪の付着が適度で肉質はきめがこまかく、肉色は淡く鮮明で光沢がよく、食べて軟らかく美味い肉であること、飼料は栄養バランスの適正な配合飼料とし、飼料管理が適切に施されていること、衛生予防対策が適切に確立されていること、生産や販売、消費に一貫性があること、食肉市場において継続して高い評価を得ていることなどです。
銘柄豚の取扱いでは最大級の規模を誇る東京食肉市場において、東京食肉市場銘柄豚協会の厳しい規格のもと生産された豚肉を、長年の経験を有する仲卸人が確認し、厳選された豚肉を銘柄豚としています。生産者となる銘柄豚協会の会員が、協会の規格に則して生産した豚は、東京食肉市場で1頭ごとに審査し、適った豚のみが銘柄豚として認定され、販売を担う会員を通して消費者まで届くことになります。
東京食肉市場銘柄豚協会では、特に食品の基本である安全性を担保するため、すべての工程において厳しい管理システムを設定しています。飼育環境は、豊かな自然に恵まれ、空気のきれいな山あいなどとなり、理想的なロケーションです。豚舎の清掃や消毒などは、厳しく管理しています。肉質の均一化を図るために空調設備を導入し、豚舎内の温度や湿度をつねに一定に保っています。大麦を主体とした飼料は、肉質や脂質を改善する穀物として知られ、脂肪の色の白色化や甘味やコクのある食感を付与します。 通常豚は150日程度の飼育で出荷されますが、銘柄豚は、おおよそ190日かけてじっくり育てています。
銘柄豚として飼育された豚は、東京食肉市場に入荷した後、厳正な審査を受け、これに合格したものだけが、銘柄豚としてセリにかけられます。さまざまな基準にもとづいて、5段階の等級にランク付けされ、同時に長年の経験をもつ仲卸人によって、本当においしい肉だけが厳選されます。 銘柄豚として店頭に並ぶ割合は、入荷頭数の10%未満です。
・鹿児島県のかごしま黒豚
かごしま黒豚のルーツは、今から約400年前に、18代藩主島津家久により琉球から鹿児島に移入されたといわれ、長年に渡り鹿児島県内で飼育されてきました。明治時代には黒豚の品種改良が本格的に取り組まれ、在来の黒豚にイギリスから導入したバークシャーと交配することで、おいしさに一層磨きがかかりました。昭和20年代には鹿児島から東京へ出荷され、味と品質で評判となり、昭和30年代には、東京で黒豚ブームが巻き起こり、高品質な豚肉の代名詞として広く知られるようになりました。
高品質で地位を確立した黒豚ですが、昭和30年代半ばには県内に生産効率の高い白豚が導入され、事態は一変し、一時期は絶滅の危機に瀕します。そのような状況下、昭和49年に鹿児島県では黒豚の振興を決め、黒豚のさらなる品種改良などにより、頭数や生産者数も徐々に回復しました。平成2年には生産者を中心とした鹿児島県黒豚生産者協議会が設立され、今日かごしま黒豚は高い評価を得ています。
鹿児島県黒豚生産者協議会では、かごしま黒豚を生産するための基準を設けています。ひとつは、豚の品種です。かごしま黒豚は全てバークシャーとなり、ほかの品種と混飼しないことを条件としています。バークシャーの体毛は黒色となり、ほかの豚と比べて産子数は少なく、発育が遅い一方、肉質が細かく、うま味を多く含んでいるなどの特徴があります。
かごしま黒豚を生産するためのもうひとつの基準は、肥育後期にさつまいもを添加した飼料を60日以上与えることです。さつまいもを飼料に与えることで、黒豚の脂肪の質が向上し、さっぱりとした食味やしまりのある肉質が生まれます。
かごしま黒豚は、一般的な豚が150日ほどの肥育期間を経て出荷されるのに対し、230〜270日程度肥育されます。じっくりと育てられることで、より引き締まった肉質が生まれます。
・沖縄県のアグー
アグーは、沖縄固有の在来豚です。歴史は古く、今から約600年前に中国から導入され、沖縄で飼い続けられていた島豚が、アグーの起源と言われています。アグーは、古くから沖縄の食文化を支えてきました。しかし、戦後にアメリカから大型で発育のはやい品種が導入され、豚の改良が行われました。そのため、小型で発育の遅いアグーの頭数は激減し、発育のはやい品種との交配による雑種化も進みました。
絶滅を危惧されていたアグーは、1981年に名護博物館がアグーの全県調査を実施したところ、約30頭が確認されました。約10年かけて雑種化を取り除くための戻し交配が行われ、戦前に近い形質のアグーが復活しました。
アグーの肉質は、一般的な豚と比較してやわらかく霜降りの肉で、脂肪の融点が38.1℃と低く、口に入れると脂が溶け、さらに脂に甘みとうま味があります。
現在流通しているアグーを冠した豚肉は、アグー同士を交配したものとアグーの雄と大型で発育のはやい豚の雌を交配したものがあります。肉質の優れているアグーですが、体型が小さく肉量が少ないことから、生産者は大型で発育のはやい豚との交配によって、アグーの優れた肉質を活かしつつ肉量の多い豚の生産を行っています。
沖縄県アグーブランド豚推進協議会では、毎年度アグーブランド豚指定生産農場の認定を行い、認定された農場には、認定書の交付を行っています。
・東京都のTOKYO X
平成9年に日本種豚登録協会において新系統豚トウキョウ Xとして認定された新しい豚です。一般的な豚肉と差別化するため、東京の地域特産豚肉を目指し、北京黒豚とバークシャー、デュロックの3品種をルーツとし、これらの長所を取り込みました。旧東京都畜産試験場で7年間試行錯誤を重ね、トウキョウ Xが誕生しました。
美味しい肉質の豚をかけあわせた交雑種のX(クロス)と未知の可能性X(エックス)を秘めた東京生まれの豚という意味から、豚の系統名「トウキョウ X」、豚肉のブランド名を「TOKYO X」と名付けられました。
TOKYO Xは、上質な香りとほのかな甘み、さっぱりとした脂肪が特徴の豚肉です。その味づくりは、飼料からはじまります。トウキョウXの基準では、出荷前の約3ヶ月間は収穫後に農薬を使用しないポストハーベストフリーかつ非遺伝子組み換え(Non-GMO)のとうもろこしや大豆を使用した指定飼料を与えます。豚舎は、動物福祉先進国のドイツの基準をクリアし、ゆったりとした開放型のスペースで、十分な採光と換気を維持した環境で育てています。
銘柄豚を名乗る上で規制は特になく、正式な定義も存在しません。正確な数を把握できるような統計はなく、最新の調査では250以上の事例が報告されていますが、これも銘柄豚全体の1部にすぎません。
豚肉の銘柄化は、1990年代初頭にかけて急増しています。その後も毎年増え続け、豚肉における銘柄化は、一般的なものとなっています。銘柄化の実施主体は、農協、個人農場、生産者グループ、株式会社、行政などさまざまです。地域名あるいは地域を連想させる名称が多く、銘柄豚は産地表示の意味合いが強いといえます。
銘柄豚と一般的な豚との差別化のポイントとしては、品種や血統、飼料、飼養環境などです。具体的には、特に品種を吟味し、無秩序な交雑を避け、肉質の優れた品質が一定化し、バラツキのないこと、脂肪の付着が適度で肉質はきめがこまかく、肉色は淡く鮮明で光沢がよく、食べて軟らかく美味い肉であること、飼料は栄養バランスの適正な配合飼料とし、飼料管理が適切に施されていること、衛生予防対策が適切に確立されていること、生産や販売、消費に一貫性があること、市場において継続して高い評価を得ていることなどです。
2020年08月18日
【高機能】食品の加工に用いる分離技術
ろ過は、液体中に懸濁している固体をろ紙などによって捕捉し、固液を分離する技術で、分離した液体や固体の品質の変化をほとんど伴いません。昨今は高性能な膜の開発が実現し、より微細な固体がろ過の対象となっています。食品や環境分野に留まらず、多岐にわたる産業でろ過技術が使用されています。
ろ過は、特に水処理をはじめとした環境分野において、欠かすことのできない技術です。浄水処理では、主な分離技術として厚い砂層によるろ過が用いられています。最近では、より高精度な分離のため、膜を使用した浄水処理や排水処理が行われています。
食品分野では、めんつゆなどの原材料に用いるかつお節や昆布などは、ろ過により取り除いています。豚骨スープや鶏ガラスープなどもろ過や遠心力を用いてスープを分離します。ビールは酵母によるアルコール発酵で製造されますが、酵母はろ過と遠心力で除去します。
ろ過はさまざまな方法があります。懸濁液の自重によるろ過やコンプレッサで圧縮空気を送る加圧ろ過、ろ液側を真空にして液体を引き込む真空減圧ろ過、ろ過器の自転によって生じる遠心力を活用する遠心ろ過などです。
ろ過操作は機構の違いで、表面ろ過と内部ろ過に大別されます。表面ろ過は懸濁液をろ紙やろ布のような薄いろ材でろ過する場合で、ろ過が進むにつれろ材の表面上に堆積層が形成され、新たなろ材としての役割を担います。内部ろ過は懸濁液を砂層のような厚いろ材でろ過する場合で、固体は広大な表面積を持つろ材の内部で捕捉されます。薄いろ材でも、懸濁液中の溶質がわずかであれば、ろ材の細孔内部で捕捉されます。
食品分野でよく用いられる表面ろ過装置は、加圧型のフィルタープレスです。ろ過の進行とともに堆積層が形成され、ろ過終了後、堆積層の排出が行われます。適切な堆積層の形成及びろ過効率を高めるため、珪藻土を懸濁液に添加することもあります。真空型のドラムフィルターは連続式となり、ろ過を継続しながら、装置内で堆積層を削り取る操作が行われます。
ろ材は、ろ過に用いる液体と固体の分離用の多孔性の材料です。ろ材の種類には、ろ紙、ろ布、膜などがあります。
・ろ紙
家庭では、コーヒーなどの固液分離に使用されます。一般的には食物繊維の主成分となるセルロース製です。
・ろ布
不織布が一般的です。不織布は、繊維を不規則に絡み合わせて接着させ、シート状に成形したろ材です。
・膜
ろ紙やろ布では分離できない1μm以下の物質を分離できる高性能なろ材です。膜は分離精度の違いから、精密ろ過膜、限外ろ過膜、逆浸透膜に分類されます。膜の多くは高分子製です。
使用する膜の種類は、「精密ろ過(Micro-Filtration: MF)」、「限外ろ過(Ultra-Filtration: UF)」、「逆浸透(Reverse-Osmosis: RO)」などがあります。
精密ろ過は、約0.05μm〜0.1μm程度までの液体中に含まれる物質を効率的に分離します。
捕捉:酵母、大腸菌などの微生物や微粒子
透過:たんぱく質やウィルス
用途:微粒子除去捕捉や滅菌
限外ろ過は、1 nm〜0.05 μm程度までの液体中に含まれる物質を分子レベルで分離、濃縮、精製することができます。
捕捉:たんぱく質やウィルス
透過:糖やアミノ酸、塩
用途:たんぱく質などの濃縮や核酸の精製
半透膜でしきられた容器に濃厚溶液と希薄溶液を入れると、浸透圧の差によって希薄溶液側の水などの溶媒が濃厚溶液側に半透膜をとおって移行し、両溶液の濃度が一定になろうとする現象が浸透です。逆浸透膜は、1 nm以下の孔径の膜です。濃厚溶液と希薄溶液を膜で仕切り、濃厚溶液側に浸透圧より大きな圧力を加えることで、膜を通して水分子のみを濃厚溶液側から希薄溶液側に移行させ、イオンや低分子の分離を行います。逆浸透は、極めて低分子量の成分を分離することができ、水の精製や濃縮に用いられます。逆浸透膜の市場は、水資源が限られた地域での海水淡水化事業の増加により、さらなる拡大が予想されています。
捕捉:糖やアミノ酸、塩
透過:水
用途:水の精製、アミノ酸や牛乳、果汁などの濃縮、塩の除去
ろ過は、液体中に懸濁している固体をろ紙などによって捕捉し、溶媒から分離する技術で、分離した液体や固体の品質の変化をほとんど伴いません。食品や環境分野に留まらず、多岐にわたる産業でろ過技術が使用されています。
ろ過は、特に水処理をはじめとした環境分野において、欠かすことのできない技術です。浄水処理では、主な分離技術として厚い砂層によるろ過が用いられています。最近では、よ り高精度な分離のため、膜を使用した浄水処理や排水処理が行われています。
食品分野では、めんつゆなどの原材料に用いるかつお節や昆布などは、ろ過により取り除いています。豚骨スープや鶏ガラスープなどもろ過や遠心力を用いてスープを分離します。ビールは酵母による発酵後、酵母をろ過と遠心力で除去します。また、精密ろ過(MF)で大腸菌などの滅菌、限外ろ過(UF)でたんぱく質などの濃縮と核酸の精製、逆浸透(RO)で水分の除去によるアミノ酸や牛乳、果汁などの濃縮を行っています。
2020年08月17日
【ダチョウ】牛、豚、鶏に続く第4の肉
ダチョウは体長2m前後ある鳥類最大の鳥です。大きな体に長い消化器官を持ち、エサを十分に消化する能力があるため、排泄物のにおいが少ないです。発育も早めで、2歳から産卵を始め、年間40個程度の卵を産みます。もともとサバンナなどで繁殖していたダチョウは、昼夜の激しい寒暖差にも強いことから、北海道から沖縄まで全国で飼育されています。
ダチョウの オスの羽は黒色で、羽根の先と尻尾部分が白色です。 メスの羽は全体的に茶色です。ダチョウがほかの鳥類と異なる点は足の指です。鳥類の足の指は3つに分かれていますが、ダチョウの足の指は2本です。ダチョウはやわらかいものなら何でも食べ、排泄物は繊維が中心で量とにおいは共に少ないです。
ダチョウの肉は、牛、豚、鶏に続く第4の肉として注目を集めています。
一般的な鶏の肉は白身となりますが、ダチョウの肉は赤身で、牛肉様の色です。ダチョウの肉は、ほかの肉と比較して低脂肪で低カロリー、高たんぱくとなります、しかも、鉄分をはじめとしたミネラル、ビタミン類も豊富に含んでおり、肉質はやわらかく、癖がありません。
ダチョウの肉と牛肉、鶏肉100gあたりの栄養成分です。
ダチョウの肉は、カルニチンやクレアチンという物質を豊富に含んでいます。カルニチンは、アミノ酸由来の物質で、人体のほぼすべての細胞に存在しています。カルニチンは、エネルギー産生において、重要な役割を果たしています。カルニチンは脂肪酸をミトコンドリア内に運搬し、燃焼することでエネルギーを産生します。さらにカルニチンは、生成された有毒な物質をミトコンドリアの外に運びだし、蓄積するのを防ぎます。クレアチンは、アミノ酸の1種で、人体でも合成され、ほとんどがクレアチンリン酸として筋肉に存在しています。クレアチンリン酸は、筋肉が収縮する際にエネルギーとなるアデノシン3リン酸の再生に使用されます。
ダチョウの肉は、ほとんどがモモ肉で、柔らかい部分をフィレ、硬い部分はドラムと呼ばれます。なお、ダチョウ肉のフィレは牛肉のフィレとは異なります。
・モモ
ほどほどの柔らかさの肉で、刺身やステーキ、焼肉、揚げ物、みそ漬けなどに幅広く使用されます。
・フィレ
きめが細かくとても柔らかい肉です。刺身やステーキ、焼肉、揚げ物などに使用されます。ダチョウの肉としては最も高く、100gあたり600円前後となります。
・ドラム
やや硬めの部位です。 ひき肉にしてハンバーグ、もしくは煮込み料理などに最適です。
・砂肝
砂肝は、鳥類の「さのう」という部位で、胃の1部です。鳥類はエサを噛まずに丸のみするので、硬いエサを消化器官で砕く必要があり、「さのう」がこの役割を担っています。砂肝は、たんぱく質やビタミンB12、ビタミンK、亜鉛や鉄といったミネラルを豊富に含んでいます。
砂肝はピンク色で、牛タンのような食感です。刺身のほか、焼き物や揚げ物に使用されます。
・肝臓
濃厚なうま味があります。生でも食べられ、甘辛く煮ると冷めても柔らかいです。
・心臓
適度な食感がありつつも、柔らかい部位です。塩焼きや揚げ物に最適です。
・ネック
首の肉は筋が多いので、 煮込み料理に最適です。ネックはダチョウの肉の中で安い部位となり、100gあたり150円前後です。
ダチョウの卵は、動物の卵としては世界最大の大きさです。重さは鶏卵の25倍以上のおおよそ1.5kg、殻の厚みは2mm程度です。ダチョウの卵は、鶏卵と比べアレルギーの原因物質が顕著に低いことが報告されています。ダチョウの卵は、1個3,000~4,000円です。
ダチョウの肉は、牛、豚、鶏に続く第4の肉として注目を集めています。
一般的な鶏の肉は白身となりますが、ダチョウの肉は赤身で、牛肉様の色です。ダチョウの肉は、ほかの肉と比較して低脂肪で低カロリー、高たんぱくとなります、しかも、鉄分をはじめとしたミネラル、ビタミン類も豊富に含んでおり、肉質はやわらかく、癖がありません。
ダチョウの肉は、ほとんどがモモ肉で、柔らかい部分をフィレ、硬い部分はドラムと呼ばれます。このほかの部位としては、砂肝や心臓、肝臓、ネックがあります。最も高価な部位はフィレで100gあたり600円、安価なネックは100gあたり150円です。
身近なスーパーでは、見かける機会はあまりありませんが、低脂肪、低カロリー、高たんぱくで、やわらかく癖のないダチョウの肉をインターネットなどで取り寄せ、刺身やステーキ、焼き物などの料理を試してみてはいかがでしょうか。
※気になるときはまず行動
気になるときは、まず行動です。行動しなければ、何も始まりません。行動することが何よりも一番の近道です。満足できなければ、納得して次回は別のものを試すことができます。
スーパーでは手に入らないユニークなお肉が、500種類【ミートガイ】
2020年08月16日
【食品ごとの血糖値上昇度合いを表現】GI食品
GIとは食後血糖値の上昇を示す指標であるグライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略です。GIは、食品に含まれる糖質の吸収の度合いを示し、摂取2時間までの血液中の糖濃度を計ったものです。オーストラリアのシドニー大学では、ぶどう糖を100とした基準の場合、GIが70以上の食品を高GI食品 56〜69間の食品を中GI食品 55以下の食品を低GI食品と定義しています。
2003年にWHOから、肥満や糖尿病の発症リスクを低GI食品が低減させる可能性があるというレポートが出されたことから、その後もさまざまな研究が進み、食品メーカーは食物繊維が多くエネルギーが少ない低GI食品を供給するために製品開発を行っています。低GI食品は、増加傾向にある肥満、メタボリックシンドロームの予防や改善の観点から、注目されています。
ご飯などの糖質が多い食品は、胃や十二指腸で消化され小腸から吸収されます。吸収された糖質はぶどう糖などとして血管内に取り込まれます。血液中にぶどう糖などが入ると、インスリンにより、多くの組織に取り込まれます。糖分を多く摂取した場合、インスリンもより多く分泌されます。インスリンは脂肪の合成を促し、脂肪分解を抑制する作用を持っているため、脂肪が蓄積されやすくなります。インスリンの分泌が少なく、血液中の糖分の処理ができなくなると、血糖値が下がらなくなります。食後数時間たっても、血糖値が下がらない状態が継続することが、糖尿病です。血糖値が食後急激に上がらないような食生活が、糖尿病を防ぐためには重要と言われています。
一般的に血糖値が上昇しやすいのは、エネルギー源となるご飯やパン、砂糖などの食品と言われています。次にたんぱく質の多い肉や魚介類、卵、乳製品など、そして脂質の多い食品が続きます。血糖に上昇するからといって、ご飯やパンを食べないと、栄養バランスが悪くなります。
血糖値が上がりやすいご飯やパンなどですが、研究により、同じ量の糖質を含む食品でも、食物繊維含有量で血糖値が急激に上昇するものとおだやかに上昇するものがあるということがわかってきました。同じパンでも、ライ麦パンは低GI食品、マフィンは高GI食品となります。
高GI食品は、急激に血糖値を上昇させるため、血液中の糖分を処理するために多量のインスリンが分泌されます。一方、低GI食品は、糖分がおだやかに取り込まれ、血糖値の上昇もゆるやかになり、インスリンも多量に分泌されることなく、糖分はすみやかに吸収されます。糖分をおだやかに取り込む低GI食品を理解することは、急激な血糖値の上昇や肥満の防止に大きく関与しています。
主な食品のGI値は以下の通りです。
GIの提唱者であるトロント大学のジェンキンス博士が、セカンドミール効果という概念発表しました。ジェンキンス博士は、ファーストミール、つまり最初に摂る食事が、次とる食事、すなわちセカンドミールの後の血糖値に影響をおよぼすことを、セカンドミール効果と定義しています。
食物繊維の多い大豆などを含む食事は、消化や吸収を遅らせ、食後の血糖値の上昇をおさえ、さらにこのような食事は、次の食事の血糖値を改善することが研究により明らかとなっています。
セカンドミール効果により、消化や吸収がおだやかになる上、小腸に達した糖分と食物繊維により血糖値の低下及び食欲を調節するホルモンが分泌され、満腹感の持続にも大きな役割を果たしていると考えられています。
GIとは食後血糖値の上昇を示す指標であるグライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略です。GIは、食品に含まれる糖質の吸収の度合いを示し、摂取2時間までの血液中の糖濃度を計ったものです。オーストラリアのシドニー大学では、ぶどう糖を100とした基準の場合、GIが70以上の食品を高GI食品 56〜69間の食品を中GI食品 55以下の食品を低GI食品と定義しています。
2003年にWHOから、肥満や糖尿病の発症リスクを低GI食品が低減させる可能性があるというレポートが出されたことから、その後もさまざまな研究が進み、食品メーカーは食物繊維が多くエネルギーが少ない低GI食品を供給するために製品開発を行っています。
低GI食品を摂ることで血糖値の上昇をおだやかにし、セカンドミール効果で次の食事の血糖値の上昇もおだやかにすることができます。肥満やメタボリックシンドロームの予防及び改善のためにも、低GI食品を食生活に取り入れ、毎日の健康の維持を心がけることをおすすめします。
2020年08月15日
【生命活動に不可欠】バイタル成分ビタミン
ビタミンは、エネルギー源や体を構成する成分ではありませんが、人の成長と健康を維持する働きを持っています。ビタミンが必要とされる量はとても少ないですが、体の中でほとんどつくることができないので、食品から摂取することになります。
ビタミンには、水に溶ける水溶性のビタミンと、油脂に溶ける脂溶性のビタミンがあり、それぞれの性質から体への吸収方法や代謝に特徴があります。水溶性ビタミンは尿などから体の外へ排泄されやすく、脂溶性ビタミンは体の中に蓄積されやすいので、水溶性のビタミンは少量で何度も摂取する方が良く、脂溶性のビタミンは油脂と一緒に摂取することで吸収が良くなります。
水溶性のビタミンと脂溶性のビタミンのどちらも、とり過ぎにより弊害が生じることがあります。そのため、厚生労働省の食事摂取基準では、この量までなら摂取しても害のない上限量を設定しています。ビタミン類を強化した健康食品については、用法や摂取量に注意した上で、適切な使用が望まれます。
ビタミンAは、油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつで、レチノール活性当量として表されます。動物性食品に含まれるレチノールの量と植物性食品から摂取されるβ-カロテンなどが、体内でビタミンAの作用をする場合の換算量との合計です。
ビタミンAは、発育の促進や肌の健康維持、暗いところでも目が順応することに関与しています。さらにのどや鼻などの粘膜に働きかけ、細菌から体を守る割も持っています。
ビタミンAを多く含む食品は、レバー、うなぎ、バター、チーズ、卵、緑黄色野菜などです。国民健康栄養調査結果によると、日本人は緑黄色野菜から摂取するビタミンAが最も多く、4割余りを占めています。
ビタミンAが不足すると、暗いところで目が見えなくなることが知られています。日本ではほぼ見受けられませんが、栄養状態が好ましくなし発展途上国において、子供が失明する重大な原因となっています。そのほかに皮膚や粘膜の乾燥、角質化などが生じるため、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まり、感染症にかかりやすくなります。一方、とり過ぎにより、肝臓に貯蔵されて肝障害などの副作用をおこすおそれがあります。普通の食生活からは、とり過ぎる心配はありませんが、健康食品を摂取する場合は、注意が必要です。
ビタミンDは、脂溶性のビタミンです。食品から摂取する以外に日光を浴びると体内でもある程度合成できるビタミンです。
ビタミンDは、小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進する働きと血液中のカルシウム濃度を保持し、健康な骨をつくる働きがあります。
ビタミンDを豊富に含む食品は、魚介類や卵、きのこ類などです。なかでも魚介類の塩さけやしらす干しには、たっぷり含まれています。
ビタミンDが不足すると小腸や腎臓からカルシウムの吸収が不十分となり、骨や歯の形成に問題が生じ、骨粗しょう症などになる高齢者が増加しています。そのため、ビタミンDとカルシウムを十分にとり、適度な日光浴と運動に配慮して丈夫な骨をつくることが重要です。一方、ビタミンDのとり過ぎは、高カルシウム血症や腎障害、軟組織の石灰化などの過剰症をまねくおそれがあります。通常の食事から過剰症になることはほとんどありませんが、健康食品の用法を誤り、大量摂取しないように注意が必要です。
ビタミンEは、脂溶性のビタミンです。ビタミンE作用をするトコフェロールという物質には数種類あります。
ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質の酸化を防ぐ働きがあります。体内の細胞膜の酸化や血液中のLDLコレステロールの酸化による動脈硬化といった生活習慣病や老化と関連する疾患を予防することが期待されています。
ビタミンEは、アーモンドをはじめとしたナッツ類や植物油、うなぎやたらこなどの魚介類、アボカドなどに多く含まれています。
ビタミンEは、ビタミンC及びビタミンAと一緒にビタミンACE(エース)と呼ばれ、抗酸化作用を持つ代表的な成分です。ビタミンEとビタミンAは細胞膜に、ビタミンCは体液中に存在し、活性酸素を消去します。そのため、緑黄色野菜を植物油で炒めるなどで、それぞれのビタミンを豊富に含む食品をいっしょにとると効果的です。
ビタミンEが不足すると細胞膜の脂質が酸化されることから、まれに感覚障害や神経症状がみられることがあります。一方、摂りすぎると出血傾向になります。日常の食生活ではとり過ぎになることはほとんどありません。
ビタミンKは、油脂に溶けるビタミンです。食品から摂取するビタミンKと体内の腸内細菌によりつくられたビタミンKを利用しています。
ビタミンKは、出血した時に血液を固めて、止血する働きを活性化します。また、骨の健康維持にも不可欠で、骨にあるたんぱく質を活性化し、骨の形成を促します。そのため、ビタミンKは、骨粗しょう症の治療薬としても用いられています。
ビタミンKは、納豆をはじめ、こまつ菜やホウレンソウなどの緑黄色野菜に多く含まれています。血液が固まらないようにする薬を飲んでいる人は、止血する働きを活性化するビタミンkを豊富に含む納豆を避けるように指導されます。
ビタミンKは腸内細菌により産生され、さまざまな緑黄色野菜にも多く含まれるため、通常不足する心配はほとんどありません。また、通常の食生活での過剰症の報告はありません。
ビタミンB1は、水溶性のビタミンです。ビタミンB1は、糖質からのエネルギー産生や皮膚及び粘膜の健康維持を助ける働きがあります。
ビタミンB1の多い食品は、玄米や米ぬか、豚肉、レバー、豆類などです。とくに豚肉にはビタミンB1が豊富です。
ビタミンB1は、不足すると糖質が適切にエネルギーとならないため、食欲がなくなり、疲れやすい、だるいといった状態になり、さらに不足すると脚気になります。多忙な人や激しいスポーツをする人ほどエネルギーを消費していることから、体内でビタミンB1が不足しやすくなります。通常の食生活において、とり過ぎによる過剰症の心配はほとんどありません。しかし、健康食品などから大量に摂取すると頭痛、かゆみなどの皮膚症状が報告されています。
ビタミンB2は、水溶性のビタミンです。ビタミンB2を強化した栄養ドリンクなどを摂取後、尿が濃い黄色になることがあります。これはビタミンB2の色によるものです。
ビタミンB2は、主に皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きを持つビタミンです。糖質や脂質、たんぱく質を体内でエネルギーにする代謝を支える役割をしています。エネルギーをたくさん消費する人ほどたくさんのビタミンB2が必要となります。
ビタミンB2は、レバーや卵、納豆、乳製品、葉菜類などに多く含まれています。
水溶性のビタミンB2は、熱に強い反面、水や煮汁に容易に流れ出てしまうため、洗いすぎないこと、あるいは煮汁ごと摂取することが好ましいです。一方、光に弱い性質を持ちます。
不足すると成長が阻害され、口内炎や舌炎など皮膚や粘膜に炎症がおこりやすくなります。これは、皮膚や粘膜が新陳代謝の活発な組織故に、症状が現れやすいためです。一方、水溶性なので、余剰分は尿中に排泄されることから、とり過ぎによる過剰症の報告はありません。
ビタミンB6は、水溶性のビタミンです。ビタミンB6は腸内細菌や体内でも合成されます。
ビタミンB6は、食品中のたんぱく質からのエネルギー産生、筋肉や血液などがつくられるときに働きます。そのため、たんぱく質を多くとる人ほどたくさん必要になります。また、皮膚や粘膜の健康維持にも役立っています。
さまざまな食品に含まれていますが、かつおやまぐろなどの魚介類、レバー、肉などに多く含まれています。
ビタミンB6が不足すると皮膚炎や口内炎、貧血などがおこりますが、腸内細菌によってもつくられるため、通常不足する心配はほとんどありません。一方、通常の食生活ではとり過ぎになる心配もほとんどありません。
ビタミンB12は、水溶性のビタミンです。貧血に有効なビタミンとして知られ、葉酸とともに赤血球中のヘモグロビンの生成を助けます。
ビタミンB12は、かきをはじめとした魚介類やレバーなどの動物性食品に多く含まれています。 不足すると赤血球の減少や異常に巨大な赤血球ができるという悪性の貧血がみられます。一般的に不足する心配はほとんどありません。一方、ビタミンB12は過剰にとっても必要以上には吸収されないことから、とり過ぎになる心配もありません。
ビタミンCは、水溶性のビタミンです。ビタミンCは、体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというたんぱく質をつくるのに不可欠で、皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。また、抗酸化作用があり、有害な活性酸素から体を守る働きをするため、動脈硬化や心疾患を予防することが期待されます。
ビタミンCの多い食品は、果物や野菜などです。ビタミンCは水に溶けやすく、熱に弱いため、可能な限り新鮮かつ生で食べるのがよいとされます。
不足すると細菌などに対する抵抗力が低下し、病気にかかりやすくなります。ビタミンCの欠乏症である壊血病は、コラーゲンがつくられないために細胞の間の結合がゆるむことで生じます。血管や関節が弱くなることにより、歯茎など体の各所で出血することや関節が痛みます。一方、ビタミンC は、過剰に摂取しても尿から排泄されるため、一般的には過剰症はないといわれています。
ビタミンは、人の成長と健康を維持する働きを持っています。ビタミンが必要とされる量はとても少ないですが、体の中でほとんどつくることができないので、食品から摂取する必要があります。
ビタミンには、とり過ぎにより弊害が生じることがあります。ビタミン類の補給を目的とした健康食品などについては、用法や摂取量に注意した上で、適切な使用が望まれます。
※お試しとその行動から得られる納得感
最近は効果を実感してもらうために、低額でお試しができることが増えています。大きな負担なく気軽に試すことができるので、気になるときは体験してみることもありです。体験して納得できれば、継続することや友人などにも紹介することで喜ばれます。まずは最初の行動です。行動しなければ、何も変わりません。行動することが何よりも一番の近道です。効果に満足できなければ、その知見をもとに、納得して次回は別のものを試すことができます。
2020年08月14日
【宣言】長寿日本一の大宜味村とシークヮーサー
長寿として知られる沖縄県の中で、長寿日本一を宣言しているのが、大宜味村(おおぎみそん)です。大宜味村の方々は自然の恵みにその糧を求める伝統的食文化の中で、長寿を全うし、人生を謳歌しています。長寿の秘訣のひとつは、木々の深い緑、燦々と降り注ぐ太陽、澄んだ空気と清らかな水、手つかずの大らかな自然に恵まれた美しい環境の中で、生き甲斐を感じながら、気負わず、あせらず、ゆったりと暮らすことのようです。もうひとつは、食生活です。大宜味村では、豆腐や豚肉、魚介類などのたんぱく質や緑黄色野菜、果実の摂取量が高く、一方塩分の摂取量が9g/日と厚生労働省が目標としている10g/日以下を達成しています。
大宜味村を象徴するネクマチヂ岳(360m)と連なる石灰岩の山々の中腹でシークヮーサーは生まれ育っています。甘酸っぱく、食べ始めると止まらない独特な味は、健康長寿の源になっています。その味は石灰岩の森からの贈りものです。 シークヮーサーは、ミカン科に属し沖縄を中心に原生する小果の寛皮柑橘で果皮が緑色、未熟の間は酸が強く、黄色に熟したものは適度の甘味と酸味があります。「シー」は酸、「クヮーサー」は食べさせるという意味です。主な栄養成分としては、代謝を活性化させ、疲労回復に効果のあるビタミンCを多く含んでいるほか、ビタミンB1、各種ミネラルなども含有しています。特にノビレチンという成分には、さまざまな作用があることが発見され、長寿との関連が注目されています。
シークヮーサーの果皮と果汁にはノビレチンをはじめとする6種類のフラボノイドが含まれています。
フラボノイドであるノビレチンには、認知症の予防や血糖値の上昇を抑える働きがあることがわかっています。さらにノビレチンは慢性リウマチの予防や治療にも効果があることもわかり、シークヮーサーは全国的にも有名になりました。
ノビレチンはオレンジや温州ミカンなど柑橘系の植物に多く含まれる成分ですが、飛び抜けて含有量が多いのがシークヮーサーです。
大学などの研究機関がシークヮーサー及びその有効成分であるノビレチンの抗認知症作用について検討したところ、顕著な記憶障害改善作用、つまりアルツハイマー型認知症の原因物質の沈着抑制作用、神経細胞の成長促進効果を発見するに至っています。アルツハイマー型認知症においては、いくつかの重要な神経病理変化が観察されます。その代表的な特徴のひとつである老人斑は、アルツハイマー型の原因物質となるアミロイドβが線維化し細胞外に沈着したものです。ノビレチンは、このアミロイドβを減少させるとともにその沈着も減少させます。大学などの研究機関では、培養した神経細胞と学習記憶障害モデル動物を用いて、ノビレチンの効果を検証し、有効な科学的証拠を得ています。ノビレチンは、脳の神経細胞にある突起を伸ばす働きがあります。脳では情報や指令が、電気刺激として神経を伝わりますが、隣り合う神経細胞からそれぞれ手のように突起を伸ばし繋がり合います。神経突起が長く伸びれば伸びるほど、神経同士のネットワークがしっかりと構築されます。つまり、脳機能が維持されることで、アルツハイマー型認知症を予防する効果があるといえます。マウスを用いた実験で、効果の検証がなされています。
ノビレチンには、血糖値の上昇を抑える効果があります。ノビレチンには脂肪細胞が分泌するアディポネクチンの分泌を促す働きがあります。アディポネクチンはインスリンの分泌を抑える働きがあるため、糖尿病の予防効果が期待されます。
ノビレチンにはアレルギーを抑制する効果があります。アレルギーとは、体の免疫機能のバランスが崩れてしまうことで、体が特定の物質に過剰に反応してしまっている状態のことです。アルレギー反応は体内のヒスタミンなどの物質が放出されることで起こります。ノビレチンは、この物質の放出を抑制する働きがあります。
長寿として知られる沖縄県の中で、長寿日本一を宣言しているのが、大宜味村です。大宜味村の山々の中腹でシークヮーサーは生まれ育っています。甘酸っぱく、食べ始めると止まらない独特な味は、健康長寿の源になっています。
シークァーサーに多く含まれるノビレチンには、アルツハイマー型認知症の予防や血糖値の上昇の抑制、アレルギーの抑制などさまざまな働きが報告されています。記憶力が気になる方や生活習慣病を予防したい方、アレルギー症状を予防したい方は、シークァーサーの皮ごと絞ったジュースやノビレチンを配合した健康食品を試してみてはいかがでしょうか。
2020年08月13日
【大地の恵み】普段食べている果物にまつわる話
現在バナナ1本の値段は、大きさや鮮度によって異なりますが、50〜150円程度です。このバナナは70年前もほぼ同じ値段で売られていました。バナナは昔から安かったと思う人もいるかもしれません。しかし、70年以上前と現在では、物価水準がかなり異なります。1950年代はコーヒー1杯が50円ほどの時代です。このとき、バナナは1本100円でした。いまの物価に換算すると1本500円以上という計算になります。5本では2,500円、10本で5,000円です。昔バナナは高級品だったといわれますが、今でいえば確かにメロンやマンゴー、シャインマスカット級の高級フルーツだったのです。
戦前に台湾から調達してバナナが、戦後輸入を再開したのは1949年のことです。食べるものに飢えていた日本人に熱狂的に迎えられましたが、その輸入量は厳しく規制されていました。当時はGHQの占領下にあり、自由に貿易ができず、そのためバナナの値段はめっぽう高く、お金持ちだけが食べられる贅沢品でした。ところが、そのバナナの輸入が、1964年に自由化されました。このことで、台湾やエクアドルから大量のバナナが輸入されるようになり、値段が一気に下がりました。さらに1970年代になるとフィリピンのバナナが大量に輸入され、バナナの値段は一段と下がりました。70年以上前は高級品のシンボルだったバナナは、現在スーパーの片隅で投げ売りされています。
リンゴの産地は寒い地方というのが日本の常識です。実際日本では、青森や岩手、長野県がリンゴの主産地として知られています。ところが、熱帯の国でもたまに市場でリンゴが販売されています。実は東南アジアなどの熱帯でも、リンゴが収穫されています。
リンゴが実をつけるには、7℃以下の寒い期間が2カ月ほど必要になります。リンゴの芽は秋から休眠期に入り、その後2カ月間は寒い時期が続かないと、休眠から目覚めません。常夏のはずの熱帯地方にもこの条件を満たす場所があります。標高1,000メートル以上の高原です。マレーシアのキャメロンハイランド、ミャンマーのメイミョーなどの高地では、古くからリンゴが栽培されています。特にインドネシアのジャワ島東部の高原には、200万本ものリンゴの木があって、毎年たくさんのリンゴが収穫されています。
ただし、トロピカルフルーツが豊富な東南アジアでは、リンゴは珍しい存在です。日本のリンゴをお土産に持っていけば、東南アジアの人たちには喜ばれるでしょう。
最近のミカンは、1口食べて思わず甘いと感じることが多いです。甘いのにも2通りあり、酸っぱくないために甘く感じるものと本当に糖度が高いものがあります。美味しいのはむろん糖度の高いミカンですが、一般的にハウスミカンは露地ミカンよりも糖度が高く、美味しくなります。ハウス内の方が、露地よりも光合成が活発に行われるためです。ミカンの糖質は葉で光合成により生成し、それが果実に運ばれて蓄積されます。つまり、ミカンの糖度が高くなるかどうかは、健全な葉がたくさんあって、光合成を活発に行える環境にあるかどうかにかかっています。
その点でハウス内は、冬の寒さから守られ落葉も少ないです。ミカンの葉は気温が10℃以下になると光合成が鈍りますが、ハウス内では室温が高く保たれるため、冬の間も光合成が盛んに行われ、たくさんの糖質を蓄積できるわけです。
さらに雨の少ない瀬戸内海産のミカンは、露地物でも味がいいと評判ですが、これは土地が乾燥していることに関係しています。もちろんハウス内の空気も乾燥させることができ、この点でもハウス栽培はミカンをより美味しくする条件を備えています。
ブドウを食べるときは、皮を指先でつまみ、果実を口の中に吸い込む人が多いかもしれません。みずみずしい果実が口の中に飛び込み、甘酸っぱい味が口の中いっぱいに広がります。こうしてブドウを食べると、どうしても皮と皮の内側に口や舌をつけることになります。この食べ方は危険だという意見も確かに一理あります。残留農薬が直接口の中に入るからです。ブドウの栽培では、若芽の吹く春から収穫の秋にかけて、農薬が20回以上散布されます。この農薬は、除草剤や殺虫剤、殺菌剤、さらに種なしの品種を生産するためのホルモン剤などです。
しかし、そもそも日本において、農薬は使用基準が厳しく設けられており、正しく使用していれば体に害を与えることはありません。安心して皮のまま食べられます。
また、オーガニックのブドウの生産に取り組んでいるところも増えており、このブドウであれば、農薬を気にせず食べられます。
現在バナナ1本の値段は、大きさや鮮度によって異なりますが、50〜150円程度です。このバナナは70年前もほぼ同じ値段で売られていました。1950年代はコーヒー1杯が50円ほどの時代です。このとき、バナナは1本100円でした。いまの物価に換算すると1本500円以上という計算になります。昔バナナは高級品でした。
リンゴの産地は寒い地方というのが常識ですが、東南アジアなど常夏の熱帯地方にも標高1,000メートル以上の高原がありリンゴが栽培されています。ただし、トロピカルフルーツが豊富な東南アジアでは、リンゴは珍しい存在のため、お土産に喜ばれます。
一般的にハウスミカンは露地ミカンよりも糖度が高く、美味しくなります。ミカンの糖度が高くなるかどうかは、健全な葉がたくさんあって、光合成を活発に行える環境にあるかどうかにかかっています。
ブドウには、農薬が20回以上散布されます。この農薬は、除草剤や殺虫剤、殺菌剤、さらに種なしの品種を生産するためのホルモン剤などです。日本において、農薬は使用基準が厳しく設けられており、正しく使用していれば体に害を与えることはありません。安心して皮のまま食べられます。
2020年08月12日
【違い】日欧のミネラルウォーターと海洋深層水
火山列島日本に住んでいる以上、いつ地震に見舞われるかわかりませんが、いざという時に備えて、食品や飲料水を用意している家庭も少なくないでしょう。ミネラルウォーターなら、飲料水として長期間保存しておけます。
このミネラルウォーターはどうして腐らないのだろうと疑問を抱く人もいるかもしれません。普通、水を長期間放置しておくと次第に腐ってきます。ヨーロッパではミネラルウォーターは腐ることになっています。日本で市販されているミネラルウォーターは、腐りません。容器の種類は保存状態にもよりますが、1〜3年は保存できます。日本で市販されているミネラルウォーターは、殺菌処理を義づけられているからです。製造基準によると85℃で30分の加熱殺菌か、それと同等以上の効果のある殺菌処理をしなければならないことになっています。特に病原性大腸菌群の殺菌に注意しています。
ミネラルウォーターの歴史の長いヨーロッパでは、ミネラルウォーターとは、ミネラルを多く含んだ天然の鉱泉を自然な状態で容器に詰めたものです。殺菌など人の手が加わったものは、ミネラルウォーターとは呼びません。日本で市販されているミネラルウォーターは、厳密にいえば、ヨーロッパでは認められないことになりますが、日本では天然水に細菌が混じっているため、殺菌せざるをえません。
スーパーの特売でミネラルウォーターが使われることも多くあります。安売りするとすぐに売り切れるようです。それくらい水道水を飲まずにミネラルウォーターを使う家庭が増えてきています。実際にお茶やコーヒーをいれるためだけでなく、調理にもミネラルウォーターを使用する機会が増えています。
ミネラルウォーターの供給元はそれを喜んでいるかというと、手放しで喜んではいません。というのも、今の日本では、ミネラルウォーターの水源を確保することが非常に大変になっているからです。南アルプスのふもとには、有名な供給元の水源が集中していますが、地下水の大量汲み上げが問題になっています。将来的にどの供給元も別の水源を探さなければならないのは確実な情勢です。
ところが、水の豊かなはずの日本でも、水源探しは難事業になっています。まず、住宅や工場、農地、ゴルフ場の近くは、廃水で地下水や周辺の土壌が汚れており、とても使えません。そうかといって、山奥深く入っていけば、水質は良くても工場の建設や運搬にコストがかかります。
日本で水源を探したヨーロッパの企業の場合、2年以上も探し回り、結局標高1,000メートル近くの国立公園内に決めたというケースもあります。日本のミネラルウォーターは、山深く入り込まなければ、飲めない状況なりつつあります。
海洋深層水とは、水深200メートルより深い層にある海水のことです。深海は水温が海面より低いため、大腸菌などの細菌に汚染されておらず、海洋性の細菌も少ないです。さらに太陽光が届かず、海藻が光合成をすることができないので、窒素やケイ酸などが多くなり、ミネラルのバランスに優れています。
この海洋深層水から塩分を取り除き、真水にして販売したところ、健康ブームに乗ってヒットしました。飲料水のほかに干物やしょう油、日本酒、パン、お菓子、化粧水などにも使用されています。
ところが、ヒットすると現れるまがい物が追随することが、世の常です。海洋深層水も例外ではなく、ニセ深層水もまぎれ込んでいるのが実情です。高知県の室戸沖は、海洋深層水の取水地のひとつですが、給水を認められていない業者まで、室戸沖海洋深層水とうたって販売しているケースもありました。また、ある飲料水は沖縄近くの水深1,500メートルの深海から汲み上げた水をブレンドしていると銘打っていましたが、そのような深いところから海水を汲み上げることは、現在の技術では無理です。そのため、高知県では、正真正銘の海洋深層水にブランドマークをつけて、ニセ深層水の排除に取り組んでいます。
日本で市販されているミネラルウォーターは、殺菌処理を義づけられています。製造基準によると85℃で30分の加熱殺菌か、それと同等以上の効果のある殺菌処理をしなければならないことになっています。一方、ミネラルウォーターの歴史の長いヨーロッパでは、ミネラルウォーターとは、ミネラルを多く含んだ天然の鉱泉を自然な状態で容器に詰めたものです。殺菌など人の手が加わったものは、ミネラルウォーターとは呼びません。
南アルプスのふもとには、ミネラルウォーターの水源が集中していますが、地下水の大量汲み上げが問題になっています。将来的にどの供給元も別の水源を探さなければならないのは確実な情勢です。
海洋深層水とは、水深200メートルより深い層にある海水のことです。深海は水温が海面より低いため、大腸菌などの細菌に汚染されておらず、ミネラルのバランスに優れています。この海洋深層水から塩分を取り除き、真水にして販売しています。