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2020年08月13日

【大地の恵み】普段食べている果物にまつわる話

バナナの値段は70年前から変わらない

 現在バナナ1本の値段は、大きさや鮮度によって異なりますが、50〜150円程度です。このバナナは70年前もほぼ同じ値段で売られていました。バナナは昔から安かったと思う人もいるかもしれません。しかし、70年以上前と現在では、物価水準がかなり異なります。1950年代はコーヒー1杯が50円ほどの時代です。このとき、バナナは1本100円でした。いまの物価に換算すると1本500円以上という計算になります。5本では2,500円、10本で5,000円です。昔バナナは高級品だったといわれますが、今でいえば確かにメロンやマンゴー、シャインマスカット級の高級フルーツだったのです。

 戦前に台湾から調達してバナナが、戦後輸入を再開したのは1949年のことです。食べるものに飢えていた日本人に熱狂的に迎えられましたが、その輸入量は厳しく規制されていました。当時はGHQの占領下にあり、自由に貿易ができず、そのためバナナの値段はめっぽう高く、お金持ちだけが食べられる贅沢品でした。ところが、そのバナナの輸入が、1964年に自由化されました。このことで、台湾やエクアドルから大量のバナナが輸入されるようになり、値段が一気に下がりました。さらに1970年代になるとフィリピンのバナナが大量に輸入され、バナナの値段は一段と下がりました。70年以上前は高級品のシンボルだったバナナは、現在スーパーの片隅で投げ売りされています。

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熱帯地方のリンゴ

 リンゴの産地は寒い地方というのが日本の常識です。実際日本では、青森や岩手、長野県がリンゴの主産地として知られています。ところが、熱帯の国でもたまに市場でリンゴが販売されています。実は東南アジアなどの熱帯でも、リンゴが収穫されています。

 リンゴが実をつけるには、7℃以下の寒い期間が2カ月ほど必要になります。リンゴの芽は秋から休眠期に入り、その後2カ月間は寒い時期が続かないと、休眠から目覚めません。常夏のはずの熱帯地方にもこの条件を満たす場所があります。標高1,000メートル以上の高原です。マレーシアのキャメロンハイランド、ミャンマーのメイミョーなどの高地では、古くからリンゴが栽培されています。特にインドネシアのジャワ島東部の高原には、200万本ものリンゴの木があって、毎年たくさんのリンゴが収穫されています。

 ただし、トロピカルフルーツが豊富な東南アジアでは、リンゴは珍しい存在です。日本のリンゴをお土産に持っていけば、東南アジアの人たちには喜ばれるでしょう。

ミカンの甘さ


 最近のミカンは、1口食べて思わず甘いと感じることが多いです。甘いのにも2通りあり、酸っぱくないために甘く感じるものと本当に糖度が高いものがあります。美味しいのはむろん糖度の高いミカンですが、一般的にハウスミカンは露地ミカンよりも糖度が高く、美味しくなります。ハウス内の方が、露地よりも光合成が活発に行われるためです。ミカンの糖質は葉で光合成により生成し、それが果実に運ばれて蓄積されます。つまり、ミカンの糖度が高くなるかどうかは、健全な葉がたくさんあって、光合成を活発に行える環境にあるかどうかにかかっています。

 その点でハウス内は、冬の寒さから守られ落葉も少ないです。ミカンの葉は気温が10℃以下になると光合成が鈍りますが、ハウス内では室温が高く保たれるため、冬の間も光合成が盛んに行われ、たくさんの糖質を蓄積できるわけです。

 さらに雨の少ない瀬戸内海産のミカンは、露地物でも味がいいと評判ですが、これは土地が乾燥していることに関係しています。もちろんハウス内の空気も乾燥させることができ、この点でもハウス栽培はミカンをより美味しくする条件を備えています。

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ブドウと農薬


 ブドウを食べるときは、皮を指先でつまみ、果実を口の中に吸い込む人が多いかもしれません。みずみずしい果実が口の中に飛び込み、甘酸っぱい味が口の中いっぱいに広がります。こうしてブドウを食べると、どうしても皮と皮の内側に口や舌をつけることになります。この食べ方は危険だという意見も確かに一理あります。残留農薬が直接口の中に入るからです。ブドウの栽培では、若芽の吹く春から収穫の秋にかけて、農薬が20回以上散布されます。この農薬は、除草剤や殺虫剤、殺菌剤、さらに種なしの品種を生産するためのホルモン剤などです。

 しかし、そもそも日本において、農薬は使用基準が厳しく設けられており、正しく使用していれば体に害を与えることはありません。安心して皮のまま食べられます。

 また、オーガニックのブドウの生産に取り組んでいるところも増えており、このブドウであれば、農薬を気にせず食べられます。

まとめ


 現在バナナ1本の値段は、大きさや鮮度によって異なりますが、50〜150円程度です。このバナナは70年前もほぼ同じ値段で売られていました。1950年代はコーヒー1杯が50円ほどの時代です。このとき、バナナは1本100円でした。いまの物価に換算すると1本500円以上という計算になります。昔バナナは高級品でした。

 リンゴの産地は寒い地方というのが常識ですが、東南アジアなど常夏の熱帯地方にも標高1,000メートル以上の高原がありリンゴが栽培されています。ただし、トロピカルフルーツが豊富な東南アジアでは、リンゴは珍しい存在のため、お土産に喜ばれます。

 一般的にハウスミカンは露地ミカンよりも糖度が高く、美味しくなります。ミカンの糖度が高くなるかどうかは、健全な葉がたくさんあって、光合成を活発に行える環境にあるかどうかにかかっています。

 ブドウには、農薬が20回以上散布されます。この農薬は、除草剤や殺虫剤、殺菌剤、さらに種なしの品種を生産するためのホルモン剤などです。日本において、農薬は使用基準が厳しく設けられており、正しく使用していれば体に害を与えることはありません。安心して皮のまま食べられます。


posted by Kaoru at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品
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