2012年12月12日
スースーするのは髪を切ったからだけではない
「お前はバカか、こんな寒い日に髪を切って。
耳のところがスースーしようが」
そんなことを言われても仕方がないじゃないか。
髪の毛が覆いかぶさって、うっとおしい、
と言っていたのは、社長じゃないか。
と心の中で呟く。
不毛な会話になりかねないので、すぐに謝る。
なぜかと言われると、話が長くなり面倒くさいから。
「そうですね、もう少し暖かい時に
切ればよかったんですが、すみません、テヘペロ！」
テヘペロは、単に書きたかったので書いただけで、
実際に言ったわけではない。
しかし、男が言っても可愛くない事はわかった。
それはともかくとして、髪を切った。
そして、案の定、耳がスースーする。
夏は暑く、冬は寒いのは当たり前だが、
こうも寒いと、朝起きるのがつらいし、
お風呂に入るのに裸になるのが嫌だし、
歯を磨いた後、冷たい水でうがいをするのも嫌だ。
昔まだ学生で、まだばあちゃんが存命だった頃だが、
朝起きると、ストーブには既に火が入っていて、
その上にはやかんが載って、シューシューと、
白い蒸気を吐き出している。
すでに暖かくなった部屋で、
ばあちゃんが淹れてくれた苦いお茶を飲み、
二番茶が美味しいからと、
勧められるままにもう一杯おかわりをして飲み、
それから朝食を取りながら、
あーだこーだ、言いながらも学校へ行った。
よく飽きもせず学校に毎日行ったものだ。
まぁ今でも毎日会社に行っている訳だが。
当たり前の事が当たり前ではなくなり、
いつのまにかその変化に慣れてしまい、
毎朝飲んでいたお茶も、今は飲む事も無い。
一人暮らしをしていると、無口になる。
休日なんかは、どうかするとひと言も話していない事に気が付き、
意味も無く、ヤッホー、とか言ってみたりする。
こだまは返って来ないが。
たまに実家にいた時の喧騒を懐かしく思うが、
多分今はもう耐えられないだろう。
それは遠くから見るお祭りと一緒で、
中にいると、人に酔ってしまいそうになる。
ちょっと離れた所から見ることで、
なおさら人の暖かさを思い知る事になる。
お茶の間コンパクトこたつセット
