2011年10月13日
ジョセフ・バリオス
今日もほんわかしたいと思います。
スワンプ・ポップ・シンガーのJoe Barryです。
本盤は、Huey P. Meauxが制作したアルバムで、77年にリリースされたABC-Dot盤です。
Side One
1. You're Why I'm So Lonely (Heuy Meaux)
2. Tommorrow Never Comes (Tubb, Bond)
3. Think It Over (Huey Meaux)
4. Always Late (With Your Kisses) (Lefty Frizzel, Blackie Clawford)
5. I Almost Lost My Mind (Ivory Joe Hunter)
Side Two
1. It's A Sin To Tell A Lie (Billy Mayhew)
2. Cold, Cold Heart (Hank Williams)
3. The Prisoner's Song (Guy Massey)
4. I Let Happy Pass Me By (Roy Chauvin)
5. If You Really Want Me To, I'll Go (Delbert McClinton)
Huey Meauxは、75年のFreddy Fenderの制作で成功した余勢をかり、この頃、50〜60年代にシングル・オンリーだったお気に入りのシンガーに、ここぞとばかりにLPを吹き込ませている気がします。
制作は、いつものヒューストンのシュガーヒル・スタジオで行われ、演奏もお馴染みのMickey Moodyを中心とするハウス・ミュージシャンが受け持っています。
アルバム・タイトルがアーティスト名であることから、あるいはJoe Barryの初のオリジナル・アルバムなのかも知れません。
Joe Barryは、本名をJoseph Barriosといい、出身はルイジアナ州で、ほぼ間違いなくケイジャン(仏系米国人)だと思われます。
それが証拠に、彼はまれにフランス語でも吹き込んでいます。
"Je suis bet pour t'aimer"という60年の録音は、"I'm a Fool to Care"のフレンチ・バージョンでした。
私が興味を持ったのは、Barriosという姓で、Barrioは、通常はヒスパニック居住区(特にスペイン語圏の都市区域)を指す言葉です。
チカーノならぴったりですが、ケイジャンの姓だというのが面白いですね。
Joe Barryの代表曲は、"I'm a Fool to Care"で、当初、60年に地元のJin Recordsからリリースされ、その後メジャーのマーキュリーの子会社スマッシュから全国配給されたのではないかと思います。
"I'm a Fool to Care"は、40年代のヒルビリー・シンガー、Ted Daffanの作品のカバーですが、Joe Barryのスワンプ・ポップ版がヒットしたことから、テキサス、ルイジアナのミュージシャンの人気曲になりました。
多くのシンガーがカバーしていると思いますが、私が特に印象に残っているのは、デビュー直後のJoe King Carrascoが、Doug Sahm人脈のバンド、エル・モリーノ・バンドと吹き込んだバージョンです。
ゴージャスなホーン陣に支えられたオルケスタ・サウンドが最高でした。
収録曲を聴いていきましょう。
ちなみに、本盤収録曲は、99年にNight Trainという会社から出された2枚組CD、"I'm A Fool To Care - The Complete Recordings 1958-1977"に全て収録されています。
当該CDは、パッケージだけを見ていると、一見ヨーロッパのブート・レーベルぽい匂いがしますが、本人のJoe Barryがリイシューを監督していて、資料的な価値も高い内容になっています。
そのライナーによれば、今回のLPには、同内容のCrazy Cajun盤とABC-Dot盤があるようです。
私は、当該CDをずいぶん前に入手しましたが、曲数が多すぎて(59曲入り)焦点を絞り切れず、さほど印象に残っていませんでした。
しかし、今回のアナログLP盤を聴いて、眼が洗われるように、清々しい思いで聴くことが出来ました。
私の思い込みかも知れませんが、LP盤のほうが心に素直に届く音だった気がします。
さて、アルバム全体の印象としては、とても丁寧に歌っているなあ、と感じます。
曲調は、ホーンレスのため、どちらかと言えばカントリー・テイストが強いようにも思いますが、ゆるゆるのサウンドであり、例えるなら、Bobby Charlesのウッドストックより後の録音のようです。
このアルバムは、おそらくはカントリー・アルバムとして店頭に出たのでしょうが、聴いて感じるのは、隠しきれないR&Bフレイバーです。
アーネスト・タブをやろうが、レフティ・フリーゼルをやろうが、本人の本質はヴィンテージ期から何ら変わっていない気がします。
アレンジで興味深かったのは、Jimmy Donelyの"Think It Over"のカバーです。
曲本編こそ、原曲にそった展開ですが、イントロが面白くて、まるでゴスペルのような教会風の荘厳な雰囲気で始まります。
数あるこの曲のカバーでも、特筆すべき1曲になっていると思います。
B面1曲目の"It's A Sin To Tell A Lie"は、私がずっと気になっている曲のひとつです。
原曲は、「嘘は罪」という邦題を持つジャズ・スタンダードだと思いますが、私が初めて聴いたバージョンは、NRBQによる賑やかなアレンジのライヴ・テイクでした。
一発で気に入った私は、それ以降、NRBQのアレンジの元ネタが知りたいと思い続けています。
ここでのJoe Barryのバージョンは、ミディアム・スローで、ほとんど別の曲のように聴こえます。
私は原曲を知りませんが、これが本来の姿に近いのかも、と思ったりしています。
"The Prisoner's Song"は、ブルーグラス・ソングが原曲かと思いますが、スワンプ・ポップには、同名曲で58年にWarren Storm盤があります。
私は、Warren Storm盤は未聴ですが、Johnnie Allan盤では親しんできた曲です。
今回、Johnnie Allan盤(多分アナログのKrazy Kat盤)が行方不明で、聴き比べが出来ませんでした。
そのうち、別のものを探していればひょっこり出てくると思いますので、その時に覚えていれば聴き比べたいと思います。
ラストの"If You Really Want Me To, I'll Go"は、Delbert McClintonの曲で、私はDoug Sahmのカバーで知った曲です。
この曲は、Delbertの最初期の活動、The Ron-Dels時代のレパートリーです。
やはり、いい曲は古びませんね。
70年代半ばから後半に、Huey MeauxがプロデュースしたLPたちには、この手の音楽好きにはたまらないアイテムがまだまだありそうです。
さらに追いかけ続けたいと思います。
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スワンプ・ポップ・シンガーのJoe Barryです。
本盤は、Huey P. Meauxが制作したアルバムで、77年にリリースされたABC-Dot盤です。
Joe Barry
Joe Barry
Joe Barry
Side One
1. You're Why I'm So Lonely (Heuy Meaux)
2. Tommorrow Never Comes (Tubb, Bond)
3. Think It Over (Huey Meaux)
4. Always Late (With Your Kisses) (Lefty Frizzel, Blackie Clawford)
5. I Almost Lost My Mind (Ivory Joe Hunter)
Side Two
1. It's A Sin To Tell A Lie (Billy Mayhew)
2. Cold, Cold Heart (Hank Williams)
3. The Prisoner's Song (Guy Massey)
4. I Let Happy Pass Me By (Roy Chauvin)
5. If You Really Want Me To, I'll Go (Delbert McClinton)
Huey Meauxは、75年のFreddy Fenderの制作で成功した余勢をかり、この頃、50〜60年代にシングル・オンリーだったお気に入りのシンガーに、ここぞとばかりにLPを吹き込ませている気がします。
制作は、いつものヒューストンのシュガーヒル・スタジオで行われ、演奏もお馴染みのMickey Moodyを中心とするハウス・ミュージシャンが受け持っています。
アルバム・タイトルがアーティスト名であることから、あるいはJoe Barryの初のオリジナル・アルバムなのかも知れません。
Joe Barryは、本名をJoseph Barriosといい、出身はルイジアナ州で、ほぼ間違いなくケイジャン(仏系米国人)だと思われます。
それが証拠に、彼はまれにフランス語でも吹き込んでいます。
"Je suis bet pour t'aimer"という60年の録音は、"I'm a Fool to Care"のフレンチ・バージョンでした。
私が興味を持ったのは、Barriosという姓で、Barrioは、通常はヒスパニック居住区(特にスペイン語圏の都市区域)を指す言葉です。
チカーノならぴったりですが、ケイジャンの姓だというのが面白いですね。
Joe Barryの代表曲は、"I'm a Fool to Care"で、当初、60年に地元のJin Recordsからリリースされ、その後メジャーのマーキュリーの子会社スマッシュから全国配給されたのではないかと思います。
"I'm a Fool to Care"は、40年代のヒルビリー・シンガー、Ted Daffanの作品のカバーですが、Joe Barryのスワンプ・ポップ版がヒットしたことから、テキサス、ルイジアナのミュージシャンの人気曲になりました。
多くのシンガーがカバーしていると思いますが、私が特に印象に残っているのは、デビュー直後のJoe King Carrascoが、Doug Sahm人脈のバンド、エル・モリーノ・バンドと吹き込んだバージョンです。
ゴージャスなホーン陣に支えられたオルケスタ・サウンドが最高でした。
収録曲を聴いていきましょう。
ちなみに、本盤収録曲は、99年にNight Trainという会社から出された2枚組CD、"I'm A Fool To Care - The Complete Recordings 1958-1977"に全て収録されています。
当該CDは、パッケージだけを見ていると、一見ヨーロッパのブート・レーベルぽい匂いがしますが、本人のJoe Barryがリイシューを監督していて、資料的な価値も高い内容になっています。
そのライナーによれば、今回のLPには、同内容のCrazy Cajun盤とABC-Dot盤があるようです。
私は、当該CDをずいぶん前に入手しましたが、曲数が多すぎて(59曲入り)焦点を絞り切れず、さほど印象に残っていませんでした。
しかし、今回のアナログLP盤を聴いて、眼が洗われるように、清々しい思いで聴くことが出来ました。
私の思い込みかも知れませんが、LP盤のほうが心に素直に届く音だった気がします。
さて、アルバム全体の印象としては、とても丁寧に歌っているなあ、と感じます。
曲調は、ホーンレスのため、どちらかと言えばカントリー・テイストが強いようにも思いますが、ゆるゆるのサウンドであり、例えるなら、Bobby Charlesのウッドストックより後の録音のようです。
このアルバムは、おそらくはカントリー・アルバムとして店頭に出たのでしょうが、聴いて感じるのは、隠しきれないR&Bフレイバーです。
アーネスト・タブをやろうが、レフティ・フリーゼルをやろうが、本人の本質はヴィンテージ期から何ら変わっていない気がします。
アレンジで興味深かったのは、Jimmy Donelyの"Think It Over"のカバーです。
曲本編こそ、原曲にそった展開ですが、イントロが面白くて、まるでゴスペルのような教会風の荘厳な雰囲気で始まります。
数あるこの曲のカバーでも、特筆すべき1曲になっていると思います。
B面1曲目の"It's A Sin To Tell A Lie"は、私がずっと気になっている曲のひとつです。
原曲は、「嘘は罪」という邦題を持つジャズ・スタンダードだと思いますが、私が初めて聴いたバージョンは、NRBQによる賑やかなアレンジのライヴ・テイクでした。
一発で気に入った私は、それ以降、NRBQのアレンジの元ネタが知りたいと思い続けています。
ここでのJoe Barryのバージョンは、ミディアム・スローで、ほとんど別の曲のように聴こえます。
私は原曲を知りませんが、これが本来の姿に近いのかも、と思ったりしています。
"The Prisoner's Song"は、ブルーグラス・ソングが原曲かと思いますが、スワンプ・ポップには、同名曲で58年にWarren Storm盤があります。
私は、Warren Storm盤は未聴ですが、Johnnie Allan盤では親しんできた曲です。
今回、Johnnie Allan盤(多分アナログのKrazy Kat盤)が行方不明で、聴き比べが出来ませんでした。
そのうち、別のものを探していればひょっこり出てくると思いますので、その時に覚えていれば聴き比べたいと思います。
ラストの"If You Really Want Me To, I'll Go"は、Delbert McClintonの曲で、私はDoug Sahmのカバーで知った曲です。
この曲は、Delbertの最初期の活動、The Ron-Dels時代のレパートリーです。
やはり、いい曲は古びませんね。
70年代半ばから後半に、Huey MeauxがプロデュースしたLPたちには、この手の音楽好きにはたまらないアイテムがまだまだありそうです。
さらに追いかけ続けたいと思います。
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