史上最高値更新や企業の好業績を見ると、日本経済がデフレで低迷していた時代が終わりつつあると言う実感を持つ事ができる。
デフレの重要な特徴は、経済を停滞させる要因が組み込まれている事だ。
金利の動きがその典型である。
市場金利は基本的にゼロ以下に下がらない。
物価が上がらなければ、実質金利もゼロ以下に下がらない。
実質金利は、名目金利(市場で決まる金利)から物価上昇率を引いて求める事ができる。
株価や企業の行動は、名目金利ではなく、実質金利に反応すると考えるべきだ。
物価が上がっていないと、実質金利は意外に高くなる。
株価が大きく上がっている背景には、円相場の下落傾向もある。
脱デフレの動きが続けば、バブル経済崩壊後の「失われた30年」と呼ばれた低成長時代に終止符を打つ事ができる。
東京大名誉教授 伊藤 元重 1951年静岡市生まれ。 東京大経済学部卒。 専門は国際経済学。
政府の経済財政諮問会議の議員や復興推進委員会の委員長などを歴任した。
愛媛新聞 視標から
賃上げと物価の上昇が連動する国内型インフレにシフトしていこうとしているらしい。