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2019年07月25日

マレーシアはゼロ達成  消費税を引き下げた国のその後は?


 

 
 マレーシアはゼロ達成  消費税を引き下げた国のその後は?



 



 
 〜日刊ゲンダイDIGITAL 7/25(木) 9:26配信〜


            7-29-1.jpg

           94歳のマハティール首相は支持率70%


【消費税廃止でニッポン復活】#3



 〜消費税廃止をぶち上げた「れいわ新選組」は、参院選で228万票を獲得。代表の山本太郎は個人で99万票を集める等消費税廃止は有権者の関心が高い。それでも過半数を維持した安倍首相は予定通り増税するのだろうが、世界に視線を向けると、消費税の廃止や減税は必ずしも無謀な事では無いのだ〜


 消費税廃止のモデルケースがマレーシアだ。マハティール首相は、昨年5月の選挙で史上初めての政権交代を果たす。その目玉公約が、日本の消費税に当たる物品・サービス税(GST)の廃止で、公約通り同年6月1日から税率を6%から0%にして居る。
 財源の穴埋めで、同年9月から売上税・サービス税(SST)を復活。GSTの税収はSSTの2・5倍もあり、税収不足は避けられず財政赤字が拡大するリスクがあるだろう。

 それでも、マハティール首相が強気に消費税廃止に踏み切ったのは、好調な経済を維持する為。マレーシア中央銀行は、今年の経済成長率予測を4・3〜4・8%と発表。個人消費や民間投資が旺盛で、昨年マイナス成長だった農業と鉱業がプラス成長に。
 好調な経済を受けて海外からの投資も右肩上がり。マレーシア投資開発庁によれば、昨年の製造業の外国投資認可額は対前年比約2・7倍の約1兆6000億円に急増して居る。強い追い風に乗ってマハティール首相はGDP6%成長を見込む。それが財政問題をカバーしつつ、消費税廃止に踏み切った要因だ。


 英国、カナダでは引き下げも

 
 消費税の税率を下げたケース為ら先進国にも有る。例えば、英国はリーマン・ショック直後の2008年12月、付加価値税率を17・5%から15%に引き下げて居る。急ブレーキが掛かった景気の立て直しが狙いで、景気回復を達成すると2010年1月に17・5%に戻して居る。(現在は20%)

 カナダも然りだ。付加価値税の税率は7%でスタートしたが、財政健全化を達成すると、2008年には5%に減税して居る。カナダは、アルバータ州での石油採掘が本格化。潤沢なオイルマネーが、税率ダウンに大きく貢献したのは間違い無い。消費税を廃止したマレーシアも、財源の穴埋めの有力手段として国営石油会社からのロイヤルティーに期待を寄せる。

 こうして見ると、消費減税は眉唾(まゆつば)のテーマで無い事が分かるだろう。では、日本では可能なのか。独協大経済学部教授の森永卓郎氏が言う。

  「参院選の結果を見ると、次の総選挙から消費減税が大きなテーマに為るでしょう。減税分の補填は赤字国債の発行でカバーします。金利はマイナスで昨年の物価上昇率は0・8%。この状況なら、100兆円規模でもデフォルトのリスクは少ないですから」

 安倍首相は、消費税を引き上げる理由のひとつとして社会保障の充実を掲げるが、詭弁だろう。社会保障の財源は6割が社会保険料だ。議論を税金にスリ替えるのは可笑しい。マレーシアの歴史的な英断は、決して奇跡では無いのだ。


                 以上


 



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遅れて来たケインズ主義「現代貨幣理論(MMT)」は、米国で実験すべきだ




 論考・コラム・レポート 税・社会保障改革 July 18, 2019 連載コラム「税の交差点」第64回


 遅れて来たケインズ主義 「現代貨幣理論(MMT)」は、米国で実験すべきだ


 7月16日、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が来日し、「現代貨幣理論(Modern Monetary Theory、以下MMT)に付いて講演した。

 MMT では、政府と中央銀行の統合勘定を前提とするので、政府の国債発行残高の内日銀保有分は帳消しと観念する。その上で政府の借金は国民の資産の拡大と云う事で、政府は緊縮財政を行う必要は無く、民間経済に貯蓄の余剰(カネ余り)がある限り、赤字を出す様な経済政策が望ましい・・・と云うものである。金融政策の有効性を否定し、全ては財政政策だと言って居る。

 米国製の目新しい経済理論には目が無い日本のマスコミは、ここぞとばかりに報道した。便乗する国土強靭化を主張する安倍政権元ブレーンも参加して居た。消費増税が選挙の争点と為る中「増税は必要無い」と云う彼女の主張は大きな注目を浴びた。
 彼女は「日本で実験済み、これだけ財政赤字を拡大してもインフレが起き無いのは、MMTが正しい事を証明して居る」「インフレに為りそうに為ったら増税すれば好い」とも発言して居た。

 筆者の印象は、フリーランチは無いと批判されたラッファーカーブや、減税すれば人々の勤労意欲が上がり税収も増えると言ったブードウーエコノミクス、最近では、ヘリコプターマネー・シムズ論の類だ、と云うものである。
 積極的財政政策を唄う点は、ケインズ主義と似て居るが、財政赤字は継続可能で赤字は貨幣の発行で埋めれば良いと云う点で異なって居る。又、継続的な政策と云う点で、ヘリコプターマネーともニュアンスが異なる。筆者の感じた違和感、問題点は次の通りである。

 先ず「インフレが生じ始めたら増税すれば好い」と云うが、インフレは一旦始まると容易には沈静化出来無い。我が国のリフレ派を代表する日銀審議委員ですら「インフレが制御出来無く為る」として反対して居る。

 「『インフレが深刻に為った場合には増税する』と云うトリガー条項を決めて置けば好い」とも発言して居る(7月18日付日経朝刊)が、我が国憲法が採る租税法律主義を知ら無い戯言だ。(米国には租税法律主義は無い)
 土地バブル時代に土地神話の根絶を狙った地価税が導入されたのは、土地基本法が制定された1989年から何と3年後の1992年である。税制調査会での議論、法律の策定、衆参両院での国会審議等で時間が掛かり、土地バブルが崩壊してからの導入と為った結果、急激なバブル崩壊に繋がった。

 財政政策として彼女が主張するのは公共事業である。これも1990年代の我が国の経験を知ら無い空想的な議論だ。
 バブル崩壊後に120兆円規模の減税と公共事業の拡大が、景気対策と云う名目で行われたが、未だデフレ脱却すら出来て居ない。効果や効率を考えずに行われた公共事業は、景気浮揚効果を持たず、維持・補修に四苦八苦して居ると云うのが現状だ。


7-25-1.png


 図表は、我が国一般会計の歳出・歳入の推移を描いたものだが、そのギャップ(所謂ワニの口)は、バブル崩壊後とリーマンショック後に大きく開いて居る。これは景気対策としての公共事業の追加(歳出の拡大)と減税(歳入の減少)が行われた為で、結果として景気は回復せず、ワニの口は益々拡大した。

 何れにしてもMMTは、米国特有の状況下での話で、我が国とは事情や背景の異なるものだ。実験するのなら、以下の理由から、米国で行うべきだ。

 第1に、米国では大統領選挙が始まって居り、民主党の候補者の多くは大きな政府を標榜して居る。彼等の公約である学生ローンの債務棒引き、完備されて居ない医療保険制度の構築等に必要な財源を正当化する為には、目新しい理論が必要だ。それをMMTに求めて居る。医療制度が、曲がり為りにも完備されて居る我が国とは大きく事情が異なる。

 第2に、トランプ側にも事情がある。公約だったラストベルトへのインフラ投資は財源不足からとん挫して居る。更に大規模な減税を行った事から、大幅な財政赤字の懸念が生じて居る。「財政赤字はそれ程大きな問題では無い」と言いたい事情がある。

 何れにしても、金融政策より財政政策・公共事業を優先させる「遅れて来たケインズ政策」は、人手が足り無くてボトルネックと為って居る我が国には全く当て嵌まら無い。打ち出の小づちからバラ撒かれる財源で公共事業を行なえば、一時的には潤ってもスグサマその維持コストが便益を上回ると云う状況が生じ、公共投資の乗数効果はマイナスに為ってしまう。
 我が国のリフレ派ですら反対して居るので議論の価値は無い、とも言えるが、実験を行うなら、米国で行って欲しい。


             7-25-2.jpg

                森信茂樹 氏

 東京財団政策研究所研究主幹 中央大学法科大学院特任教授

 1950年生まれ。法学博士。1973年京都大学卒業後大蔵省(現財務省)入省。財務省では主に税制分野を経験。その間ソ連、米国、英国に勤務。大阪大学、東京大学、プリンストン大学で教鞭を執り、財務総合政策研究所長を経て退官。
 (一社)ジャパン・タックス・インスティチュートを運営する一方、日本有数の政策シンクタンク、東京財団政策研究所で「税・社会保障調査会」を立ち上げ、税・財政や社会保障の政策提言を行っている。著書に、『日本の税制 どこが問題か』(岩波書店)『税で日本はよみがえる』(日経新聞出版)や、GAFAの税負担問題やデジタル経済における税のあり方を徹底追究した『デジタル経済と税』(同)など。



(サムネイル:Stephanie Kelton, Professor of Economics and Public Policy, College of Arts and Sciences at Stony Brook University (May 2019))


徴兵制に繋がる→☓ 安保法案の疑問判り易く答えます



 徴兵制に繋がる→☓ 安保法案の疑問判り易く答えます



 〜政府の御用新聞と揶揄される『産経新聞』 2015.9.17読了まで9分〜


 〜集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案が成立する見通しと為った。その内容、背景、意義をQ&A形式でまとめた〜


 Q そもそも集団的自衛権とは何か

 A 日本は従来「個別的自衛権」の行使しか認めて来なかった。これは敵国の軍隊が日本を侵略しようと攻め込んで来た場合に、自衛隊が敵部隊を撃退する事だ。これに対して「集団的自衛権」と云うのは、日本が直接攻撃を受けて居なくても、米国等他国が攻撃を受けた時、自衛隊が一緒に敵部隊を撃退する事だ。
 小規模な軍隊しか持た無い国が、軍事大国に攻撃されれば一溜りも無い。だから、小規模な国にしてみれば、軍事大国に侵略され無い様に、隣国や仲の良い国とお互いに助け合える様にしたい。国際社会では集団的自衛権が行使出来るのは当たり前と考えられて居る。


 Q 戦争を未然に防ぐには外交努力が先では

 A 日本は先の大戦から70年間、一度も戦争をしていない。今後も在っては為ら無い。その為には他国からの攻撃を外交努力で未然に防ぐ事が重要だ。しかし、万一への「備え」は必要だ。自分の国を守れ無い国だと見られれば、軍事力によって現状を変更したい国の不法行為を誘発し易く為る。確りした軍事面の備えが無いと、外交でも相手に足元を見られ兼ねない。
 日本が平和で居られたのは「憲法9条があったからだ」と主張する人が居るが、それは現実的な見方では無い。日米同盟と云う存在が、日本を他国の侵略から守る強力な「抑止力」で在り続けたからだ。


 Q 日本を攻撃しようとして居る国があるのか

 A 日本の周辺では見逃しては為ら無い危険な動きが沢山ある。隣国の中国は、軍事費を過去10年間で3.6倍に増やして軍事大国に為って居る。その膨大な予算で性能の高い戦闘機や軍艦を沢山造って居る。日本の領空に戦闘機が接近したり、中国の船が尖閣諸島(沖縄県石垣市)付近への領海に入って来たり、危険な行動を続けて居る。
 領有権を巡って周辺国と対立して居る南シナ海では、岩礁を埋め立てて“軍事拠点化”しようとして居る。北朝鮮は、日本の領土の大半を射程に入れる数百発の弾道ミサイルを持って居る。核実験も繰り返して居て、このママでは日本を核ミサイルで攻撃出来る能力を持つのは時間の問題だ。


 Q 一部の野党やマスコミは「戦争法案」と批判しているが

 A 全くの間違いだ。安保関連法案のポイントは、如何に戦争を未然に防ぐかだ。集団的自衛権の行使によって、米軍と自衛隊が互いに守り合う関係に為れば信頼関係はより深まる。「日本に手を出せば世界最強の米軍が黙っていない」と思わせる事で、戦争を仕掛けられる危険が減る。まさに、日本の平和と国民の安全を守る為の法律だ。

 Q 「米国の戦争に巻き込まれる」と云う指摘もある

 A その指摘も違って居る。日本が集団的自衛権を行使するには、可なり厳しい条件が着けられて居る。安保関連法案で「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求権が根底から覆される」場合と規定されて居る様に、日本が直接攻撃を受ける事と同程度の事態に為ら無いと、集団的自衛権は行使出来無い様に為って居る。
 これは世界でも類を見無い程厳しい条件だ。だから、米国が何処かで戦争を起こしても、日本の安全と関係無ければ自衛隊が行く事は出来無い。


 Q 例を挙げると

 A 米国本土が攻撃されても自衛隊が米国本土まで戦いに行く事は無い。それは「他国防衛」に当たるからだ。だが、日本に飛んで来るかも知れない北朝鮮のミサイルを迎撃する為警戒して居る米艦艇が攻撃された場合は、自衛隊は米艦艇を守る事が出来る。
 日本の安全が脅かされて居る事態であり、米艦艇が沈没されれば、日本がミサイル攻撃を受けるかも知れ無いからだ。こうした「自国防衛」に限って、集団的自衛権の行使は認められて居る。そもそも自衛隊が持って居る武器は、日本が攻撃を受けた時を想定して居るものだ。他国迄行って空から地上を爆撃したり、大規模な地上戦を行ったりする様な能力は持って居ない。


 Q 徴兵制に繋がると心配して居る母親達が居る

 A 安保関連法案は徴兵制とは無関係だ。政府は徴兵制を禁じる憲法解釈を堅持して居る。安倍晋三首相は何度も「導入は無い」と明確に否定して居る。自衛隊に取っても、徴兵制を導入するのは意味が無い。最近ではハイテク兵器が主役だ。沢山の教育訓練が必要で、徴兵した処で育成出来無い。専門性の低い大量の自衛隊員を維持する必要性も低い。
 だから、米国や英国等主要7カ国(G7)は何れも徴兵制では無く自分の考えで軍隊に入隊する志願制を採用して居る。徴兵制は国際的な潮流からも逆行して居る。


 Q 安保関連法案は憲法違反なのか

 A 確かに、憲法学者でも安保関連法案を「憲法違反」だと解釈する人は多い。しかし、憲法解釈の変更は、これ迄も行われて来た。戦後間も無い頃は、当時の吉田茂首相は「憲法9条は自衛の為の戦争も否定して居る」と云う見解を国会で示して居た。要は、日本が敵国に攻められても自衛すら出来無いと云う意味だ。
 しかし、昭和29年に自衛隊が創設され、政府は「自衛の為に必要な実力組織を持つ事は憲法に違反しない」と解釈を変えて居る。ちなみに、今回の安全保障関連法案を違憲だと云う憲法学者の中には、今でも自衛隊を憲法違反だと主張して居る人が少なくない。


 Q 野党は自衛隊のリスクは高まると言って居る

 A 今回の法制では自衛隊に新たな任務が加わる為、その分のリスクは増えると指摘する事も出来る。只、今でも自衛隊にはリスクの高い任務がある。自衛隊はリスクを最小化し、任務を完遂する為に日々厳しい訓練を行っている。この点は法整備後も変わら無い。
 そもそも自衛官は「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる」と宣誓して入隊して居る。リスクは覚悟の上だ。忘れてはいけないのは、自衛官がリスクを背負う事と引き換えに、日本の平和や安全に及ぶリスクが格段に下がると云う事だ。


 Q 安保関連法案に反対する野党が多いが、安倍首相が望むから法整備するのか

 A 安倍首相が安全保障政策に意欲的なのは確かだ。でも、集団的自衛権の行使容認を巡る議論は以前からされて来た。安倍首相は平成18年に発足した第1次政権でも、この問題に取り組んで来た。
 確かに民主党等は安保関連法案に反対の立場だ。岡田克也代表は6月の党首討論で「集団的自衛権は要ら無い」と断言したが、岡田氏や野田佳彦元首相は過つて「集団的自衛権の行使を容認すべきだ」と主張していた。前原誠司元外相に至っては、6月の衆院平和安全法制特別委員会で質問に立ち、集団的自衛権の行使について「一部認める立場だ」と明言して居る。


 Q 米国の核兵器も自衛隊が輸送するのか

 A 自衛隊の後方支援として他国軍の弾薬や物資を輸送出来る様に為るが、核兵器を輸送する事は無い。日本は国是として非核三原則を掲げて居る。安倍首相も「政策的に有り得無い」と述べて居る。そもそも、米国が核兵器の運搬を他国に委ねる事は考え難い。「机上の空論」だ。
 民主党等は安保関連法案の整備により自衛隊が核輸送する可能性を指摘するが、現行法制で核運搬を禁じる条文は無い。民主党政権下でも法律上は核運搬が可能だった事に為るが、それを禁止する措置を取らなかった。民主党の指摘は批判の為の批判としか思えない。


               以上



【管理人のひとこと】


 この解説によると、この安保法制は素晴らしい法律の様だ。野党の批判は全てコジツケであり議論する余地も無いらしい・・・

2019年07月24日

MMT理論とその批判者がともに間違って居るのはドコか?



  

 小幡 績 転機の日本経済

 MMT理論とその批判者が共に間違っているのは何処か?

 
 〜2019年07月22日(月)18時40分〜



         7-24-2.jpg

                小幡 績 氏


 




 今の日本では、将来に生きる投資が妨げられて居る fatido-iStock.


 <MMT理論は、財政支出が常に有効かつ効率的と云う前提に立って居るが、それは間違って居る>


 MMT理論とその批判者が共に間違って居るのは何処か?今更だが整理しよう。真っ当な有識者ですら意外と判って居ない。MMT理論が間違って居るのは、財政支出が常に有効かつ効率的だと云う前提に立って居る事だ。
 ワイズスペンディング・・・意味の有る財政支出であれば、インフレに為ら無い限り幾らでも遣って好いと云う事には為らず、財政支出のコストはインフレだけで無く、他の有効な支出を機会を奪う事にあり、そちらのコストの方が重要だ・・・これが一番のポイントだ。

 即ち、財政支出で何を行うかが重要であり、それは政策同士の比較だけで無く、民間投資とドチラが社会・経済全体の為に望ましいか、と云う観点が全く抜け落ちて居る。
 財政に制約は無いが、そのコストはインフレでは無く資源の有効活用と云う点で、所謂クラウディングアウトを起こしてしまう、と云う問題である。金利が上がら無ければクラウディングアウトが起きて居ないと考えるのはナイーブで、低金利であっても経済における投資可能金融資本は限定的であるから、民間投資と政府支出とドチラが望ましいか考える必要がある。


 




 MMTは今さえ好ければ好い理論

 更に、この点で最も重要なのは、財政に制約は、従来言われて居る程は無いが、即ち、単年度の財政赤字自体はそれ程気にすることは無いが、制約が全く無いと云うことは有り得ないと云う点である。即ち、財政支出規模が100兆円程度である日本の場合、これを120兆円にする事は可能かも知れ無いが、矢張り1000兆円の支出は無理であることは間違い無い。
 この900兆円分を、今年支出するべきか、10年後から100年後に掛けて10兆円ずつ追加支出するべきかは、そう簡単には判断出来無い。追加900兆円財政支出の異時点間の比較は出来無いのである。

 MMTは今を生きる理論であり、今さえ凌げば好いと云う考え方なので、現在に強いバイアスが掛かって居るから、放って置くと過大に支出してしまうので歯止めが必要だ。
 それを保守的に見積もるのが、赤字を出さ無いと云う事であり、その時の事はその時の人々で責任を取る、現在のコストを将来に残さ無いと云う事である。
 何故今が大事かと云うと、1930年代の大恐慌を背景にMMTは1940年代に生まれて居るから、今の危機を凌ぐ事が最重要なのは、絶対に正しいと云う事は立証出来無いが、それ程間違って居ないと云う状況で生まれたものなのである。


               以上


 
 




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徴兵制 変わる韓国、復活するフランス、議論する日本・・・日本における徴兵制



 徴兵制 変わる韓国、復活するフランス 議論する日本・・・日本における徴兵制



 〜7/23(火) 18:39配信 ニューズウィーク日本版〜


 




 〜2018年、韓国では「良心的兵役拒否」を無罪とし、代替服務制を設ける事に為った。その一方で2017年、フランスでは徴兵制復活を公約に掲げたマクロン大統領が当選して居る。世界と日本における徴兵制の動きや議論について、尾原宏之・甲南大学准教授が論じる。
 論壇誌「アステイオン」90号は「国家の再定義――立憲制130年」特集。同特集の論考「『兵制論』の歴史体験」を4回に分けて全文転載する〜




 <徴兵制・・・東京・ソウル・パリ> 

 若い友人に、カン・スンジュン君(仮名)と云う日本在住の韓国人が居る。35歳に為るカン君は兎に角韓国社会に批判的で、酒を飲むと産経新聞顔負けの発言が飛び出す。
 10代の頃、カン君は韓国での体罰教育に耐えられずイギリスに渡りそこで長期滞留した。その後どうしたものか東京に流れ着き、私立大学の日本史学科に入学する。卒業論文のテーマは戦前日本の徴兵制である。日本の徴兵制は、韓国徴兵制の祖型と目される事がある。
 カン君は筋金入りの軍隊嫌いで、どうにかして兵役を免れ様と悪戦苦闘して居た。卒論テーマの選定はこの事に関係して居る。

 その後カン君は日本人女性と結婚し、そのママ日本で就職した。韓国語、日本語、英語のトリリンガルなので、外資系企業の東京拠点で重宝される。結果として、厳格な事で知られる韓国の徴兵制をスリ抜ける事に成功しつつある。
 注意深くカン君の周囲を見渡すと、兵役を忌避する韓国人青年が同じ様に日本人女性と結婚して軍隊に行か無かった事例が散見される。国境を超えた愛を疑う積りは全く無いし、愛情以外の動機がある結婚が悪いとも思わ無い。だが、もし韓国に徴兵制が無かったら、彼等の人生は現在と同じだったろうかと遂考えてしまうのも事実である。

 カン君は、兵役を拒否して投獄された経験を持つ人、反戦活動家、軍隊に行きたく無いので外国に居続けて居る青年等と緩やかなネットワークを作って居る。その中には、フランスへの亡命に成功した韓国人兵役拒否者も存在する。
 日本でも記者会見や講演会等を開いて居たからご存知の方も居るかも知れない。彼は2013年にフランス政府から難民認定され、手厚い保護を受けつつパリで暮らして居る。韓国の徴兵制は良心的兵役拒否を認めて居らず、代替服務制も無い事が難民認定の決め手に為った様だ。

 だが、最近に為って状況が大きく変わって来た。排泄物を食べさせる、性的虐待を加える等の陰惨な苛めが取り沙汰される韓国の徴兵制軍隊だが、文在寅政権下で軟化の気配を見せて居る。憲法裁判所は代替服務制が用意されて居ない兵役法を違憲とし、大法院(最高裁)では良心的兵役拒否を無罪とする判決が下された。
 これを受けて韓国政府は代替服務制を設ける事に為った。服役期間も陸軍だと21カ月から18カ月に段階的に短縮される。



 




 <「徴兵制」と云う名の奉仕活動>

 韓国人兵役拒否者を難民として受け入れたフランスでも変化が見られる。現大統領のエマニュエル・マクロンは2017年の大統領選挙で徴兵制の復活を公約にした。但し、具現化しつつある政策は聊か拍子抜けする内容で、16歳に為った男女全員に一カ月間の奉仕活動を義務付けると云うものだ。BBCの報じた処では「市民文化」がその中心テーマで、警察や消防、軍隊での訓練や教育ボランティア、慈善活動等が選択肢に挙げられている。

 Service National Universel(普遍的国民役務)と名付けられたこのプログラムは、フランス政府のウェブサイトによれば1997年に停止された徴兵制とは別物で、社会的・地域的な結合、国防や安全保障の問題に関する認識の向上・発展等を企図して居る。
 元々マクロン大統領は一カ月間兵役そのものを体験させるプログラムを構想して居たので、可なり骨抜きにされた様だ。フランスが難民認定する程過酷だった韓国の徴兵制が緩和される一方、そのフランスでは奉仕活動と云う名目ながら新しい〈兵役〉が始まろうとして居る。スウェーデンでも昨年徴兵制が復活した。

 <徴兵論の現在と過去>

 実は日本の言論界でも、近年徴兵制が話題に為って居る。主な潮流はふたつある。ひとつは、安全保障法制を巡る議論の中で盛んに取り上げられた「経済的徴兵制」だ。先進諸国の志願兵制軍隊が、大学進学や医療保険等の特典で貧困層を誘引して囲い込んで居ると云う主張である。
 政府や軍は、社会的上昇を目指す貧困層が本人の意に反して入隊せざるを得無い様仕向けて居ると云う訳だ。日本では、憲法九条改正や集団的自衛権行使容認に批判的な勢力によってこの見解が唱えられて居る。
 今後自衛隊は、安保法制で戦争に巻き込まれる危険に晒されるだろう。危険地域への海外派遣も増加する。普通の人間は死にたく無いので、自衛隊に入りたがる訳が無い。よって、政府は社会的弱者をターゲットにする筈だ。(現にそうして居る)論者達はこの様に主張する。

 第二は、国際政治学者の三浦瑠麗等による、徴兵制的なものの効用を巡る議論である。現代の民主国家における戦争は、軍人の暴走によってでは無く、自分では戦争に行か無い統治者や国民が犠牲やコストを想像出来無く為る事によって起こる。
 多くの国民が兵役等を通して軍事に関与し、戦争で生じる「血のコスト」を実感出来る様に為れば、安易な開戦を防止出来る。おおまかに言えばこの様な議論である。

 「経済的徴兵制」論と「血のコスト」論が含意する防衛政策の在り方は異なるだろう。だが徴兵制ないし兵制一般の問題を通して国民(市民)と政治の関係を捉え直そうとして居る点では共通して居る。



 




 <政治と兵制を巡る議論は明治期の新聞・雑誌にも>

 処で、戦後殆ど忘れ去られて居るが、この視点に立つ議論は、明治期の新聞・雑誌論説にシバシバ見られるものである。例えば、福澤諭吉、中江兆民、小野梓と言った明治政治思想史上の重要人物は、夫々の政治構想と結び着いた独自の兵制論を用意して居た。
 但し同時代の政治思潮において、それ程兵制論がメジャーだったとは言え無い。例えば福澤に取っては、対外政策や経済政策の方が遥かに重要かつ喫緊の問題であり、徴兵制等はドチラかと云うとマイナーなテーマであった。

 だが、近代日本の政治思想において、政治と兵制を巡る問題がどの様に論じられて来たかをここで振り返る事は、今日の憲法改正を巡る問題を考える上でも多少の利益がある様に思われる。取り敢えず、徴兵令制定時に遡って議論を辿って行く事にしたい。



 明治初期の徴兵率は5%程度 95%が徴兵逃れ
 

 明治6年(1873年)徴兵令の制定で、全ての成人男子が兵役を担う義務があるとされた。しかし、実際には日清戦争期でも全体の5%程度しか徴集されず、兵役逃れが問題と為った。
 その背景と影響に付いて、尾原宏之・甲南大学准教授が論じる。論壇誌「アステイオン」90号は「国家の再定義――立憲制130年」特集。同特集の論考「『兵制論』の歴史体験」を4回に分けて全文転載する。



 




 <徴兵制はいかにして正当化されたか>

 明治6年1月10日、徴兵令が制定された。その中で、徴兵は次の様に規定されて居る。

 「徴兵ハ国民ノ年甫はじメテ二十歳ニ至ル者ヲ徴シ、以テ海陸両軍ニ充タシムル者ナリ」

 徴兵令とは、詰まる処国家権力が20歳に為った国民(男子)を徴発して兵員に充当する宣言である。維新後僅か数年にして徴兵令が制定されたのは多分に実利的な理由に基づく。明治5年に起草された山縣有朋の意見書「論主一賦兵」は、徴兵制を導入すべき理由のひとつに、志願兵制はコストが掛かる事を挙げて居る。志願兵は職業的兵士なので、給与や退職後の年金が必要に為るからである。

 一方、徴税と同じ感覚で国民を徴発出来る仕組みを作れば遥かに安上がりと為る。多くの研究者が指摘する様に、気性が荒くプライドが高い士族兵の統制が著しく困難だった事も背景にはあるだろう。志願兵制を採った場合、応募者の大半が士族である事は容易に想像出来た。
 だが、実際に徴集される民衆から見れば、徴兵制は単純に迷惑な制度である。徴兵制は「強迫兵制」「強迫法」とも呼ばれた。これは義務教育が「強迫教育」と呼ばれて居た事に似て居る。そして徴兵制と義務教育は、地租改正と共に民衆の激しい拒絶反応を引き起こし、血税一揆等と呼ばれる暴動の原因とも為った。

 抵抗の大小は兎も角、民衆の拒絶は予期されて居た事に違い無い。政府は徴兵令制定に先立って、制度を正当化する論理を用意して居た。それ等は、徴兵の詔(みことのり)、更には趣旨説明書である徴兵告諭と云う文書に記されて居る。
 徴兵の詔と徴兵告諭は、第一に、原則として成人男子が何等かの兵役に服する形態こそが日本本来の兵制なのだと云う擬制を前面に出した。明治維新は「王政復古」であり、明治四年の廃藩置県は江戸の封建制の崩壊と古代の郡県制への回帰を意味する。兵制も又「上古ノ制」に回帰するのが当然なのだ。そう云う理屈である。

 主たる根拠は律令兵制であった。例えば養老律令は、一戸の正丁(21歳〜60歳の男子)三人に付き一人を徴集すると定めて居る。明治憲法の公式注釈書と言われる伊藤博文の『憲法義解』(明治22年)が兵役義務条項の具体的根拠として選んだのも古代の律令兵制であった。但し、この歴史的遡及はシバシバ神武天皇の事績に迄延伸された。尾原宏之(甲南大学法学部准教授)



 




 <全国民に「国を守る義務」も実態は>

 第二の理屈は次の様なものである。明治維新は、軍事を独占的に担当して居た武士階級の解体をもたらした。兵農分離状態が解消されたので、今後は武士以外の国民も軍事を担わ無くては為ら無い。そこに、ヨーロッパの市民革命像が重ねられる。
 徴兵告諭は「世襲坐食ノ士ハ其禄ヲ減ジ刀剣ヲ脱スルヲ許シ、四民漸ク自由ノ権ヲ得セシメントス。是レ上下ヲ平均シ人権ヲ斉一ニスル道ニシテ、則チ兵農ヲ合一ニスル基ナリ」と説く。維新によって全ての国民が自由を得て平等に人権を得た。これは同時に、全ての国民に国を守る義務が発生した事を意味する。

 思想史家の宮村治雄は、過つて徴兵告諭を維新の「人権宣言」に位置付けた。そして、被差別部落民を「平民同様」とした明治四年の「解放令」にすら見られ無かった自由・人権と云う言葉が、国民徴発宣言である徴兵令の制定に際して使われた事に歴史の皮肉を見出した(『新訂 日本政治思想史』)

 <兵役義務と徴集の間>

 徴兵告諭は、全ての成年男子に兵役を担う義務がある事を説いた。「国民皆兵」「挙国皆兵」「全国(皆)兵」と言った言葉は、その事を表現するスローガンとして流布して行った。だが、政府或は軍の側から見れば、徴兵制を巡る問題は、如何に優良な下士官や兵を必要な数だけ調達するか、どの程度の予算を用意出来るか、そして軍隊建設の際に生じる抵抗をいかに少なくするかと云う問題に結局の処収斂する。

 国民皆兵と云う言葉は盛んに使われるものの、徴兵令そのものは長らくザル法でしか無かった。成人男子を徴集する事はどうしても「家」の存続と抵触する為、戸主と嗣子等は免役とされた。近代国家建設の為に必要な人材を奪われては困るので官員や学生も免役である。加えて、代人料(免役料)270円の納付によっても免役と為った。

 現実の徴兵制は、国民皆兵処では無い不平等な制度だったのである。免役対象に為ら無い次男以下は、分家や養子縁組、絶家再興、女戸主への入婿等の手段で戸主や嗣子に為ろうと狂奔した。
 その結果、明治12年には20歳男子人口32万1594人中、90九%近い28万7229人が免役該当と為る。事由の約96%が戸主・嗣子等の名義によるものだった。20歳男子の大半が一家の主人かその跡継ぎに為ったのである。実際に三年間の兵役を負担する者は「養子と為る事の出来無い貧農の二・三男」(藤村道生)が中心であった。


 




 <軍務を担うのは誰か>

 政府は徴兵令制定以降、法改正を通して分家や養子縁組を防ぐ対症療法を続けたが、戸籍操作による兵役逃れは、昭和以前の最後の徴兵令大改正と言われる明治22年の改正が「廃疾」「不具」を除き免役・猶予条項を全廃し、徴集延期を家族の生計が維持出来無い場合等に限定する迄続いた。

 だからと言って、勿論即全員が兵と為った訳では無い。政府の側から見ても、財政的制約等から見て大量の兵員を養える訳では無いし、又その必要性が希薄な場合もある。歴史学者の加藤陽子が指摘する様に、明治期の日本では20歳男子人口に比して実際の徴集人員の割合は非常に少なく、日清戦争の明治27年ですら5%に過ぎ無かった。(『徴兵制と近代日本』)
 根こそぎの動員が発生するのは昭和の戦争の時代に入ってからの事である。詰まり、誰が兵役義務を持つのかと云う問題と、誰が実際に軍務を担うのかと云う問題は、クロスしつつも別個に存在して居た。

 <立憲政体と徴兵制>

 兵役逃れが大きな問題として浮上して居た頃、ソモソモ兵役義務や国の為に戦う義務はどの様にして発生するのか、政府が国民にそれを押し着ける事は可能なのかと云う疑問が徐々に芽生えて来た。
 その発信源のひとつが自由民権運動である。高知の民権結社立志社は、明治一〇年の国会開設を求める建白書の中で、徴兵制を導入して国民に「血税」負担を求めるからには専制政治を辞めて「立憲ノ政体」を樹立すべきと説いた。

 彼等によれば、本来、徴兵制は「良制」である。だが、それは「立憲ノ政体」で施行されるからであって、専制政府の下ではそうでは無い。専制政府は一方的かつ強圧的に国民に負担を押し着けるだけなので、国民に取って国事は所詮他人事であり続ける。
 だが「立憲ノ政体」では、参政権を持つ国民が議会を通して政府と共に国是の確定を行い、定められた租税を負担し「護国ノ責」を自発的に負担する事に為る。自らが参画して作り上げた国の幸福と安全を守る為に国民は兵役義務を負うのであって、一方的な徴発は徴兵制の真の姿では無い。徴兵制を続けるの為らば、国会の開設が必要だ。彼等はそう訴えた。


 




 <参政権と兵役義務の不可分性>

 参政権と兵役義務を関連付けて捉える思考は、政府の近辺にも浸透して行った。明治一二年の徴兵令改正は、政府の議法機関である元老院が政府原案の可否に付いて審議し、修正を行った。
 その中で、国民徴発宣言に過ぎ無い第一条の「徴兵ハ国民ノ年甫メテ二十歳ニ至ル者ヲ徴シ」と云う文言を根本的に改めて「徴兵ハ全国ノ男子護国ノ義務ヲ帯ル者ヲ徴集シ」とする動きが起こった。修正案の提出者は、津田出、山田顕義、佐野常民、細川潤次郎、中島信行と言った面々である。

 それは次の様な意図を持つ。第一に、徴兵は上からの一方的徴発では無く国民の「護国ノ義務」に基づくものであり、忌避は許され無い事を明らかにする。国民が兵役義務を持つ事を周知徹底すると云うのは、山縣有朋の方針でもあった。
 第二に「護国ノ義務ヲ帯ル者」を徴集すると明記する事で、義務を持た無い者が存在する事を明らかにする。現実に老人や子供、検査不合格者は兵役を免れて居り、徴兵令そのものがザル法であった。その事を明示して「血税」に怯える国民を安心させ様としたのである。

 処が、この修正案は賛成九反対一〇の一票差で葬り去られてしまう。有力な反対意見は、河野敏鎌、柳原前光らによって唱えられた。それは「護国ノ義務」は憲法制定によって初めて定まるので、憲法が無い状態で徴兵令にそれを明記するのは不適当と云うものである。
 この場合の憲法とは、当時元老院が天皇から命じられて起草した憲法草案がイメージされて居る。元老院憲法草案には、国民から選ばれた「代議士院」の存在が明記されて居り、天皇と立法権を分有し共に憲法を遵守する約を結ぶ機関として位置づけられて居た。
 と云う事は、元老院の河野や柳原に取って、憲法上の兵役義務は、国民から選ばれた「代議士院」があって初めて具体化すると云う事に為る。当時の元老院には民権派系の書記官も在籍して居り、河野、柳原は民権派に近い議官と目されて居た。

 この事は、立志社建白以来、民権派の中にあった立憲政体と徴兵制、若しくは参政権と兵役義務の不可分性と云う問題意識を、現実の憲法起草や徴兵令改正に反映させ様とする動きが微弱ながら存在して居た事を意味する。

 
 




 <国民の合意無しに定まった兵役>

 「代議士院」による憲法遵守の約を重視した元老院憲法草案は、幾つかの修正を経て最終的に政権中枢によって却下された。又現実の明治憲法は欽定憲法であり、民権家達の期待に反して国民から選ばれた者が制定に参画出来無かった。
 明治二三年の帝国議会開設の際に衆議院議員でもあった中江兆民が訴えた様に、衆議院で憲法条文を一条一条点検し修正を行う事で、欽定憲法を実質的に国民の憲法に転化しようとする試みも実現し無かった。

 明治二二年一月二二日の改正徴兵令は、次の様な条文に改まる。「第一条 日本帝国臣民ニシテ満十七歳ヨリ満四十歳迄ノ男子ハ、総テ兵役ニ服スルノ義務アルモノトス」
 徴兵令が制定されてから一五年が経って、兵役が義務である事が明文化された。これは、改正徴兵令から一月も経た無い二月一一日に発布された明治憲法の第二〇条「日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ義務ヲ有ス」に対応する。
 兵役は最早一方的な徴発であることを辞めて、憲法に基づく義務として再定義された。だがそれは、国民の同意の無い義務であった。徴兵令改正の報に接した『朝野新聞』(一月二四日)は、「明年の帝国議会開場の時を待ち其議に付して国民多数の意見を問ふ」原則論を唱えたが、最早どうする事も出来無かった。

 この様に、兵役義務は国民の明示的合意無しに定まった。とは言え、その後暗黙の承認が無かったとは言え無いのも事実である。帝国議会が開設されて以降、徴兵令の細かな修正は審議の対象に為って居る。だから、兵役義務と徴兵制を巡る問題を本格的に問い直す事が出来ない訳では無かった。
 それが行われ無かったのは、徴兵制軍隊が日清・日露の両戦役における勝利と云う、容易に否定することの出来無い大実績を作ってしまった事にも関係するだろう。

 だが、国民の参画が無いまま兵役義務と徴兵制が定められ、大正デモクラシー期に幾つかの例外があるものの議論が継承され無かったことは、その後の歴史にも影を落として居る様に思われる。

 ※第3回は7月25日に掲載予定です。

 尾原宏之(甲南大学法学部准教授) 以上


 




 






松坂桃李、主演映画「新聞記者」が興行収入4億円超のヒット!「賛否あっての熱量」




 松坂桃李 主演映画「新聞記者」が興行収入4億円超のヒット!「賛否あっての熱量」




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        内閣情報調査室で働くエリート官僚を演じた松坂桃李


 〜「権力とメディア」を真正面から描く社会派エンタテインメント、映画「新聞記者」の大ヒット御礼舞台挨拶が23日、新宿ピカデリーで行われ、ダブル主演のシム・ウンギョンと松坂桃李が登壇した〜


 




 松坂桃李、映画に付いての熱量を実感

 本作は現在、興行収入4.1億円、33万人の観客動員を突破。毎週同じ動員数を維持するのが難しいと言われる映画業界において、前週比97.8%をキープし、主要都市部の劇場では連日満席が続く等、公開から3週間後も高い興行が続いて居る。
 舞台挨拶に出席したシムは冒頭「こんなに沢山の方に見て頂くと思わ無かったので、驚いています」と挨拶。松坂は「この拍手と空気感が、今まで味わった事の無い感覚。それが、この映画に付いての熱量なのかなと実感しています」と感想を語った。


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 本作の舞台は、霞ヶ関。シム扮する東都新聞の女性記者・吉岡の元に、大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届く。日本人の父と韓国人の母の下アメリカで育ち、或る強い思いを秘めて日本の新聞社で働いて居る吉岡は、真相を究明すべく調査を始める。
 一方、松坂演じる内閣情報調査室の官僚・杉原は「国民に尽くす」と云う信念とは裏腹に、与えられた任務は、現政権に不都合なニュースのコントロール。真実に迫ろうとモガク若き新聞記者と「闇」の存在に気付き選択を迫られるエリート。現代社会にリンクする生々しいストーリー展開が話題の政治サスペンスだ。

 舞台挨拶では、全国の劇場支配人から届いた「新聞記者」現象が紹介された。「このジャンルでは珍しく若い観客が多い」「鑑賞後に拍手が起こった」「お客様から直接お電話で作品の感想を頂いた」等、劇場スタッフが目にした出来事やエピソードが語られた。
 大阪シネルーブルのエピソードが紹介された時にはシムが「おおきにです!」と突然の関西弁を披露。楽屋で練習したと云う関西弁で感謝を伝え会場を沸かせた。

 会場の観客には、物語とも深い関わりがある獣医学部出身の女性の姿も。「私も獣医学部だったので、医療について考えさせられました。日本が(こうした問題を)身近に考えられる国に為ったら好いなと思います。こんな気持ちに為るのは初めて」とコメントし、主演の二人も「確りと受け止めて下さって嬉しい。作った側として、何かの切っ掛けに為れば」と感慨深く聞き入った。

 最後は、主演の二人から観客へメッセージが送られた。シムは「この映画の熱量を感じて、感無量です。これからどんな選択、分かれ道でも、迷わ無い力が皆さんに届きます様に」とコメント。
 松坂は「公開してから約一ヶ月、こうして皆さんに会えると云う事はナカナカ無いです。映画は賛否があって、強い熱量に為るのかなと思います。チャンとこの作品が、皆さんに取って持ち帰れるものに為ったと思うと、嬉しく思います」と締めくくり舞台を後にした。

 映画「新聞記者」は新宿ピカデリー、イオンシネマほかで全国上映中。




 




 【関連報道1】


 現政権を批判した異例の映画『新聞記者』が大ヒットの理由



 〜7/22(月) 6:20配信  週プレNEWS〜



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        東京の「新宿ピカデリー」には巨大な『新聞記者』の看板が



 「政治的な話題(を扱う事)でさえ敬遠され勝ちな日本の芸能文化、エンターテインメント界で、こんなに気骨のある作品が生まれたことに感動」
 「今、この国は、形だけの民主主義なのか?」
 「見終わった瞬間に感極まり、場内に自然と拍手が起きた。イベント初日でも無い平日の回なのに」

 これは東京新聞・望月衣塑子(いそこ)記者の著書を原案にした、現在公開中の映画『新聞記者』を見た人達がツイッターに書き込んだ感想だ。
 テレビCM等の大々的な宣伝は無いが、口コミで人気が広がり、6月28日に公開されると「初週から満席の回が出て、連日ホボ満席状態」(新宿の劇場副支配人)。しかも公開3週目に為っても好調は続き、7月12〜15日まで観客動員数、興行収入共に伸び続けた。

 公開から18日間の累計は観客動員数約27万3600人、興行収入は約3億3700万円。これは、『新聞記者』の前週に公開された『X-MEN:ダーク・ フェニックス』(約3億4000万円)と肩を並べる数字だ。その為、より集客出来る様に上映時間を変更したり、座席数の多い大型スクリーンに移す劇場も出て来て居ると云う。では、何がここまで観客を引き着けるのか?娯楽映画研究家の佐藤利明氏が解説する。

 「これ迄にも『新聞記者』の様な社会派映画は沢山ありました。九頭竜(くずりゅう)ダム汚職事件をモデルにした『金環蝕(きんかんしょく)』 (1975年公開)『日本の熱い日々 謀殺・下山事件』(81年公開)『BOX 袴田事件 命とは』(2010年公開)......など。
 只、これ等の映画は『アノ事件の真相はこうだった』『アノ事件を通して今を考えよう』等、或る程度、時間が経ってから振り返るものばかりです。一方、『新聞記者』は、森友・加計問題や官僚のスキャンダル、レイプもみ消し等、現在進行形の事件を扱って居る。それが最大の違いです。
 そして、映画は普通、起承転結があるが『新聞記者』には"結"が無い。それは、こうした問題が未だ終わった訳では無いと云う事を意味しています。見た人が自分で考えて欲しいと云う余白を残して居る作品なんです。
 しかも、公開のタイミングを参議院選挙にブツケテ来た。これは、作り手が或る意思を持って製作した映画で、それが異例の大ヒットをして居ると云う事は、今の世の中や現政権に対する不満や不信を持って居る人が予想以上に多いと云う事なんです」


 7月21日の参院選の結果は出て居るが、その勝敗とは別に動き始めて居るものがある様だ。映画『新聞記者』は、今後、全国の劇場に広がって行く予定だと云う。
 以上


 





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              主演 シム・ウンギョン氏


 韓国の演技派女優シム・ウンギョン「新聞記者」で実感した“難しい”芝居とは?

  〜2019年6月27日 12:00〜


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[映画.com ニュース] 現役の新聞記者である望月衣塑子のベストセラーを原案に、官邸とメディアの攻防を描く「新聞記者」が6月28日から公開される。
 松坂桃李と共に主演を務めたのは、大ヒットした韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」「怪しい彼女」等で知られるシム・ウンギョン。2年前から日本の芸能事務所に所属し、本格的に日本進出を果たしたシムに、本作の話を聞いた。

 「青の帰り道」「デイアンドナイト」の藤井道人監督がメガホンを採った本作は、若き新聞記者とエリート官僚の対峙と葛藤を描く社会派サスペンス。大学新設の極秘情報を追う記者・吉岡エリカをシム、理想とは裏腹に現政権に不都合なニュースをコントロールすると云う職務を担う官僚・杉原拓海を松坂が演じて居る。
 劇中で流ちょうな日本語を話して居るシムは、インタビューの受け答えも日本語で行って居た。「今でも日本語のイントネーションは難しいです」と苦笑したが「話す事が大事だと思うので、為るべく日本語で話し掛けて頑張って居ます」と勉強熱心な一面を覗かせた。

 本作の出演の切っ掛けは、プロデューサーからオファーを受けた事だった。「台本を読んで、最初は高いハードルだなと思いました。今の私の日本語レベルで出来るのかと云う事と、演じる事自体も難しいキャラクターでした。私は、今の時代に生きて居る普通の人の姿を見せるお芝居が一番難しいと思って居ます。なので、吉岡と云う役を演じるのがトテモ難しかったです」

 それでも出演したいと思ったのは、脚本を読んで本作の持つ深いメッセージに心を打たれたからだと云う。 「この作品は“真実と選択”の話だと思って居ます。真実とはナンなのか、私達が信じて居る真実は本当なのか、真実を知った時にどう云う選択をするのか。そう云うメッセージを、吉岡と杉原の生き方を通して描く処に感動して出演したいと思いました。吉岡達の行動、生き方、2人の周りの登場人物の姿に、今の時代を生きて居る私達の群像がチャンと見えたんです」

 撮影期間は短かったそうだが「クランクインからクランクアップ迄、ズッとこの作品の事を考え居ました」と集中力を高めて臨めたと云う。「それ位集中し無いと撮れ無いと思って居たんです。日本での撮影は私に取ってとても貴重な経験に為って、お芝居に対しても自分の中では成長出来たかなと思って居ます」

 中学生時代から日本映画に親しんで来たと云うシムは「是枝裕和監督や岩井俊二監督の作品等、日本映画に影響を受けて来ました。私もこう云う映画を(自分で)撮りたいと思った事もあります。何時か日本で仕事が出来たら嬉しいとズッと思って居ましたが、今では現実に為りました」と笑顔を見せる。

 今年は5月に終演した舞台「良い子はみんなご褒美がもらえる」の出演や本作の他、10月には夏帆と共演した映画「ブルーアワーにぶっ飛ばす」の公開が控えて居る。「これからは未だ経験の無い悪役や、中島哲也監督の『告白』で松たか子さんが演じて居た様な役を演じてみたいです。日本でチャレンジしたい作品があれば、頑張ってヤリます」高いハードルだったと云う本作を経て、日本で更に活躍の場を広げそうだ。「新聞記者」は6月28日から全国公開。




 





 【関連報道2】


 賛否両論の映画>「新聞記者」が悪い意味で虚実ないまぜだった件



 〜7/21(日) 11:00配信 文春オンライン〜


 筆者のSNS上で、映画「新聞記者」が話題に為って居た。色々な意味で。Twitterを検索してみると、矢張り2つの世界が広がって居た。現政権と絡めて権力とメディアの葛藤を描いた作品として称賛する人、物語の根幹を成す設定に否定的な意見を出す人ナドナド、意見は真っ二つに割れて居た。

 【動画】映画「新聞記者」の予告編を見る

  



 




 これを見て筆者は「ア、これ絶対面白いヤツだ」と勝手に決め着けた。映画そのものより現象が。こう為ったら、映画も見て観るべきだろう。筆者は映画館に向かった。これはその一部始終、詰まり「新聞記者」の映画評に為る。
 なお、本稿においては、その性質上映画「新聞記者」の核心部分を含むネタバレが多数登場する。予めその点をご承知の上、この先を読むかどうかご判断頂きたい。

 賛否両論の映画「新聞記者」が悪い意味で虚実ないまぜだった件 主人公の新聞記者を演じたシム・ウンギョン コピーライトマークgetty


 物語が始まる前から驚かされる

 筆者は、特に映画の前情報も調べず映画館に向かった。上映されて居たのは比較的小さいスクリーンだったものの、座席の半数は中高年の男女で埋まって居て、平日上映の、それも社会派の映画としては可なり健闘して居る部類に入ると思う。予告の長さにブツブツ文句を言って居る隣の老齢男性を気にしつつ、映画が始まった。

 本編が始まる直前で行き成り驚かされた事がある。映画の配給としてイオンエンターテイメントがクレジットされたのだ。イオングループと言えば、言わずと知れた旧民主党・民進党代表で、現在は立憲民主党会派の岡田克也氏の実家の一族企業である。そう云う背景で政治や報道題材の映画を出されてもな……と云う気分は拭え無い。
 映画の内容と資金・配給は関係無いと云う反論もあるだろうが、仮に麻生グループが関与する政治エンターテイメント映画があったとしたら、自分だったら眉に唾を着けて観るし、皆さんはどうだろうか? それと同じことだ。そう云う訳で身構えて観る事にした。

 反政権的な人物にスキャンダルをデッチ上げる

 主人公の吉岡は、東都新聞の記者。優秀な新聞記者だった父親は、政治スキャンダルの誤報を切っ掛けに自殺した経緯を持つ。或る日、社内に送られて来た大学新設計画に関するFAXを切っ掛けに、この大学新設計画の背景を追って居る。
 もうひとりの主人公である杉原は、外務省から内閣官房の内閣情報調査室(内調)に出向している官僚だ。杉原の内調での主な仕事は、反政権的なメディアに対する批判・揶揄をTwitterに投稿したり、反政権的な人物をコジツケでスキャンダルをデッチ上げたりして信用を失墜させる仕事をして居るが、その仕事内容には疑問を抱いて居る。
 杉原の元上司である神崎の自殺を切っ掛けにして2人は出会い、大学新設計画を巡る政府の真の目的を探る事に為る。

 物語の大筋は上述の通りで「総理のお友達」が関与して居る大学新設計画は、明らかに加計学園の獣医学部新設問題を下敷きにして居る。この他にも、文部科学省の一連のスキャンダルや、ジャーナリスト・伊藤詩織氏への暴行事件と云った、実際に起きたものを連想させる様な事件が多数登場し、その背後には政権が関わって居る事が示唆されて居る。
 物語が始まってから最初に驚いたのは、劇中のテレビ番組に「新聞記者」原案の東京新聞記者・望月衣塑子氏と前川喜平元文部科学事務次官が出演して居た事だ。

 前述した様に、劇中に実際に起きたのを想起させる事件が多数登場して居るが、それ等は実際の事件そのものでは無い。だが、ここに来て実在の人物に解説役を遣らせるのは予想外だった。創作と現実をシャッフルする意図とは何だろうか? ここで抱いた違和感は終始付き纏う事になるが、それに付いては後に譲る。


 




 内調がネット工作の実行主体に為り得るか

 ネット上で批判が大きい内調のネット工作描写だが、筆者は政府や政治組織によるネット工作自体は可笑しな話では無いと思って居る。しかし、内調がその実行主体に為り得るかに付いては可なり疑わしい。内調は各省庁からの出向者が大半を占める組織で、やがて外部に戻る事が確定して居るスタッフに、こんな工作をさせるだろうか。そもそも、世論工作に付いて外部から出向して来た官僚達は素人だ。

 世界各国で明らかに為って居る世論工作に付いても、その実行主体は民間企業によるもので、企業が絡むことで工作がバレても真のクライアントは誰かを隠匿する事も出来る。劇中の討論番組で前川喜平元次官が「内調は何を遣って居るのか分から無い」と云う趣旨の事を語って居る。詰まり、内調のネット工作の部分は制作者の完全な想像によるもので、この辺りの描写に想像力の限界が見え隠れして居る。

 大学新設は生物兵器の為?

 物語の核心部分である大学新設問題は、結論から言うと、政府が生物兵器開発に転用し得る研究施設として構想して居た事が終盤明らかにされる。この点について、昔からある都市伝説レベルのネタを話の根幹に持って行くのはどうなのかと云う批判を多く見掛けた。
 「新聞記者」劇中では実際の政治事件に好く似た事件が登場すると言っても、この根幹の設定だけは加計学園問題のそれに明らかに盛ったものだ。ネット上では加計学園絡みの疑惑について、モリカケと揶揄してマスコミのデッチ上げの様に言う論調が一部に見られるが、筆者は政府が言って居る部分だけでも相当ヤバイと認識して居る。

 例えば、自民党が政権に返り咲いた後、民主党時代に首相官邸への入館パスが乱発される等、素性の怪しい人間迄出入り出来る様に為って居た事を飯島勲内閣官房参与がテレビで明らかにして民主党批判をして居たものだが、加計問題で官邸への出入りが問われると、政府は官邸への入館記録は存在しないと調査を拒んでいる。
 これが事実なら、入館者の素性を後年に検証する事が不能に為るレベル迄官邸のセキュリティが落ちたと云うことで、あれ程民主党時代の官邸セキュリティを批判して居たのは何だったのかと云う話に為り、俄かには信じ難い。


 




 陰謀論は、現実にも結構ある 

 だが、幾ら何でも加計問題をベースにして、生物兵器開発を突っ込んで来るのは無理筋だろう。又、その理由として「テロ、外圧」への対応が文書に明記されて居たと記憶して居る。外圧への対応と云うと、恫喝を受けた際の抑止力として使うのだろうか。
 生物兵器が抑止力としては不完全なものである事は、北朝鮮が核とその運搬手段である弾道ミサイル・弾道ミサイル潜水艦の開発に行き着いた事からも分かるだろうし、ソモソモ生物兵器を含む大量破壊兵器の保有疑惑(それも明らかに誤っていたもの)から国が一つ消滅したのは今世紀の話であり、正気の沙汰では無い。
 第一、テロに生物兵器でどう対抗出来るのか全く分から無い。これは単に「新聞記者」世界の政府が狂って居る事を表現したいのか、制作陣が現実味のある設定だと本気で考えたのかは定かでは無い。

 しかし、加計問題を生物兵器開発に絡める陰謀論は、創作の世界だけでは無く、現実にも結構あるものだと云う。ググって観ると「加計の獣医学部設置は生物兵器開発の為だ」と主張しているサイトが出て来たが、その他にも「予防接種は国民に有毒物質を注射する為だ」等と書いてある典型的な陰謀論サイトもあった。
 ここまで頭を抱えるレベルで無くても、著名人の論考では軍学共同研究に批判的な池内了名古屋大学名誉教授が「加計学園の獣医学部は生物兵器研究に使われるのではないか」と ハフィントンポスト に書いて居る。これは既に畜産大学とも行われて居る生物兵器対処研究の一環を批判的に見て居るもので、池内名誉教授自身も「マスコミも書いていない仮説」と但し書きを着けて居る。しかし「新聞記者」での描かれ方は、明らかにそれよりも踏み込んだものだ。

 「劇中で描かれたのは加計学園そのもので無く創作の大学に過ぎ無いのだから、それを批判するのは間違いだ」と云う意見も出て来るだろう。だが「新聞記者」劇中における現実と創作の境目は、恣意的に曖昧・混同されている。

 都合の良い実在・非実在の使い分け

 筆者が呆れたのは、都合の良い実在・非実在の使い分けだ。「新聞記者」劇中では政権リークを横並びで伝える新聞社や、政権の意を受け記者を攻撃する週刊誌、遺族に殺到する取材陣等、マスメディアの汚い面も描かれて居るが、登場するメディアは何処かで聞いた事が在る様な名前(週刊文春と週刊新潮を合体させたみたいな)をして居るが何れも非実在だ。
 だが、これ自体に何ら問題は無い。映画の話なのだし、非実在のメディアを登場させるのは極普通だ。創作常連の「毎朝新聞社」を見れば判るだろう。

 だが、終盤。吉岡達東都新聞がスクープを報じ、政権側の意を汲むカウンター報道も行われる中、東都新聞に追随して報道するメディアが現れた。東都新聞社内では喜びを持ってそのメディア名が伝えられる。「読売、朝日、毎日」と……。それ迄劇中に登場した覚えが無いのだが、行き成り実在メディアが出て来てズッコケた。メディアの悪い処は非実在メディアのもので、良い処は実在メディアと云う、余りに都合の良い使い分けが行われていたのだ。


 




 新聞メディアのプロパガンダではないか

 奇しくも7月9日、朝日新聞朝刊でハンセン病患者家族への賠償を命じた熊本地裁判決について、国が控訴する方針である事が一面スクープとして載ったが、その日の内に控訴断念が発表され、朝日新聞は誤報としてお詫びする事態に為ったばかりだ。これについて、SNS上では、朝日新聞が官邸にハメられたと云う趣旨の陰謀説がメディア関係者に見られた。
 朝日新聞が官邸に偽情報を掴まされたのは事実かも知れ無いが、それを声高に主張する事は、政府関係者のリークを鵜呑みにして報道したと喧伝するのと同じであり、調査・検証能力の欠如を宣言するに等しい。

 こう云うリーク頼りのメディアも「新聞記者」では描かれているが、何れも非実在メディアの報道として描かれて居る。実際はこう云う問題があるのに、キレイなとこだけ実在メディアの名を行き成り登場させるのは、新聞メディアのプロパガンダではないか。

 マイネームイズ東都新聞記者

 新聞メディアのプロパガンダと云う表現を用いたが、この映画の主人公たる吉岡は、新聞記者と云う職業に余りにノメリ込み過ぎて居るのもその理由だ。それが窺えるのが、劇中に登場する吉岡のTwitterアカウントだ。
 吉岡が自身のTwitterアカウントに登録してある名前は「東都新聞記者」これを見た時、最初は「東都新聞記者吉岡」が長過ぎて表示が省略されて居るのかと思ったが、後に登場したブラウザ上の画面にも「東都新聞記者」と云う名前が表示されて居るのを見た。
 筆者の見間違いかと思いTwitterで検索してみると、そこに突っ込んで居るアカウントが複数あり見間違いでは無い様だし、Twitterの仕様では50文字まで表示可能で省略の線も無さそうだ。

 Twitterアカウントを持つ記者は数あれど、所属組織の名だけを前面に押し出して来る記者アカウントは記憶に無い。仮に「週刊文春」の記者個人がTwitterアカウントを公開したとして、名前に「週刊文春記者」としか書いて無かったら、多くの人は「此奴ヤベェ」と思うだろう。SNS上のアイデンティティを、自身の属する組織と肩書に委ねる感覚は理解出来無かった。この表記が逆に「新聞記者」と云う題を表して居るのかも知れない。

 この新聞にしてこの政府あり

 映画が終わり、劇場から出て来た時、筆者は暗澹たる想いに囚われて居た。結局の処、政府の問題も新聞の問題も「この政府にしてこの新聞あり」に過ぎ無いのではないのかと。今の政府が大きな問題を抱えて居るのも分かるし、権力とマスコミの関係、そして映画の問題意識は分かる。だが、その結果として出力されたのがこの作品なのかと思うと、正直頭を抱えざるを得ない。
 この映画での役者達の演技は素晴らしい。松坂桃李は揺れ動く内心を好く表現して致し、シム・ウンギョンの嗚咽は一寸引く位鬼気迫って居た。演出やカメラワークも良く、素晴らしい仕事であるのは間違い無いのだが、現実と創作を都合好く混ぜ合わせる手法を多用した本作を、筆者は素直に称賛する事は出来無かった。

 尚、この原稿を書いて居る丁度今、CBCテレビ報道部公式Twitterアカウントが、与党候補者に対する暴力・妨害を肯定・揶揄する様なリプライをした事について謝罪した。「弊社報道部の意思に基づくものでは無い」として調査を行うそうだが、CBCテレビと言えば親会社の中部日本放送の筆頭株主は中日新聞で、東都新聞社のモデルと思われる東京新聞の発行元である。
 「新聞記者」と逆パターンであるが、これも内調によるハッキング工作とでも言うのだろうか? 何れにせよ調査報告を待ちたい。



  石動 竜仁  以上


 





 【管理人のひとこと】


 挙って安倍政権への忖度に励む国内の、政・菅・財・報道のあらゆる階層の中から、映画メディアからこの様な作品をこの時期に発表し、或る程度の話題性と興行実績を挙げた事に、心からのお祝いと感謝を申し上げたい。
 映画製作とは、一つのものを伝えたいとする大きな熱情と、緻密に計算された演出や多大な資金を必要とし、実際に演技する人達や沢山のスタッフの肉体的労力を消耗させる。これ等の一つも失えば完成され無い総合芸術だ。

 無論、今回は原作があり、それを読んだ監督・プロデューサー等が感銘を受け作品にしようとした事から始まり、資金の調達からスタッフや人間の手配が始まるのだろう。映画が完成し発表する際、関わった人達の感慨はいかばかりなのだろう・・・考えただけで込み上げるものがあるだろし、絶賛や批判をカイ混ぜた色々な反響に、心から受け止める満足感に浸って居る事だろう。
 例え褒められずボロカスに言われても好いのだし、話題性を呼び、観客が一人でも自分の心に持ち帰って考える人が居た事で、彼等は仕事の満足感を得られる。そして、次にまた映画製作への情熱を持ち続けられるのだろう。

 映画は、連続ドラマと異なり1時間半から長くても3時間程度の限られた時間に、ひとつの空間を共有する製作者と観客の共同作業でもある。観客を飽きさせず物語の芯奥に引き込み続け、或るものを訴えられるかを探る一対一の葛藤の空間でもある。
 何百人にも上る製作者の思いが、一つのスクリーンに映し出される・・・監督・助監督・・・出演者・スタッフ・・・大道具・小道具・メイキャップ・照明・撮影・・・全ての人達の思いが込められた画面・・・それを観る観客。批判しても好し褒めても好い、無視して通り過ぎる事だけはしないで欲しいだろう・・・
 それにしても、韓国人俳優の日本語の自然さと流暢な言葉や仕草は並大抵の努力では無かっただろう。日本映画への愛情を心から感謝申し上げたい。



 



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2019年07月23日

須田慎一郎が斬る今回の参院選〜組織票の限界を見た



 須田慎一郎が斬る 今回の参院選〜組織票の限界を見た


 〜7/23(火) 6:50配信 ニッポン放送〜


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                須田慎一郎氏



 ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月22日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。今回の参議院選挙で、これ迄の選挙とは違う側面が出て来た事に付いて解説した。


 




 今回の参院選をどう見るか

 今回の参議院選挙で自民・公明両党、それに日本維新の会の改憲勢力は国会発議に必要な3分の2以上の議席を3年ぶりに失った。一方、投票率は過去2番目に低い48.80%。「れいわ新選組」やNHKから国民を守る党、所謂N国党は初めて当選者を出し政党要件を満たしたと云う事も報じられて居る。この選挙結果、リスナーはどう見るのか? 意見を広く紹介して行く。


 組織的な運営が機能し無く為って居る

 飯田)色々な論点がありましたが、愛知県知多郡から頂きました“ことゆうパパ”さん、35歳の方です。

 「参院選、与党勝ち切れずと云う印象です。東北で弱かったですね。しかし野党も国民民主党の比例代表の礒崎氏が当選しましたが、自動車総連の推薦で当確がこんなに遅れるとは。国民の弱さと労連の弱さの両方が見えた結果だと思いました」

 須田)労組、組織票は1つの大きな塊だった筈なのですが、中でも一番組織数のある自動車総連に限界が見えて来たのかなと思います。或は労働組合の締め付け、組織的な運営が機能し無く為って居て、組合員ではあるけれども違った人に投票して居るケースが出て居るのか。この辺は、労組も全部チェックした方が好いかも知れません。
 飯田)愛知にお住まいと云う事で、当然トヨタ自動車と云う大きな会社がある。その労組と云う身近な処から“ことゆうパパ”さんもメールを下さったと思うのですが、取材してみると「選挙の時に頼りに為るのは、日教組と自治労だけなのだ」と、企業系は締め付けの部分が難しく、全員が全員と云う訳には行かない処がある様です。

 須田)今回の参議院選挙で大きな特徴の1つを挙げるとすると、元々参議院は衆議院と違って、過つては組織票の勝負だったのですよ。処がそれが通用し無く為って来て居る。それがハッキリとしたのが、今回の選挙だったのではないでしょうか。
 もう1つは、先程も取り上げた武見敬三さん。本来なら医師会がバックについて居るのですから、もっと票を上積みしても好かった筈なのですが今回はギリギリ。この辺りも組織力の弱さが見えて来たのかなと思います。
 飯田)度々引き合いに出されますが、広島で落選した溝手顕正さん。県連を挙げてのバックアップと云う事で言うと、組織は締め付ける訳ですよね。
 須田)今回は党本部から、横から手を突っ込まれたので少し違うのですが、広島の件で言うと与党側の驕りがあった。余りにも野党が弱いから、自民党の中で内ゲバが始まってしまったのかな。前回の統一地方選挙も含めて、選挙区内での与党側の驕りが目に着いたなと思います。


 




 政治的恩恵を失った東北の自民党離れ

 飯田)与党が1人区で負けた東北、こちらは岩手の“べがった”さんからメールを頂いて居ます。

 「自公の与党が勝ったけれど、東北は野党が4つ取れたのはどうしてなのでしょうか。後、選挙特番で宮城の石垣のりこさんの紹介で、FM仙台と紹介して居ましたが、地元では『Date fm』と呼ばれて居るので違和感を感じました」
 
 社名はFM仙台ですけれど、呼称としてDate fmと。例としてはTOKYO FMと言って居るけれども、TFMと呼ばれて居るのと同じ様なものだそうです。

 須田)先程の組織票の様ですが、農協は過つては自民党の集票マシーンでした。その農協自体が、必ずしも自民党を推して居る訳では無いと云う処に為って来たのかなと思います。
 飯田)個別で農家に対して所得補償を旧民主党が主張し、それを原動力にして政権交代まで行ったとも言われて居ます。あの位から変わって来たのでしょうか?
 須田)そうですね、アレが大きなターニングポイントと為りました。東北の農家には、米価が所得収入に直結するのです。これを過つての自民党は右肩上がりで上げて来た。昔はベトコン議員と云う様な、米価を上げる事だけを使命とした国会議員が居たのです。
 でも今やそんな時代では無く、マーケットメカニズムによって決まる様な形で政治的な恩恵は無い。殆どが米作農家ですから、その収入が増えて行か無い、寧ろ減って行く。更には後継者難と云う事で、農家農民の自民党離れと云うものも1つ伺えるのではないでしょうか。

 飯田)比例代表はまさに組織票だと先程おっしゃいましたけれど、野党は労組がバックで、一方で自民党は特にそうですが、各業界団体がバックに居る。農政連が推して居る候補で、確か山田俊男さんがそうだと思うのですが、今回は21万6623票。
 一番取った郵政から出ている柘植芳文さんが60万余りを取って居る訳で、そう考えると農政連の力も落ちて来ているのかなと思いますが。
 須田)ドンドン落ちていますよね。ですから農協改革に乗り出して反発も受けた。その一方で、農協自体の力も落ちて居る処が大きくあるのではないですか。農協の力とは何かと言うと、地元に対する影響力です。そう云う点で落ちて来たのかなと思います。
 飯田)結局その意味では、今までだったらメスを入れ様とすると「選挙で落ちるかも知れない」と思って居たのが、それ程の抵抗も無いから「やれる!」と云う事に為って来ているのでしょうか?


 




 衰えが見えるのは公明党もしかり

 須田)比例区だけの問題では無いのです。特に参議院の選挙区における候補者は、後援会組織や支援団体を持って居る訳ではありませんから、衆議院の議員とは若干色合いが違います。そうすると、組織の票が底ダマリからドンドン上積みされて行って、浮動票を幾分取り入れて当選というパターンを描きます。
 でも今は、底ダマリの部分が消えて無く為って居る状況です。東北の1人区で勝ち切る事が出来無いのは、そこに理由があるのです。これは衆議院選挙にも影響して来ます。衆議院議員だって自前の後援会組織はあっても、一方で決め手には為ら無いものの、組織票をドンドン積み上げると云う選挙戦を遣る訳ですから。今回の組織の力の衰えと云うものは、衆議院選挙にも大きな影を落とす事に為るのではないでしょうか。

 飯田)衆議院選挙の場合、1〜2万票の差が大きく左右する。そうすると益々公明党頼りと為る。今回、公明党は議席を伸ばす一方で、自民党は議席を減らした。これは公明党の発言力が益々強く為ると云う事でしょうか?
 須田)只公明党も支援団体の高齢化によって、ナカナカ選挙戦が、過つての様な一枚岩でワークして居る訳ではありません。後援会組織である創価学会、これがF戦略を取って、一枚岩と為って圧倒的に応援して行くと云うヤリ方を取って居たものが、ここ最近衰えて居るかなと云う感じがします。

 飯田)今回は重点にした兵庫が、最後の最後に取りました。未だ組織が動いている部分があるけれども、小選挙区の衆議院選挙では一部の有力議員でも落としたと。神奈川等でも例がありました。
 須田)兵庫は大阪と並んで常勝関西と言われて居る処ですから、もっと楽々と当選し無ければダメですよ。そう云う意味では、兵庫は神戸市役所の前にデカい創価学会の建物がありますから、それだけ大きな力を持って居た筈なのですよ。それがあのタイミングでの当選ですから、私は非常に強い違和感を覚えました。

 飯田浩司のOK! Cozy up!FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00


 



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参院宮城 石垣のりこ氏 世襲3代目を破る!



 <参院選宮城 劇動>決戦の実像(上)

  共闘の果実 根付いた関係で金星挙げる

  〜7/23(火) 15:30配信 河北新報〜



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 当選を確実にして支持者から花束を受け取る石垣氏(左)22日午前0時45分頃、仙台市宮城野区の事務所


 改選数が2から1に減り、与野党が大接戦を演じた参院選宮城選挙区(改選数1)は、野党統一候補で立憲民主党新人石垣のり子氏(44)が自民党現職愛知治郎氏(50)を約9500票差で振り切り、初当選を果たした。野党共闘による草の根型選挙と、巨大与党の組織戦が絡み合った17日間を振り返る。


 




 【参院選宮城】仙台・若林区、得票222票誤る 選挙区の開票遅れ全国最後

 東北最後の議席は、準備期間3カ月足らずの新人が奪取した。7/22日午前0時20分頃、仙台市宮城野区にある石垣氏の事務所は歓喜に包まれた。巻き起こるのり子コール。石垣氏は「皆さんと一緒に壁を超えて行く」と高らかに宣言した。
 石垣氏と抱き合って喜んだ党県連顧問の安住淳衆院議員(宮城5区)は「逆風だった6年半、強(したた)かに体制を組む知恵が付いた」と撒くし立てた。

 宮城の野党共闘は、2016年参院選、2017年仙台市長選に続いて与党候補を破った。現職、元国会議員を擁した過去2戦とは違い、真っ新な新人を立て国政の場に押し上げた。旧民進党が分裂して生まれた立民県連に取っては初の国政選挙と為った。「県連と呼べる程の組織では無い」と県連関係者。陣営の屋台骨を支えたのは共闘関係を築く各党だった。
 石垣氏が期間中、県南部2カ所で開いた個人演説会を設けたのは、共産・社民両党。「足場の無い地域でも、各党の地方議員等が足跡を残して居て呉れた」(陣営幹部)


 




 3度目と為った共闘は草の根レベルで深化を遂げ「郡部で差を広げ、仙台でのダメージを最小限に抑える」との自民の目算をも狂わせた。自民陣営が党幹部らを次々と投入し、総力戦を仕掛けた中盤には街頭演説に変化が現れた。
 政治家が3代続く名門の対立候補を意識し、街頭では政策を訴える時間を減らし「弱者の代弁者に為りたい」と語り掛ける場面が増えた。陣営の強かな戦略が滲んだ。
 興奮に包まれる事務所で、共産の比例候補だった元仙台市議の舩山由美氏(51)は「宮城の底力を発揮出来た戦いだった」と明るく振る舞った。

 石垣氏を野党統一候補とした事で、舩山氏は選挙区から比例に回った。共産県議の一人は「党員や支援者から『何故舩山を下ろしたのか』とのお叱りは多かった」と明かす。国民県連代表の桜井充参院議員は、党参院選挙対策本部長に就き投開票日を東京で迎えた。選挙期間中は全国の選挙区を行脚したが、地元でマイクを取る事は出来無かった。
 8月に仙台市議選、10月には県議選を控える。次期衆院選への対応も見据え、野党各党は石垣氏の金星の勢いを相次ぐ大型選挙に繋げ様と目論むが決して容易では無い。

 野党関係者は「全ての選挙区で候補者を一本化するのは難しく、国政と地方選では有権者の判断基準も変わる。簡単な勝負には為ら無いだろう」と表情を引き締めた。


 (報道部・松本果奈)


 





 【関連報道】自民・東北2勝4敗 又負け越し 野党は共闘の成果強調


 参院選で激戦と為った改選1人区の東北6選挙区で、自民党は2勝に留まった。全国で議席を積み重ねた結果とは対照的な審判。前回2016年参院選の1勝5敗に続く負け越しに、自民幹部は多くを語ら無い。野党側は接戦を制して獲得した4議席に共闘の成果を見い出す。

 「安定した政治の下に、自民党に確りと政策を進めて貰いたいと云う判断をして頂いた」

 与党の改選過半数維持が確実に為った21日午後9時45分頃。東京・永田町の自民党本部開票センターに姿を現した安倍晋三首相(党総裁)は、余裕を滲ませながらテレビ各局のインタビューに応じた。候補者名が書かれたボードには当選確実を知らせる赤いバラが次々と付けられた。それだけに議席を落とした岩手・宮城・秋田、山形の空白が際立った。

 何れの選挙区も最終盤、首相が応援に入ったものの、ハネ返された形だ。地元で手痛い敗北を喫した金田勝年幹事長代理(衆院秋田2区)は取材に「前回に続き東北で負け越した事に付いて、要因を徹底的に分析したい。次に繋げなければ為ら無い」と言葉少なに語った。
 野党側は32の1人区で10議席を獲得。前回の11議席には届か無かったものの、東北の4勝を踏まえ、共闘の進展を強調した。

 立憲民主党の枝野幸男代表は21日深夜「各党が力強く戦った事で新人候補の知名度不足を補えた。共闘は大きく成果を上げ前進した。衆院選にも繋がる結果だ」と分析した。
 国民民主党の玉木雄一郎代表も「安倍首相が語る成果に『そうでは無いのでは無いか』と疑問を感じる有権者が多かったのでは。政権に対する反発や矛盾が顕著に表れた」と振り返った。



                 以上


 



 








諸悪の根源は1997年 消費税3%のママなら今頃GDPは852兆円に


  


 諸悪の根源は1997年  消費税3%のママなら今頃GDPは852兆円に!!




  〜日刊ゲンダイDIGITAL 7/23(火) 9:26配信〜



 【消費税廃止でニッポン復活】#1


 れいわ新選組は比例で「2」議席を獲得、彼等が掲げた消費税廃止の議論は今後も検証が進みそうだ。そもそも、失われた20年と呼ばれる日本経済の沈没は、1997年に消費税を5%に引き上げた処から始まって居る。

 国民の半数以上が10月の消費税10%に反対して居るが「将来にツケを残さ無い」等の理由で、増税止む無しの流れに為って居る。財務省のプロパガンダである「国の借金1000兆円」も効果的に効いて居る。だが、れいわを代表する様に、消費税の廃止、若しくは引き下げを主張して居る人達の発想は全く違う。
 消費税10%論者は「今有るお金でのヤリクリ」でしかモノが考えられ無いが、彼等は新田を開墾して増収を狙うと云う考え方だ。損して得とれで、未来志向の考え方と言っても好い。


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 京都大学大学院の藤井聡教授(公共政策)が月刊誌「世界」に興味深い記事を寄稿して居る。

 増税肯定論の多くは、2%位の増税なら大した問題に為ら無いだろうと楽観して居るが、日本がデフレに陥ったのは1997年4月に橋本内閣が消費税を3%から5%に引き上げた処から始まって居る。藤井教授によると「1997年の増税によって消費は一気に冷え込み、そこから伸び無く為った」と云う。
 この1997年の直前3カ年の日本のGDP平均成長率は2.2%。バブル崩壊後の後遺症に喘いでは居たが、今よりヨッポドマシな状況だった事が分かる。仮にその2.2%成長が続いて居れば、2018年時点の日本のGDPは852兆円に達して居たと云う。今回の自民党の選挙公約「600兆円の実現を目指す」が恥ずかしく為る金額だ。

 2.2%成長自体が楽観的過ぎると反論する人に説明すると、1995年から20年間のOECD(経済協力開発機構)の平均成長率は約4.6%。2.2%は寧ろ控え目な前提と言って好い。実際、1997年からの20年で米国の名目GDPは1997年比で218%、英国は205%に伸びて居る。日本は88%に下がって居るが、もし、極平均的に成長し、GDPが852兆円に為って居たなら、150%程に為って居た計算だ。
 そして、GDPが成長して居れば、2018年度の税収は90兆円を超え、今より35兆円も多く為って居た。藤井教授の推計では1997年からの累計では総計約600兆円も税収が増えて居たという。同教授は「日本の財政を破壊したのは、他ならぬ消費税増税だった」と結論付けて居る。何も難しい事では無い。今からでも消費税を引き下げて消費の拡大を狙った方が賢明だ。


 法人税で財源は確保出来る


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 経済アナリストの菊池英博氏(日本金融財政研究所所長)が補足する。

 「消費税導入の1989年から14年迄の消費税収の累計は282兆円でしたが、この間の法人税の減収は、その90%に当たる255兆円もあり、ホボ相殺されて居ます。『受取配当金の益金不算入』『租税特別措置による政策減税』等の法人税減税の恩恵であり、法人税を真面な税制に戻すだけで消費減税の財源は確保出来ます。2017年の企業の内部留保は446兆円。過去5年で146兆円も増えて居るのです」

 OECDは2019年の日本の実質GDP成長率を1.0%に予想して居たが、消費増税による悪影響から0.2ポイント下げて0.8%(世界平均は3.5%)にした。増税なら又景気が悪化する。



               以上





「お友達は日本だけ」? 米軍の地位協定 日本と欧州ではこんなに違う


 

 「お友達は日本だけ」? 米軍の地位協定 日本と欧州ではこんなに違う



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                沖縄タイムス社


 コピーライトマーク株式会社沖縄タイムス社 2019/5/7 05:56 (JST)〜


 日米地位協定の改定を主張する沖縄県の玉城デニー県政は、米軍が駐留する欧州各国で、米軍の地位協定や基地の管理権等を調査した報告書をまとめた。2017年からドイツ、イタリア、イギリス、ベルギーの4カ国を調査した。日本は米国と安全保障条約、地位協定を結んで居るが、4カ国は北大西洋条約機構(NATO)とNATO軍地位協定を締結
 各国とも補足協定等で米軍に国内法を適用して活動をコントロールして居り、米軍の運用に国内法が適用され無い日本との差が明確に為った。(政経部・銘苅一哲)


 




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             北大西洋条約機構 NATO


 <ドイツ>補足協定で国内法適用

 1959年、国内に駐留する外国軍隊の地位や基地使用に関する「ボン補足協定」を締結した。只、独側にとって領域や国民の権利の保護等の点で不利な点が多かった。1980年代に環境や建築、航空等の国内法を外国軍に適用すべきだとする世論が高まった。1988年には外国軍の航空機事故が相次いだ。
 1990年の東西統一を経て、国民世論を背景にNATO軍を派遣する各国に協定の改定を申し入れた。この結果、1993年に米軍への国内法適用を強化する大幅な改定を実現した。州や地方自治体が基地内に立ち入る権利を明記し、緊急時は事前通告無しの立ち入りも認めさせた。米軍の訓練も独側の許可、承認、同意が必要と為って居る。

 <イタリア>米軍事故受け権限持つ

 1954年に米国との基地使用に関する協定を締結。1998年に米軍機がロープウエーを切断する事故が起き、20人の死者が出た事で反米感情が高まった。米伊は米軍の飛行訓練に関する委員会を立ち上げ、米軍機の飛行を大幅に軽減する報告書がまとめられた。現在、米軍の活動は全て国内法を適用させて居る。
 米軍は訓練等の活動を伊軍司令官へ事前通告し伊側と調整した上で承認を受ける。事故発生時の対応も、伊軍司令官が米軍基地内の全ての区域、施設に立ち入る権限を持って居る。
 県が現地調査で面談したランベルト・ディーニ元首相は「米国の言う事を聞いて居る『お友達』は日本だけ」と指摘。地位協定の問題は政治家が動く必要があるとした。


 




 <イギリス>駐留軍法を根拠に活動

 1952年に成立した駐留軍法を根拠に米軍が活動して居る。英軍の活動を定めた国内法は、米軍にも同様に適用される事を規定。英議会でも、国防相は「在英の米軍は米国と英国の両方の法律に従う」と答弁して居る。
 英空軍が、米軍等外国軍の飛行禁止や制限を判断。在英米軍は、夜間早朝等の訓練を禁止する在欧米空軍の指令書に従って居る。指令書は平日の午後11時〜翌午前6時を静音時間帯とし、飛行場の運用を禁止。爆撃機やステルス航空機の配備を予定する際には英国防省の承認を得る等、詳細な規定を設ける。
 米軍基地には英空軍の司令官が常駐。周辺自治体に演習や夜間の飛行訓練を説明する等、米軍と地域の信頼関係の維持に努めて居る。

 <ベルギー>憲法で外国軍に厳しく

 憲法で外国軍隊に関する規定を「いかなる外国の軍隊も法律に基づか無ければ、軍務に迎え入れられ、領土を占有又は通過する事は出来無い」と定めている。
 1962年には、外国軍が駐留する根拠を国内法として定めた。更に航空法で、軍用機を含めた外国籍機の飛行はベルギー側の許可が必要であると明記。必要な場合はベルギー国王が領空の飛行禁止措置を執る事が出来ると規定した。
 1990年、自国軍に高度80メートル迄の飛行を認める一方で、外国軍は低空飛行を禁止。ベルギー以外の軍隊は土曜日や日曜日、祝日の飛行を禁止する等厳しい措置を執って居る。


   以上


 





 【関連報道】 


 世界的にもこんなの異常だ!

 在日米軍だけが持つ「特権」の真実・・・沖縄女性遺体遺棄事件から考える




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             伊勢崎 賢治氏  プロフィールは末尾に


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             ☆米兵事件」のブログ記事


 日米は「対等」では無い


 2016年3月に沖縄で、又悲劇が起こってしまった。被害者への思いは当然だが、或る怒りが静かに込み上げて来る。それは、米軍属の被疑者へと云うより、我々日本人の「不感症」への怒りだ。今回の悲劇を、同胞女性を守れ無い男子の"男気"、若しくは凶悪犯罪の"比率"の問題に置き換える向きがあるが、非常に遺憾である。
 これは、国内に国内法が及ば無い世界を内包すると云う、一つの異常事態をどう捉えるかの問題である。所謂外交特権の話では無い。外交官が享受する外交特権は、その在留国の国内法による訴追の免除であるが、大使館を置き合う国同士が、夫々の外交官に対して「互恵的」詰まりお互いに認め合うものである。詰まり、関係は対等。

 日米地位協定は、互恵的、詰まり対等では無い。軍事基地を置き同協定で定める特権を受けるのは、アメリカのみでその逆は無い。日本の自衛隊がアメリカ国内に基地を置き同じ地位協定の特権を得られる、と云う話では無い。

 今回の沖縄の遺体遺棄事件は、日米地位協定上の「公務外」のものだ。それに対して「公務内」の事件であれば、軍事業務上の過失であるから、アメリカに第一次裁判権があり、軍人であれば米軍法で。今回の被疑者の様に軍属(米軍と契約関係にある米国籍の民間人)であれば軍事域外管轄権法で裁かれる。
 「公務外」詰まり軍事業務上の過失で無い場合は、軍人も軍属も、日本に第一次裁判権があるが、米軍が被疑者を先に確保したら、身柄は日本側に渡さ無くても好い事に為って居る。

 詰まり、被疑者に取っては犯行後即座に基地に逃げ込むのが一番なのだが、今回の事件では、米軍より先に県警が身柄を確保したので地位協定特権が壁に為ら無かった。それは単に、この仕組みのお陰なのだ。だから、今回の事件を、日米地位協定の問題では無いと云う言説は根本的に間違って居る。


 




 「民営化」された戦争


 一方で、近年、この仕組みに、プレーヤーがもう一つ加わった。民間軍事会社である。これは軍属とは違う。米軍と契約関係にあるのは、飽く迄その会社であり、そこで働く個人は米軍の直接的な管理下に無い。その業種は、軍事訓練・軍事物資調達・運搬・要人警護等、多岐に渉るが、一番分かり易いのが傭兵である。
 2001年の9.11同時多発テロを契機に始まり、アフガニスタンのタリバン、そしてアルカイダ、今では「イスラム国」を照準に継続して居る「テロとの戦い」おいてアメリカは、この民間軍事会社を大々的に活用し「戦争の民営化」を進めて来た。そして、それが、地元住民に対して殺傷・拷問等の、数々の非人道的な事件を引き起こし国際問題を引き起こした。

 その主戦場のアフガニスタンで米・NATO軍は、アメリカ建国史上最長の戦争を戦った挙句、軍事的勝利を挙げられず2014年に主力部隊を撤退。その後、残留部隊を置くにあたって、アメリカはNATO軍として、アフガン政府と地位協定を締結した。
 アフガニスタンは未だ戦場なので、軍関係者が基地の外で「公務外」の生活が出来る状態に無い。だから、この地位協定では「公務外」の規定は無く、全ての事件が「公務内」として扱われ、第一次裁判権は米・NATO側にある。
 しかし、軍事法廷を含むその裁判権の行使全般にアフガン政府関係者を立ち会わせる事等、アフガン側に非常に気を遣う内容に為って居る。更に、米・NATOが契約する民間軍事会社に付いては、全ての事件において、第一次裁判権をアフガン側に与えて居る。

 1960年以来一字一句変わら無い日米地位協定には、民間軍事会社の記述は無い。しかし、イラクで人権侵害の国際問題を起こした民間軍事会社の一つが、日本で軍属として地位協定の特権を得て活動して居た事が分かって居る。この意味で、裁判権における日本の地位はアフガニスタンより低いと言える。


 




 際立つ日米地位協定の特異性


 世界各地に基地を持つアメリカの地位協定は数多あれど、その中には外交特権と同じ様に互恵的なものがある。それが1951年調印のNATO地位協定、詰まりアメリカを含む欧米軍事同盟のそれだ。
 お互いに軍事基地を置き合う前提で、同じ地位協定特権を認め合う。協定文面の主語は、飽く迄「派遣国」と「受け入れ国」だ。締結した国家間の関係は対等で、不平等さは無い。その中に、敗戦国のドイツとイタリアもある。

 NATO地位協定における裁判権に関しては、日米地位協定と基本的に同じである。だからと言って、同じ敗戦国のドイツとイタリアと比べて日本は特段不利な立場に無いと結論するのは間違いである。日本との決定的な違いは「互恵性」なのだ。
 更に、ドイツとイタリア両国は、特に冷戦後だが、補足地位協定として、第二次大戦後の占領時代からある米軍基地の管理権と制空権を全面的に回復して居る。訓練を含む米軍の全ての行動は、ドイツとイタリア政府の主権下に統制される「許可制」である。

 加えて、それ等の基地を抱え色々な損害を被るのは地方政府であるから、補足地位協定では、米軍に、そう云う地方政府との公的な協議の外交チャネルを作る事を義務付けて居る。同じ敗戦国の中で、占領時代から脱していないのは日本だけである。発効以来、こんなに長期間一字一句も変わら無いのは、日米地位協定しか無い。
 お隣の韓国も既に二度改定して居る。1966年調印の韓米地位協定において、韓国は、日米地位協定の日本より裁判権において不利だったが、日本でと同じ様な様々な事件を経て、地位協定の改定を二回に渉って達成。アメリカの譲歩の理由は「日本並みに」と云う韓国側の激しい国民運動の隆盛である。

 日本において地位協定の問題への対処が「運用」では無く改定を求める国民運動に為ら無いのは、偏にそれが「沖縄の問題」に為って居るからである。地位協定の問題を「不可視化」させると云う政治意志が存在する為らば、沖縄への米軍基地集中は、見事に功を奏して居ると言える。


 




 フィリピンとアメリカの「対等」な関係



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              スービック湾海軍基地


 同じ様にアメリカの占領時代を経たフィリピンのケースは特記に値する。アメリカの植民地であった同国は、現地の経済や文化と深い関係を築いて来たスービック湾海軍基地やクラーク空軍基地を含め、大規模な米軍基地を維持して居た。日本の「思いやり予算」とは真逆に、アメリカは毎年数百億円もの「家賃」をフィリピン政府に支払って居た。


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 この「実入り」にも関わらず、フィリピン米軍基地は植民地主義の名残だとするフィリピン国内の民族運動の高まりと、ピナツボ火山の噴火で基地の大部分が使え無く為った事を契機に、フィリピン政府は米軍基地の全閉鎖を決めた。1992年の事。その直後だ。中国が南沙諸島の実効支配を始めたのは。米軍基地は、矢張り「抑止力」に為って居たのだ。
 その後、フィリピンは、アメリカとの関係修復に奔走する。それでも、以前の様な地位協定では無くVisiting Forces Agreement(VFA)アメリカ軍は飽く迄客人として訪れてフィリピンの基地を使っても云いと云う関係の協定を締結した。

 基地の主権はフィリピン側にある。ちなみに、上記のアフガニスタンとNATOの地位協定でも、アフガニスタンの主権が明記されて居る。ドイツやイタリアと同様、米軍が何をするか何を持ち込むかは、フィリピン政府の「許可制」である。
 更に、フィリピンは、裁判権における「互恵性」も部分的に確保して居る。(米連邦諮問委員会Federal Advisory Committee任命の国際治安諮問会議2015年報告書”Report on Status of Force Agreements”, p25, http://www.state.gov/documents/organization/236456.pdf )
 アメリカとの同盟関係を維持強化しながらも、対等でかつ「(主権の及ば無い)基地無き同盟」の一つの形であろう。

 最後に、実は、日本は”加害者”の側として地位協定を持って居る。2009年成立のソマリア沖の海賊に対処する所謂「海賊対処法」の一環で、自衛隊が駐留するジブチ政府だ。
 日ジブチ地位協定では「公務内」「公務外」の両方で、日本は第一次裁判権を獲得して居る。これを、日本外交の勝利だ最大限の国益達成だ、と閣僚に言わしめたのは当時の民主党政権だ。その国益に、沖縄の被害者は勘案されて居ない。そして、自衛隊の海外派遣に一番敏感出無ければ為ら無い党時のリベラル、そして護憲派が、この「不平等さ」に反応し無かった。日本人の「不感症」は極地に来ている。



 伊勢ア 賢治(いせざき・けんじ)プロフィール

 1957年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。インド国立ボンベイ大学大学院に留学中、現地スラム街の住民運動に関わる。2000年3月 より、国連東チモール暫定行政機構上級民政官として、現地コバリマ県の知事を務める。
 2001年6月より、国連シエラレオネ派遺団の武装解除部長として 武装勢力から武器を取り上げる。2003年2月からは、日本政府特別顧問として、アフガニスタンでの武装解除を担当。現在、東京外国語大学教授。プロのトランペッターとしても活動中(https://www.facebook.com/kenji.isezaki.jazz/)。著書に『武装解除 紛争屋が見た世界』、『本当の戦争の話をしよう』等がある。


                 以上


 




 【管理人のひとこと】


 日本全国で沖縄の基地問題が大きく取り扱われるのは、辺野古新基地の反対運動とか、又は基地に所属する米軍兵士の犯罪問題・・・それも日本人女性に被害をもたらすものや、オスプレー不時着や落下物の問題などだ。その際には、一時的に「日米地位協定」にも触れられるが、何れも有耶無耶に終わり何時もの平常に戻ってしまう。
 沖縄県は都度、大きな反響を巻き起こすのだが、それが日本全般に拡がる事は無い。飽く迄、基地を置いた沖縄の問題であり我々には無関係だとする・・・伊勢崎氏が指摘する「不感症」なのだ。

 防衛省や外務省の政府の弁明には「都度、米政府と協議し、格段に改正して居る」としか述べ無い。が、実は「同じ敗戦国の中で、占領時代から脱して居ないのは日本だけである。発効以来、こんなに長期間一字一句も変わら無いのは、日米地位協定しか無い」のが実相。
 辺野古問題が紙面を賑わせても、この地位協定を改正しようと云う政治家は現れ無いのだろうか。日本は何時まで経ってもアメリカに占領されたママなのだろうか・・・



 



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