これは途轍もないゲームだね…
名作中の名作だよ…
大昔のゲームなので、今更システムの解説などはせず、レビューでも感想でもなく、ゲーム体験を書きます
ネタバレもあるので、このゲームに関心がない人には意味がない内容
「ダンガンロンパ」は大昔、まだSONYの携帯ハードがPSPだった頃に体験版をやったのだが、その時の印象は寧ろつまらないなというものだった
体験版が今思えばデキが悪く、このゲームの魅力であるストーリーをすっ飛ばして、移動と裁判だけの内容だった
「ダンガンロンパ」は初動売上が悪かったらしいが、その責任は体験版の担当者にある
そのような背景から実に10年近くもプレイしていなかった訳だが…
驚いた…本当に…
時間が出来たので、ちょっと暇潰しにでもなればいいかな程度に思っていたら、気が付けば、ちょっとどころか、PSPのシリーズ2作を一気にクリアしていた…
そう寝る間も惜しんで…
「時間があっという間に過ぎる」「時間を忘れてプレイする」という感覚は、本当に久しぶりだった…
2.5Dというグラフィカルな表現は、ゲームキャラクターを書き割として描く思い切りの良さ…(裏から見ると真っ黒(笑))
約10年前のゲームとは思えない美麗さだ
キャラクターデザインは秀逸で、イラスト1枚でそのキャラクターを完全に立てている
これもまた、昔のゲームなのに古臭さが全くない
画面もよく動く
ADVはよく紙芝居と揶揄される
私はこの呼び方を嫌っているが、もうADVを紙芝居とは呼ばせない
臨場感のあるイベントシーンに迫力のある音楽、お洒落なインターフェイス、裁判は推理ADVとアクションゲームと音楽ゲームを融合させた、オリジナリティの強いシステム…どこをとっても一級品だ
しかし肝心の議論で相手を論破するシステムは、今一つただの答え合わせ感が拭えなかった
多くが相手のリサーチ不足を指摘するだけだしね…
「来週あのゲームが発売だな!楽しみだぜ!」という人に対して、延期が発表されたファミ通を突き付けて「それは違うよ!(論破!)」と言うようなものなんでね…
声優もいい。特に「ダンガンロンパ」は、2010年当時でも懐かしい声優が多く出演している。
緒方恵美や椎名へきるなどは、ピークが90年代だしね。緒方恵美の歌を聴いたのなんて、「silver rain」以来だよ…
高山みなみの探偵役なんて、いうまでもなくコナンだ
そしてやはり、それらのベテランを擁して尚、今は亡き大山のぶ代の怪演は、圧倒的だ
モノクマは可愛いし、狂気のドラえもんというイメージだ
若手も実力派揃いで、沢城みゆきのサイコ役がハマっていた
野沢雅子や平野文、山寺宏一などの大御所声優たちも批判的なように、ぶっちゃけ今の声優って、プロなのに下手で無個性なのが多いからね
棒読みだし全然耳に残らない声ばかり
だからこういう、「本物の演技」が聴けると安心するんだよ
七海を演じた花澤香菜なんて収録はたったの1日だったらしい。ぶっちゃけ役作りもしてないしストーリーも深くは理解してないだろう。
だが変な部分は全くなかった。流石プロだ。
そしてやはり最高なのは、プレイヤーを圧倒的な牽引力で引っ張るシナリオ…
推理物としては、ピークはフーダニット(犯人当て)で、仲間の中に裏切り者がいるという興奮と緊張…
ここが比較対象だった「逆転裁判」と決定的に違う。
あのシリーズは犯人がストーリー上で分かるようになっているからね。意外性のある犯人は3のラスボスくらい
推理の方向性としては、発想力、想像力を刺激する物が多くて、とても楽しかった
スク水に土を入れて凶器にしたりね。古典的だが、スク水を使って変質者の犯行に見せかけるというのが、女子高という舞台を活かしてた
逆に、プレイヤーの知識がないと詰まるんでは?という物もあった
ペコが竹刀を使って高所にある窓を越え、竹刀袋で回収したトリック…
「落第忍者乱太郎」で読んだから知っていたが、この知識がなかったら、きっと迷っただろう
他にもミステリでは禁忌とされている双子トリックを使っているが、かなり良く出来たもので感心した
最序盤から丁寧でハッとする伏線を張っているし、黒幕が江ノ島盾子である事には、盾子の顔だけが隠された写真などから苗木くんより先に気づいたので、徐々に真相に迫っていく事にはハラハラして、ほら苗木くん、早く気づけよ…と思っていた
さて肝心のストーリー…
CHAPTER1で早々に、ヒロインと思っていたさやかが殺され、しかもそれが裏切りの末路だと知る…
まずここが大きな衝撃だった
実際にはヒロインは響子なのだが、公式サイトや序盤の扱いから、完全にさやかは今後もシロなんだな、安全地帯にいるんだなと思い込んでいた
「ダンガンロンパ」は名作なのだが、どうもクラスメイト達が仲間というには畜生が多い
白夜は反抗的だし、腐川、ジェノサイダーに至っては完全にイロモノ
殺人の動機も、金目当てだとか、しょーもないものもある
私利私欲も立派な動機なので、リアルといえばリアルだが、城でイケメンを侍らせたいでは、同情はできないだろう
しかもお互いがお互いをまるで信用していない。好感度をMAXにしても同じ反応なので、根本的に信頼がない
親友と呼べるのはせいぜい葵とさくらの組み合わせだけだろう
苗木誠は最後の最後まで疑われているし、仲間同士も、最終話になってもまだ団結しない
特にCHAPTER5で、モノクマの計略とはいえ、投票により苗木が一度殺されたのはかなり酷い(笑)
仲間達はさらっと謝っただけで済ますのだが、いやいやいや、もう無理でしょ絶対
これ致命的に亀裂が入るやつだから!
結局このチームがまとまるのは本当にエンディング間際で、「希望を捨てちゃ駄目だ!」と仲間達を、そして最後にヒロインを救う演出が余りに秀逸だった。
メインテーマが流れるのは鳥肌物だね
余談だが、選択肢を間違えて1度バッドエンドになってしまったが(白昼夢というオチで、前の選択肢に戻されるが)、狂気に満ち溢れた、とても気持ち悪いエンディングだ
閉鎖空間で残された男どもが、葵に子供を産ませている…
腐川の遺影を持って、なぜか全員笑顔…
ここ、ミスしたプレイヤーが多いのではないか。響子が真実の追及がどうのこうの言うもんだから、ここはハッキリさせたほうがいいと思ってしまった
「逆転裁判」にも似たようなシーンがあったが、やはりハッキリさせていたし
そのような背景があるので、「スーパーダンガンロンパ2」では、仲間達をわかりやすく「いい奴」として描いたんだろうね
信頼関係も、前作より強い
そのほうが裏切られたときのショックが大きいし、被害者になっても同様だ。
実際、殺人の動機も悲しいものが多いので、感情移入した
前作では嫌な奴だった白夜が成長し「いい奴」になっているし、他にも憎めない奴ばかりだ
特に好きだったのが蜜柑で、真っ先に好感度を上げた
どうも私は、ドジだが心優しい少女というのに弱い
…なのでCHAPTER3の犯人だったのは、どの鬱ゲーよりも鬱だった
ゲームでこんなに感情を揺さぶられたのはいつ以来だろうか…
日向よりも少し早く真相に気づいたのだが、これだけは的外れであってくれと心底願った
前作はクラスメイトが畜生ばかりだったので、主人公たちもプレイヤーも、殺人そのものはショッキングであろうとも、特定のキャラが犯人であること自体にはショックを受けず粛々と追い詰めてきたが、2作目の3話にして、遂に主人公たちがもっとも信頼していた仲間が犯人候補になってしまう…
正体現したね…
でも…これ…これね…
最高に精神的ダメージを受けたね
日向はそんな蜜柑を追い詰めることを「信じる為に疑うんだ!」「怯むな…憶すな…逃げるな…!」と苦心するが、プレイしてて、辛かった…
(これまでは容赦なく犯人を追い詰めてきたから、温度差が凄い(笑))
犯人が博士ならば必死に考え抜くと言う、工藤新一の気持ちが分かった
しかも蜜柑も苦悩の末に殺しただとか、絶望病の所為で殺しただとか、少しでも救われるオチ……に見せかけ、本当に裏の顔があった、しかも謎の人物に依存して、仲間のことなんてちっとも考えていないという、更に絶望する結末
殺し方も相手の病気や信頼に付け込んだえぐい殺り口だし、豹変後の本性も余りにも醜い
地獄の傀儡師なら殺すレベル
本当にショックだね
CHAPTER3は被害者に全くスポットが当たらないので、殺された唯吹と日寄子についてはまるで語られないし、蜜柑の動機もハッキリ明言されないのもまた、空しさに拍車をかけている
まさかホワイダニットがスルーだとは(でも大体想像はつく。情状酌量の余地はありそう)
推理物としては、監察医が犯人で、証拠を偽装していたというトリック…これもまた面白かった
CHAPTER3はナンバー1の完成度だろう
シナリオライターが蜜柑を犯人に仕立て上げて殺した理由として、監察医を退場させるという意図があったのではないか
5話で狛枝が驚異的な悪意で自殺をするが、もしここに蜜柑がいたら、検死で不自然な点を幾つも発見するよな。
蜜柑「あのぉ〜…狛枝さんの脚の傷ぅ…横向き…それも上のほうから斬られたみたいなんですぅ…。これってどういうことでしょぉぉ〜…。」
日向「正面からの傷じゃない……?……そうか分かったぞ!」
……みたいに、日向くんは蜜柑の助言を元に、あっさり謎を解いてしまうだろう
それではストーリーが盛り上がらない
他には、前作と比べ、しっかりと「裏切りの代償」が描かれていることで、キャラクターの人間味が増したのも良い
真昼を殺された日寄子は心底九頭竜とペコを恨むのだが、リアリティを感じた
前作で一度は本当に殺され(そうになっ)た苗木が、仲間達をあっさり許してしまったり、さくらを殺されてただ暴走するだけの葵は記号的な嘘くささが酷かったので、人を恨むことに人間味がある
九頭竜の責任の取り方もなかなか男らしかった
終盤に判明する、この世界の秘密…
実はゲームの世界の話でしたというゲームオチ。CHAPTER6序盤で誰もが察するが、これも喪失感、虚無感が大きい
でも初代プレステの「moon」のような完全にゲームの世界と分断されたメタフィクションではなく、主人公たちがバーチャルリアリティーの世界にいたというオチで、ストーリーに絶対必要な要素なんだよな
プレイヤーを絶望させるのは、このシリーズに必要不可欠な要素だ
黒幕が主人公自身で、実は主人公を含めた仲間たちが敵サイドの人間だったのは、絶望感が物凄い
今作主人公VS前作主人公(偽物だったが)、そして本物の前作主人公との共闘…
更には前作のヒロインと仲間も駆けつける…
ここは熱すぎた
ヒロインである七海の正体がプログラムされた架空の存在という悲しいオチだが、どうも「ロックマンエグゼ6」のアイリス、「ゼルダの伝説」のマリン、「シレン」のケヤキのように、消えてしまう架空の存在というヒロインには弱いね
(なんで髪にパンツつけてるの?)
1度は腹を括って自己犠牲を選ぶも、いざ処刑になると必死で逃げ出したり、プログラムなのに人間臭さがある
そんなヒロインの力で覚醒し仲間を救い、ふたりでラスボスを倒すのも王道で良い。
(でもこれ、石丸の焼き直しだよなぁ)
ふたりでの「「それは違うぞッ!」」は感動したね
七海は響子以上に一貫して「ヒロイン」なのだが、第一印象は真昼の次にモブっぽいだったから、この活躍には驚きだ
でももっと恋愛っぽい話でもよかったな。恋愛を理解しない七海が恋を知るなんて、いかにも切なくて、面白そうだ
エンディングでは生き残りメンバーが記憶喪失になってしまうが、仲間への感情は残るという、優しい結末
死んだ仲間たちが脳死状態で実は生きてるってのも、ご都合主義なのに許したくなる
まあ私の日向くんは七海とデートの約束をし、蜜柑をこれからも見守ると想い、ソニアとは国での結婚を誓い、彼女たちのパンツを脱がし収集しているので……
このまま現実世界に戻ったら彼女たちの誰かに殺されそうなので、丁度よかったのではないか。実は一番命拾いしたのは、日向くんかもしれない
評価としては、「ダンガンロンパ」S+ 90点、「スーパーダンガンロンパ2」S+ 100点をつけたい
このブログでは評価Sは10年経っても面白い良作を名作と定義してるが、その通りだったからね。疑いようがない名作だよ
スパイクに、こんな名作を作れるクリエイターがいた事に驚いたね。このシリーズ自体、それまでのスパイクのイメージではないしね
さてそんな「スーパーダンガンロンパ2」…
これだけ綺麗に終わったのに、「さよなら絶望学園」なのに、何故か続編があるらしい
しかも何故か、「ダンガンロンパ3 The End of 希望ヶ峰学園」というアニメだそうだ
「アマガミ」からの「セイレン」のように、ストーリーは別物…というならまだわかるが、これは本当にアフターストーリーと前日譚…
プログラムだった七海がこれまた何故か肉体を持ってるが、現実世界にかつては存在したという二段オチだったのか。
ならば、一部の常識が欠けていたという、プログラムオチへの伏線はなんだったんだって話になるが…
まぁ私はアニメは見ないタイプだが、本作には興味あるね
他にも何故かガンシューまで出ているし、このシリーズ展開には困惑だらけだ
新作に至っては「ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期」から続編が出ていないが、舞台だけはやってるようだし、「サクラ大戦」と同じ末路だったのかな…
まあ、まずはダンガンアイランドモードから攻略しよう
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