アフィリエイト広告を利用しています
ファン
検索
<< 2019年11月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
ヨリちゃんさんの画像
ヨリちゃん
プロフィール

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2019年11月27日

日本経済をスカスカにした真犯人 日本発「多国籍企業」の罪と罰 冷泉彰彦






 日本経済をスカスカにした真犯人 日本発「多国籍企業」の罪と罰 冷泉彰彦


   11-28-1.png

   〜まぐまぐニュース!2019.11.20 by 冷泉彰彦『冷泉彰彦のプリンストン通信』より〜

 〜新聞各紙は今冬のボーナス支給額、そしてトヨタ自動車の純利益が夫々過去最高を記録したと伝えて居ますが、我々一般庶民が「好景気」を肌で感じる事は難しいと言っても過言ではありません。
 その一因に「日本経済の分断」があるとするのは、米国在住の作家・冷泉彰彦さん。冷泉さんは自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で、この様な分断が生じた理由を明らかにすると共に、日本経済が「スカスカ」に為った原因を考察して居ます〜








 引き裂かれた日本経済 日本的空洞化の研究 その1


 日本経済の空洞化が止まりません

 日本経済の空洞化が止まりません。何時の間にか、日本経済はスカスカに為って居ます。格差、貧困、ブラック労働に子供の貧困、こうした問題が国内では進行して居ます。
 今回の消費税アップでは、前回の3%アップ時に消費が低迷した事の再来を恐れて、軽減税率やポイント還元が行われましたが、逆に考えれば、そうした対策をし無くては2%アップのインパクトが吸収出来無い、その位に日本国内の購買力は弱って居るのです。
 その一方で、多国籍企業は空前の利益を挙げて居ます。そしてアベノミクス効果で株高と為り、都心のタワーマンション等は高騰して居ます。一体日本経済に何が起こって居るのでしょうか?

 日本経済と云うのが2つに分裂して居る

 このシリーズでは「空洞化」それも「日本型空洞化」をキーワードとして、このスカスカに為った日本経済の状況に迫ってみたいと思います。最初に取り上げたいと思うのは、日本経済の分断、詰まり日本経済と云うのが2つに分裂して居ると云う問題です。分裂の第一は「正社員経済」「非正規経済」の分裂です。

 毎年の事ですが11月に為ると、経済ニュースとして「冬のボーナスの増減」が話題に為ります。例えば、2019年の場合11月14日付の日本経済新聞(電子版)には次の様な記事が掲載されて居ます。

 ・・・経団連は14日、大企業が支給する冬の賞与(ボーナス)の第1回集計をマトメた。平均妥結額は96万4,543円と為り、前年比で1.49%増えた。主に春先までの堅調な企業業績を反映し、2年連続で過去最高を更新した。造船や自動車・建設が全体を牽引した。プラス幅は昨年(3.49%)より鈍ったが、経団連は「賃金引き上げの流れは継続して居る」と見て居る。
 東証1部上場で従業員が500人以上の82社分を集計した。製造業は94万7,400円で、前年比1.54%増えた。非製造業も2.01%増え、132万7,787円と為った。業種別に見ると7業種が増額・5業種が減額だった。


 要するにボーナスの支給額が、2年連続で「過去最高」だったと云うのです。しかも平均妥結額は全体で96万とか、非製造業では132万と云う高額に為って居ます。これは非常に可笑しな話です。日本の現在の労働慣行では、正規労働、詰まり正社員の場合、給料の5ヶ月分とか7ヶ月分がボーナスとして別に用意されて、夏(6月)と冬(12月)に分けて支給されて居ます。
 一方で、非正規労働の場合は、会社によって呼び方は違いますが、契約社員等月収の高い契約でも、それ以外のパートや派遣社員の場合でもボーナスはありません。

 正規と非正規の違いは、ボーナスの有無だけではありませんが、給与体系と云う事で見れば、この2つを分ける大きな違いと為って居ます。勿論これは問題です。どうしてボーナスがあるのかと云うと、給料が毎月の生活費分に消えるとして、それとは別に耐久消費財を買ったり、住宅購入の頭金にしたり、或は住宅ローンのボーナス返済に使ったりする為です。
 詰まり、ボーナスのある正規雇用と、無い非正規雇用の間には、生活スタイルの決定的な違いがある訳です。違いが連続して居る中での差では無く、全く別の所得階層と言って好い差がある訳です。

 百歩譲って、そうした制度があると云う事は前提にするにしても、今回の経団連の発表では、膨大な数の「ボーナスがゼロ」だと云う非正規の人はソモソモ調査の対象に入って居ないのです。
 ソモソモ、膨大な数の「ゼロ」を計算に入れるのであれば、絶対に「史上最高額」等と云うセリフは出て来無い筈です。仮に正社員への支給額の平均が100万円でも、正社員と同数の契約社員が居て、彼等のボーナスがゼロであれば、平均は半額の50万円に為ります。

 ですが、そうした計算は行われません。それは、経団連と云う団体が、終身雇用で守られてボーナスの支給対象と為る正社員共同体の利害を代表する団体だからです。
 ソモソモ6月12月に為ると、ボーナスの季節に為ったとか、史上最高額だと云うのは、対象外の非正規の人々には腹立たしいだけです。にも関わらず、そうした表現が平気で使われて居るのです。何故かとと云うと、経済新聞を読んだりこうした統計を見たりする人は、非正規労働者の事をホボ100%無視して居るからです。

 と云う事は、経済が2つに分かれて居ると云う事です。詰まりボーナスがあって、史上最高額のボーナスを受け取れる正規労働者の属している経済と、ボーナスの無い非正規労働者の属して居る経済・・・日本経済と言っても、その2つは完全に分断されて居ると言って好いでしょう。

 分断の一方である非正規労働者は、どうしてそんなに低い処遇で甘んじて居るのでしょうか?好く言われるのは「派遣労働法を作ったのが悪い」とか「就職氷河期があったので不公平だ」と云う批判ですが、そうした問題は結果に過ぎません。
 多くの企業が、日本国内の事務仕事に高い給料が払え無く為ったので派遣労働が必要に為ったのであって、派遣労働法が出来たから非正規が増えたのではありません。又、所謂氷河期には、日本企業の業績が著しく落ち込んで、回復の見込みが無かったから新卒採用が極端に抑制されたのであって、これも結果としてそう為っただけです。







 更に日本経済は第二の分裂をして居る

 何が問題なのでしょう?そこにはもう第二の分裂と云う問題が絡んで来ます。それは「多国籍企業の全世界連結決算」「国内経済への貢献」と云う分裂です。

 ボーナスが史上最高額と云う記事と並んで、最近好く目にするのが「企業の業績が史上最高」と云うニュースです。例えばトヨタの場合は、2019年4〜6月期の売上高と当期利益は過去最高を記録したそうです。間違いではありません。ですが、問題はその「過去最高」の意味です。
 トヨタの構造を見ると、年間の生産台数は約1,100万台(最新の2019年4月〜9月では545万台)ですが、大雑把に言って国内での生産は440万台で海外生産660万台で、海外生産の方が多い訳です。又、国内生産の内半分は輸出と為って居て、詰まり総生産台数1,100万台の内80%は海外市場向けです。

 国内販売は年間ベースで220万台で、全体の20%と為って居ます。しかも、この220万台の内、3分の1に当たる65万台はトヨタグループ内の「ダイハツ」の販売と為って居ます。要するに軽四なのです。と云う事は、例えば北米向けの車両の平均価格と比べると売上ベースでは半分以下と云う事です。
 又220万を輸出して居ると言っても、中身は決して昔とは同じではありません。昔は、トヨタの場合、アメリカ向けには「輸出台数の自主規制」と云うものがあり、その枠を最大限に利用する為に「レクサス等高級車、高付加価値者」を日本で作って輸出して居ました。

 ですが、現在は違います。北米向けレクサスの生産も、ES(ケンタッキー)RX(オンタリオ)等海外に出してしまって居るのです。又国内で生産して輸出する場合は、国内経済への貢献は「卸値」だけです。そう考えると、トヨタ全体の中で日本のGDPに貢献して居るのは10%位であると考える事が出来ます。
 と云う事は売り上げが過去最高とか、空前の利益と言っても90%は日本のGDPとは無関係だと云う事が言えます。雇用と云う事でも、基幹の技術職、マネジメント職も含めて、トヨタの場合はグループの中での外国人比率は50%を超えて居ます。又出資して居る株主も海外が中心、取引される市場はNY、従って配当金の行く先も海外です。







 日本発祥の多国籍企業の評価

 私はグローバル経済を基本的に支持して居ます。自由な国際市場があって自由な競争がされる事で、多様な人材のコミュニケーションが生まれ、新しいアイディアが実現されて行き、人類全体としては生活水準の向上に繋がるからです。自由貿易も同じ理由から賛成です。
 又、空洞化と言われる現象、詰まり多国籍企業がモノを作る場合に、先進国である本社で製造してしまうと、コストが高いので途上国で生産してコストを抑制するとか、そうした途上国も販売先に加えて行くと云うのは、水が高い所から低い所へ流れる様に仕方の無い事だし、余程の弊害が無い限り運命として受け入れるべきと思って来ました。
 同時に、市場によっては「生産を現地で遣って、雇用を創出しないと輸入関税を掛ける」と云う地域があり、その場合も現地生産を進める事で本体は空洞化する事があります。これも場合によりますが、避けられ無いケースが多いと思います。

 処が、現在の日本発の多国籍企業の場合は、生産と販売だけで無く、研究開発からマーケティング、或は経営戦略までドンドン外に出してしまって居ます。例えばトヨタの場合では、多くの予算を使ってCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、EV化)分野向けの研究開発をして居ますが、その殆どは海外で遣って居ます。
 そう為ると、研究開発費を払う先、研究開発の為に雇用する人材への給与等も海外に為って行きます。そしてノウハウは海外に蓄積されて、徐々に「日本発の多国籍企業」であったものが事実上は「無国籍企業」に為って居る訳です。

 そうなのですが、今でも「トヨタが最高業績」だと日本の新聞は喜ぶ訳です。又、日本の鉄道車両メーカーが、ヨーロッパで大量受注に成功したり、アジアで新幹線プロジェクトを請け負う事が決まると、メディアは良いニュースだとか、これで日本経済も元気に為る等と云う言い方をします。
 悪い事ではありませんが、実際は鉄道の様な公共インフラの場合は、特に車両の大量受注の様なケースですと、各国は雇用保障の為に、現地で生産する事がディールの条件に為って居る訳です。そう為ると、例えば英国の鉄道車両を日立が受注したとしても、日本経済への貢献は一部の技術に関するライセンス料位にしか為ら無いのです。

 詰まり、日本経済と言ってもトヨタとか日立と云う多国籍企業の「全体の業績」と、純粋に日本に金が落ちて、日本で金の回る日本のGDPとは全く別物だと云う事に為ります。この点が、どうにも誤解が多い訳です。
 どうしてかと云うと、経済新聞とか経済記事を読む人は、圧倒的に正規雇用の人が多い訳です。彼等の感覚は、先ず自分の会社、日本における自分の業界の発展・成長が大事だと云う考えが中心に為って居ます。ですから、トヨタが市場最高益だとか日立が欧州で大型受注をしたと云うと喜ぶ訳です。







 俯瞰した日本経済の観方(みかた)が必要

 ですが、純粋に国内の税収とか、雇用とか、消費と云う点では、確かに海外で稼いだ金で日本勤務の正社員のボーナスが増えたり、アベノミクス効果も加わって、日本での株価が上がれば、多少は日本での消費には好い影響はあるでしょう。日本での採用とか雇用には若干プラスかも知れません。ですが、それだけです。
 兎に角海外で稼いだ金は、日本には還流しません。多くの場合は、海外に再投資されます。その結果として、日本経済と言っても2つの経済に分断されて居る訳です。1つは多国籍企業が世界中で稼いだ「連結」の数字です。もう1つは、日本国内の経済活動の全体を表す「GDP」です。

 昔は、この2つの数字には相関関係がありました。ですが、今は違います。多国籍企業が世界中でどんなに稼いでも、GDPへの貢献は少ないのです。だから、日本国内の経済はスカスカに為って居ます。何時までも牛丼店が思い切った値上げが出来無いのも、無料の花火大会ばかりに人が殺到するのも、ブラックな外食産業が学生バイトを酷使してそれでも大した利益が出無いのも、日本国内の格差、貧困、社会苦がドンドン悪化して閉塞感が広がって居るのも、この「日本型空洞化」に原因があると思うのです。

 こう申し上げると、それではトランプと同じ「経済ナショナリズム」だと云う批判が来そうです。それは私としては気持ちの好い事ではありません。先程申し上げた様に、日本は自由貿易によってグローバルな世界で勝って来たと云う感覚があるのです。
 ですが、もしかしたら、そこで勝って来たのは日本発の多国籍企業だけであって、日本経済は負け続けて来たのではないか、それが「スカスカ」と云う事の意味なのです。


   image by  Michel Chappaz  Shutterstock.com 冷泉彰彦 東京都生まれ 東京大学文学部卒業 コロンビア大学大学院卒 1993年より米国在住 メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからコソの鋭い記事が人気のメルマガは第1〜第4火曜日配信

                以上







【お申し込みページ】







最早笑うしか無い 日本の生産性をダメダメにした5つの大問題




 最早笑うしか無い 日本の生産性をダメダメにした5つの大問題


           〜まぐまぐニュース! 11/27(水) 5:00配信〜


      11-27-15.jpg

 前回「日本経済をスカスカにした真犯人、日本発『多国籍企業』の罪と罰」「2つの日本経済の分裂」に我が国の空洞化の原因を求めた、米国在住の作家・冷泉彰彦さん
 更に冷泉さんは今回、自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で、先進国の中で最低に迄沈んだ日本の生産性再浮上を阻む「5つの問題点」の存在を指摘して居ます。

 日本の生産性はスカスカ 日本的空洞化の研究その2


 日本生産性本部?

 と云う団体があります。正直に毎年「労働生産性の国際比較」を公表して居り、2018年12月には「日本の時間当たり労働生産性は47.5ドル(4733円)OECD加盟36カ国中20位」等と云うプレスリリースを出して居ます。今年もソロソロ2019年の分を出すのだと思いますが、取り敢えずこの2018年バージョンを見てみる。

 2017年の日本の1人当たり労働生産性(就業者1人当たり付加価値)は、84027ドル(837万円)、ニュージーランド(76105ドル/758万円)を上回るものの、英国(89674ドル/893万円)やカナダ(93093ドル/927万円)と云った国をヤヤ下回る水準で、順位で見るとOECD加盟36カ国中21位と為って居る。

 等と云う悲惨なデータが臆面も無く書かれて居ます。こんな悲惨な内容なのに、生産性本部等と云う名称を変える事無く毎年公表して居ると云うのは、不思議な感じがします。
 多分、日本の製造業が絶好調で「経済大国」と言われて居た1980年代に「日本の生産性も世界一」だと云う事でこうした団体の啓蒙活動がされて居た訳ですが「その時で時間がフリーズ」して居るのだと思います。男性中心の終身雇用労働者が会議をしたり、手帳に何かを書き込んだりして集団主義を実践すれば、世界一の生産性が達成出来た・・・そんな意識です。でも、1990年代以降の結果はダメダメで、先進国中最低に為って居る訳です。

 生産性本部にも、優秀な方、誠実な方も居られると思うし、昭和世代の自分には世代的に責任の一端があると思うと心苦しい面もあるのですが、こう為ると悲劇より悲惨な喜劇としか言い様が無いのも事実です。
 どうしてなのでしょうか?兎に角生産性が低いと云う事は、働いても働いても「付加価値=カネ」が稼げ無いと云う事です。企業活動としてカネが稼げ無いと云う事は、その結果として給料と云う形での報酬も得られ無い事に為ります。又、頑張って働いてもムダと云う事で、労働の社会貢献と云う意味でも成果はスカスカと云う事です。

 本当にイヤに為ってしまう様な話ですが、では、どうして日本の生産性はこんなに低いのでしょうか?

 先ず、コンピュータの利用が進んで居ない、文書が多い、原本を作ってハンコを押すと云った旧態依然とした事務仕事の問題があります。しかし、この部分は遅まきながら、少しズツ改革が進んで居るのも事実です。対面型コミュニケーションが主流と云うのも問題ですが、これも多少は理解がされて居る様です。
 ですが、その他にモッと根深い問題がある事に付いては、マダマダ認識が共有化されて居ない様です。今回は5つ問題提起したいと思います。







 1つ目は、仕事が専門化されて居ないと云う事です。例えば経理部門・マーケティング部門等の職能に付いては、仮に専門化して居れば、先ず最先端を大学や大学院で学んだ人材、より規模の大きなグローバル企業でバリバリだった人材と云うのは「スキルの訓練が出来て居る即戦力」に為る筈です。
 処が、仕事が専門化されて居ない人事をする為に、折角マーケティングが出来る様に為っても、今度は現場とか、生産管理の次は営業とか、無茶な回し方をする訳です。昭和の時代ならイザ知らず、そうした個々の専門職に付いては、現代ではグローバルな標準化がドンドン進んで居る訳で、学ぶ内容は格段に深く広く為って居ます。にも関わらず、人事ローテをするのは無駄です。その結果として折角身に着いたノウハウを捨てる事に為るし、部門や職能を変わる度に大変な思いをしてトレーニングをし無くては為ら無いからです。

 2つ目は、この「専門化され無い人事」の結果ですが、権限が現場に下ろされて居ないと云う事です。更に言えば、権限のある人にはスキルと知識が無い訳です。そうすると、決め無くてはいけ無い事が現場で決められ無い、そのクセ決める権限のある人は自分が好く判ら無いので決められ無いと云う事で、物凄い社内調整が必要に為り、意思決定にダラダラ時間が掛かる訳です。その間に浪費される時間、文書、エネルギーは殆ど無駄です。

 3つ目は、兎に角大勢が会議に出て来ると云う事です。会議が多いのが悪いのではありません。一回の会議にゾロゾロ大勢出て来るので、結果的に一人当たりの会議参加時間が多過ぎる事に為るのです。
 原因ですが、先ず権限と知識・スキルが切り離されて居ると云う事もありますが「幹部候補には全社的な動きを知って貰いたい」とか「新企画の立ち上げは、スタート段階から関連部門全員参加で会議しないと組織が動か無い」と云う様な非合理な風土があるからです。

 好く評論家の人等で、企業と会議する場合に「発言し無い人は無駄だから居て欲しく無い」等とダダを捏ねる人が居ますが、アレは間違いです。日本の場合、実務的な会議の中では、発言し無い人に最先端の、そして現場の知識とノウハウがあるのです。そうでは無くて殆ど素人だが、権限のある人がダラダラ思い付きで喋って、人の時間を奪って居るのです。
 有名な人が、コラボ企画等で企業と打ち合わせする場合もそうです。ベラベラ喋って居る人は権限はあるがスキルの無い人で、黙って居る人が実は実行力もあれば、企画の細部を握って居るのです。
 詰まりそうした場合の会議と云うのは、スキルや知識的には過去の存在である管理職に「著名人と合わせて満足させる」セレモニーである訳です。ですから、生産性を上げる為には、有名人の側は、実は黙って居る人とだけ会議をすれば良いのです。

 4つ目は、文書を増やして居る原因ですが、コンプライアンスと云う言葉に踊らされて居る面が大きいと思います。勿論、無法な事を遣って居た企業が、お行儀好く法律を守りますとか社会正義に徹します、或は働き方に留意しますと云うのは良いことです。
 ですが、そうしたコンプライアンスの動きが、結局は「規程・規則を増やす」とか「記録を残す」と云った形式主義に為る時、コンプラに注力すればする程、法令違反や社会的には炎上を招きかね無い誤った判断を生む可能性が大きいのです。
 詰まり法令や社会の視線の核にある「本当の正義」と云うのを経営者が好く判って居て、ピンポイントで的確な指示を出せ無いか或は出さ無い、そんな中でコンプラが怖いから規則を作って文書を大量に作ると云う事に為る訳です。これは1990年代に始まった事で、日本経済の競争力が下降して居るのと並行して起きた為に、経済の底力を奪って行ったのです。

 5つ目は国際化です。同時に1990年代には、これ又遅まきながら日本の各企業は国際化をして行きました。これが業務量を増やして行ったのです。コンピュータ化が出来無いと云うのも致命的ですが、英語で仕事が回ら無いと云うのも大変です。詰まり多国籍企業に為っても、社内の公用語は日本語である訳で、そう為ると文書は常に2つの言語でダブルで走る事に為ります。
 又、日本語の好く出来無い海外のグループ企業が日本語化される事を前提で動くとか、英語に慣れ無い本社管理部門が多国籍のオペレーションを統括すると云う中で、業務量は倍増しストレスは溜まるし、コミュニケーション上のロスや誤解も広がると云う事で、大変な事に為って居ると思います。この国際化の進展による業務量の増大、にも関わらず経済の競争力が低く為って居るので、要員は削減と云う中で二重言語による業務負荷が重く圧し掛かって居る訳です。

 兎に角、コンピュータが使え無いとか、文書が多いだけで無く、こんなに多くの要因が重なって、人の時間と労力を奪って居るのですから、生産性が上がら無いのも当然です。
 そうした問題を明らかにして、どうか生産性本部の皆さんは、本当に日本のオフィスにおける仕事の進め方にメスを入れて行って頂きたいと思います。

 ソモソモ働き方改革と云うのは、それが趣旨であった筈です。文書を削減し会議の参加人数を減らし、権限を委譲しコミュニケーションを効率化する、その結果として同じ業務量でも2倍・3倍の効率が生まれる、その結果として長時間労働が不要に為る、これが働き方改革の筈です。
 そうでは無くて、働き方改革の為に残業が出来無いので管理職が実務を抱えるとか、その果てに働き方改革の為に生産量や受注等、経済の規模も縮小すると云うのでは本末転倒です。

 日本経済において、ホンモノの経営者は何処へ行ったのか、そんな絶望感すら感じられるのです。その絶望も、そして日々の「非効率な業務」も、本当は無駄な不幸なのだと云う事、兎に角日本よりも「ラテン系」の諸国が日本以上の生産性を上げて居る、その現実を直視して、現在の日本の職場に蔓延して居る不幸がいかに無駄でバカバカしいのかを確り認識して行かねば為りません。


    image by: SubstanceTproductions / Shutterstock.com MAG2 NEWS   次につづく






まかせて!BOCCO






 ドンドン「犠牲者」を出すかも知れ無い萩生田文科相の発言



 


 ドンドン「犠牲者」を出すかも知れ無い萩生田文科相の発言


           〜前屋毅  フリージャーナリスト 11/27(水) 13:51 〜



  11-27-11.jpg

 萩生田光一文科相が「英語民間試験は制度上大きな問題があると判断した」と『教育新聞』(2019年11月26日付)のインタビューで答えて居る。可なり、飛んでも無い発言かも知れない。

 「元々存在して居る民間の英語検定を借りて、新しい大学入試制度を作ろうとした処に無理があった」と述べた上で、萩生田文科相は「大学入試センターが遣る試験為らば、例えば、文科省が責任を持って全国の高校を借り上げた上で、試験会場として再配分する様な事をしなければ為ら無い」と語って居る。英語民間試験の活用を根底から覆す様な発言だ。

 実際「元々あるものを使わせて貰えないかでは無い。国の方針を決め、それに協力して呉れると云う民間の人達には引き続き協力をして貰える様な仕組みも考えて行きたい」とも語って居る。
 民間試験の業者は国に協力したいなら参加出来る様にしても好いと言って居る様なものだ。英語民間試験制度では「メイン」だった筈の民間を「サブ」にすると云う訳だ。
 こんな扱いを受けて、英語民間試験の業者は黙って居られるのだろうか。来年からの民間英語試験実施を目前にして、どの業者も会場等の準備を慌ただしく進めて居た処に、突然、萩生田文科相が中止を宣言した。その上メインからも外されると為れば、まさに踏んだり蹴ったりの仕打ちである。

 ソモソモ英語民間試験が延期に為ったのは、萩生田文科相の「身の丈発言」が切っ掛けと言っても好い。英語民間試験は複数の受験が認められて居たが、それには経済的な負担が伴い、1回しか受けられ無い受験生と複数受けられる受験生では格差が生じる。これに付いて萩生田文科相が、今年10月24日のテレビ番組で「(英語民間試験は)自分の身の丈に合わせて頑張って貰えば言い」と云う様な発言をして、大きな批判を浴びた。
 英語民間試験そのものは認めての発言だった訳だが、批判の声が大きく為ると、その原因と為った英語民間試験そのものの見直しを萩生田文科相は発表したのだ。英語民間試験を問題視して居たなら「身の丈発言」などする筈が無い。その挙句が、民間を「サブ」にする今回の発言である。遣りたい放題だ。

 萩生田文科相が言って居る様に、民間試験を活用するのでは無く国主導の英語試験にするのなら、根本からの変更だから大混乱と為るのは必至である。そして、英語民間試験の活用を制度化した責任を誰かが取ら無ければ為ら無く為る筈だ。
 萩生田大臣は、その発言で問題を拡げて居る。それによる「犠牲者」も、ドンドン増える事に為るかも知れない。


                  以上

              11-27-12.jpg

 前屋毅  フリージャーナリスト 1954年鹿児島県生まれ 法政大学卒業 立花隆氏・田原総一朗氏の取材スタッフ 『週刊ポスト』記者を経てフリーに 最新刊は『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)『ブラック化する学校』(青春新書)その他の著書に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『洋上の達人-海上保安庁の研究-』『日本の小さな大企業』等がある 連絡取次先 03-3263-0419(インサイドライン)

               以上







 【否関連報道】 田原総一朗「安倍首相の説明一転 昭恵夫人の関与も明らかに」


         〜〈週刊朝日〉AERA dot. 11/27(水) 7:00配信 〜



     11-27-14.jpg

 田原総一朗(たはら・そういちろう)1934年生まれ ジャーナリスト 東京12チャンネルを経て77年にフリーに 司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた 『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
     
   〜ジャーナリストの田原総一朗氏は「桜を見る会」を巡る一連の疑惑に厳しい見方を示す〜


        11-28-4.jpg

 今問題に為って居る、首相が主催する「桜を見る会」だが、前回も記した様に、政府が公表して居る開催要領によると、招待範囲は、皇族・元皇族・各国大使・衆参両院の正副議長・最高裁長官・閣僚・国会議員・事務次官及び局長の一部や、その他各界の代表者等として計約1万人と定めて居る。

 処が、安倍内閣に為って、自民、公明両党の国会議員の地元後援会関係者らが「代表者等」に該当するとして大勢招待される様に為った。安倍内閣に為ってからドンドン増え続けて、今年の参加者は何と約1万8200人にも為って居るのである。そして、予算は毎年約1767万円と為って居るのに、今年は5519万円と3倍以上に増加して居る。この支出は全部、国民の税金なのである。税金が、言わば首相によって私物化されて居るのではないか。

 特に野党が問題にして居るのは、安倍事務所が「桜を見る会」の前日に、山口県等の後援者850人を招いて夕食会を催し、その会費が5千円と為って居る事である。
 政府は11月13日に、来年度の「桜を見る会」は中止すると発表した。と云う事は「桜を見る会」に問題ありだと政府自体が認めた事に為る。政府は、中止の発表で幕引きを図りたいのだろうが、勿論中止すれば済むという問題では無い。

 例えば、ホテルニューオータニの夕食会に招待された後援者の多くは、開催要領には該当して居ない。そして、夕食会の会費は5千円だったとされて居るが、ホテルニューオータニの夕食会の料金は「最低1万1千円」なのである。野党は、安倍事務所が差額分を支払って居たのではないかと疑い、もしそうであれば、公職選挙法が禁じる寄付行為にあたると捉えて居る。

 安倍首相は15日夜、何と20分以上掛けて、ホテルニューオータニでの夕食会に付いて説明した。安倍首相によれば、旅費、宿泊費は各参加者が旅行会社に支払った。夕食会の費用は会場入り口の受付で、事務所職員が1人5千円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交した。
 受け付け終了後に、集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すと云う形で、参加者からホテル側への支払いが為された。収支が発生した場合には、収支報告書に記載義務が生じるが、収支が発生して居ないので記載し無かったのだと云う。
 又、招待者の大多数がホテルの宿泊者で、毎年使って居ると云う事情があって、ホテル側が価格を安くしたのだろうとも説明した。野党はホテル側に明細書の提出を求めて居るが、ホテル側は「お客様のプライバシーに関わるので」と云う理由で提出を拒んで居る様だ。

 安倍首相は20日の参院本会議で、招待者選定に付いて「私の事務所が内閣官房の推薦依頼を受け、参加希望者を募って来た。私自身も事務所から相談を受ければ意見を言う事もあった」と、自らの関与を認めた。8日には「私は招待者の取りマトメ等には関与して居ない」と説明したのを修正したのである。しかも、招待者の選定には、昭恵夫人も関わって居た事が判明した。

 こう為ると、明らかに税金の私物化だが、19日に朝日新聞が報じた世論調査では、安倍内閣の支持率は前回の45%から44%へと、1ポイントしか落ちて居ない。これはどの様に捉えれば好いのだろうか。


          ※週刊朝日  2019年12月6日号   以上


 



▼お子さまの ”お留守番 ” にこんな不安ありませんか?▼
・寄り道しないで学校から帰ってきたかな?
・ちゃんと習い事行ったかな?

////不安なあなたにオススメ!////
公式サイトはこちらからチェック⇒https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=35SIQS+F4RNAQ+4D9O+61RIB









遂に始まった水道民営化、何故日本は海外「水道代5倍」の失敗例を無視するのか?









 遂に始まった水道民営化 

 何故日本は海外の「水道代5倍」の失敗例を無視するのか?


          
          〜マネーボイス 2018年12月11日 ニュース〜


 遂に水道事業を民営化し易くする改正水道法が成立しました。「貧乏人は水を飲むな」とも為りかね無いその問題点と、可決に至った政府の考えを解説します。『らぽーる・マガジン』

 世界は「再公営化」が主流 日本も貧乏人と地方が見捨てられる?

 遂に「水道民営化」法案が可決

 12月6日、水道事業を民営化し安くする改正水道法が可決され成立しました。この改正案は今年7月に衆院を通過し、11月に参院で審議入りして居たものです。当メルマガでは、衆院を通過した今年7月時点にもこの話題を取り上げて居ます。

 2018年7月5日、水道事業の運営権を民間に売却出来る仕組みを導入する事等が盛り込まれた水道法の改正案の採決が衆院本会議で行われ、自民・公明両党と日本維新の会と希望の党(当時)等の賛成多数で可決されました。審議時間は足ったの8時間でした。

 2018年6月18日、大阪北部地震が発生し、21万人以上が水道の被害を受けた事でクローズザップされた「水道管の老朽化」問題が切っ掛けと為り、6月27日に水道法改正が審議入りし、8時間の審議を経て7月5日に衆議院本会議で可決されました。
 「水道管の老朽化」と「水道法改正」と、どう関係するのでしょう。数の論理で成立した水道法改正に付いて、私達の命に関わる問題ですので、一度取り上げたものですが、再度その内容を検証して行きましょう。

 水道法改正を巡る「3つのキーワード」

 水道法改正に関して、キーワードを確認して置きましょう。
 大丸2老朽化
 大丸2人口減少
 大丸2コンセッション方式


 先ずは「老朽化」に付いてです。

 深刻な水道「老朽化」

 日本の浄水設備の多くは1960年代から70年代の高度経済成長期に建設されたもので、今後も老朽施設の更新需要は年々増加して行きます。現在、耐用年数40年以上を超える水道管は約10万km、これは地球2周半に相当します。更新費用は1km辺り1億円以上も掛かるそうです。
 これを早急に対処し無ければ為ら無いのですが、現状では可なり困難な状況に為って居ると云うのが政府の見解です。老朽化した水道管の更新の為の「資金・人材」が不足して居るとの事です。これ迄日本の水道運営は、企業会計原則に基づく地方公営企業法上の財務規定が適用される為、独立採算で運営されて居り、原則として、水道料金収入と地方自治体が発行する企業債(地方債の一種)で水道事業の運営・更新費用等が賄われて来ました。基本的には徴収した水道料金で運営や設備の補修等が賄われて居ます。

 「人口減少」で水道事業は赤字へ

 人口減少により、水道料金収入が減少して居ます。水道事業の大部分は固定費で、人口減少で水道需要が減っても、大きく運営コストが下がるものではありません。人口減少による水道料金収入減少は、水道事業維持を困難にして居る様です。約40年後には水需要が約4割減少すると厚生労働省は試算して居る様です。
 それ故毎年、水道料金は値上げされて来て居ます。日本水道協会の調べによれば、この4年間ズッと水道料金は上がって居ます。家庭用水道料金の、立方メートル辺りの月額料金は、過去最高の3,228円と為って居ます。日本政策投資銀行の試算によれば、このママ行けば、水道料金は30年後には6割も上がる事に為るそうです。

 水道料金を値上げしても、水道事業者は赤字だそうです。厚生労働省によると、市町村が運営する水道事業は全国で約3割が赤字と為って居るそうです。
 自治体の水道事業赤字は、そのママ私達が支払う水道料金アップに繋がります。老朽化した水道管を更新する費用も、私達が支払う水道料金に跳ね返って来ます。日本中の老朽化した水道管を全て更新するには、130年も掛かるそうです。少子化が進めば、水道料金値上げもドンドン進んで行く事に為りそうです。人材に関しては、公的運営では人材の流動性が見込めず、高齢化に伴い人材が不足して居ると云うのです。

 以上の事から、従来の自治体運営に限界があるとして、民間の力を取り入れる事で、老朽化した水道管更新を行って行こう、その為に民間企業を水道事業に参入出来る様に水道法を改正する必要があると云うのが政府の主張です。







 水道法改正のポイント

 審議されて居た「水道法改正のポイント」は以下の通りです。

 大丸2水道事業者に施設の維持・修繕や台帳整備を義務付け 収支の見通しを公表
 大丸2国が水道の基盤強化の為に基本方針策定 都道府県・市町村の責務を規定
 大丸2広域連携を進める為、都道府県が市町村等で作る協議会を設置可能に
 大丸2自治体が水道事業の認可や施設の所有権を持ったママ、民間企業に運営権を委託出来るコンセッション方式の導入


 何処にも水道事業の「民営化」とは書かれては居ませんが、民間企業を選定し、自治体が管理すると云う事は、間違いありません。

 麻生大臣は「水道は全て民営化する」と断言して居た

 入国法改正は「移民政策では無い」と主張するのと同じ様に、安部総理は、水道法改正は「水道事業の民営化では無い」と主張して居ます。只、2013年4月にアメリカのシンクタンクCSIS・戦略国際問題研究所で行われた麻生太郎財務大臣兼副総理の講演で「この水道は全て国営若しくは市営・町営で出来て居て、こう云ったものを全て民営化します」と述べて居ます。明確に麻生大臣は「水道の民営化」を目指すと断言して居ます。

 民営化では無いとしても、老朽化が進んだ水道管を更新するには、自治体運営には限界があるから民間企業に遣って貰うと云う事は、間違いありません。何故自治体がダメで、民間企業なら出来るのか…未だ好く判りませんね。
「水道法改正のポイント」で注目点は「広域連携」と「コンセッション方式」に為ります。ここで次のキーワード「人口減少」が出て来ます。人口減少により、水道料金収入が減少して居るのです。

 政府の主張は「役人には無理でも、民間ならコスト削減出来る」

 もう一度、水道法改正の流れを整理しますと、水道管の老朽化少子化等による水道料金収入低下で自治体の水道業が赤字水道業務に民間企業のノウハウを活用する と云うものです。
 政府は、自治体よりも民間企業の方がコスト削減のノウハウがあると言うのです。更に民間企業を参入させる事で競争原理が働いて、更なるコスト削減が期待出来るとして居ます。更新コストの削減は、水道料金アップを抑制する事にも繋がると政府は期待して居ます。果たして、そう上手く行くのでしょうか。

 小さな自治体は「見捨てられる」可能性

 民間企業は営利団体で、利益を拡大する為にコストを削減します。コスト削減は不採算部分のカットでもあります。その裁量は企業側にあり、利益を優先する余り、住民サービスが削減されるのでは無いかと云う懸念が出て来ます。
 ソモソモ人口減少による料金収入減少が水道事業を困難にして居る訳で、人口減少が目立つ自治体や、規模が小さな自治体は、民間企業が参入しても厳しい状況は変わら無いでしょう。営利を求める民間企業なら、そう云った小さな自治体を相手にし無いのでは無いかと云う事が危惧されます。詰まり人口減少が顕著な小さな自治体は「見捨てられる」事に為ら無いかと云う事です。

 不採算ではありますが絶対に必要な住民サービスこそ、営利を目的とし無い国や自治体が行うべきでは無いでしょうか。この事を前提に、人口増加が見込め無い小さな自治体での水道事業を考えてみましょう。ここで「広域連携」と云うキーワードが登場します。

 民営化しても小さな自治体には効果が無い?

 「広域連携」は複数の自治体を1つのグループとして住民サービスを提供しようと云うものです。小さい自治体を1つにする事でサービスコストの効率化を図ろうとするものです。広域連携の意義は好く理解出来ます。自治体単位と云う垣根を越えると云うものですが、それは何も民営化する理由には為ら無いでしょう。
 寧ろ、広域連携をしても採算性が悪いと為れば、民間企業は切り捨て無いかと云う懸念は残ります。住民サービスを削減し無いかと云う心配は常に付き纏うのです。厚生労働省側は、水道事業民営化が実現しても小規模自治体には効果が無い事を認めて居ます。コスト削減の為、敢えて老朽化した水道管補修を、更に限界迄引き伸ばす事を、民間企業は考え無いでしょうか。







 民営化し易くする「コンセッション方式」

 もう1つのキーワードが「コンセッション方式」です。「コンセッション」とは、利用料金の徴収を行う公共施設に付いて、施設の「所有権」は公共主体が有したママ、施設の「運営権」を民間事業者に設定する方式です。
 コンセッション方式では、高速道路、空港で実施した例があります。空港の場合、空港の土地は自治体の所有のママ、レストランや駐車場等の運営を民間企業が行います。民間企業のコスト管理から収益を得るノウハウを活用すると云うものです。

 水道管老朽化対策促進の名目で、市町村等が経営する原則は維持しながら民間企業に運営権を売却出来る仕組み(コンセッション方式)も盛り込んだのが、今回の水道法改正に為ります。平たく言えば、公的機関が商売するよりも、民間企業が商売した方が儲かると云うものです。
 只それは空港施設や高速道路と云った業務には適して居ても、インフラ整備の中でも国民の命に関わる水道業務に関して、営利を目的とした民間企業を活用する事に、反対派は抵抗して居る様です。
 政府は、自治体が民間企業の運営を確りと管理する事を強調して居て、不当な水道料金値上げを抑える為に、料金に上限を設ける事を決めるとして居ます。民間企業を活用する事で、地域の雇用を創出する事にも繋がるとして居ます。

 水道法改正反対派の意見

 反対派の意見では、矢張り「不採算事業の切り捨て」を心配する声が大きい様です。営利団体の宿命とも言える事で、企業は利益の最大化の為に動かず、倒産リスクの最小化の為に動くものです。
 道路事業関係者の間には「花の建設、涙の補修」と云うのがあるそうです。建設事業は華々しいものがありますが、補修事業は地味な作業ですからね。企業に取って見れば「補修は売上では無い」と云う風潮が未だあるのでは無いでしょうか。

 民間企業に任せるとコスト削減が期待出来ると云う政府見解にも、反対派は疑問を投げかけて居ます。競争原理によるコスト削減と云う事が実際に起こるのでしょうか。水道事業は独占事業と言えます。ソモソモ競争が行われる事業なのでしょうか。
 水道料金の値上げに上限が設けられれば、利益追求の為にサービスの質を落とすのは目に見えて居ると反対派は指摘します。自治体は住民に目を向けますが、民間団体は株主を強く意識するものだと云う指摘もあります。何より水道事業は、民間企業に取って魅力あるものなのでしょうか。公共事業は、談合や癒着は当たり前の世界でもありますからね。

 仏ヴェオリア日本法人が出向

 2018年11月29日の朝日新聞電子版の記事の一部抜粋です。

 水道等の公共部門で民営化を推進して居る内閣府民間資金等活用事業推進室で、水道サービス大手仏ヴェオリア社日本法人からの出向職員が勤務して居る事が29日判った。今国会で審議中の水道法改正案では、水道事業に民営化を導入し易くする制度変更が争点と為って居る。
 今回の民営化の手法は、コンセッション方式と呼ばれ、自治体が公共施設の所有権を持ったママ、運営権を民間企業に売却出来る。政府は、水道の他空港や道路を重点分野として導入を推進。下水道では今年4月に浜松市が初めて取り入れ、ヴェオリア社日本法人等が参加する運営会社が、20年間の運営権を25億円で手に入れた。

 
 出典 水道民営化、推進部署に利害関係者? 出向職員巡り議論 – 朝日新聞デジタル(2018年11月29日配信)

 「この法案で最も利益を得る可能性がある水メジャーの担当者が内閣府の担当部署に居る。利害関係者が居て公平性が無い」とする社民党福島瑞穂議員の質問に対して、内閣府民間資金等活用事業推進室は「浜松市なら問題だが、内閣府はヴェオリア社と利害関係は無い。この職員は政策立案に関与して居らず、守秘義務等も守って居る」として、問題無いとの立場だと答えた事を報じて居ます。

 ヴェオリア・ウォーター社は、フランスの多国籍総合環境サービス会社ヴェオリア・エンバイロメントの水処理事業部門会社で、ウォーター・バロン(水男爵)と呼ばれるスエズ、テムズ・ウォーターと並ぶ世界三大水処理企業の1つです。所謂「水メジャー」です。

 再公営化される海外事例を学んで居ない

 海外では、水道事業を民営化した後、様々な問題が生じて公営化に戻す「再公営化」の動きが目立つそうで、2000年から2015年の15年間で、37カ国235都市で再公営化がされて居るそうです。前回、このテーマでコラムを書きましたが、その時の海外失敗例も併せて、幾つかご紹介します。水道の民営化の失敗例として好く知られて居るのがマニラとボリビアの事例です。

 マニラは1997年に水道事業を民営化しましたが、米ベクテル社等が参入すると水道料金は4〜5倍に為り、低所得者は水道の使用を禁じられました。又ボリビアは1999年に水道事業を民営化したものの、矢張りアメリカのベクテルが水道料金を一気に倍以上に引き上げ、耐え兼ねた住民達は大規模デモを起こし、200人近い死傷者を出す紛争に発展しました。

 当時のボリビア・コチャバンバ市の平均月収は100ドル程度で、ベクテル社は一気に月20ドルへと値上げしたのです。大規模デモは当時の政権側は武力で鎮圧されましたが、その後、コチャバンバ市はベクテルに契約解除を申し出ると、同社は違約金と賠償金を要求して来たそうです。
 この違約金ですが、今回の改正で、日本の自治体は民間企業と「20年間」と云う長い機関の契約を結ぶ事に為ります。当然、不都合による途中解約だと違約金が発生します。

 「貧乏人は水を飲むな」も有り得る

 外資が参入して来て水道料金を引き上げ、水道料金が支払え無い低所得者層は水が飲めずに、衛生上好く無い水を飲んで病気に為るケースが観られ、民間の水道事業者が利益ばかり追い掛けた事により「再公営化」が世界の潮流と為りつつあると云う指摘もあります。
 この外資企業と言われるのが「水メジャー」と呼ばれる企業で、2強と呼ばれるのがスエズ・エンバイロメント(フランスや中国・アルゼンチンに進出)とヴェオリア・エンバイロメント(中国、メキシコ、ドイツに進出)です。

 フランスのパリでは、1980年代に民営化した後、30年で水道料金が5倍に為った事で、2010年に再公営化したそうです。米国アトランタでは、企業の人員削減で水処理が不十分に為り、茶色の水が出ると云う水質低下が見られたと云う例があります。
 他にも、老朽化放置で漏水率が上がって居る都市もあれば、鉛が溶け出して水道汚染事故が起きて居る処もある様です。コスト削減による補修工事延期の結果です。

 私達の命を海外企業に預けて好いのか?

 人間が生きて行く上で必要なのは「空気」と「水」老朽化した水道管の更新を急ぐ事は重要で、それは災害対策の一環としても大事な事でが、それがコンセッション方式による民間企業活用が良いのかどうか、水道料金の右肩上がりの値上げだけで無く、安全面としてでも、私達はもっと関心を持つべき法案だと思います。
 この「再公営化」の海外事例に関しては、政府は235例中3例だけ分析検討しただけで、水道法改正案を可決させました。

 「ダム建設」は引き続き推進か

 ちなみに、ダムを建設すると水道料金は上がります。横浜市では不必要と言われた宮ケ背ダム建設時で、水道料金は値上がりました。厚生労働省は、人口減少で水の需要は減ると言い、国交省は水不足で治水の為にダム建設は必要と訴えて居ます。予算は国交省に付くので、ダム建設は続き、私達の水道料金は上がる様です。
 その予算を厚生労働省の水道事業に回せば、全国の老朽化した水道管更新を、私達が支払う水道料金値上げだけに頼ら無いで済む筈です。その予算は2300億円だそうです。

 世界で水を巡る戦争が起きるとしたら、水需要が膨らむ中国は負け組みと為り、ツンドラ氷河を利用出来るロシアは勝ち組に為るそうですよ。これは全くの雑学です。何れにしても水道法改正は可決されました。


                  以上 











  


水道民営化に根強い抵抗感 料金高騰、水質悪化…海外では暴動も




 一年前の記事だが、保守色の強い産経の報道を参照したい。この物語の疑問の発端を知る事が出来る・・・


 水道民営化に根強い抵抗感 料金高騰 水質悪化 海外では暴動も

          〜産経新聞 2018.11.4 17:42〜

 水道の基盤強化を図る水道法改正案に付いて、政府・与党は今国会で成立を目指す。人口減少で料金収入が減少すると共に、事業を担う人材も不足するなど、水道事業は深刻な危機に直面している。その突破口として政府が打ち出したのが、民間の資金や能力を活用する「コンセッション方式」だ。しかし、運営を民間に委ねる民営化には住民の抵抗が根強い。

 「住民の福祉とは掛け離れた施策である。国民の生命と生活に欠かせ無い水道事業は民営化に馴染ま無い」

 新潟県議会は10月12日、水道法改正案に反対する意見書を可決。野党系が発案したものだが、最大会派の自民党が賛成すると云う異例の決断だ。民営化が進展すれば、海外から「ウオーターバロン」(水男爵)や「水メジャー」と呼ばれる巨大な水道事業者が日本に押し寄せると云う懸念もある。
 海外では、民営化後の悪影響が報告されて居る。厚生労働省等によると、米アトランタでは1999年に民間が水道の運営権を取得したが、施設の維持費が嵩んで水質が悪化し、4年後に再び公営に戻された。この15年間で30カ国以上で再公営化されて居ると云う。

 南アフリカでは民営化後、料金高騰で支払え無い約1千万人が水道を止められ、汚染した河川の水を使いコレラが蔓延。ボリビアでは料金が跳ね上がり暴動が発生したケースもある。

 厚労省は、民間が運営しても管理が杜撰になら無い様に、定期的なモニタリング(監視)や立ち入り検査を実施。水道料金の枠組みは自治体が事前に条例で定める事等を示し理解を促して居る。地震等の災害時の復旧は自治体との共同責任にした。  
 日本の水質の高さや漏水率の低さは世界トップレベルの技術力のお蔭であり、厚労省は「日本版の水メジャーの育成にも寄与出来れば」と目論む。

 水道事業に詳しい近畿大の浦上拓也教授(公益事業論)は「コンセッション方式は、自治体に取って選択肢が一つ増えると云う意味で評価したい。但し、これが最善の方法では無い。水道料金は必ず上がって行く。事業を継続させる為何が必要か自治体は議論を進めて行く必要がある」と指摘した。


                   以上












×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。