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2019年11月12日

「桜を見る会」問題 共産党・田村智子議員の問いに安倍総理はどう応じたのか? 信号無視話法分析してみた


 

 「桜を見る会」問題 共産党・田村智子議員の問いに安倍総理はどう応じたのか? 信号無視話法分析してみた


           〜HARBOR BUSINESS Online 11/11(月) 8:33配信〜

       11-12-15.jpg

       シドロモドロに為った安倍総理(日本共産党You Tubeチャンネルより)

 



 安倍総理による「桜を見る会」の〈私物化〉
 
 毎年4月に開催されている「桜を見る会」は参加者数や支出額が安倍政権では膨らみ続け、2019年の支出額は予算額の3倍に相当する約5518万円に為って居る。その上、来年は概算要求額自体を約5728万円に引き上げ様として居る。しかも、その参加者には安倍総理の地元・山口県の後援会から毎年大勢が参加して居る事をしんぶん赤旗が先月に報じ、大きな問題に為って居た。
 そして迎えた2019年11月8日、参議院予算委員会で共産党・田村智子議員(以降、田村議員)は約30分の質問時間の全てを桜を見る会の問題に費やし、安倍晋三総理大臣(以降、安倍総理)らを徹底追及した。

 本記事ではその質疑の終盤 約10分間の答弁を信号機で直感的に視覚化して行く。具体的には、信号機の様に3色(青はOK・黄は注意・赤はダメ)で直感的に視覚化する。田村議員の質問に対する安倍総理及び内閣府・大塚幸寛 大臣官房長(以後「大塚参考人」と表記)の回答を集計した結果、下記の円グラフの様に為った。

【色別集計・結果】

 ●安倍総理 赤信号82% 地の色18%
 ●大塚参考人 赤信号90% 地の色10%

 2人揃って、質問に全く答えて無い。更に、安倍総理に至っては、不要な言葉や意味不明な言葉を意味する灰色(本記事では、本文と同じ、地の色)が18%を占めて居り、ソモソモ何を言って居るのか判断し辛い、詰まりはシドロモドロに為って居る場面が何度か見受けられた。一体どの様な質疑だったのか詳しく見て行きたい。

 



 前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事と化す「桜を見る会」

 先ず、田村議員の質問内容は以下の通り。

  田村議員 「藤井律子・山口県周南市長のブログ。2018年5月4日、これ当時、山口のあの県議ナンですけどね。桜を見る会に行ってきました。片山さつき先生とも久し振りの再会を果たしました。『今日は山口県から沢山の人が来て下さってるわね。10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ』と、何時もの様に元気好くお声を掛けて頂きました。
 ま、こう云うのはね、一杯あるんです。インターネットで検索すると。結局ね、私は税金を使った公的行事って云う自覚も無く、安倍総理が地元からの招待者をドンドン増やしたんじゃないかと。更にはね、地元後援会の恒例行事にして来たんじゃないかと云う事も指摘したいんです。

 先程の友田、友田県議のブログ。桜を見る会の記述は前日の行動から始まります。前日の早朝に飛行機で上京。夜にはANAのインターコンチネンタルホテルの大広間において、下関市、長門市、そして山口県内外からの招待客約400人による安倍首相夫婦を囲んだ盛大なパーティー。次の日、早朝7時30分にホテルを出発し、貸切バスで新宿御苑にと続いて行くんですね。

 もう一つ。吉田真次 下関市議会議員。今年の桜を見る会についてブログで発信しています。やはり、前日12日に飛行機で東京へ。夜は桜を見る会の前夜祭。安倍総理夫妻と写真を撮って頂きましたで、前夜祭の宴会会場の写真。続いて、翌日の新宿御苑の写真なんですね。
 総理ね、これ、これね、総理しか答えられ無いんです。桜を見る会は、安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭とセットで、総理が後援会や支援者、山口県の関係者のご苦労を慰労し、親睦を深める。そう云う行事に為ってるんじゃないですか?」


 複数の参加者のブログでの生々しい参加レポートを証拠に挙げて「桜を見る会は前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事に為ってるのでは」と質問した田村議員。この質問に対する安倍総理の答弁は以下のようなものだった。

 安倍総理「アノ、オー、桜を見る会につきましては、既に、エ、政府委員から答弁をして居る通りで御座いまして。エー、個々の、オー、個人名等々に付いてはお答えは差し控えさせて頂きたい、と云う事で御座います(赤信号)

 どうだろうか? 安倍総理は、何故か聞いても居ない参加者の個人名に話をスリ替えて、答弁を拒否して居る。その為、赤信号と判定した。

【質問】桜を見る会は前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事に為ってるのでは?
論点のすり替え
【回答】桜を見る会 参加者の個人名は答えられ無い。

 



 どう見ても「前夜祭とセット」

 この安倍総理の答弁に対して、田村議員は前日の首相動静を証拠に加え、再び同じ質問を試みる。

  田村議員「前夜祭と一体でしょ?で、もう少し示しますよ。首相動静。この3年間、桜を見る会の前日、ホテルニューオータニの宴会場で安倍晋三後援会桜を見る会前夜祭に出席と。3年間ズッとあるんですよ。総理。それ以前もホテルや名称は異なりますが、必ず前日夜は後援会の方々と懇親会、宴会にご夫婦で参加されてるんですよ、総理は。好くご存知でしょう、ご自身が。
 今年の前夜祭の参加者は約850人翌朝、貸切バス17台で新宿御苑に移動・・・・これはね、防府市ライオンズクラブの会報に寄せられた寄稿、アノー、文章から分かりました。又、アノー、私達の取材でも複数の参加者からですね、貸切バス17台だと。自分は何台目に乗るんだと云う事がね、全部確認出来た訳ですよ。
 まさに、安倍総理の後援会の一大行事に為っているんじゃないかと。違いますか? これセットでしょ、総理も。総理にトッテモ、桜を見る会前夜祭と翌日の桜を見る会がセットに為って、山口県の皆さんと親しく懇親をする。そう云う場に為って居るんじゃないですか」


 以下、質問に対する安倍総理の答弁。

 安倍総理 「アノー、オー、マ、その懇親会にですね、エー、私が、ア、出席をして写真等を、エ、撮って居るのは事実、で御座います。で、勿論、それは、アー、各個人がですね、エ、夫々の、オー、費用によって、エー、この、上京し、そして、エー、この、ホテルとの関係においても、エー、それはホテルに徴収する、マ、払い込みをして居るという風に承知をして居る処でございます。
 エー、なお、この招待客については、マア、先程から、ア、答弁して居る通りでございます(赤信号)

 
 田村議員は「桜を見る会は前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事に為って居るのでは?」と聞いて居るにも関わらず、一切答えて居ない。この3段落、全て論点のスリ替えが行われて居り、当然ながら赤信号である。

 ◆1段落目
 【質問】桜を見る会は前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事に為ってるのでは
す り替え
 【回答】桜を見る会 の前夜祭で写真を撮ったが

 ◆2段落目
 【質問】桜を見る会は前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事に為ってるのでは
 すり替え
 【回答】交通費と宿泊費を誰が支払ったか

 ◆3段落目
 【質問】桜を見る会は前夜祭とセットで総理支援者との親睦行事に為ってるのでは
  すり替え☟
 【回答】桜を見る会 参加者の個人名

 



 桜を見る会 開門前の総理支援者との記念撮影は後援会活動そのものではないか?

 一向に質問に答え無い安倍総理の答弁に対して、田村議員は更にもう一つの証拠を追加する。それは当日の首相動静に書かれた記念撮影の時刻と、受付開始時間の矛盾から浮かび上がった或る疑惑に付いてだった。

 田村議員 「セットなんですよ。ジャア、ネ〜、桜を見る会、当日の首相動静。これも指摘します。今年は、午前7時48分、総理は夫妻で新宿御苑に到着。そして、7時49分、昭恵夫人と共に地元の後援会関係者らと写真撮影とあります。遡れば、毎年午前8時前に地元後援会関係者らと写真撮影されてるんですね。
 桜を見る会の開門及び受付時間は午前8時30分です。開門もして居ないのに、会場で地元後援会の皆さんと記念撮影を毎年されて居られる。これまさに後援会活動そのものじゃないですか?」 


 2つの時刻の矛盾から「桜を見る会 開門前の総理支援者との記念撮影は後援会活動そのものではないか?」と安倍総理を追及する田村議員。
 しかし、この質問に対して、自民党・金子原二郎委員長(以後「金子委員長」と表記)は何故か答弁に安倍総理では無く内閣府の大塚参考人を指名。総理にしか答えられ無い質問内容の為、立憲民主党・蓮舫氏、国民民主党・森ゆうこ氏を始めとする野党理事が直ぐ様抗議し、30秒程中断する事態に為る。しかし、結局、答弁は大塚参考人となる。以下、中断再開後の大塚参考人の答弁。

 大塚参考人「アノ、桜を見る会の開演時間につきましては、アノ、開催要領で定めました通り、エー、午前午前8時半から午前10時30分の間の、エー、随時入園参観と云う事に為っております。これが、桜を見る会でございます(赤信号)

 これに続いて、安倍総理も答弁する。

 安倍総理「アノ、エー、これは、招待者のですね、エー、その、夫々の受付時間、エー、の対応に関する事に付きましては、エー、これはセキュリティに関する事である為、回答を差し控えさせて頂きたいと、この様に思います(赤信号)

 解説するまでもなく、上記の2人の答弁は質問内容と全く噛み合って居ない。論点をスリ替えて居り、赤信号とした。2人も以下の様に論点をすり替えている。

【質問】桜を見る会 開門前の総理支援者との記念撮影は後援会活動ではないか
 すり替え☟
【回答】桜を見る会の受付時間

 安倍総理にしか答えられ無い内容を大塚参考人に答弁させた上、安倍総理と2人揃って意味不明な答弁を繰り返した為、この答弁後に野党側からは「エー!?」と云う非難と抗議が入り混じった声が委員会室に大きく響き渡った。直ぐ様田村議員は質問に答えて居ないことを指摘。

 田村議員「だから、何で開門前に山口の後援会の皆さんとアナタ写真を撮っているんですか、ってことナンですよ。答えて下さいよ」

 これに対する、安倍総理の再答弁。

 安倍総理>「アノ、これについてはですね、どう言う形で私が動くかと云う事にも関わって、エー、参りますので、その、セキュリティに関わる事で御座いますので、エー、回答を控えさせて頂きたいと思います(赤信号)

 最もらしい答えの様な気もするが、これは正当な理由も無く答弁を拒否して居り、赤信号とした。何故理由として成立しないのかは、次の質問で田村議員が明らかにして居る。

 総理支援者の手荷物検査無しでの入場こそセキュリティ上の問題ではないか?
 
 セキュリティを理由に挙げて、先程の質問の答弁を拒否した安倍総理。これに対して、田村議員はしんぶん赤旗の独自取材の結果を証拠に追加する。それはセキュリティ上の理由で答弁を拒否した安倍総理の正当性を根底から覆すものであった。

 田村議員 「しんぶん赤旗の取材でね、えー、下関市の後援会の男性到着すると安倍事務所の秘書らがバスの座席を廻って入場の為の、ウ、受付票を回収する。その秘書が受付を済ませ、参加用のリボンを配る。マトメてのチェックインで手荷物検査は無かった何がテロ対策を強めたですか。調べてください。調べてください。総理」

 事実を積み重ねて、安倍総理を追及する田村議員。しかし、この質問に対して、自民党・金子委員長は又しても答弁に安倍総理では無く内閣府の大塚参考人を指名。これも総理にしか答えられ無い質問内容の為、共産党・山添拓氏らを始めとする野党理事は委員長席に猛ダッシュして、直ぐ様抗議。1分程中断する事態に為る。しかし、結局、今度も答弁は大塚参考人と為る。以下、中断再開後の大塚参考人の答弁。

 大塚参考人「アノー、受付に関する、ソノ、お尋ねだと受け止めました。アノー、受付時の対応に関する情報は、これはまさしくセキュリティに関する事である為、アノ、お答えは差し控えさせて頂きたいと考えております(赤信号)

 これに続いて、安倍総理も答弁。

 安倍総理 「アノー、今、アー、政府、アノー、政府参考人から、オ、お答えをさせて頂きました様に、エー、受付、エー、の仕方等々に付きましてもですね、エー、これは、アノ、オー、まさに、これは、例えば、マ、その後の私との関係においても、これはセキュリティに関することでありますから、エー、これはお答えは差し控えさえて頂きたい。この様に思います(赤信号)

 もうこれが理由として通用し無い事は明らかに為って居るにも関わらず答弁を拒否して居り、2人共赤信号とした。それにしても安倍総理の答弁は何を言って居るのか意味が判ら無い程シドロモドロに為り、アカラサマに狼狽して居る様だ。
 この答弁の後「時間です」と金子委員長に注意を受けながらも、田村議員は怒涛の様に以下の内容を撒くし立てて、質問を終了する。

 田村議員「開門前にね、手荷物検査もし無いで大量に入ったら、それこそセキュリティ上の問題じゃないですか。桜を見る会は参加費無料なんですよ。会場内でも無料で樽酒、その他のアルコール、オードブルやお菓子を振る舞うんですよ。
 ネ、これを政治家が自分のお金で遣ったら、明らかに公職選挙法違反。そう云う事をアナタは、公的行事で税金を利用して行って居るんですよ。これだけでも重大問題だと。まさにモラルハザードは安倍総理が起こして居ると。この事を指摘して、質疑を終わります」

 
 この質疑は、残念ながら大手テレビ局での当日の扱いはTBS「NEWS23」等に限られて居り、広く認知されて居ないが、インターネットでは質疑当日から大きな注目を集めた。本記事では終盤の10分間のみを分析したが、30分間にわたる全編を国会パブリックビューイングが字幕付きでYoutubeに公開している。
 証拠に裏付けられた田村議員の怒涛の質問、同席した野党議員の大きなリアクション(失笑、驚き、抗議)、安倍総理や大塚参考人の答弁の不自然さが映像では更にハッキリと確認出来るだろう。


 文 図版作成 犬飼淳  【犬飼淳】TwitterID/@jun21101016

いぬかいじゅん サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関する様々な論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きで判り易く分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。最近は「赤黄青で国会ウォッチ」と題して、Youtube動画で国会答弁の視覚化に取り組む。
 犬飼淳氏の(note)では数多くの答弁を「信号無視話法」などを駆使して視覚化している。また、同様にYouTubeチャンネル(日本語版/英語版)でも国会答弁の視覚化を行い、全世界に向けて発信している


    ハーバー・ビジネス・オンライン   以上


 



 











世界の流れに逆行する日本 何故今水道民営化か?




 塗り替わる世界秩序
 
 世界の流れに逆行する日本 何故今水道民営化か


  〜Newsweek.com コラム 六辻彰二 塗り替わる世界秩序 2018年11月19日(月)〜

 水道に民間の参入を認める政府の改正案は世界の流れに逆行する 





  ⊡臨時国会では水道事業に民間企業の参入を可能にする水道法改正案が成立する見込みだが、これは一旦民営化されたものが再び公営化される世界の潮流に逆行する。
 ⊡更に、浜松市では今年度から既にフランス企業が下水道の運営を担って居り、厚生労働省はこれを事実上のモデルケースと位置付けている。
 ⊡しかし、浜松市でのそれは未だ「テストケース」である事から、これで一気に水道法改正に持って行くのは勇み足以外の何物でも無い。


 臨時国会は外国人労働者の受け入れや日米通商交渉など重要テーマが目白押しだが、その中で政府が成立を目指す水道法改正案は埋もれた感が強い。水道事業に民間企業の参入を認める政府の方針は、世界の流れに完全に逆行するだけで無く、先行事例の検討も不十分な見切り発車と言わざるを得無い。

 水道の「民営化」とは

 先ず、政府が目指す水道法改正案の内容に付いて見て行こう。現状では多くの自治体で料金徴収など一部の業務に限って民間企業が参入して居るが、この改正案では水道施設の更新、保守管理、災害時の応急給水等を含む、水道事業そのものの経営を民間企業に委ねる事を目指して居る。
 そこでは「水道施設等の所有権は地方自治体が持ち続けるが、その経営権を民間企業に任せる」事に為る。これはコンセッション方式と呼ばれ、これ迄にも空港等で用いられて来た手法だ。

 JRやNTT等の民営化は「所有権も経営権も民間企業に任せる」もので、これと異なりコンセッション方式では所有権を持つ地方自治体が民間企業への監督権を持つ。

 火の車の水道事業

 何故、政府は民間企業の参入を促そうと云うのか。政府の説明によると、その最大の理由は深刻な赤字を克服する為と云う。

 少子高齢化・人口減少に伴って水道水の消費量は減少して居り、厚生労働省によるとピークだった2000年の一日3900万立法メートルから、2014年には3600万立法メートルに減少して居り、このペースで行けば2060年には2200万立法メートルに迄落ち込むと推計される。
 これは水道料金の収益の減少を意味する。水道事業は独立採算制が原則で、基本的に水道料金で運営されて居るからだ。その結果、水道水の消費量が減れば減る程水道料金が上がると云う構図があり、既に筆者が暮らす横浜を含め、多くの自治体では水道料金の引き上げが実施、或は検討されて居る。

 それでも、益々老朽化する水道施設の更新や自然災害の多発等で多くの資金が必要に為って居る為、料金引き上げだけでは追い付か無い。平成10年に1兆8000億円を超えて居た水道事業への投資額は、平成25年には約1兆円に迄下落した。オマケに、団塊世代の退職で水道職員は30年前と比べて約30パーセント減少して居る。(何れも厚生労働省)
 こうして火の車に為って居る水道事業を救う一手として政府が提案して居るのがコンセッション方式で、民間企業の資金、人材、ノウハウを投入する事により、効率的な経営と財政赤字の圧縮が期待されて居るのだ。





 逆行?それとも周回遅れ?

 こうして観れば、水道の「民営化」に問題は無い処か、必要不可欠にも見える。JRやNTTの「成功」は、これを後押しするかも知れない。但し、水道民営化は世界の潮流に完全に逆行するものだ。

 トランスナショナル研究所と国際公務労連の調査によると、2000年から2014年までの間に、世界35ヵ国で民営化されて居た水道事業が再び公営化された事例は180件に上り、この内136件は高所得国でのもので、44件が中低所得国だった。
 そもそも水道民営化は、世界レベルで見て新しいテーマでは無い。イギリスやフランスでは財政赤字が深刻化した1980年代に水道民営化が始まり、東西冷戦終結後の1990年代にこれは各国に普及した。取り分け、開発途上国への融資を通じて影響力を持つ世界銀行がこれに熱心で「民間の活力を注入することで、効率的かつ持続的に水道事業を提供出来る」事を強調して来た。

 そのプロジェクトの多くで、日本政府が今強調している、所有権を民間企業に譲渡しないコンセッション方式や官民パートナーシップ(PPP)等も採用されて居る。
 詰まり、この点で日本は周回遅れとさえ言えるが、問題は一旦民営化されて居た水道が再び公営に戻されるケースが寧ろ目立つ事で、そこには水道民営化が抱える問題がある。

 「民間の活力を取り入れれば上手く行く」か?

 先ず、コスト削減優先の民営化は、安全対策の手抜きを生んだ。イギリスでは1990年代に赤痢患者が増え、フランスでも未殺菌のママでは飲め無い水が提供される等の問題が頻発した。
 これに加えて、水道料金の高騰も各地で確認された。民間企業である以上、採算が取れ無ければ話に為ら無いので、公営以上に水道料金の引き上げは簡単に行われる為、例えばパリでは1985年から2009年までに265パーセント上昇した。【Asanga Gunawansa, Lovleen Bhullar, Water Governance, p.378】
 それだけで無く、民間企業による不正も目立ち、例えば世界に先駆けた事例の一つであるパリでは、2002年の監査で経済的に正当化される水準より25~30パーセント割高の料金に設定されて居る事が発覚した。

 こうした問題を受け、一旦民営化されたものが、契約期間が切れるのと同時に再公営化される、或は契約を打ち切っても再公営化されるケースが後を絶た無いのだ。パリの場合、2010年に水道大手ヴェオリアとスエズの二社との契約が切れた後、再公営化された。
 イギリスのシンクタンク、スモール・プラネット・インスティテュートによると、民営化された事業が行き詰って再公営化される割合は、エネルギーで6パーセント、通信で3パーセント、輸送で7パーセントだったのに対して、水道の場合は34パーセントに上る。

 



 食い荒らされる開発途上国

 とは言え、先進国は未だマシとも言える。先述の様に、開発途上国での水道民営化は世界銀行によって旗が振られたが、この機関は先進国の影響力が強い事で有名だ。その為、世界銀行の勧告に従って水道事業を民営化した開発途上国に欧米の巨大企業が進出し、その国の水道事業がホボ独占される事も稀では無かった。
フランスのヴェオリアとスエズ、イギリスのテムズ・ウォーターの三社は「ウォーター・バロン」と呼ばれ、水道事業で大きなシェアをもつが、これ以外にもアメリカのベクテルなど、欧米には「水メジャー」とでも呼べる巨大企業が軒を連ねて居る。

 この内、例えばベクテルは1999年、南米ボリビアが世界銀行の勧告に沿って水道を民営化した後、コチャバンバ地方の水道事業を事実上買収した。その結果、1カ月の最低賃金が100ドルに満た無い町の水道料金が1カ月20ドルに為った。【ヴァンダナ・シヴァ『ウォーター・ウォーズ』緑風出版】
 住民の激しい抗議デモを受け、ベクテルは撤退に追い込まれたが、その後ボリビア政府に損害賠償請求を行っている。2006年、ボリビア大統領選挙では反米左派のモラレス氏が当選したが、こうした行き過ぎたグローバル化に晒された経緯に鑑みれば、無理の無い反応と言える。

 こうした事例は、後を絶た無い。フィリピンの首都マニラでコンセッション方式によって進められた水道民営化は、水道普及や下痢発生の低下等で成果がみられた為、世界銀行はこれを「成功例」と位置づけて居る。
 しかし、マニラの水道事業はマイニラッドとマニラ・ウォーターの2社にホボ握られ、現地の消費者団体によると、民営化以来の20年間で、両社の水道料金は夫々973パーセント・583パーセント上昇した。度重なる値上げに、現地では矢張り、シバシバ抗議デモが発生して居る。

 水メジャーの日本上陸

 こうした水メジャーの一部は、国会で水道法改正案が成立する前の段階で、既に日本に上陸している。静岡県浜松市では今年4月、他の自治体に先駆けてコンセッション方式が導入され、水メジャーの一角を占めるヴェオリアが参加する企業連合による下水処理施設2カ所の運営を開始。事業期間は20年間で、浜松市はこれによって86億5600万円のコスト削減を見込んでいる。

 この事業は水道法改正案に関する厚生労働省の資料でも紹介されて居り、事実上一つのモデルケースと位置付けられて居る。コンセッション方式はこの他、大阪市・宮城県等でも検討されて居る。
 但し、各国での失敗事例の多さに鑑みれば、見切り発車の様なコンセッション方式の導入には懸念が大きい。

 これに対して、推進派からは「他国の事例は参考にしか為ら無い」「そもそも水道民営化に行き詰ったのが全体の34パーセントなら、過半数は上手く行ったのではないか」と言った批判もあり得るかも知れ無い。確かに、民営化は万能薬で無いとしても、絶対悪と迄断定する事は難しい。
 浜松の場合、水道料金や下水道使用料は市条例で定められるし、反対の声が挙がった事を受けて市が事前に当該地域の住民に対して「請求金額に変更は無い」と通知して居り、少なくとも行き成り料金引き上げには至って居ない。

 



 見切り発車は何故か

 但し、それでも「民営化の事案で成功例の方が多いのだから大丈夫」「浜松で問題が無いなら大丈夫」と判断するには時期尚早である。
 これまで世界で生まれた再公営化の波は主に先進国のもので、開発途上国でこれが少ないのは、発言力の弱さや、或は逆に政府が水メジャーと癒着して居る事にも原因がある。契約を途中で打ち切れば多額の違約金を請求される為、水メジャーとの契約終了が相次ぐこの数年で、再公営化の波が加速する公算は大きい。

 又、浜松市に目を向けると「初回限定」や「お試しキャンペーン」が企業の常套手段である事を、多くの消費者は承知して居る。詰まり、日本全土を視野に入れたヴェオリアが最初から水道料金を引き上げ無かったとしても不思議では無いし、市当局としても行き成り引き上げは出来無いだろう。
 しかし、ヴェオリアは、例えば2002年からアメリカのインディアナポリス市で水道事業を請け負い、(例によって)水質汚濁を招いたと云う住民の批判を受け、インディアナポリス市が違約金2900万ドルを支払って20年契約を10年で打ち切ったと云う経歴を持つ。

 浜松市は「インディアナポリス市より上手くヴェオリアを操縦出来る」と踏んで居るのかも知れないが、仮に今後ヴェオリアが様々な理由を付けて価格引き上げを要求して来た場合、浜松市はこれを拒絶出来るのだろうか。
 又、水道と云う電力や通信以上に人間の生命に直結し易いサービスを手掛ける以上、安全性に関しても確認する必要があるが、開始から1年も経って居ないものをモデルケースと位置付けること自体、コンセッション方式の導入ありきの議論に他為ら無い。

 元々浜松市は下水道使用料がやや高く、平成25年度の段階で全国21の政令指定都市の中で上から数えて5番目だった。(因みに最も高いのは新潟市で、最も安いのは大阪市)
 この料金がコンセッション方式の導入でどの様に変化したのか、更に経営が効率化すると云うなら実際に財政負担がどの程度減ったのか、時系列と共に他の自治体との比較データで確認する事が欠かせ無い。詰まり、単に導入するだけで無く、成果を確認する事に(モデルケースでは無く)テストケースとしての意義がある。(と云うと浜松市民の方には申し訳無いですが)

 それにも関わらず、テストケースとしての成果の確認抜きで浜松市の事例を推す事は、勇み足と言わざるを得無い。
 これ等の疑問に対する説明抜きに進めるなら、議論の余地の大きい法案を支持率の高い安倍政権の間に駆け込みで通そうとして居るのか、或はアメリカとの通商交渉の中で水道事業を含む公共セクターの開放が話題に為って居るのか、それとも日本国内の水道民営化で弾みを着けて水メジャーがヒシメク開発途上国の水道事業に参入しようと云うのか、と言った憶測を呼んでも、文句を言え無いだろう。

 水道事業が火の車であることは確かとしても、人間生活に欠かせ無い水の問題であるだけに、政府には「民間の活力を...」と言ったお題目或はイデオロギーに傾いた主張では無く、より科学的な説明が求められているのである。


 ※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です     以上

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 プロフィール 六辻彰二 筆者は 国際政治学者 博士(国際関係)1972年大阪府出身 アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究 横浜市立大学・明治学院大学・拓殖大学・日本大学などで教鞭をとる
 著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)『地球型社会の危機』(芦書房)『国家のゆくえ』(芦書房)など 新著『日本の「水」が危ない』も近日発売












霞が関が支配する日本の行政 シンクタンクに存在意義は無い?




 霞が関が支配する日本の行政 シンクタンクに存在意義は無い?


          〜ニューズウィーク日本版 11/12(火) 16:51配信〜

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         国内最大の「シンクタンク」は霞が関 kanzilyou-iStock.


 〜アメリカでは絶大な力を振るう民間の政策集団であるシンクタンク。では日本のシンクタンクはどうか。その知られざる役割と限界を明かす。本誌「シンクタンク大研究」特集より〜

 シンクタンクと言っても様々だ。シンクタンクを巡る状況は日本・アメリカ・欧州・中国・ロシアで夫々異なり、それに応じて果たす役割も変わって来る。
 日本では政府の諸省庁が、それぞれの担当分野で最大のシンクタンクとなっている。官僚は国家試験で採用され、年功序列の終身雇用(内部の競争は熾烈だが)であり、アメリカのように政治任用で民間と政府の間を出入りすることは殆ど無い。

 だから、いくつかある国際関係についての民間シンクタンクは、政治家や官僚、財界、マスコミのOBをトップに頂き、若手は大学などでの安定した職を求めつつ、数年間ここで研鑽に励む──となりやすい。では、日本のシンクタンクの存在意義は薄いのか。
 そうでもない。まずシンクタンクの研究者は官僚より自由に発言できる。だから彼らの主宰するセミナーやシンポジウムは、筆者のように政府の外にいる者にとって貴重な情報収集の場となるし、本音の議論を通じて自分の意見を磨く機会にもなる。そのような議論は多数の専門家が共有するから、日本の世論形成にも資する。

 そして日本のシンクタンクの人たちは、外国のシンクタンクと交流したり、海外のシンポジウムに出席したりすることで、種々の問題について国際世論の形成にも参画している。日本の存在を印象付けることも大事な仕事だ。これを「トラック2」のチャンネルと言う。「トラック1」が政府間協議の公式チャンネルであるのに比し、トラック2ではさまざまな仮説を議論し、柔軟な意見交換が出来る。

 このように、日本のシンクタンクは国内でも国外でも情報の伝播、世論形成において不可欠な存在なのである。一方、実際の政策形成に日本のシンクタンクがどこまで関わっているかと言ったら、そこは別の話になる。実際の政策というものは、ナタで手術をするようなもので、メスで細かい作業をやっている時間はない。大まかな方向を決めたら、政治家や官僚の仕事のほとんどは既得権益集団の説得、その手段としての予算の獲得、与野党内の根回し、マスコミの抱き込み、少々の出血は致し方ない......となる。

 そういう「鉄火場」にいる官僚や政治家に、シンクタンクのしかつめらしい「何々はこうするべし」という政策論は、ただ煩わしいだけ。高層ビル建築に例えるなら、政府にとって欲しいのは設計者より地上げ屋なのだ。

 世界のシンクタンク・ランキング 日本の最高位はJIIA

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 確かに、諸省庁に匹敵する情報・識見を持つ学者・専門家は居る。そうした政府外の知は、首相や野党に取って必要なものだ。首相、野党とも諸省庁が提案する政策の代替案、或は省庁が見落としている点に付いての情報を必要として居るからだ。
 しかし、情報・識見を持つ学者・専門家の多くはシンクタンクを通ずること無く、首相官邸や野党と何らかのパイプを持って居る。

 アメリカや中国、ロシアはシンクタンクが多いが、だからと云ってアメリカが素晴らしい外交を出来て居るとは思え無い。アメリカでも、シンクタンク全体としてよりも個人ベースで政府や議会の「知人」に意見を吹き込む事の方が多いだろう。
 中国とロシアの外交は機敏だが、それはシンクタンクがあるからでは無く、議会やマスコミを気にする事無く、思うがママの外交を出来るからだ。
 「シンクタンク」と云う言葉の高尚なイメージに幻惑される必要は無い。要は官僚でも民間でも、どうやって情報収集・分析体制を磨き、それを結集・総合して行くかと云う事なのだ。


   2019年11月19日号「世界を操る政策集団 シンクタンク大研究」特集より 河東哲夫

                  以上
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