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2022年06月09日

姦姦蛇螺 3


オレ「なんだこれ?爪楊枝か?」
A「おい、ペットボトルみてえなのに何か入ってるぜ。気持ち悪いな」
B「ここまで来てペットボトルと爪楊枝かよ。意味わかんねえし」

オレとAは、ペットボトルみたいな壺を少し触ってみたぐらいだったが、Bは手に取って匂いを嗅いだりした。元に戻すと、今度は/\/\>を触ろうと手を伸ばす。
ところが、汗をかいてたのか指先に一瞬くっつき、そのせいで離すときに形がずれてしまった。
その一瞬

チリンチリリン!!チリンチリン!!

オレ達が来た方とは反対、六角形地点のさらに奥にうっすらと見えている柵の方から、門凄い勢いで鈴の音が鳴った。
さすがに三人とも「うわっ」と声を上げてビビり、一斉に顔を見合わせた。

B「誰だちくしょう!ふざけんなよ!」

Bはその方向へ走り出した。

オレ「バカ、そっち行くな!」
A「おいB!やばいって!」

慌てて後を追おうと身構えると、Bは突然立ち止まり、前方に懐中電灯を向けたまま動かなくなった。
「何だよ、フリかよ?」と、オレとAがホッとして急いで近付くと、Bの体が小刻みに震えだした。

「お、おい、どうした…?」

言いながら、無意識に照らされた先を見た。
Bの懐中電灯は、立ち並ぶ木々の中の一本、その根元のあたりを照らしていた。
その陰から、女の顔がこちらを覗いていた。
ひょこっと顔半分だけ出して、眩しがる様子もなくオレ達を眺めていた。
上下の歯をむき出しにするように、い〜っと口を開け、目は据わってた。


「うわぁぁぁぁぁ!!」

誰のものかわからない悲鳴と同時に、オレ達は一斉に振り返り走った。
頭は真っ白で、体が勝手に最善の行動をとったような感じだった。
互いに見合わす余裕もなく、それぞれが必死で柵へ向かった。柵が見えると一気に飛び掛かり、急いでよじのぼる。上まで来たらまた一気に飛び降り、すぐに入り口へ戻ろうとした。
だが、混乱しているのか、Aが上手く柵を上れずなかなかこっちに来ない。

オレ「A!早く!!」
B「おい!早くしろ!!」

Aを待ちながら、オレとBはどうすりゃいいのかわからなかった。

オレ「何だよあれ!?何なんだよ!?」
B「知らねえよ黙れ!!」

完全にパニック状態だった。
その時

チリリン!!チリンチリン!!

凄まじい大音量で鈴の音が響き、柵が揺れだした。
何だ…!?どこからだ…!?
オレとBはパニック状態になりながらも、周囲を確認した。
入口とは逆、山へ向かう方角から鳴り響き、近づいているのか音と柵の揺れがどんどん激しくなってくる。


オレ「やばいやばい!」
B「まだかよ!早くしろ!」

オレ達の言葉が余計にAを混乱させていたのはわかってたが、急かさないわけにはいかなかった。Aは無我夢中に必死で柵をよじのぼった。
Aがようやく上りきろうかというその時、オレとBの視線はそこにはなかった。
がたがたと震え、体中から汗が噴き出し、声を出せなくなった。
それに気付いたAも、柵の上からオレ達が見ている方向を見た。
山への方向にずらっと続く柵を伝った先、しかもこっち側にあいつが張りついていた。
顔だけかと思ったそれは、裸で上半身のみ、右腕左腕が三本ずつあった。
そっれらで器用に網と有刺鉄線を掴んで、い〜っと口を開けたまま、巣を渡る蜘蛛のようにこちらへ向かってきていた。
とてつもない恐怖。

「うわぁぁぁぁ!!」

Aがとっさに上から飛び降り、オレとBに倒れ込んできた。
それではっとしたオレ達は、すぐにAを起こし、一気に入り口へ走った。
後ろは見れない。前だけを見据え、ひたすら必死で走った。
全力で走れば三十分もかからないだろうに、何時間も走ったような気分だった。


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