2020年11月05日
腸チフスのメアリー A
サルモネラ菌の大雑把な説明をおえたところで、本題である彼女のことについて説明していきたいと思う。
メアリーは人体に対して有害な病原菌を有した無症候性キャリア(後述で説明)であるにも関わらず、腸チフス菌に感染しない特異体質の人間である。
彼女の経歴としては、イギリス国出身であったが飢饉などの問題により、アメリカへ出稼ぎする形で出奔することになる。
ここで疑問に思うのはメアリーの故郷で腸チフスによる被害者の報告がなされていない点であるが、食糧不足に陥るほど国の経済状況や環境が良くなかったために、詳細な調査が行われなかったと考える方が妥当であろう。もっと言えば彼女はアメリカへ渡る以前から腸チフスに感染していたのではなく、アメリカ到着か到着後の何れかで発症していた可能性が高い。
やがてアメリカへ到達したメアリーであるが、人懐っこい性格で受けが良いだけではなく、料理の腕前の一人前で普通の家事手伝いよりも多くの給金を貰っていたのであった。
しかし、無症候性キャリアである彼女は勤め先で原因不明の病人が出ることで、暇を出されたのかどうか不明だが、様々な奉公先を転々とすることになる。
やがて、依頼を受けた公的機関の衛生士により、メアリーの糞尿を調べる為提出することを願い届けるも、彼女は当然のことながら拒絶。やがて数名の警官に捕まり、身柄を確保して、無症候性キャリアであることが判明し、隔離されることになった。
メアリーは無学ではなくどちらかというと、高等というわけではないが一般的な教養を受けていたものの、「無症候性キャリア」の説明とそうして隔離については荒唐無稽かつ人種差別的なものだと考え、腸チフスのキャリアだと診断した医師とは別の医者に再診断を受け、無症候性キャリアの疑惑を無くして、隔離病棟から抜け出すことになる。
その他にもメアリーは窓ガラス越しで記者との面会を行い、代替的に「差別的で不当な扱い」を受けていることを宣伝して貰っている。
隔離施設から出た彼女は、食事や衛生に関わる仕事に就かないことで自由の身の上となった。
しかし、多少の学はあっても他の仕事よりも調理師として他の者たちよりも多額の給金を得ていたことが経済的な潤いがあったのか自由になれる公的条件を破って、定期的に仕事内容の報告はしていたものの、やがて行方不明となって調理師として働いていたことが判明する。
彼女の発見当初、偽名を用いて産婦人科で働いていたなどという、衛生的な仕事には就かないことを自由の条件として承諾していたわりには、その理解度は薄い。しかも産婦人科で働く前から死者を出していたのだから、無自覚な加害者ともいえるであろう。
メアリーは再び隔離施設に捕らえられ、その後の一生を終えることになるのだが、晩年についての情報は「隔離施設で医師と共に働いていた」と言われているが、どのような仕事内容だったのか判然としていない。
推測するところ、隔離施設は腸チフス系の患者が集まっていたと思わしき点から、無症候性キャリア以外の人物に気を使い、他の隔離者の相手をしていたというのであれば、この内容は虚偽的なものではないかもしれない。
無症候性キャリア
無症候性キャリアとはとある一定の感染症の病気に対して、最近の情報になるとエイズ同様、過去「コロナウイルスに疾患しても症状が全くなかった人物」が代替的に取り上げられたものに、その疑惑がある。
過剰なパニックを封じるため「コロナはそれほど驚異的」ではないと宣伝するために、有名人が宣伝したものなのかもしれないが、本来どのような病気・感染症とはいえども個人差があり、ほとんど病気の悪影響を受けない者も一定数存在する。
いくら症状が限りなく無に近いものであったとしても、周囲への影響は無視できたもの……どころか普通の疾患者よりも気を払わなくてはいけないものだと思われる。
また無症候性キャリアは無自覚に病原菌を振りまき悪影響を及ぼすものだけではなく、病気による症状が少ない為、普通の疾患者より長期的な調査が可能なために、病気に対する抗体と対策が期待されるかもしれない。
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