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2022年から始まったウクライナ戦争において、ロシアが北朝鮮製KN-23を使用する事態となりました。
皮肉なことにKN-23の実戦デビューとなっています。
図1 KN-23
引用URL:https://nonproliferation.org/wp-content/uploads/2019/06/preliminary-analysis-kn-23-srbm_4.png
実戦データを収集した北朝鮮は、より改良型ミサイルを出してくるでしょう。
注目すべき事態です。
(前回記事):『NBC偵察車の早期用途廃止への慚愧【軍事技術】』
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(1)KN-23がロシアから発射された?!
2024年1月になりアメリカは、北朝鮮製KN-23弾道ミサイルがロシアからウクライナに発射されたと発表しました。
図2 米国発表
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GDClUG_b0AA4Qv9?format=jpg&name=medium
北朝鮮の弾薬支援は、弾道ミサイルまで供与していたことになります。
1.1 間違いなくKN-23の破片だ・・・
2024年に入ってからウクライナ各所でイスカンデルミサイルとは異なる部品発見報告が相次ぎました。
図3 部品
引用URL:https://englishsl.com/wp-content/uploads/2024/01/Russia-fires-North-Korean-missiles-at-Ukraine-for-first-time-640x427.jpg
ロシアのイスカンデルミサイルにしては、ずいぶんと古めかしい構造となっています。
どこかで見たようなボルト止めのロケットとなると、あの国しかありません。
図4 北朝鮮KN-23
引用URL:https://pbs.twimg.com/card_img/1745810129306484736/-ZdPAbLa?format=jpg&name=small
北朝鮮のキムカンデルこと、KN-23短距離弾道ミサイルにそっくりです。
ほぼ断定されたのは、やはりミサイル底部の部品の写真が登場したことです。
図5 ミサイル底部写真
引用URL:https://fakty.com.ua/wp-content/uploads/2024/01/06/novyj-proyekt-1.jpg
ああ、これはKN-23で確定だなと言えるものでしょう。
1.2 射程は500kmほどなのか?
今回ウクライナに向けて発射されたKN-23については、約460kmを飛行したとされています。
KN-23は射程約500kmと言われており、ほぼ最大射程で発射したと言えるでしょう。
図6 イスカンデル
引用wiki
しかしながら射程400kmと言われたイスカンデルミサイルが約800km飛行したこともあります。
KN-23は射程約1000kmまで行くのでは?と以前から主張してきました。
(関連記事):『【北朝鮮】イスカンデルミサイルもどきを再整理してみる!』
かなり厄介なことになりそうです。
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(2)KN-23について判明したこと。
ウクライナで発見されたKN-23の部品は、イスカンデルとは異なる部分があります。
図7 発射機
引用URL:https://www.b14643.de/Spacerockets/Specials/Pukguksong_GLBM-2/analysis3.jpg
専用の発射機でイスカンデルとは共通化していないと考えられていました。
しかしながら、従来予測が覆ることになりそうです。
2.1 ミサイル直径が同じ?
ウクライナからの情報では、KN-23の直径が予測より細くイスカンデルミサイルと同じ直径であるとされています。
図8 部品計測
引用URL:https://reporteasia.com/wp-content/uploads/2024/01/photo_l-34.jpg
かなり荒い部品計測ですが、直径約0.9mであるとされています。
この情報はかなり重大な情報となり、北朝鮮ミサイルの性能向上をうかがわせるものです。
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2.2 2019年の予測では直径約1.1mだった
KN-23が登場した2019年にはいくつかの写真から、KN-23の寸法が予測されていました。
図9 寸法予測
引用URL:https://www.b14643.de/Spacerockets/Specials/Pukguksong_GLBM-2/analysis4_a.jpg
この時は、直径約1.1mと予測されていました。
しかしながらウクライナに着弾したのは、直径約0,9mのミサイルだったのです。
予測が間違っていたのか?最初から直径0.9mのミサイルだったのか?
今後検証が必要でしょう。
2.3 KN-23とイスカンデルに共用性があるかもしれない。
2019年に登場したときは、KN-23とイスカンデルミサイルに共用性が無いと思われていました。
しかしながらウクライナ戦争により、ロシアがKN-23を使用したことで可能性が出てきました。
図10 KN-23改良型
引用URL:https://www.b14643.de/Spacerockets/Specials/Pukguksong_GLBM-3/2021_5.JPG
すでに北朝鮮は2022年にKN-23改良型として大型化したミサイルを登場させています。
注文に応じて、イスカンデル発射機に合わせたミサイル製造も可能になっているでしょう。
今後イスカンデルKN-23のようなキメラミサイルが登場する可能性も否定できません。
警戒して状況監視をするべきでしょう。
戦争中の急速な技術進歩は、時としてとんでもないものを生み出します。
恐れるべきでしょう。
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イスカンデルはINSとGPS/GLONASSの併用で命中精度を保っているようです。
しかしKN-23の誘導方式は、ロシアのGLONASSもしくは中国の北斗の衛星誘導システムどちらなのかいまだに不明な点があります。
回収されたKN-23用INS部品が旧式だからこそ、ますます謎が深まっています。