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2022年2月24日に開戦したロシアーウクライナ戦争は、そろそろ1か月にもなろうとしています。
図1 イスカンデルミサイル
引用wiki
ロシアが実戦投入を行った、イスカンデルミサイルについても相当数が使用されています。
その中でナゾとされていたイスカンデルミサイルのデコイ機能がついに露見する事態となりました。
(2022年3発23日追記部分あり)
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(1)こいつがデコイ弾か!
イスカンデルミサイルについては、開戦初期から弾道ミサイルの使用が確認されるようになりました。
図2 SS-21不発弾
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FNaoGJjVIAA4rD6?format=png&name=small
SS-21「トーチカU」の不発弾が道端に落ちている写真も、出てくるようになってきました。
1.1 イスカンデルのクラスター弾頭部品も確認される!
弾道ミサイルの中には、SS-26イスカンデルMミサイル特有の弾頭に使われる部品も散見され都市攻撃に使用されているようです。
図3 弾頭部品
引用URL:https://video.newsserve.net/v/20220317/1332859448-Russia-Using-Cluster-Bombs-and-Thermobaric-Weapons-in_hires.jpg
鳥籠のような部品については、SS-26イスカンデルのクラスター弾頭特有と言えます。
図4 クラスター弾頭
引用URL:http://militaryrussia.ru/i/284/185/YpLCC.jpg
そんな中で、イスカンデルミサイル着弾の地域周辺で妙な物体が発見されるようになりました。
1.2 噂のイスカンデルのデコイか!?
最初はクラスター弾の不発弾ともいわれていましたが、電子回路が内蔵されたものが発見されています。
図5 不発弾
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FN32POJXEAQlawZ?format=jpg&name=360x360
なんだこりゃ?と思っていましたが、海外軍事専門家から「イスカンデルミサイルのデコイ」ではないか?との見解が出されています。
図6 指摘サイト
引用URL:https://twitter.com/CAT_UXO/status/1502936791665491970
爆発物の専門家も、イスカンデルミサイル持っている囮弾(デコイ)機能に使用される子爆弾「penetration aids(9B899 (9Б899))」ではないかという指摘をしています。
2006年に配備が始まって以来、ナゾとされてきたデコイ機能がついに正体を現したことになります。
1.3 どこから射出されるのか?
しかしながら疑問として、デコイがどこから射出されておとり機能を果たすのかについても推定が出ています。
図7 イスカンデル後部
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FN23ZRFUYAIxwI6?format=jpg&name=small
写真で示されている、イスカンデルミサイルの後部ノズル脇にある小さな穴から射出される可能性が高いようです。
ここからであれば、弾頭部分を保護したままデコイを射出できそうです。
1.4 (2022/3/23追記)ノズル付近に配置して熱焼損を起こすんじゃないかな?
いつも見ていただいているサイサリスさまから、ミサイルの噴射口付近に電子機器を置いた場合の熱対策の疑義が示され、私としてもハッと気づかされたところがありました。
(まだまだ勉強不足な部分がありました・・・)
ミサイルのロケットノズル先端部だと、3000℃〜4000℃くらいまで温度が上がるはずです。
そこで調べれてみると、2003年(平成15年)11月のH2A6号機の打ち上げ失敗が参考になるでしょう。
図8 H2A6号機
引用URL:https://www.jaxa.jp/press/2003/11/img/20031130_h2af6_pic07.jpg
この事故は固体ロケットモーター(SRB-A)2本のうち、1本について燃焼ノズルの破損で正常分離できなかったものです。
固体ロケットモーターのノズル付け根部分には、温度センサーなど電子機器が設置されているのですが興味深いデーターがあります。
図9 温度データー
引用URL:https://www.jaxa.jp/press/2003/11/img/20031130_h2af6_pic06.gif
発射から、ノズル損傷が起こる60秒過ぎまでノズル付け根部分の温度が25℃前後で安定しているのです。
どうやら、ロケットモーターケース後部の空間は一定の温度が保てるようです。
そのことを踏まえて、SS-26「イスカンデル」の原型となったSS-21「トーチカU」の断面図を見てみましょう。
図10 SS-21断面図
引用URL:http://militaryrussia.ru/i/284/191/oU7ky.jpg
SS-21のロケットモーター後部に空間があることから、ここにデコイをセットしておけば熱焼損を最小限にできるものと思われます。
一応推測の領域を出ませんが、H2Aの固体ロケットモーターのデーターから十分に熱対策ができると思われます。
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(2)北朝鮮KN-23に同様の機能はあるのか?!
ロシアのイスカンデルミサイルにおけるデコイの正体が判明した場合、類似品である北朝鮮KN-23にも同様の機能があるのか気になります。
図11 KN-23
引用URL:https://awsimages.detik.net.id/visual/2019/07/26/2d734568-753d-4c5b-97f7-41ab61792b50_169.jpeg?w=715&q=90
もし同じ機能を持っているならば、ミサイル防衛に重大な問題となります。
2.1 KN-23の後部写真から推察する!
最近では、KN-23の発射においてはほとんど射撃シーンしか登場していません。
しかしながら2019年5月4日に初の射撃をしたときに、KN-23の後部が映った写真があります。
図12 KN-23後部
引用URL:http://www.b14643.de/Spacerockets/Specials/Pukguksong_GLBM-2/2_1.jpg
貴重な後部写真によって、KN-23とイスカンデルミサイルの比較検討ができることになります。
2.2 KN-23には射出口はない模様!
イスカンデルミサイルとKN-23の比較検討を行ったサイトの写真に、貴重な情報がありました。
図13 比較写真
引用URL:http://www.b14643.de/Spacerockets/Specials/Pukguksong_GLBM-2/analysis4_a.jpg
2019年の発射段階では、ロケット後部にデコイ射出口のようなものは存在していません。
現状では、イスカンデルミサイルと同じようなデコイ機能はないと考えられます。
2.3 ロシアからの技術提供があるならば警戒が必要!
北朝鮮のKN−23については、1990年代のイスカンデルミサイル試作品を模範にした可能性もあります。
図14 イスカンデル試作品
引用URL:http://militaryrussia.ru/i/284/816/CkG3p.jpg
今後ロシアから直接技術支援などが起きた場合、デコイが搭載される可能性も否定はできないでしょう。
さらなる技術流失に注意が必要と考えます。
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(3)ミサイル防衛はKN-23を撃墜できるか?
ロシアでは、イスカンデルミサイルの空中発射型Kh-47M2 キンジャ―ルの使用まで起こりました。
図15 キンジャ―ル
引用wiki
弾道ミサイル防衛にも、今後力を入れる必要があります。
3.1 KN-23を自衛隊は迎撃できるか?
現状北朝鮮のKN-23ミサイルについて、あまり日本のミサイル防空での話が出てこないところがあります。
射程500〜800kmという情報に踊らされているところもあります。
ロシアのイスカンデルミサイルは、射程1000kmまで延伸する能力があるという話をこのブログで何度もしてきました。
(関連記事):『【北朝鮮】イスカンデルミサイルもどきを再整理してみる!』
(関連記事):『【世界情勢】イスカンデルミサイル使用と各所紛争頻発!』
詳しい情報分析を求めると共に、日本のミサイル防衛の脅威としてとらえるべきだと考えます。
ウクライナはどこまで粘れるか?停戦交渉の行方を見守るしかありません。
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元々、大学のころから技術者は「失敗学」を学ぶことが重要だ!という教育環境の中で学んできました。
半分個人的な趣味もあり、工業的な失敗に関しては「どうしてそうなったか?」に興味がありました。
また、幹部中級艦船装備課程でも「失敗学」での集中講義というのがあり、その中でH2A6号機発射失敗の話がありました。
「確かあれって、固体ロケットノズルの破損によって電子機器が熱損傷したよな〜」
↓
「見返してみたら、ロケットモーターの下部に電子機器を置いても熱損傷しない形になっているからイスカンデルでもデコイが置けるかも?」
といった感じに出てきました。
技術者社は知識を変態的な貪欲さで知識を追い求めるべき!という習性でしょうか(汗)
北朝鮮のKN-23の問題は、おっしゃる通りに「イスカンデルベースの独自開発品?」の可能性もあり、なかなか判断に苦しむところだったりします。
KN-23の固体ロケットモーターケースが、CFRPで製造されているようでありここがイスカンデルとの大きな違いになっています。
ホントに現物が鹵獲されないと、なんとも言いようのない悩ましさがあります。
北朝鮮のKN-23に関しては最近邦訳版が出た「朝鮮民主主義人民共和国の陸海空軍」にて
全長8.6m、直径1.1mに拡大されている為イスカンデルベースの独自開発品では?
との推定も出てるようなので何ともはや
中の配管周りなんてそれこそ現物確保しないと判明しないでしょうしどう評価したものやら……
旧東側の独特の技術アプローチは、時として西側の想像を超えた手法を取ってくることは肝に銘じなければいけないと強く思います。
SS-20など、SF的発想をはるかに超えるものを昔から作ってきました。
中国・北朝鮮も技術アプローチについて、かなり独特になってきました。
まだまだ油断できないでしょう。
我々は旧東側の兵器を常々上から目線で見がちですが、普段我々が接している欧米の物とはまた違った思想、創意工夫、技術的アプローチがあり、決して馬鹿にしたものではないということを改めて認識させられます。
私も最初は噴射口(ノズル)のすぐそばに電子機器を設置して熱焼損が起きるのでは?と考えました。
ただ調べていくと、固体燃料ロケットの後部に熱の焼損を受けにくい空間が存在するようです。
ロケットモーターケースから伸びるノズル部分の付け根部分は、エンジンが全力噴射しても30℃程度に保たれるようです。
(H2A/H2Bなどに使われるSRB-Aロケットモーターのデータにて結構一定温度に保たれていることが分かりました。)
2003年11月のH2A6号機発射時のモータ分離失敗による破壊指令の検証報告書から、意外とロケットモーターケース後部付近は温度が低いようです。
(ご指摘の部分を考察して、記事に一部追記しています。)
射出時の一瞬だけ3000℃程度の温度に耐える材料を使えば、デコイとして電子回路を保護して使えそうな気配です。
まだまだ、ナゾの多いイスカンデルですねえ〜
、
液体燃料循環させる?でもこいつ固体燃料・・・・
確かにデコイとして使うなら、クラスター弾頭に入れる意味ははなさそうですしねぇ・・・・