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いままで、図上演習の準備を重ねてきましたがついに図上演習本番が開始となります。
TG21.1は、理不尽と法律のはざまで戦うことになります。
図1 対空射撃
引用wiki
対空戦だけかと思ったら、いろんな戦闘がまとめて同時進行する事態に!
果たしてどこまで生き残れるか!
(前回記事):『【海自】運用者に怒られそうな話がいっぱい!』
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(1)図上演習開始!防衛出動待機命令発令!
図上演習については、幹部中級学生に対して幕僚要務を習得させるために行います。
事前訓練とは違う前進配置にて、図上演習本番を迎えます。
(参考記事):『【図上演習D】第1回事前演習はボコボコやぁ〜(涙)!』
1.1 開始と同時の防衛出動待機命令!
『図上演習はじめ!』と審判部から開始の合図が流れたあと、
(審判部)
『訓練・防衛出動待機命令発令!X国の攻撃が予測される。各部隊は警戒を源となせ』
図2 図上演習のイメージ
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/navcol/msc/images/mdgs/mdgs11.jpg
今回の図演本番は、随分と早い段階にて防衛出動待機命令が発令されました。
図演の本番では、教官たちもあっさりと作戦が進んでもらっても困るのでいろいろな手段で妨害行動をかけてきます。
TG21.5の航空部隊(P-3C)が哨戒飛行を開始して、続々と周辺海域の情報が入電されていきます。
(TG21.5航空機)
「X国潜水艦らしきもの南北に1隻ずつ探知!」
「中立国商船1隻離島北部を航行中」
「敵X国漁船を装ったAGI(情報収集艦)と思われる船舶1隻確認!」
図3 開始直後の情勢
事前の図上演習とは少し違う形で、敵国や中立国の商船漁船が確認されていきます。
1.2 防衛出動が出るまで武器使用はかなり厳しい!
まず最初に発令された自衛隊法第77条の「防衛出動待機命令」では、すぐに武器使用ができるというわけではありません。
以前の海上自衛隊演習シリーズにおいても、かなり厳しい状況となっています。
(参考記事):『【艦補処】自衛艦隊司令部後方幕僚に派遣!(その1)』
単刀直入に言うと防衛出動待機命令の間は、
「撃たれるまで撃つことはできない」
刑法第36条の「正当防衛」及び刑法第37条「緊急避難」による、自己防御のための射撃しか認められません。
その他自衛隊法第95条における「武器等防護」のために武器使用を認められるだけです。
さらにROE(部隊行動基準)により、各種の縛りがあるため慎重に行動する必要があります。
ギリギリのつばぜり合いが続くことになります。
1.3 中立国商船がX国の攻撃対象になってしまう?!
現状の状況としては、中立国商船を早く戦闘海域から離脱させる必要があります。
中立国商船は、攻撃対象とはなりませんが状況次第では敵X国からの攻撃対象とみなされてしまう可能性があります。
TG21.1の判断で中立国商船に退避を呼びかけます。
(TG21.1)
「中立国商船へ、本海域は戦闘海域となる可能性がある。ただちに退避を要請する!」
あくまで「お願い」として中立国商船へ呼びかけます。
(中立国商船)
「こちら中立国商船、目的地はα港であり現在の海域をただちに離脱する。警備をお願いしたい。」
さてちょっと困ったことになったぞ〜?
中立国商船は、目的地が我が国のα港であり急速に退避すると宣言しました。
戦時国際法で陸戦については、民間人もしくは民間施設を攻撃するのは国際法違反となります。
ただ、海戦にいてはちょっと考えが異なります。
攻撃目標としては
@敵国艦船・潜水艦
A敵国航空機
B敵国の軍事行動を補助する船舶
そのほかに、
C敵の軍事行動に込みこまれた中立国船舶
というものがあります。
図4 中立国商船
中立国商船であっても、戦争当事国の軍事物資等を運送している場合などは攻撃対象に含まれてしまいます。
イランイラク戦争にて行われた「タンカー戦争」では、第3国の石油タンカーに対し両国が攻撃対象としてミサイル攻撃などを行っています。
この図上演習についても、中立国商船は我が国α港に入港すると宣言したため、X国から攻撃目標と認定されてしまいます。
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(2)敵X国のアボルダージュがキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
あれやこれやしてるうちに、敵X国のスパイ船(AGI)らしき船が動き出します。
図上演習の交戦の初手は、まさかのアボルダージュからの攻撃?!
2.1 敵X国スパイ船・潜水艦動き出した〜!
中立国商船との交信が終わると、敵X国スパイ船と思われ船舶が怪しい動きを始め中立国商船に近づく動きをします。
図5 スパイ船
引用URL:https://www.cnn.co.jp/storage/2019/12/19/625ee5ca22df66b6f340ad24de746118/russian-ship-sailing-off-us-coast.jpg
さらに探知した敵潜水艦もTG21.1に近寄ってきます。
とりあえずは、中立国商船を守る形で敵X国スパイ船の行動を妨害する動きに出ることを決心します。
しかし、事態は一気に急変します。
2.2 X国スパイ船が中立国商船にアボルダージュ―(移乗攻撃)!
なんと敵X国スパイ船が中立国商船に接弦して、武装人員を送りこみ始めました!
図6 武装要員が乗り込んできた!
引用URL:https://ac.namu.la/20210620/07bae134918efd814fd1b2ca6d35b408e4ee73a81228911e71c4b40164014289.jpg
「ウラー!」「X国船舶から武装部隊が乗り込んできた!(中立国商船)」
(TG21.1)
「ウソだろ!アボルダージュをしやがった!」
まさかの中立国商船へ、X国がアボルダージュ(移乗攻撃:臨検)を開始しだしました。
しかしこの海域は、我が国のEEZであるためX国の行為は断固として認めるわけにいきません。
(TG21.1指揮官役学生)
「X国船舶に警告発令!本海域は我が国のEEZである!違法行為をやめなけければ実力行使を行う!」
X国船舶に対して、警告を発しますが武器使用に関しては慎重にならざるを得ません。
さらに事態は悪化します。
2.3 RPG発射!はたかぜ被弾!
状況がさらに悪化して、どうやら中立国商船はX国によって制圧されたようです。
甲板上には、武装したX国の人員が見えており中にはRPG発射機を持った人間も確認できます。
(TG21.1)
「状況が危険だから、少し商船から距離を取ろう」
進路を割り込ませた護衛艦が、商船に近づきすぎてRPG射程圏内から距離を取ることにしました。
さらに、離島北部に潜伏している潜水艦の警戒も必要です。
商船から距離を取りつつ、護衛艦搭載のHSを飛行させて警戒を行うことにしました。
まずはHSを離陸させ、その後護衛艦を後退させていこうとした時ついに発生します。
(審判部)
「想定付与!X国がRPGをTG21.1に向け発射!」
図7 RPG発射
引用URL:https://cdni.rbth.com/rbthmedia/images/2018.11/original/5bf3c3c185600a10230a850d.jpg
いきなり審判部から想定が付与されます。
TG21.1は大騒ぎになり、慌てて全護衛艦を中立国商船から遠いところまで避難させ被害状況を確認します。
(「はたかぜ」担当学生)
「はたかぜ被弾!はたかぜ被弾!ミサイル発射機が炎上!」
ついにX国からの攻撃で、味方に被害が発生して貴重なDDGに損害が出る事態となります。
(DD担当学生)
「HS潜水艦探知!TG21.1近くまで接近!まもなく敵魚雷射程圏内!HSから攻撃許可要請!」
敵X国空母艦隊と航空機の空襲を待っていたはずが、
@対空戦(AAW):敵X国空母艦載機
A対水上戦(ASuW):敵X国スパイ船
B対潜戦(USW):敵X国潜水艦
というまさかの3つの戦闘を同時に行う複合戦に突入することになりました。
TG21.1の決断はいかに!
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(3)図演本番は序盤から大荒れ!
海上自衛隊演習以来の、指揮所を想定した図上演習はのっけから大荒れの予感がする形になりました。
自衛艦隊司令部での経験がありましたが、実際に自分たちで作戦を組みたたて行くのはなかなか難しいところがあります。
国際法と国内法を整合させながら、作戦行動を判断していくにはかなりの労力が必要となります。
図上演習本番は、これからもっと大荒れになりますよ〜!
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質問をいただきましたが、立場上すでに答えられる範囲を超えましたので回答を控えさせてください。
元自衛官として、「考えてもいいけど口に出すことは許されない」レベルの話になりました。
はたかぜ型はこれから練習艦として余生を過ごすことになります。
しばらくは、美しい船体を堪能できるでしょう。
追伸:アツくなってしまったところを収めていただきありがとうございます。
お礼がかなり遅くなってしまい申し訳ありません
お陰様で、長年の疑問にピリオドを打つことが出来ました
なるほど、はたかぜ型が総合的に見て使い勝手のいいDDGだったというのは盲点でした
自分としてははたかぜ型が役立たずというつもりでは無く、直後に導入可能となったイージスシステムの能力が隔絶していて、本音はこちらの方で揃えたいのではないか、という予測をしていました
はたかぜ型もあまつかぜの系譜であるターターDDGとしては最後発として洗練され、非イージスDDGとしては世界水準の能力を持っていると認識していまして、それも含めて好きでした
ともあれ、使い勝手が良いというのは確かに重要なファクターだと目から鱗です
失礼な質問でもあったかと思いますが、丁寧にお答えいただき、真にありがとうございました
かつて安保法制成立前に、例えば護衛艦の近くにいる米軍艦や他国の民間船が攻撃を受けた場合『何もできないけれど、何もできないでは済まされない』というのは本などでも良く聞く話です
要はそういう事でしょう
貴方のおっしゃることがまるで理解できないとは言いませんが、海上自衛隊は帝国海軍の反省を土台にできた軍事組織です
今以上に質でも量でも負けていた米ソ冷戦中にも変わらなかった事が、今変わるとは思いませんし、変わるべきでもないと私は思います
そもそもの話、貴方の想定では日本一国が強大な中国軍に押しつぶされることになりますが、そうならない為のクアッドであり、日米安保でしょう
もちろん良く言われるように、一元的には自衛隊が対応しなくてはなりませんが、最終的には米国軍の来援や援助を受けられる事が、日本の防衛構想の根幹でしょう
またクアッドがうまく発展していけば、将来的にはその参加国も有事には何らかの支援をしてくれる筈です
その来援や援助を受けるためにより必要とされるのは、しっかりと法と道義に基づき義務を遵守したという実績、『法と自由を貴ぶ陣営の一員たる振舞い』ではないでしょうか
(無論日米安保にも色々な意見があるでしょうが、これに意を唱え始めると、もはや防衛省・自衛隊の領分ですらなくなるので悪しからず)
もっとも、真っ先に商船を見捨てて戦力温存に走るような海上自衛隊になっている日本ならば、確かにクアッドも日米安保も無いのかもしれません
それならば米国の核の傘も無いでしょうから、その意味でも中国に何もできないでしょう
行きつく先は遼寧あたりの甲板上で、2回目の調印式でしょうか、嫌なもんです
冗談はさて置き、とりあえずそろそろ質問攻めもお止めになった方がいいかと思います
聞かれたのが自分だったら、もはや「いや、俺に聞かれても…」と思うような領域に入ってきていますし、前述したように根本の方向性が異なる以上、貴方を満足させる回答は返ってきませんし、誰にも返しようがありませんよ
所詮、私も貴方も趣味人に過ぎませんし、具体的な日本の防衛に日々頭を悩ませるのは、少なくともポリプさんの仕事では無いのですから
図上演習内では武器使用命令が出ておらず助けにいっても何もできない状態でした。実際に図上演習内では商船が見えるほどの位置に護衛艦がいたにも関わらず敵に占拠されています。決して商船を保護することが可能な状況とは言えません。そして戦争で国力とは相対的なものでしかありません。第二次世界大戦の時の日本も世界屈指の大国でしたがアメリカとの戦いに敗れ敗戦となりました。強大な軍事力を持つ敵との戦いに勝つには戦力損耗を少しでも避けて戦力を温存するしかありません。戦力損耗がゼロの状況でも決して余裕があるとは言えないのです。自衛隊の存在意義は日本国を守ることであり他国からの評判を気にして防衛が達成できなくなれば本末転倒です。
そんな事態を避けるために、どのように処置と部隊運用を考えていくのが図上演習であり、作戦を立案する幕僚の役目です。
冷酷なように思えますが、そんな時は「被害担当部隊(阻止行動部隊)」を指名して、主力部隊戦力を守るために全力で防戦する行動に出ます。』
私が不安に思っているのは今現在の日本では図上演習内の状況よりはるかに厳しい攻撃があるのではないかということです。実際のところ図上演習の状況は頑張れば勝てる程度に調整されています。現実では絶妙なタイミングで防衛出動命令が出るなどありえないし陸上機の攻撃もあるでしょう。そして今の『大国』は当時よりはるかに強くなっています。図上演習内では空母が1隻、艦載機が12機でしたが今の『大国』は空母を2隻配備していてさらに増やそうしています。艦載機も30機以上搭載できます。戦闘艦も量、質ともに向上しています。陸上戦闘機の近代化も進んでいます。図上演習では2度の24発の対艦ミサイル攻撃への対処にてんてこまいでしたが現実では最低でも100発を超える対艦ミサイルが何度も襲い掛かってくることが想定されます。空自の援護と武器使用命令がない状況で主力部隊を出したら被害担当艦もそれ以外の艦もまとめて壊滅してしまいます。そして主力部隊が壊滅すれば日本を守るものはいなくなってしまう。今の自衛隊ではそのへんについてどのように考えているのでしょうか?
『できればMk26連装発射機になってほしかったな〜という意見は内部にはありました。』
私が思うにはたかぜ型は改修すればさらに使えるのに改修しなかったから陳腐化したという印象です。それ以外でも自衛隊では改修をしなかったせいで陳腐化したというパターンが多い気がするんですけどなぜそういったことがおきるのでしょうか?
色々質問がありましたので、書いてみます。
@候補生学校を出たのにどうして役人的発想が出るのか?
これはやっぱり、市ヶ谷の海上幕僚監部など中央勤めが多くなると人間が変わってきます。
市ヶ谷は、どうしても他の省庁などの折衝もあり「役所の論理」が幅を利かせます。
そんな勤務が続くと、役人的発想が染みついてしまうんですよ〜。
A命令前に前線に主力部隊を出すと袋叩きにされて壊滅する危険をどう考えるか?
むろん、主力部隊を無防備に前線に出すと壊滅する危険はあります
そんな事態を避けるために、どのように処置と部隊運用を考えていくのが図上演習であり、作戦を立案する幕僚の役目です。
冷酷なように思えますが、そんな時は「被害担当部隊(阻止行動部隊)」を指名して、主力部隊戦力を守るために全力で防戦する行動に出ます。
「死んで来い」という意味ではなく、主力部隊が有効な攻撃を行えるまで阻止行動を行います。
図上演習では、TG21.1は、一番接近をして攻撃を受けても「正当防衛」で自衛のための行動を目指していきます。
はたかぜ型護衛艦については、海上自衛隊内部では決して軽んじられていたわけではありません。
むしろ「こんごう型」護衛艦のように、高価値目標(HVU)となってしまった護衛艦より、いろんな任務に使える護衛艦として使われてきました。
SAG(Surface Action Group:水上任務隊)として、DD2隻を統率して対潜戦対空戦などを行える指揮艦として重宝したのです。
イージス艦の建造許可が予想以上に早く出たため、はたかぜ型は2隻で止まりましたが、十分使える船といえます。
私の現職当時は、はたかぜ型たちかぜ型DDGを中心とするSAGで初期対処を行うのは普通の運用でした。
操艦のしやすさや、防空ミサイル戦を学ぶには最適の船であったことから、練習艦にも転用されるほどです。
(ホントに使えない船だったら練習艦に転用していません)
できればMk26連装発射機になってほしかったな〜という意見は内部にはありました。
はたかぜ型護衛艦を軽んじる空気は、海自内部にはなかったですよ?
『残念ながら一定数いるのが現状です。平時だとむしろ「行政組織の人材として有能」と思われて昇進が早いこともあります。』
その人たちは幹部候補生学校を出たのにどうしてそうなったのでしょうか?
『冷戦時代のトラウマに引きずられていると思われるかもしれませんが、防衛出動命令・武器使用命令が出て入念な準備を行う時間は存在しないと考えています。
冷戦時代のトラウマに引きずられていると思われるかもしれませんが、防衛出動命令・武器使用命令が出て入念な準備を行う時間は存在しないと考えています。』
なるほど、なぜ無人島ひとつに武器使用命令が出てないうちから主力部隊を出すのかと不思議に思っていたのですが冷戦時代の本土侵攻対処がベースになっていると考えれば納得がいきます。とはいえ不安に思うことがあります。今の日本の周りには対艦弾道ミサイル、ステルス機含む空自の数倍の近代戦闘機、無人機、大型空母含む多数の戦闘艦、サイバー部隊を擁する『大国』が存在している以上いくら防衛出動が間に合わないからって武器使用命令が出ていない状況で前線に主力部隊を出すと袋叩きにされて壊滅する危険があります。主力部隊が壊滅すれば日本を守るものは誰もいなくなってしまいます。訓練は別として今の自衛隊ではそのへんについてどのように考えてますでしょうか?
ずっと気になっていた事なので敢えて質問させて頂きたいのですが、海上自衛隊は現役時代のはたかぜ型ミサイル護衛艦をどう思っていたのでしょうか?
個人的にはたかぜ型DDGは大好きなのですが、客観的に見た場合、イージスDDGとは性能に明らかな差がある事は明らかです
それでも取得時期がこんごう型の少し前と言う程度には新しく、DDG枠2隻を謂わば拘束していたとも言えるかと思います
その為、実は海上自衛隊内でも、はたかぜ型はある種、言い方は悪いですが敢えて言えば『軽んじられている』のではないか?
『本当はイージスDDGで揃えたいが、退役する迄はそうも行かないから置いておくしかない』と言うような後ろ向きの感情が、何処か現場にはあったのでは無いか?と前から考えていました
そしてこの間、RPGに被弾する距離まではたかぜを近付けたというお話を聞いて、なかなかにショックでした
仮にその場にいたのがはたかぜ型では無くこんごう型だったなら、いくら商船とはいえ果たしてそこまで接近させたでしょうか?
やはり心の奥底で、万が一があっても「まあはたかぜだし」とでも言う意識があったのでは無いでしょうか?
(勿論それがDDGであれDDであれ、タグボートであったとしても、乗組員の生命や血税で取得された物品への損害はあってはならない事と言うのは大前提ですが)
念の為に申し上げますと、もちろん糾弾や追求等がしたい訳ではなく、長年疑問だった所の真実が知りたいのです
ペンギンさんが現役の頃、はたかぜ型に対してどんな雰囲気、どんな意見があったのか、もしよろしければ問題の無い範囲で教えて頂けますと幸いです
最も今でははたかぜ型2隻も練習艦としてそう長くはないであろう余生を送り初め、まや型DDG2隻を持ってDDG8隻体制が確立される事となり、全てはもはや歴史へ移りつつありますので、本当にただの興味本位で恐縮なのですが……
私にも反応を頂いたので、少しだけ失礼をば
ポリプさんは「出来れば商船を保護したい」との事でしたが、出来る出来ないで言えば紛れもなく出来るのでは?と思います
『出来ない』事があるとすれば、もはやまともな戦闘艦が残っていないか、燃料弾薬人員が尽きたか、何らかの作戦行動前ないし作戦中でどうしても割り当てられないか、或いは政府から絶対に助けるなとでも厳命があった場合等でしょうが、
いずれにせよこの想定時点ではどれも当てはまりません
海自の仕事では無いとおっしゃいますが、逆にこの想定では、もはや現実的に海保の仕事ではないと思います
この状態で護衛を求めてきた商船に対して、もしも何もしないのなら、それは「余裕が無い」のでは無く「組織としてやる気が無い・必要性を見出していない」としか思えませんし、実際誰も思わないでしょう
相手が「大国」だともおっしゃりますが、世界の殆どの国からすれば日本だって誰がなんと言おうと「大国」です
勿論今や中国に溝を開けられましたが、それでも今もって世界第三位のGDP(だいたい英仏合わせたくらい)の経済規模をもつ、殆ど頂点付近にいる先進国です
憲法や法整備、国民の理解や防衛意識、予算規模や装備取得、これらの要素に敗戦国としての数多の問題や制約があるとしても、世界のほぼ全ての国からすれば「何いってんだお前」や「知らんがな」なんです
それだけの規模がある以上、「相手が大国だから余裕がなかった」と言って海軍の義務を容易く放棄して許してもらえる(と言うと語弊がありますが)国では、日本はないと思います
長々と書いてしまいましたが、傍から見ていてポリプさんが納得出来かねているのは、法律や運用云々ではなく、根本的な指向の違いの為だと思います
ポリプさんは戦闘行動を本質とし、その達成の為には「それ以外」を切り捨てても可だと考えていらっしゃいますが、海上自衛隊という組織はその成り立ちや経緯から、その「それ以外」にこそ同等以上の本質を見ています
なのでどれだけ質問をされても、おそらくポリプさんの求める様な答えがペンギンさん(≒海上自衛隊)から帰ってくることは無いかと思いますよ
色々な質問疑問出ることは、作戦運用の視点をよく考えていることです。
@自衛隊の上の方には杓子定規の役人みたいな人はいないんですか?
残念ながら一定数いるのが現状です。平時だとむしろ「行政組織の人材として有能」と思われて昇進が早いこともあります。
本来なら、杓子定規と柔軟な対応の両方を使分けられる人がいいのですが、杓子定規の行政能力がもてはやされるのが組織としての宿痾なのでしょう。
A訓練と哨戒を同時にやるってことがあるんですか?
訓練と哨戒任務を使い分けて行動できるのが海自の便利なところです。
哨戒機での哨戒飛行は、実任務として行動しています。
艦船では、艦内を哨戒配備にしながら対潜戦・水上運動訓練を行ったりできる便利なところがあります。
B前線に出るのは武器使用命令が出た後で入念な準備と支援を得てからでもよいのでは?
ポリプさまが一番引っかかっているのは、自衛隊法第88条による武器使用命令(武力の使用)が出てから、十分な準備と援護を貰って戦闘に向かうのが安全ではないか?という考えだと思います。
幹部自衛官として何度も教えられ、実際に現場や司令部で実感したことは、
「防衛出動命令・武器使用命令は間に合わない」
「命令が出たときは、何隻か撃沈され日本本土に爆撃が終わった後だ」
「下手をすると撃沈・撃墜・爆撃で国民に死傷者が出ても、会議で紛糾して防衛出動命令・武器使用命令は出てこないかもしれない」
「それでも命令を待って引金を引くことを躊躇するか?」
と教え込まれてきました。
冷戦時代のトラウマに引きずられていると思われるかもしれませんが、防衛出動命令・武器使用命令が出て入念な準備を行う時間は存在しないと考えています。
『幹部候補生学校のころから、繰り返し叩き込まれるととして「杓子定規の役人になるな、法律に書かれていることしかできないと考えるなら辞表を出した方がだぞ!」と叩き込まれます。』
なるほど、そういうことだったんですか。それで思ったんですけど自衛隊の上の方には杓子定規の役人みたいな人はいないんですか?
『「自衛隊法第3条」を元に、「防衛省設置法第4条第1項第18号」における「調査・研究」を根拠として、訓練及び哨戒を行うために動いています。』
これはいわゆる警戒監視のことでしょうか?訓練と哨戒を同時にやるってことがあるんですか?
『しかし、図上演習の作戦目的は「離島の防衛」です。
この場合、敵X国が離島奪取に向けて試みる作戦行動は「敵艦隊グループTGの撃滅」となります。
何処に退避しても航空攻撃が飛んでくるでしょう。
行動上優位に立てる位置に展開させるのも、作戦要務のやり方といえます。』
どこにいても航空攻撃の危険があるのはわかりますけどだからって武器使用命令が出てないうちに前線に出たらそれこそ敵に袋叩きにされる危険があるのではないですか?それより空自のエアカバーがあって敵国から離れた日本本土近海にいる方が安全ではないですか?前線に出るのは武器使用命令が出た後で入念な準備と空自や陸自の援護を確保してからの方がいいのではないですか?
色々な疑問に対して、
@「上はどんな自衛官を求めているのでしょうか?」
幹部候補生学校のころから、繰り返し叩き込まれるととして「杓子定規の役人になるな、法律に書かれていることしかできないと考えるなら辞表を出した方がだぞ!」と叩き込まれます。
法律上は海上保安庁の管轄だから、海上において目の前で何か起きていても命令がないから動くべきではないというのは、海に生きるものとして失格といえます。
不要に動いて、外国との戦争の糸口を作り出してしまう行動をするのも可能な限り避けるのも、自衛官としては当然です。
「杓子定規ではないが暴走しない、変化とギリギリの理性を持ったもの」を求めています。
A図上演習内での法的根拠は何でしょうか?
図上演習において、TG21.1及びTG21.2が事前に離島東部海域へ展開した法的根拠は、
「自衛隊法第3条」を元に、「防衛省設置法第4条第1項第18号」における「調査・研究」を根拠として、訓練及び哨戒を行うために動いています。
B武器使用命令が出ていない状態で主力を前線に出す必要はないのではないですか?
そのような考え方もあるでしょう。
しかし、図上演習の作戦目的は「離島の防衛」です。
この場合、敵X国が離島奪取に向けて試みる作戦行動は「敵艦隊グループTGの撃滅」となります。
何処に退避しても航空攻撃が飛んでくるでしょう。
行動上優位に立てる位置に展開させるのも、作戦要務のやり方といえます。
Cアボルダージュは想定していなかったのですか?
はっきり言うと可能性は低いと想定を甘く見積もっていたTG21.1の判断ミスです。
現代戦において、アボルダージュが実際に行われる可能性は相対的に低くなっています。
(図上演習前の教務で、やたらと教官がアボルダージュを強調していたのは伏線だったのね〜)
ここが学生の甘さでした。
D結局どうすればよかったんでしょうか?
まさにこれが、図上演習の最大のポイントです。
発生する状況を予測して、事態進行に適切な判断手順を踏んで実行を行い、その結果を次の行動に反映させるのが幕僚要務です。
「正解はこれただ一つ!」というものは、図上演習には存在しません、教官陣や審判部も「この通りにやるべきだ!」と押し付けはしません。
学生たちは、「正しい解答のない問題の中でいかに最善の対応を判断していくか?」を実際の幕僚要務で習得していくのです。
『「中級幹部としての能力・判断力を書いている」という人事評価にて「進級停止(階級昇任対象から除外)」となったくらい、商船を見捨てる判断は非常にまずい判断です。』
結局、上はどんな自衛官を求めているのでしょうか?法的に見れば防衛出動や海上警備行動等が発令されていない状況での商船保護は海保の役目で自衛隊の任務ではないのに助けに行って味方や護衛艦を危険に晒して外国との軍事衝突の危険まで招く方が軍人として間違っていると思うのですが。
『いやあ〜、「たまたま偶然」燃料弾薬満タンで訓練出港しているっていうこともありますからね〜?(偶然なら仕方ない)
「訓練」であれば、艦隊の運用レベルで動かせることもあります。』
思ったんですけど図上演習内での法的根拠は何でしょうか?防衛出動待機命令が出ている状況で戦場になる危険が高い離島に向かうのに訓練はありえないと思うのですが。
『港で待機するのは、航空攻撃を受けると被害回避のため出港する船で混雑して激しく困難になるでしょう。』
もちろん港で待機すればそのようなリスクもあるでしょうがそれなら出港して安全な後方の海域にいればいいのであって武器使用命令が出ていない状態で主力を前線に出す必要はないのではないですか?
それとブログ記事を読み返していて疑問に思ったことがあります。
『図上演習の交戦の初手は、まさかのアボルダージュからの攻撃?!』とか『「ウソだろ!アボルダージュをしやがった!」』とか書いてありますけどアボルダージュは想定していなかったのですか?軍隊が民間商船を狙う場合は問答無用の撃沈よりアボルダージュの方が可能性としてはずっと高いと思うのですが。
『「はたかぜ」にRPGが着弾するような近さまで接近しすぎたのは、演習終了後に教官陣にめっちゃシバかれました。
(陸や空の兵器への関心をもっと持て!と絞られました)』
九州南西海域工作船事件で見つかった武器の最大射程が8キロぐらい、陸自の対戦車ミサイルの最大射程も同じぐらいで魚雷を積んでる可能性も考えれば敵のスパイ船からの攻撃を避けようとしたら最低10キロ、できれば20キロは離れなくてはならない。ですが武器使用命令が出ていない状態で商船を敵から守ろうとしたら護衛艦で敵の進路を損傷覚悟でふさいで妨害するぐらいしか方法がない。結局どうすればよかったんでしょうか?
宇宙戦艦トマトさま、私に関するコメントありがとうございます。
もちろん私も『可能ならば』商船を保護すべきだと思います。
ですが『大国』と戦う上で戦力損耗が無いという理由で初期に戦力をすり減らせばそれは後の戦いで必ず響いてきます。自衛隊の一番の目的は我が国の国民と領土を守ることであり後世や海外からの評判を気にして防衛が出来なくなればそれこそ本末転倒です。
中級学生の図上演習は、まさに「敵に勝利すること」が目的ではなく「どんな判断をしたか?適切な幕僚要務に基づき対処をしているか?」を主要な教育目的にしています。
コバヤシマル・シナリオは、まさに中級学生の図上演習の概念と一致しているといえます。
商船保護は、海軍の基本理念といえます。
色々ご質問をありがとうございます。
@商船を見捨てる判断をした学生が過去にいたか?
この判断をした学生は、過去にはいたそうです。ただその後の図上演習での情勢判断などのまずさから、大減点の上中級課程の成績が大幅に下げられ「中級幹部としての能力・判断力を書いている」という人事評価にて「進級停止(階級昇任対象から除外)」となったくらい、商船を見捨てる判断は非常にまずい判断です。
A損傷を食らったり救出できなかったりしたときどちらが減点が大きいのか?
図上演習では、幕僚要務の演練が主な目的ですので「被害を出さなければ正解!」というよりも、状況付与によって生じる損害等に対してどのようにリカバーしてさらに情勢判断で行動方針を導き出すことが重視されています。
損害などに慌てふためき、まともな幕僚要務ができなければ減点という方が大きいです。
(審判部はどんな新判断出すかをを狙って、いろんなイジワル状況付与や攻撃を行ってきます。)
B武器使用命令が出ていないうちから部隊がなぜ出ているのか?
いやあ〜、「たまたま偶然」燃料弾薬満タンで訓練出港しているっていうこともありますからね〜?(偶然なら仕方ない)
「訓練」であれば、艦隊の運用レベルで動かせることもあります。
C武器使用命令が出るまで後方で温存する方が安全では?
「艦隊保存(フリート・ビーイング)」という考えもあるかと思います。
ただ、この図上演習における作戦の目的は離島の防衛が主たる目的になります。
港で待機するのは、航空攻撃を受けると被害回避のため出港する船で混雑して激しく困難になるでしょう。
可能な限り、被害分散・航空攻撃対処を行う方がやりやすくなります。
図上演習や実働演習でも、どれだけ生き残らせるかが肝心です。
手国海軍の反省に立っている以上、商船の保護については海上自衛隊の存在意義にもかかわってくる話になrます。
ご指摘にあったように、「はたかぜ」にRPGが着弾するような近さまで接近しすぎたのは、演習終了後に教官陣にめっちゃシバかれました。
(陸や空の兵器への関心をもっと持て!と絞られました)
海軍と商船ネタに関しては海外ドラマ、スタートレックでも「コバヤシマル・シナリオ」という形でネタになってる辺り
切っても切り離せない物なのは世界共通なようで(スタトレのコバヤシマルはシステムハッキングでもしない限りクリア絶対不可な代物ですが
前の投稿のコメ欄でも触れられていたFCS-3とXRIM-4の遅延の原因ともなった敵味方識別と自爆機能も
この話の延長線上と考えるとなんとも言えません罠……
(サンレモ・マニュアルを正しく理解しているかを判断するには、商船を絡ませてみるのが最もわかりやすいからです。)』
なるほどこんな事情があったんですね。私は軍隊とは下された命令を達成するのに国際法国内法の範疇で全力を尽くすものだと思っていたので本来の命令にない商船1隻になぜそこまで固執するのかと不思議に思っていたのですが謎が解けました。しかしそういった言い伝えがあるということは過去に商船を見捨てた人がいたのでしょうか?助けられず護衛艦が損傷を負った場合とどちらが減点が多いのか?そもそもその商船を武器使用なしで助けることができたのか?そもそも教育や訓練のためならなぜ商船の保護命令を正式に出さなかったのか?次々と新たな疑問が出てきます。その商船はもしかしたらコバヤシマルだったのかもしれないと思えてきます。そういえば前から疑問に思っていたのですが過去の記事の図上演習といい今回の記事の図上演習といいなんで武器使用命令が出ていないうちから部隊を出しているんですか?少なくとも主力戦力は武器使用命令が出るまでは後方に温存しておく方が安全ではないですか?演習だけの話なのか実戦でもそういった戦い方を想定しているのでしょうか?
何やらコメント欄が興味深かったので、少しだけ横から首を突っ込ませていだきます
結局、歴史的経緯から来るその国・その軍隊の性質や大方針の話ですよね
究極的には『海上自衛隊はそういう判断基準を持った海軍である』と言う事なのだと思いますし、それは完全に当たり前かつ真っ当な事でもあるかと思います
実際問題、今回の記事中の流れだと旧東側の強権軍事大国系海軍ならともかく、西側系海軍なら可能な限りこの中立商船を守るのは当たり前と思います
大前提のシーマンシップ的にもそうですし、
(末期の旧海軍の如く、船も弾も油も無いならともかく)
そもそも自国の領海内で正式に保護を求めてきた中立国籍商船を、戦力損耗の無い事実上の開戦劈頭にも関わらず純軍事的判断のみで見捨てたら、いくら何でも以後の対外国際政治的に不味すぎるでしょうね
いくら相手が強大だからといって、自分の庭の面倒を見る事も責任も持てない、持つ気が無いような国や軍隊は、どんな国からも信用も信頼もされますまいと
もし最終的に日本が防衛目的を達したとしても、結局その最中の行動によっては戦後100年に渡って世界から「へえ〜、日本ってそういう国なんだ?ふぅん…」と見られ、言われ続ける事になる訳ですから、やはりあらゆる面でこの場合の商船を見捨てる様な選択肢は無いと感じます
勿論指揮する側からすればやはり多大な葛藤がお有りとは思いますが…
ちなみにはたかぜがRPGをくらってターターがやられてしまった様ですが、例えではなく本当にRPGの想定だったのなら、いくらなんでもはたかぜは近づき過ぎたのでは?
まぐれ当たりとしても、あの武器をもろに食らうのは護衛艦(軍艦)では無く海保の巡視船の距離でしょうし、まして仮にもDDGを率先して近づけたのは、他に適当なDDが居なかったのですかね?
少なくともイージスDDGなら余程の事がないと、ここまで近付けていない様な気はします
実ははたかぜ型には前大戦で言う所の金剛型戦艦的なボジションの気配があったり…?
図上演習では、幕僚要務の演練を主たる目的に行動しています。
中立国商船の保護について、命令が出てから行えばよいというのもTGとしての判断選択肢としあったでしょう。
ただ、自衛艦隊後方幕僚部シリーズを見返していただければ感じると思うのですが、
「速やかに遅滞なく防衛出動・武力行使命令などなどの発令」
が期待できすまね?
戦力温存という方法もあるでしょうが、戦略的合理性に合わない不条理と国際法国内法の狭間でもどのように判断・行動していくのが図上演習であり、自衛隊の現状です。
ちなみに、中級学生の申し送りで「商船を放置すると教官から大減点」との言い伝えがあったりします。
(サンレモ・マニュアルを正しく理解しているかを判断するには、商船を絡ませてみるのが最もわかりやすいからです。)
戦略的に不条理だと思いますが、これが図上演習であり海上自衛隊といえます。
国際世論の批判
敵味方識別がややこしくなる
私も国家戦略上での商船保護の重要性はわかります。しかし図上演習では防衛出動や海上警備行動が発令されておらず警護といっても何もできない状態でした。単純に国家戦略上の商船保護なら政府からの正式な武器使用命令が出てからやればいいのであって命令が出ていない状況で商船1隻を無理に助ける必要はないはずです。そして実際に結果だけ見れば政府からの明確な命令がないのに無理に助けにいって武器使用が出来ず敵に商船を占拠された上に貴重なDDGが損傷を受けています。図上演習でははたかぜでしたけど現代ならこんごうやあたごが損傷を受けるようなものです。『大国』と戦う上でこれは戦略的に見ても大きな痛手のはずです。どうせ助けにいっても武器使用ができないのですからとりあえず商船の位置をマークすることで敵味方識別の混乱を最小限に抑えつつ無線で離脱を誘導しておくという選択肢もあったです。無理に助けに行かずに『大国』との戦いに備えて戦力を温存する方が戦略的に見て理にかなっているのではないしょうか?
単刀直入に結論から言うと、中立国商船を見捨てるという選択肢はシーマンシップや海上自衛隊の作戦要務の面からみてもありません。
帝国海軍の民間商船護衛軽視が、海上輸送の壊滅を招いた反省はしっかり海上自衛隊に引き継がれています。
海軍の誕生は、商船を守るために生まれたという歴史があります。
ここで中立国商船を見捨てるという選択は、すぐそこの戦術的勝利にはなるかもしれませんが、海外から「商船を見捨てた!」という国際世論の反発を招いて、戦略面・国家戦略に悪手になるといえます。
中立国商船をそのまま見捨てると、さらに戦闘海域での敵味方識別がややこしくなり、戦闘予想海域化から商船を離脱させる努力を行う方がその後の戦闘に響きません。
そんな部分も判断できるか判定するため、図上演習でこれだけ意地悪な設定を仕掛けるているのです。