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2017年05月28日

栄養補給法〜経腸栄養〜

前回、栄養補給法のお話をしました。
今日はその中の一つ経腸栄養についてお話します。
管理栄養士である以上は、経口栄養だけではなく、経腸栄養も専門になります。
他職種から栄養剤に関する質問を受けることも多々ありますので、
しっかり理解しておきましょうね。

栄養学の流れを少しお話してみます。
昔の栄養学というと、食べられれば経口、食べられなければ点滴(静脈栄養)というのが一般的でした。
なので、腸管が使えても自力で摂取することが出来なければ静脈栄養になってしまう方が多くいました。
前回お話ししたとおり、静脈栄養は腸管を使わない栄養法ですから、
腸管が使えるのに静脈栄養にすることによって、本来は食べる機能は備わっていたのに、
医療側が食べられない状態を作ってしまったということが良くあったようです。
静脈栄養は毒なんていう方もいますが、静脈栄養も性格な使い方をすれば素晴らしい栄養法です。
医療者側がその患者さんにどの栄養ルートを選択してあげるか、
いかに栄養法を上手く使いこなすかが、
その後の患者さんの回復に大きく関わってくるということをぜひ覚えておいてください。

前置きが長くなりましたが、本題に入りますね。
経腸栄養法は腸管を使う栄養法です。
経口栄養法に次いで生理的な栄養法で、食事は食べられないけれど、腸管は使える方に施行されます。
特に脳血管疾患後の嚥下障害にはよく使われますね。
経腸栄養には経鼻、胃・腸瘻造設によるものがあります。
一般的には、4週間以内の短期間であれば経鼻、それ以上になる場合は胃・腸瘻を造設ということになります。
一言で言えば、経鼻は鼻から管を通して栄養剤を入れる栄養法。
管を入れるのは容易でありますが、入れられる方はとっても苦痛を伴います。
回復期の病院でリハビリに力を入れているっていう病院でない限り、管は入れっぱなしです。
管はテープで鼻にとめるかたちになるんですが、鼻にも潰瘍ができやすくなります。
このように経鼻で長期間は困難なので、経口栄養に移行できる見込みがなく、
しばらく経腸栄養法になる場合には、胃瘻や腸瘻を造設します。
経鼻栄養法の時期は、今後経口栄養が可能になるか、困難かを見極める重要な時期ともいえます。
経鼻が困難だと第一選択は胃瘻です。
胃瘻を造設したら、原則24〜48時間以内には経腸栄養を開始できます。
術後で胃全摘しているような場合は腸瘻が選択されます。
基本的に胃瘻であれば、持続投与と間欠投与共に可なのですが、
腸瘻になると24H持続投与となります。
胃瘻や腸瘻を作っても、経口栄養へ移行できた場合には容易に抜くことが出来ます。
胃瘻や腸瘻と経口栄養も併用できます。

ちょっとここで余談。
いわゆるPEGと呼ばれるものですが、胃瘻=PEGではありません。
良く間違う方が多いのですが、経費内視鏡的胃瘻造設術=PEGなので、
「PEGを作った」とか「PEGによる栄養」とは言うのは使い方が間違っています。
「胃瘻を作った」や「胃瘻による栄養」というようにしましょう。
「PEGを施行した」なら〇です。

近年、疾患別や濃度別など、様々な栄養剤が増えてきています。
どの栄養剤を選択するかは、管理栄養士の腕の見せ所と言ってもいいでしょう。
次回、栄養剤について詳しく説明します。
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食品会社で勤務しながら、半年間の独学を経て管理栄養士の国家試験に合格。その後、管理栄養士として勤務するために病院へ転職。6年間で3つの病院を経験。現在は、管理栄養士国家試験の参考書の校正や答案添削を行っています。 <取得資格>管理栄養士、栄養教諭、糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士、NST専門療養士
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